2020年01月18日

これが日本の格差社会映画だ『カイジ ファイナルゲーム』



 実写映画『カイジ』シリーズの第三弾にして完結編。前作から9年ぶりの新作だ。9年も経ってるのだから、カイジ実写シリーズのコンテンツとしての魅力はすでに失われていると思っていたので、新作は意外だった。その間原作はいまだに続いていて、現在では命がけギャンブルで手に入れた24億をもって逃亡しようとするヘイスト(強盗)映画の脱出劇のような展開になっていて、原作漫画の売りである登場人物たちの緻密で高度な心理戦を今までにない形で描き出しており、相変わらずの面白さだ。
 が、実写映画の方は原作漫画の、漫画ならではの緻密な心理戦は実写で描くことは不可能なので、全部登場人物たちは絵で表現されていた心情や互いのやりとりを全部セリフで説明し、しかも絶叫口調でやる。ひたすらに大声で芝居がかったセリフを絶叫するの単純にして単調だが、舞台役者として巨匠・蜷川幸雄に揉まれた藤原竜也、歌舞伎役者の血を引く香川照之の異常なほどに高められた絶叫芝居の勢いに見させられてしまうのもまた事実。

 さてそんな単純にして単調な人生の破滅を賭けたギャンブル映画の3作目は、初めてのオリジナルストーリーだ。これまでの帝愛グループとカイジらロクデナシのギャンブラーとの戦いではない。相手は、日本だ。
 東京オリンピック以後、日本の経済は完全に破綻し、不況のどん底に落ち込んでいた。何の冗談かと思ったが本気でそういう設定なのである。日本全体が一握りの富裕層が暮す優雅な高層ビル群と、貧民が暮すスラム街に分断されてしまっている。スラムでは缶ビール一本が1000円という金額になり

「ふざけんじゃねえよぉ~!これじゃビールも飲めねぇよ~ぉ!」

 とカイジ・竜也がいつもの絶叫演技。派遣で働くカイジは給料の7割をピンハネされてまたたま絶叫。「なんだよこれぇ!これじゃ生きていけねぇよぉ!」そこに現れた会社社長で「派遣の帝王」と呼ばれている黒崎(吉田鋼太郎)が「いやならやめろぉ~!いくらでも代わりはいるんだぁ~!」と竜也に負けず劣らずの絶叫演技。吉田鋼太郎といえば藤原竜也と同じ蜷川幸雄の舞台で鎬を削った役者同士ではないか。シェイクスピア劇も真っ青の対決がスクリーンで展開される。

 その後カイジは地下で対決した大槻班長(松尾スズキ)から一発逆転のギャンブルがあると教えられ、秘策を授けてもらって参加。この映画には4つのギャンブルが登場する。ちなみに4つのギャンブルは原作者の福本伸行自らが考案したものだ。最初のギャンブルは「バベルの塔」。集められた参加者はとあるビルの位置を教えられ、最上階ににそびえる鉄塔の頂点にあるカードに最初に触れたものが最大99億9999万円か、同価値の情報を得るか、選択権が与えられる。カイジは大槻からビルの場所を事前に聞いていて、隣接するビルから鉄骨を伸ばして綱渡りを決行。見事勝利者となり情報をゲット。その情報によってカイジは資産家の老人、東郷滋(伊武雅刀)に出会う。東郷はこの国で栄華を極めている大金持ちだが、まもなく国会で政治家が銀行の預金を封鎖する法案を成立させようとしていることを知り、それを止めるために政治家の買収を画策するが、手持ち資産では足りず、黒崎と全財産を賭けた直接対決のギャンブル「最後の審判」に挑もうとする。その協力者として「金よりも情報を選んだ」カイジと最高についている女、桐野加奈子(関水渚)を仲間に引き入れる。どれだけ多くの賛同者を集め、大金を積むことができるかというギャンブルに挑むが、黒崎の罠に陥り大ピンチに。追加資金を手に入れるためカイジは地下で行われている命がけのギャンブル「ドリームジャンプ」に挑戦。見事大金を手に入れ、事前に仕掛けていた作戦によってカイジは勝利するが最後の最後で邪魔をする、通称・影の総理と呼ばれる若き官僚・高倉浩介(福士蒼汰)と彼が得意とするギャンブル「ゴールドジャンケン」で雌雄を決する勝負に出る。

 一握りの富裕層がすべての富を牛耳って貧困層を支配する格差社会の構造にメスを入れる、とでも言いたげな内容には白けてしまう。この映画の制作は日本テレビなんだけど、現在の格差社会を助長しているのがテレビ局をはじめとするマスメディアではないか。政府に牛耳られて政権のまともではない政策や与党の不祥事を糾弾することすらできない。『銀河英雄伝説』でも言ってたでしょ。「政治家が賄賂を取ることは政治の腐敗ではない。政治家個人の腐敗であるにすぎない。政治家が賄賂を取っても糾弾できない、それを政治の腐敗というんだ」と。
 そんな連中が貧困層の大逆転によって腐敗政治が転覆する、なんてフィクションを堂々と作っている事実には笑いが止まらないね。この人たちはこんな話を本気で信じていないに決まっている。映画の中で10人の参加者のうち9人が死ぬ死のバンジーゲーム「ドリームジャンプ」とかをやらせている側の気分でしょ。こんなバカげた映画をつくって大儲けしている状況に笑いが止まらないだろう。「またバカな貧乏人どもがありもしない絵空事を見に映画観に来ていやがるぜ」ってね。
 また原作者の福本伸行自身も今や大金持ちなんだから、本当の貧困層の気持ちなんてわかっちゃいないだろう。彼はまだ漫画家としてまっとうなやり方で稼いでいるんだから100歩譲って許せるけど、口では安倍政権を批判するようなお話にしながら(この映画の脚本は福本本人)実際は格差社会の利益を享受しているんだから、笑わせるなよ。
 本人が考案したというゲームの数々も原作漫画に出ていたいろんなギャンブルのクオリティに達しているものはひとつもなく、ガッカリです。ひょっとして漫画に使わなかったアイデアを引っ張りだしてきただけなんじゃあ・・・

 カイジ実写の1と2には山本太郎が出演している。山本は今、格差社会の是正のために本気で戦っているじゃないか。この映画のどこにも格差社会と本気で向かい合おうとしている部分は見当たらない。福本さんよぉ、山本太郎の爪の垢でも煎じて飲んでこいや!
 虚無だけが広がる無限の荒野。この映画の出来が悪魔的だった!



  


Posted by 縛りやトーマス at 15:15Comments(0)映画漫画

2020年01月18日

吹替がお好き? けっこう。ではますます好きになりますよ。

 全国を巡回中の映画『コマンドー4Kニューマスター吹き替え版』。何十年の前の映画の、しかも吹き替え版が再上映されているのは異例だが、コマンドー吹き替え版の持つ魅力と、玄田哲章氏他が演じる声の魔力によるものだろう。もはや俺たちは吹き替え版でなければ『コマンドー』を見られない体にされてしまったんだ・・・コマンドーがお好き? けっこう。ではますます好きになりますよ。

石丸博也、ジャッキー・チェン吹き替えギネス記録認定「ジャッキーさんが命懸けで作品つくり続けたおかげ」
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2020/01/14/kiji/20200114s00041000176000c.html?amp=1

 コマンドー玄田哲章以上にこの人以外が考えられない吹替、それがジャッキー・チェンの声を長らく演じている石丸博也氏だ。たまに字幕版でジャッキー映画を見たりしたら声に違和感がありすぎてもう、耐えられないですね。

 石丸さんも高齢で、ジャッキー役もそろそろ交代なのかな・・・ってジャッキー自身も高齢だよ!ひょっとしたら交代せずに済むかもしれない。仮に交代するとしたら誰かな?やっぱり山寺宏一さんですか?(いい加減に山ちゃんを休ませろよ)



  


Posted by 縛りやトーマス at 00:02Comments(0)映画

2020年01月14日

第92回アカデミー賞ノミネート作品(決戦は2月9日)



 2020年2月9日(現地時間)に発表される第92回アカデミー賞の全ノミネートが発表された。


作品賞:
『フォードvsフェラーリ』
『アイリッシュマン』
『ジョジョ・ラビット』
『ジョーカー』
『ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語』
『マリッジ・ストーリー』
『1917 命をかけた伝令』
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
『パラサイト 半地下の家族』

監督賞:
サム・メンデス(『1917 命をかけた伝令』)
マーティン・スコセッシ(『アイリッシュマン』)
トッド・フィリップス(『ジョーカー』)
クエンティン・タランティーノ(『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』)
ポン・ジュノ(『パラサイト 半地下の家族』)

主演男優賞:
アントニオ・バンデラス『Pain & Glory(原題)』
レオナルド・ディカプリオ『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
アダム・ドライバー『マリッジ・ストーリー』
ホアキン・フェニックス『ジョーカー』
ジョナサン・プライス『2人のローマ教皇』

主演女優賞:
シンシア・エリヴォ(『ハリエット』)
スカーレット・ヨハンソン(『マリッジ・ストーリー』)
シアーシャ・ローナン(『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』)
シャーリーズ・セロン(『スキャンダル』)
レニー・ゼルウィガー(『ジュディ 虹の彼方に』)

助演男優賞:
トム・ハンクス『A Beautiful Day in the Neighborhood(原題)』
アル・パチーノ『アイリッシュマン』
ジョー・ペシ『アイリッシュマン』
ブラッド・ピット『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
アンソニー・ホプキンス『2人のローマ教皇』

助演女優賞:
キャシー・ベイツ(『リチャード・ジュエル』)
ローラ・ダーン(『マリッジ・ストーリー』)
スカーレット・ヨハンソン(『ジョジョ・ラビット』)
フローレンス・ピュー(『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』)
マーゴット・ロビー(『スキャンダル』)

脚本賞:
『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』(ライアン・ジョンソン)
『マリッジ・ストーリー』(ノア・バームバック)
『1917 命をかけた伝令』(サム・メンデス、クリスティ・ウィルソン=ケアンズ)
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(クエンティン・タランティーノ)
『パラサイト 半地下の家族』(ポン・ジュノ、ハン・ジンウォン)

脚色賞:
『アイリッシュマン』
『ジョジョ・ラビット』
『ジョーカー』
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
『2人のローマ教皇』

撮影賞:
ロジャー・ディーキンス『1917 命をかけた伝令』
ロドリゴ・プリエト『アイリッシュマン』
ロバート・リチャードソン『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
ローレンス・シャー『ジョーカー』
ジャリン・ブラシュケ『The Lighthouse(原題)』

編集賞:
『フォードvsフェラーリ』
『アイリッシュマン』
『ジョジョ・ラビット』
『ジョーカー』
『パラサイト 半地下の家族』

美術賞:
デニス・ガスナー『1917 命をかけた伝令』
ボブ・ショウ『アイリッシュマン』
バーバラ・リン『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
イ・ハジュン『パラサイト 半地下の家族』
ラ・ヴィンセント『ジョジョ・ラビット』

衣装デザイン賞:
マーク・ブリッジス『ジョーカー』
ジャクリーヌ・デュラン『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
アリアンヌ・フィリップス『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
メイズ・C・ルベオ『ジョジョ・ラビット』
サンディ・パウエル&クリストファー・ピーターソン『アイリッシュマン』

メイクアップ&ヘアスタイリング賞:
『ジョーカー』
『スキャンダル』
『ジュディ 虹の彼方に』
『マレフィセント2』
『1917 命をかけた伝令』

視覚効果賞:
『アベンジャーズ エンドゲーム』
『アイリッシュマン』
『ライオン・キング』
『1917 命をかけた伝令』
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』

録音賞:
『1917 命をかけた伝令』
『フォードvsフェラーリ』
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
『ジョーカー』
『アド・アストラ』

作曲賞:
ヒドゥル・グドナドッティル『ジョーカー』
アレクサンドル・デスプラ『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
ランディ・ニューマン『マリッジ・ストーリー』
トーマス・ニューマン『1917 命をかけた伝令』
ジョン・ウィリアムズ『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』

主題歌賞:
“I Can’t Let You Throw Yourself Away”(トイ・ストーリー4)
“I’m Gonna Love Me Again”(ロケットマン)
“I’m Standing With You”(Breakthrough)
“Into the Unknown”(アナと雪の女王2)
“Stand Up”(ハリエット)

長編アニメーション賞:
『トイ・ストーリー4』
『ミッシング・リンク』
『失くした体』
『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』
『クロース』

短編アニメーション賞:
『Dcera (Daughter)(原題)』
『Hair Love(原題)』
『Kitbull(原題)』
『Memorable(原題)』
『Sister(原題)』

国際長編映画賞:(「外国語映画賞」が改称)
『レ・ミゼラブル』(フランス)
『Honeyland(原題)』(北マケドニア)
『Corpus Christi(原題)』(ポーランド)
『パラサイト 半地下の家族』(韓国)
『Pain and Glory(原題)』(スペイン)

長編ドキュメンタリー賞:
『アメリカン・ファクトリー』
『The Cave(原題)』
『ブラジル -消えゆく民主主義-』
『娘は戦場で生まれた』
『Honeyland(原題)』

短編ドキュメンタリー賞:
『In the Absence(原題)』
『Learning to Skateboard in a Warzone (If You’re a Girl)(原題)』
『眠りに生きる子供たち』
『St. Louis Superman(原題)』
『Walk Run Cha-Cha(原題)』

短編実写映画賞:
『Brotherhood(原題)』
『Nefta Football Club(原題)』
『The Neighbors’ Window(原題)』
『Saria(原題)』
『A Sister(原題)』


 作品賞では大本命が『アイリッシュマン』、対抗馬が『ワンハリ』、大穴で韓国映画から初のノミネートとなった『パラサイト 半地下の家族』というのが僕の予想です。ネットフリックス配信映画の『アイリッシュマン』に反発する声が『ワンハリ』『パラサイト』に集まるかどうかでアカデミー会員の票がどう動くかが見もの。

 監督賞もスコセッシとタランティーノの対決でスコセッシの映画人生の総決算が勝つか、タランティーノが初の監督賞(脚本賞の受賞経験アリ)に輝くか目が離せない。『ジョーカー』のトッド・フィリップス監督は下馬評では落選の声があったけどノミネートまで持ってきたので意外な結果があるかも?

 主演男優賞はホアキン・フェニックスか、『マリッジ・ストーリー』のアダム・ドライバーが有力。僕の一押しはアダム・ドライバーです。『マリッジ~』の悲しくもマヌケな旦那役(ナイフを使った冗談遊びで腕を切ってしまって貧血で倒れるシーンは最高です)は傑作で、ちゃんと演技できる人なんだなって思った。カイロ・レン役はなんだったんだ?

 主演女優はセロンとゼルヴィガーが有力らしいですが、二本ともまだ見てないからわからない。助演男優は『アイリッシュマン』のジョー・ペシとアル・パチーノの対決にブラピとアンソニー・ホプキンスがどう絡むか、激アツ部門。助演女優賞は『リチャード・ジュエル』で息子の無実を信じる母親役を好演したキャシー・ベイツか、『マリッジ・ストーリー』でやり手の弁護士を演じたローラ・ダーンの対決。
 他の部門では長編ドキュメンタリーは『ブラジル 消えゆく民主主義』が本命。作曲賞はジョン・ウィリアムスが功労賞的に獲得するかな。国際長編映画は文句なしに『パラサイト 半地下の家族』で決まり。


 今年も司会のいない第92回アカデミー賞、ネットフリックス系作品が一部の頑固者の意見を蹴散らして受賞するか、タランティーノとポン・ジュノが栄冠なるか?決戦は2月9日(現地時間)!!

  


Posted by 縛りやトーマス at 00:11Comments(0)映画ネットフリックス

2020年01月12日

てめえら、揚げてやる!『エクストリーム・ジョブ』



 実績ゼロで解散の危機を迎えた麻薬捜査班の男女5名は最後の大逆転に賭けてドラッグディーラーの取引現場を押さえようとアジトの前にあるフライドチキン屋に張り込む。が、その店が閉店の危機に!

「この店、買い取ります!」

 昼はチキン屋、夜は張り込み捜査の2重生活を強いられた上にそのチキン屋がまさかの大ヒット!営業が忙しすぎて尾行に失敗するという本末転倒に陥る捜査班。彼らはチキンを揚げる前に犯人を挙げることはできるのか?

 という韓国映画『エクストリーム・ジョブ』は2019年の韓国映画史上No.1の大ヒットのみならず歴代トップの興行収入を記録した。韓国の歴代興行収入、観客動員に並ぶのは『国際市場で逢いましょう』のような歴史ドラマか、『神と共に』のようなアクションなので『エクストリーム・ジョブ』のようなコメディがランク入りするのは珍しい。肩肘張らずに観られる作品というのも大きかったろうが、テーマがいい。韓国ではフライドチキンは60年代半ばの「漢江の奇跡」と呼ばれる日韓基本条約で得た無償提供資金によって為しえた経済復興に誕生したファーストフード商売で、国民食のひとつになるほどの人気商売だ。そこに警察が捜査のための副業として店を開いているというアイデアは笑えてしまう。

 実績ゼロで上司から解散を宣告される麻薬捜査班。そのリーダーであるコ班長(リュ・スンリョン)は傷だらけで現場から帰ってくる通称「ゾンビ班長」と呼ばれるベテランだが後輩の方が先に出世してしまう万年班長どまり。ラストチャンスに賭けて大物ドラッグディーラー、イ・ムベを捕らえようと彼のアジト前で24時間の張り込み態勢に入る。目と鼻の先にあるさびれたフライドチキン店に居座るが、店主から人気がないので店を人に売るといわれ、コ班長は退職金を前借して店を買い取ることに。買った以上営業しないといけないということで捜査班のトラブルメーカー、マ刑事(チン・ソンギュ)を厨房担当に。なんと彼は“絶対味覚”を持つ男だった!「俺にこんな才能があったなんて!」
 捜査班一の切れ者で紅一点のチャン刑事(イ・ハニ)をホールマネージャーに、情熱だけは人一倍の若手刑事ジェフン(コンミョン)を厨房補佐、「俺は尾行専門だから」という寡黙なヨンホ刑事(イ・ドンフィ)は店の外でアジトを監視する役目にしてフライドチキン屋を営業しつつアジトの監視をする24時間体制に突入。

 ところがこのフライドチキン屋がまさかの大繁盛。マ刑事の「カルビ漬けチキン」は「今までにない味だ」と絶賛されて連日行列ができてしまうほどのヒットに。コ班長らは店を切り盛りするのに大忙しで、外でアジトを見張っているヨンホ刑事から「アジトに動きが!尾行するので応援をお願いします」という無線にも出られない。ひとりで飛び出したヨンホ刑事が二手に分かれた車の尾行に失敗してトボトボ帰ってくると「この忙しいのに手伝いもしないで何をしていたんだ」と店長・・・いや班長に怒られる始末。

「分かれた車のどちらを追うか、究極の選択を迫られた俺の気持ちがわかりますか?」

 と愚痴るヨンホだが

「俺はずっと厨房で鶏と格闘していた俺の気持ちがわかるのか!」

 とマ刑事が吐き捨てれば

「私はホールマネージャーとして一日で78組の客をさばいたわ」

 とチャン刑事、

「毎日玉ねぎ80キロ、ニンニク500個の皮を剥く僕の大変さがわかりますか?」

 さらにジェフンからも反論されてしまう。俺たちは犯人を挙げるのが目的で、フライドチキンを揚げるのが仕事じゃない!しかし一日の売り上げ234万ウォンをたたき出すこのサイドビジネスは警察をやっているより儲かる。いっそチキン屋に鞍替えしようか・・・と弱気になるコ班長。だがその時アジトからフライドチキンの出前注文が。ついにこの瞬間が訪れた。捜査班は出前を装って突入する準備を整える。

 これは意外な才能があることを見出した者たちが副業に邁進しつつも、最後には正義の警察官としてあふれんばかりの才能の持ち主であったことに気づかされる(その才能を発揮できる機会がなかっただけなのだ)クライマックスの大アクションも最高で、先が見えない人生であってもその場その場で真面目に取り組む姿勢が胸を打つという感動的な物語だ。コメディというメインディッシュの中にこっそりとスパイスのように忍ばせた、最高に美味い作品。

  


Posted by 縛りやトーマス at 13:50Comments(0)映画食べ物

2020年01月10日

ドラマ版で刀の錆にしてやるぜ

 噂のドラマ実写版『ゆるキャン△』が放送開始。

【木ドラ25】ゆるキャン△|テレビ東京
https://www.tv-tokyo.co.jp/yurucamp/


 
 実写版と聞けば穏やかではいられない性分なので、ゆるキャン△ならぬ「だるキャン▲」だったりしたらどうしよう・・・と期待値を下げつつ見たのですが、想像よりも良かったですね!

 第一話では原作初回の『ふじさんとカレーめん』をベースにリン(福原遥)となでしこ(大原優乃)がキャンプ場で出会うまで・・・のお話。
 自転車で坂を駆け上がってきて、疲れ果てたなでしこがトイレのそばでずっと寝ていたり、スマホと間違えてトランプを持ってくるなどといった漫画アニメでは気にも留めない痛い娘の描写は実写になるとどうしても目立っちゃいますね!しかしリンからカップヌードルカレー味(日清が協力してるのか、「カレーめん」ではなく本物が登場)をンマそーに食べるところで癒された。

 第一話ではとにかく主人公ふたり、リン役の福原、なでしこ役の大原が死ねるぐらいカワイイ。特に最高なのが福原で原作に沿った役作りの中に枯れ木が勢いよく割れたのにびびって「おどかすんじゃないよ!」とひとりごちたり、
薪を割るときに「刀の錆にしてやるぜ!」とホラー顔になったりするところが・・・可愛すぎて・・・もう死ねる


刀の錆にしてやるぜ

 なでしこ姉役の柳ゆり菜も超絶美人で原作に引けを取らないし、実写特有のモヤモヤ感を圧倒的美少女キャストの可愛らしさで1000%に高めてしまった傑作ではないのでしょうか。来週もキャンプめしだ!

  


Posted by 縛りやトーマス at 21:05Comments(0)漫画テレビ食べ物