2019年10月27日

2019年11月告知

11月の予定です


11月3日(日)
『アイドル十戒放浪記 其の七』
場所:アワーズルーム
開場:18:30
料金:1500円(ドリンク別)
出演:竹内義和 しばりやトーマス

アイドルさえいなければ苦しまなかった人たちの慟哭。ゴキ帝YouTubeチャンネル登録数は果たして5万を超えるのか!!
※今月は日曜日開催となります


11月5日(火)
『旧シネマパラダイス』
場所:なんば紅鶴
開演:20:00
料金:1000 (1drink&1food付き)
司会:しばりやトーマス

昔の深夜番組みたいな映画企画。今回はリメイク作が絶賛公開中、ロシアの伝説的戦車映画『鬼戦車T-34』(1965)。デカいジョッキのビールが美味い!



11月16日(土)
『僕の宗教へようこそ一二三教義~地下ニュースグランプリ2019後半戦』
場所:なんば白鯨
開場:18:30
料金:1,000円(1drink別)
出演:しばりやトーマス アシスタント・トモ

毎年恒例の地下ニュースグランプリ、今年後半の話題を前夜祭的に紹介。これを見て来月にそなえよう!


11月21日(木)
『キネマサロン肥後橋』
場所:アワーズルーム
開場:19:00
開演:19:30
料金:500円(1drink別)
出演:しばりやトーマス

カルトについて語る若人の会。今回は勝新太郎VS三船敏郎、時代劇スター頂上決戦の『座頭市と用心棒』!



11月23日(土)
『桂ぽんぽ娘の京都ピンク花月~第六夜~』
場所:よしもと祇園花月
開場:18:30
開演:19:00
料金:全席指定2000円
ローソンチケットで発売中
https://00m.in/R1Gvw
出演:桂ぽんぽ娘 スマイル 瀬戸 マルセイユ 紅しょうが 瀧川鯉白 しばりやトーマス




11月26日(火)
『スーパーヒーロートーク』
場所:なんば紅鶴
開場19:45
開演20:00
料金:1,500円(1drink込)
出演 :にしね・ザ・タイガー ソエジマ隊員 花鳥風月 緒形 しばりやトーマス

スーパーヒーローにこだわってるやつらのスーパートーク。今月もイベント報告でいっぱい!  


Posted by 縛りやトーマス at 11:37Comments(0)僕の宗教へようこそ旧シネマパラダイス

2019年09月27日

1セントの損もしなかった倹約映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』



 ハリウッド映画にその名を遺す(いろんな意味で)映画プロデューサー、ロジャー・コーマン。彼は徹底した倹約主義で500本近い映画をつくり、1セントの損もしなかったという。多くの作品はごみ同然に扱われ消え去ったが、カルト的な人気を誇って今も振り替えられる(いろんな意味で)作品が『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』だ。
 59年に5万ドル、撮影日数5日間で撮った悪趣味ホラー『血のバケツ』なる作品があるのだが、コーマンはそのセットと役者を使いまわして『リトル~』を作ってしまう。こちらは3万ドル、2日間でだ。『リトル~』はその後ミュージカル化して、86年にはリメイクされてしまうのである。
 しかし60年の公開当時にはかろうじて製作費をペイできた、程度のヒットだったので大ヒットをもくろんでいたコーマンは不満タラタラだったという。セットと役者を使いまわして、2日で撮った映画で贅沢いうなや。しかし、そのあたりがドケチで500本の映画で1セントの損もしなかった、コーマンたる所以であろう。

 さて、映画は気弱な花屋の店員シーモア(ジョナサン・ヘイズ)は金のことしか頭にない店長のマシュニク(メル・ウェルズ)にこき使われ続ける日々。マシュニクの娘オードリー(ジャッキー・ジョゼフ、出演後はコーマンの元でこき使われていたジョー・ダンテ監督の『グレムリン』シリーズなどで活躍す)に惚れているが、口には出せない。
 店の売り上げが芳しくないため首になりそうになるシーモアは、こっそり育てている珍しい植物、オードリージュニアをもってきて店に飾れば人気が出るかも・・・というが、すぐに萎れてしまう。水をやっても、肥料をやっても大きくならない。困り果てるシーモア。しかし偶然自分の血が触れたオードリージュニアが元気になるのを見て、肥料は人間の血だと気づく。
 どんどん成長して巨大になっていく奇妙な植物見たさに花屋は客でごった返す。大喜びのマシュニク。一方シーモアは貧血気味でヘトヘトになるが、マスコミの取材を受けたりするのでオードリージュニアを育てるのをやめるわけにいかない。とはいえこれ以上自分の血をあげるのは限界、さあどうすんべとなったシーモアはいろいろあって人を殺してしまう。死体の処分に困った彼は「メシが食いてぇ!メシをよこせ!」とわめくオードリージュニアの口の中に死体を放り込んでしまう。こうして気弱な青年は植物を生かすために餌として人間を食わせなくてはならなくなるのであった・・・

 出てくる人間はみんなイカレており、強烈なラスト・シーンも含めてブラックの極致のような作品だ。前述したとおり、本作は82年にミュージカル化して今も再演が続く作品となり、86年にはヨーダの声でおなじみフランク・オズの手によりリメイク。こちらは皮肉の効いたブラックなオチがハッピーエンドに作り替えられた上(あんな無茶苦茶しておいて、ハッピーエンドになるというのもどうかしてると思うけど)、イカれた人間ばかりのブラックジョークが薄められていたのが残念。あのラストがよかったのに
 しかしサディストの歯科医のところにマゾヒストの患者がやってくる爆笑場面をスティーブ・マーティンとビル・マーレイが愉快に演じていて、そこは最高。オリジナルの患者役を若き日のジャック・ニコルソンが演じていたのですが、彼に負けてなかったね。

 リメイクはミュージカル版の映画化で、予算もオリジナルの千倍の3000万ドルをかけて作られた。リメイクをコーマン自身は気に入っていないという。オリジナルのブラックさが薄められたからか?と思ったら

「金をかけすぎ。収益率が悪くなるだけだ」

 って、さすが倹約家コーマン。彼は映画作りにおいて収益率を何よりも気にしており、多くの低予算映画製作者が少しヒット作を作ると、こぞってビッグバジェットの大作を手掛けて製作費を回収できず自滅していく中、かたくなに大予算の映画をつくろうとしなかった。それこそ彼が何十年もの間ハリウッドで大物プロデューサーとして君臨し続けた理由なのだ。死体を植物に食わせて一石二鳥、という本作のストーリー展開にコーマンらしさが現れている。『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』、間違いなくコーマンの代表作である。

  


Posted by 縛りやトーマス at 00:27Comments(0)映画旧シネマパラダイス

2019年09月24日

2019年10月予定

10月予定

10月3日(木)
『旧シネマパラダイス』
場所:なんば紅鶴
開演:20:00
料金:1000 (1drink&1food付き)
司会:しばりやトーマス

昔懐かしい深夜の映画番組みたいな企画。うちもたまにはマジメな映画やらなくちゃ!今回は公民権運動家3人が殺害された実話をモチーフにしたアラン・パーカーの『ミシシッピー・バーニング』。




10月12日(土)
『アイドル十戒放浪記 其の六』
場所:アワーズルーム
開場:18:30
料金:1500円(ドリンク別)

出演:竹内義和 しばりやトーマス

アイドルがいたがために苦しむことになった人の魂の慟哭。今回も海外のカワイイ女の子の動画とめざめゴキ帝チャンネル5万人登録への道!


10月21日(月)
『スーパーヒーロートーク@紅鶴 』
場所:なんば紅鶴
開場19:45
開演20:00
料金:1,500円(1drink込)
出演 :にしね・ザ・タイガー ソエジマ隊員 花鳥風月 緒形 しばりやトーマス

いよいよひらパーのヒーローショーが再開するぞ!あとみさき公園のショーも忘れないで!


10月26日(土)
10月26日(土)
『僕の宗教へようこそ一二二教義~だいすき!アニメ』
場所:なんば白鯨
開場:18:30
料金:1,000円(1drink別)
出演:しばりやトーマス アシスタント・トモ
2019夏アニメ&秋アニメ大特集。劇場アニメもちょっとだけやるよ。シャミ子が悪いんだよ・・・


10月30日(水)
『キネマサロン肥後橋』
場所:アワーズルーム
開場:19:00
開演:19:30
料金:500円(1drink別)
出演:しばりやトーマス

カルト邦画を語る若人の会。今月は長澤まさみ10代の時の傑作青春映画、『ロボコン』。10代のまさみタンは最高だ!



  


Posted by 縛りやトーマス at 01:52Comments(0)旧シネマパラダイス

2019年08月25日

このキャバクラ・・・高そうだな『月のキャットウーマン』



 月ってうさぎいないんだね~とはアニメ『女子高生の無駄づかい』の主題歌ですが、2019年にもなって月にうさぎがいると思っている人はいませんが、代わりに・・・キャットウーマンはいるかもしれない!というのがこの映画『月のキャット・ウーマン』(1953)です。
 プロデューサーはあのZ級SF映画『ロボット・モンスター』、B級怪獣映画『昆虫怪獣の逆襲』でおなじみ、アル・ジンバリスト。その時点でお察しです。

 人類初の月探査ロケットが発射。乗り込むのは5人の宇宙飛行士。隊長のレアード(ソニー・タフツ)はマニュアル通りの堅物で、まるでリーダーシップがなく、月に到着後も周囲に行動方針を決められてしまい、「リーダーは私だ!」と騒ぐのが仕事というダメ隊長。副長のキップ(ヴィクター・ジョリー)はレアードとは長年のコンビで、航海士のヘレン(マリー・ウィンザー)はレアードとは恋人だが、それを科学的関係と言ってるのがおかしい。だがキップも密かにヘレンに熱い視線を送っており、どうでもいいことですが、この三角関係がのちに波乱を起こすことに。残りは通信士のダグ(ウィリアム・フィリップス)と整備員のウォルト(ダグラス・フォウリー)だが、この二人はさらにどうでもいいので割愛。

 月を目指す流線形ロケットの宇宙船月ロケット4はどっかの小会議室程度の広さしかないセットで、事務机と事務椅子、キャンプ地にあるようなリクライニングに腰ベルトをして寝るという、ひっくり返っても宇宙船には見えないつくりで、低予算にも程がある。
 地球との通信中にスーパーで売ってる打ち上げ花火みたいな音を立てて飛んでくる隕石と衝突。そのショックで原子炉(!)が暴走。副長キップが対放射能スーツ(レインコートにヘルメット)を着込んで船室真下の原子炉(そんなところにつくるなよ)に突入。扉を開けた瞬間、白煙がもうもうと上がって船室を満たします。ああ・・・死んじゃうよ・・・それじゃあ・・・船員は・・・みんな放射能に汚染されて死んじゃうよ・・・



 原子炉の暴走を家庭用消火器(!)を使って無事止める。どういうことだよ・・・命がけで帰ってきたキップはヘレン相手にここぞとばかりにアピール。ヘレンもまんざらではない様子で、ヘレンの風見鶏っぷりが三角関係を加速させる。


 月に到着し、着陸地点を探そうとするレアードにヘレンは裏側への着陸を要求。裏側には完璧な着陸地点があるという。

「なぜかはわからないけど確信があるのよ」
(それ確信って言わないよ!)

 誰も来たことがない月の着陸地点に詳しいヘレンに疑問を持つも、恋人のいうことにゃ逆らえないと、レアードはスケベ心を隠しもせずにヘレンに言われるがまま月の裏側へ。隕石がぶつかった個所を先に修理しようとするレアードに「いや、先に探検よ!」と彼女の特権を乱用して我を押し通すヘレン。恋人のいうことにゃ(以下略)

 書割の月の風景に感動しながら、奥行きのないセットを左に進む。月の世界は左右しかありません

 ヘレンが指さす先に古代文明の遺跡都市、そこへ続く洞窟を見つける一行。たどり着くと「文明がある以上酸素もあるはず」となにが「はず」なのかまるでわからないことを言ってヘレンがマッチの火をつける。

「ほら!燃えたわ!酸素があるのよ」
「本当だ。よし暑苦しい宇宙服は脱いじゃおう」

 とほいほい作業着になる5人。そんな不用心な連中を宇宙の巨大蜘蛛が襲う!ちなみに吊り糸が丸見えです。ピストルで蜘蛛をサクッと片付けるも謎の黒い影が一行を襲う!それは月の裏側に住む月星人、キャットウーマンだった・・・ちなみに南夕子はいませんでした。

 キャットウーマンのひとりはヘレンの右手のひらに丸い印をつけると去ってゆく。危険なので装備を整えてからまた来ようというレアードに「いくじなしね!このまま先へ進むわよ!」と強引に進んでしまうヘレン。恋人のいうことにゃ(以下略)

 洞窟の奥には宮殿のような場所があり、キャットウーマンらの襲撃を受けるが多勢に無勢か、反撃した地球人らがキャットウーマンのひとりを捕らえるが、なんと目の前で消えてしまった!テレポーテーション!?超能力をも操る宇宙人キャットウーマン!

 やがてキャットウーマンらはヘレンの案内で姿を現し、迷惑のお返しにと宮殿内の部屋でキャットウーマンらの歓待を受けることになる一行。
 ダグとウォルトにはそれぞれキャットウーマンがひとりついて「おいしい食べ物とお酒をどうぞ」とマンツーマンのサービス!これ、キャバクラやんけ。月のキャバクラ、「キャット♡ウーマン」か・・・高そうだな・・・高度何十万マイルだもんな・・・男がいない月の世界では「男なんて何十万年ぶりよ!」と地球人の男たちはモッテモテ。ダグにウォルトも鼻の下を伸ばしまくり、レアードもデレデレして売り上げトップの嬢、じゃなかったキャットウーマンらのリーダー、アルファ(キャロル・ブリュースター)に宇宙船の操縦法を教えそうになります。

 そう、キャットウーマンらの目的は滅びが迫っている月の世界を捨て、地球に行き、占領してしまうことだったのです!しかし移動手段を持たないキャットウーマンたちはたまたま地球からやってきたロケットを見て、ヘレンの精神を操ってロケットの操縦法を聞き出そうとします。都市の外には酸素がないためレアードたちの宇宙服を横取りする計画も同時に立てるのでした。

 まったく、とんでもないキャバクラです。うっかりしてるとみぐるみ剥がされるところだった!月のキャバクラはぼったくりだったのです!
 其の野望を阻止するのはひとりキャバクラの女たちを冷めた目で見ていたキップ。ひょっとして、過去にそういった店で嫌な思い出があるのでしょうか。

「女にうつつを抜かしてる場合か!しっかりしろ!地球に帰らなきゃいけないんだぞ!」

 こんなお店で道徳めいたことを抜かしたところで、周囲から浮くのはそいつです。「ひとりだけ相手がいないからって負け惜しみ言わなくても・・・」とヘレンに痛いところを突かれたキップは「教育的指導だ!」とヘレンを折檻。たまたまヘレンの手に記された丸い印の力を抑え込んだことで洗脳が解け、キャットウーマンらの恐ろしい野望を知ることに。

 その時にはダグとウォルトは骨抜きにされてしまい、レアードも再び操られたヘレンにロケットの操縦法をペラペラしゃべった後。なすすべなしか!?

 しかしここで意外な展開に。ダグについていた嬢、じゃなかったキャットウーマンのラムダ(スーザン・モロー)は純粋にダグのことを思うあまり、地球侵略計画を彼に打ち明けるのです。このぼったくりキャバクラにもまだ純粋な嬢がいたんだ!

 方やウォルトの方は「もうあんたには用はないよ!」とナイフでやられてしまったのだけど。風俗店で相手に気を許し過ぎてはいけません。
 再度洗脳されているヘレンはレアードに色目を使い、キップの前で二人の関係を見せびらかすという行為に!キップが強引に右手の印を抑えて洗脳を解くと

「言え!愛しているのはどっちなんだ!」
「それは・・・あなたよ!」

 目の前で熱烈なキスを見せられたレアードは逆上して殴り合いに。月の裏側で痴話喧嘩してる場合じゃない!
 ダグたちに盗んだ宇宙服を返したラムダはアルファらに平和的に地球へ移住しようと言い出しますが、新人嬢のいうことになど耳を貸す必要もないとトップ嬢のアルファはロケットの強奪に向かうが、

「私の念だってすごいのよ!」

 と超能力対決を挑む!・・・が、時間がないからとアルファは容赦なくシャンパンでラムダを撲殺。その後、画面からフェイドアウトしたキャットウーマンらはレアードらによって射殺(銃撃の音が響いて「よしやったぞ」でおしまい!)され、彼らは無事月ロケット4で地球への帰路についたのであった・・・宇宙船内ではレアードがお互い独り身になったもの同士だからな、と

「地球にもっといい女がいるさ・・・」

 ダグを慰めるのだった・・・染みるわぁ~


 当初はクライマックスにそれはそれはすごいアクションシーンが想定されていたそうですが、予算の都合で実現しなかったそうです・・・予算があったところで、そのクライマックスまでの出来がアレなもんで・・・予算が尽きてよかったのかもしれない。

 このスットコドッコイなSF描写にはセンス・オブ・ワンダーの欠片もなく、今に至るまで最低SF映画としてその名を刻んできました。この5年後にはリメイク作の『月へのミサイル』が作られており、一体なぜリメイクした!最低にいくら最低をかけても最高にはならないんですよ!

 もうひとつこの映画には「なぜ」なポイントがあって、音楽がエルマー・バーンスタインなんですよ!『十戒』『荒野の七人』『大脱走』の巨匠バーンスタインが若い時に手掛けた仕事なんです。そう聞くとこの映画も急に高尚な感じがしてきますね・・・ってねえよ!一切高尚にはならねえよ!この後『ロボット・モンスター』の音楽もやってるし、さらに『フライングハイ』『サボテン・ブラザーズ』もやってるしね。


  


Posted by 縛りやトーマス at 15:30Comments(0)映画旧シネマパラダイス

2019年08月07日

狂った男が世界を救う!『地球の危機』



 ついこの間まで涼しかったのに、今や本格的な夏が到来。暑くて暑くてくたばりそうですよ。あまりの暑さに焼け死にそうとか言ってますが、本当に焼け死ぬほど地球の温度が上昇したらどうする?

 60年代に『原子力潜水艦シービュー号』『宇宙家族ロビンソン』などのTV番組をヒットさせ、『ポセイドンアドベンチャー』『タワーリング・インフェルノ』といったパニック映画で一時代を築いたアーウィン・アレンが制作・原案・脚本・監督を手掛けた潜水艦映画が『地球の危機』(61)だ。

 地球を取り巻くヴァン・アレン帯の異常で、地球の温度は急上昇。南極の氷山も解け始めてしまう。この地球の危機に挑むのは南極で進水式をおこなったばかりの原子力潜水艦シービュー号を発明したおさわがせ男・ハリマン・ネルソン提督だけだ!ネルソン提督を演じるのは58年にSF映画の金字塔、『禁断の惑星』に主演したウォルター・ピジョン。世界に名の知れた天才科学者だが、「お騒がせ男」などと言われる通り、独断的で頑固な男である。シービュー号の若き艦長、リー・クレイン(ロバート・スターリング)は生真面目な常識人であるが故に独断的なネルソンとは意見があわなくなり、対立する。

 南極で燃える空を見たネルソン提督らはこのままでは地球が燃え尽きてしまうと知り、対策を練る。さすがは天才だけあってただちに対策を立て、ニューヨークの国連本部に殴りこむ。
 世界中の科学者を前にネルソンはただちに行動を起こし、ヴァン・アレン帯にポラリスミサイル(潜水艦発射弾道ミサイル)を撃ち込めばヴァン・アレン帯は限度以上の温度に達して砕け散る。ただし、熱量を越えすぎると地球ごと爆発する恐れがあるため、完全に計算した角度でミサイルを打ち上げる必要がある。そのためには16日以内に目標のマリアナ諸島にたどり着かねばならない。
 下手すれば地球ごと心中することになる作戦に、自然に火が消えるのを待つという消極論を唱える物理学の権威、ズッコ博士は猛反対。他人の意見になど惑わされないネルソンは「時間の無駄だ!」とさっさと国会を後にし、港まで追いすがってきた国連の人間を放り出して潜航する。シービュー号の乗組員たちも何がなにやらわからぬまま提督の命令どおり出港。この時点でネルソンの行動は大統領の承認を得ていないので、完全な独断なのだ。「そんなの、あとで取ればいい!」と即断即決の男ネルソンは大統領の意見すら必要としていない!一応は許可を取ろうとするのだが、結局連絡は取れず、「やるしかない」とシービュー号は突き進む。

 この強引すぎるネルソンのやり口に、艦内では次第に賛同派、反発派と割れていく。賛同するのはサメに人間のいうことを聞かせようとしている科学者のエメリー准将(ピーター・ローレ)、艦長の婚約者でネルソンの秘書キャシー(バーバラ・イーデン)、小型潜水艇の搭乗員ジミー(マーク・スレイド)、彼は提督に反発する同僚と喧嘩を始めるぐらい心酔しているのだが・・・その3人ぐらいで、他は次第にネルソンへの不満を募らせてゆく。
 特に艦長のクレインは南極で氷山を観測していたアルヴァレス(マイケル・アンサラ)を救出したあと、彼がうわごとで仲間のことを口にしたのに、「間に合わなくなる」という理由で仲間を救出しようとしなかったり、潜水艦の外の世界がどうなっているのか、状況を知りたがっている乗員のためにラジオの音声をつないだら、あまりに絶望的な話ばかり聞かされるので「士気が落ちる」と音声を切ってしまったりするネルソンに詰め寄ろうとする。それを婚約者のキャシーがなだめようとするものだから、ますます意固地になるのだった。

 さらに助けてやったアルヴァレスが「人類滅亡は神の思し召しだから、余計なことはせずに死を受け入れよう」などと乗組員相手にお諭しはじめたり、スーザン医師(ジョーン・フォンティン)がネルソンを「被害妄想の気がある」と言い出すわ、さらに機雷源を取り除こうと小型潜水艇に乗り込んだジミーがあっさり爆死、おまけに艦内では絶望して自殺する者やテロを起こしてネルソンに逆らうやつまで出てくる。
 ここに至ってもネルソンは自身の計画を微塵も疑わず、断固ミサイル発射を曲げない。提督に反発して艦を下りたがる人間が出てくると「下手に残ってテロを起こされたらたまらん」と半数以上の人間を下ろしてしまう。

 自分に絶対の自信を持つ男、ネルソンは最終的に自分が残っていれば計画は実行できると思っているのだろう。不動の決意を固め、追手の潜水艦との死闘も乗り越えたネルソンのシービュー号は目的地にたどり着く。しかしテロを実行した裏切り者たちによって寸前でミサイル発射を邪魔される。残り時間はあとわずか。このまま地球は滅亡してしまうのか!?

 もちろん滅亡は阻止されるのですが、ネルソンを助けるのがあんなに反発していたクレイン艦長だというのが男泣きのポイントですね。

 アーウィン・アレンとその後『宇宙家族ロビンソン』などで組むことになるSFXマン、L・B・アボットによる潜水艦、海中の特撮は素晴らしく、巨大イカ、巨大タコとの死闘を見るだけでも一件の価値アリ。追手の潜水艦との手に汗握るバトルも「ただ逃げるだけ」のシーンの前にクレインがネルソンを拘束しようとする展開を挟んでいるため危機また危機と、別種の緊張感が持続するよう仕掛けてあり、アレンの巧みな演出が伺い知れる。

 僕はこのネルソンという登場人物が結構好きで、本作のポイントはピジョン演じるネルソンが世界を救う英雄といった位置づけではなく、独断的な男が好き勝手にやっちゃったら、たまたま良い結果になっただけという感じが良い。
 最後には生真面目な常識人に過ぎないクレインが正反対の狂人一歩手前のネルソンに魅入られてしまったようにも見えるわけです。これが誰にも好かれる、感情移入できるいかにもな英雄が世界を救った、という話じゃないところが、本作のたまらない魅力なわけです。

 この後アレンは個人の献身的な犠牲とご都合主義だけが滅亡から世界を救うという『ポセイドン・アドベンチャー』『タワーリングインフェルノ』とか撮るようになって、伝説の大失敗映画『世界崩壊の序曲』で本当に崩壊したのだった・・・

  


Posted by 縛りやトーマス at 23:13Comments(0)映画旧シネマパラダイス

2019年07月01日

2019年7月告知

7月の予定

7/1(月)
『旧シネマパラダイス』
会場:なんば紅鶴
開場:19:30
開演:20:00
料金:1,000円(1drink&1food込)

今月はSFXの巨匠、ダグラス・トランブル監督作『サイレント・ランニング』。緑を守れ!


7/2(火)
『令和初!友達以上オタク未満公開収録!』

会場:なんば紅鶴
開演:20:00
料金:1000円 (1drink別、フード付)
出演:花鳥風月・緒形
林人生

令和ゲスト

紆余曲折あってこのようなこじらせ方をしたオタクたちによるPodcast
「友達以上オタク未満」の公開収録!


7/7(土)
『深大阪地獄絵図~おおさかオモシロマップ』
場所:なんば紅鶴
開演:20:00 料金:1000円(1drink別)
出演 :射導送水 B・カシワギ 縛りやトーマス


7/13(土)
『アイドル十戒放浪記 其の三』

場所:アワーズルーム
開場:18:30
料金:1500円(ドリンク別)

出演:竹内義和 しばりやトーマス

アイドルさえいなければ悩まなかった人たちの慟哭。有安杏果写真展、ももクロライブ回想、地下アイドルグループのひどい裁判話。


7/18(木)
『スーパーヒーロートーク@紅鶴 』
場所:なんば紅鶴
開場19:45
開演20:00
料金:1,500円(1drink込)
出演 :にしね・ザ・タイガー ソエジマ隊員 花鳥風月 緒形 縛りやトーマス


7/27(土)
『僕の宗教へようこそ一一九教義~地下ニュースグランプリ2019前半』
場所:なんば白鯨
開場:18:30
開演:19:00
料金:1,000円(1drink別)
出演:縛りやトーマス アシスタント・トモ

令和時代もどうしようもないニュースを追い続けます!どうしようもない前半戦


7/31(水)
『キネマサロン肥後橋』
場所:アワーズルーム
開場:19:00
開演:19:30
料金:500円(1drink別)
出演:縛りやトーマス

肥後橋でカルト映画について語り合う若人の会。今月から真夏のど・カルト編スタート。第一回は大槻ケンヂ原作、オーケンのファンもひっくり返った、世紀末の純愛ゾンビ映画、『ステーシー』!



  


Posted by 縛りやトーマス at 08:43Comments(0)旧シネマパラダイス

2019年02月01日

2019年2月告知

2月予定

2/9(土)
『アイドル十戒 肥後橋死闘編 其の八』
場所:アワーズルーム
開場:18:30
開演:19:00
料金:1,500円(1drink別)
出演:竹内義和 縛りやトーマス

アイドルがいるから苦しむことになった人たちの慟哭。祝!有安杏果復活祭

2/12(火)
『旧シネマパラダイス』
会場:なんば紅鶴
開場:19:30
開演:20:00
料金:1,000円(1drink&1food込)
映画面白コメンテーター:縛りやトーマス

今月はダメ映画にツッコミ入れながら楽しむ米Syfyの番組を劇場上映した『ミステリー・サイエンス・シアター3000~宇宙水爆戦の巻~』


2/16(土)
『僕の宗教へようこそ一一四教義~土曜ロードショー第二十二幕』
場所:なんば白鯨
開場:18:30
開演:19:00
料金:1,000円(1drink別)
出演:縛りやトーマス アシスタント・トモ
ゲスト:花鳥風月・緒形

2018年映画ベスト&トホホ、緒形さんと映画刀剣乱舞トークだ

2/18(月)
『スーパーヒーロートーク@紅鶴 』
場所:なんば紅鶴
開場19:45
開演20:00
料金:1,000円(1drink別)
出演 :にしね・ザ・タイガー ソエジマ隊員 花鳥風月 緒形 縛りやトーマス

2/21(木)
『キネマサロン肥後橋』
場所:アワーズルーム
開場:19:00
開演:19:30
料金:500円(1drink別)
出演:縛りやトーマス
カルト映画を語る若人の会。今回は変身人間シリーズ第一弾『美女と液体人間』。人間が溶けるぞ!最後は燃えるぞ!

2/23(土)
クラブハリウッドワイルドワイルドウエスト
場所:なんば紅鶴
open/start 23:00
¥1800-(1drin込)  


Posted by 縛りやトーマス at 14:43Comments(0)僕の宗教へようこそ旧シネマパラダイス

2018年12月28日

史上最低映画とはこれだ『魔の巣』

 史上最高の映画は何?というのは映画ファンにとって永遠の命題だ。でも好きなものの頂点はそんなに悩まないだろう。僕なら『タクシードライバー』、『博士の異常な愛情』か。邦画なら『恐怖奇形人間』、『ゆきゆきて、神軍』ってところかな。あ、『太陽を盗んだ男』もいいなあ…って全然決められてないやろ。

 では史上最低の映画は?

 以前『死霊の盆踊り』を見たときは退屈のあまり死にたくなった。男女が墓場に迷い込んで女のストリップを見せ続けさせられるという脈略もへったくれもない物語は史上最低にふさわしい。“史上最低の映画監督”として名の知られたエド・ウッドの作品群でもマシな方の『プラン9・フロム・アウタースペース』も確かにひどい。これは「最低映画とはなにか?」を教えてくれる教科書だ。夜の場面が切り返しで突然昼になったり、車が右から走って左に消えていくシーンが何度も使いまわされ、墓場で死体役のおじさんがただ寝てるだけなので、死体役にも演技指導、演出が必要だということを初めて知ったり、「愚か者め!バーカ!バーカ!」という常軌を逸したセリフ…最低映画に必要なものと最低映画にしないためのものはすべて入っていた。『吸盤男オクトマン』は肝心のモンスター、オクトマンの造形がしょぼすぎて腰が砕ける。タコが二足歩行で歩くようにしてあるので、着ぐるみの長い脚は半分にまで手が届かず、そこから先がしおれて垂れ下がってる(笑)。動きもスローモーなので全力で走ったら逃げられるし。バスの中で待ち伏せてるのもどうやって入ったんだ…『ロボット・モンスター』はゴリラの着ぐるみにヘルメットかぶせたやつを侵略宇宙人の手先のモンスターと言い張ってた。こいつも動きが遅い。

 とまあ、最低映画にも候補作がいっぱいあるんだけど、飛び切りの最低映画として君臨しているのが『魔の巣(MANOS: THE HANDS OF FATE)』(1966)。



 アメリカのクソSF映画やゴミ怪獣映画を専門で紹介する番組『ミステリー・サイエンス・シアター3000』で「これに比べたら『プラン9・フロム・アウタースペース』が『市民ケーン』に見える!」とまで言われた最低の中の最低、チャンピオンだ。世界中の映画が集まるデータベース、IMDbの投票で10点満点中評価1.5で何十年もの間ワースト1に君臨していた。

 監督は肥料のセールスマンやってたハロルド・P・ウォーレン。彼は制作・脚本まで手がけたのでほとんど彼の自主映画である。
 冒頭、娘のデビーを連れたマイクとマーガレットの夫婦がドライブ中道に迷って延々と田舎道を走っていくところでもうダメ(笑)退屈すぎて死にそう。夫婦が子供と歌を歌うんだけど、これ、『ダーティーハリー』でスコルピオがバスジャックしたときの「漕げ漕げ漕げよ~ボート漕げよ~ランランランラン~川下り~」の歌だ。歌わないとお前たちのママはみんな殺してやるからな!こんな歌ではじまるなんて、不穏な感じがしますね。

オープンカーでいちゃついているカップルの真横を駆け抜けていくと、「この先には何もないのに」なんていわれます。このカップルは昼間堂々と外でいちゃついているので、通りすがりの警官に「よそでやれ」と追い払われる。
 家族の車はやがて一軒の家に。とりあえずこの家に泊めてもらおうとするのですが、門番をしている足の悪い男、トーゴは「ご主人様のゆるしがなきゃ泊められない」しかしマーガレット(ダイアン・マーリー、この人がゴミ映画にふさわしくない美女で映画唯一の見どころ)を嘗め回すように見て、「でもご主人様はあんたを気に入るよ」

 家には青白い顔をした男の肖像画があり、「この人がご主人様かい?挨拶したいんだが」とたずねるとトーゴは「ご主人様はこの世を遠く離れた」「でもいつも一緒なんだ」と意味不明なことをいうので家族は不安に。やがて夜になり、連れてきた飼い犬が何者かにかみ殺され、止めていた車は動かなくなる。子供がいつの間にかいなくなる…というか、お父さんお母さんが部屋でしゃべっているときにその後ろを無言で移動して、次の瞬間に「あの子がいないわ!」今後ろを通ったやろ!デビーは別の部屋に入ったのに見つけたときはなぜか外にいて(位置関係がまるでわからない)、肖像画に描かれたデカい犬を連れていた。デビーは飼い犬がいなくなったので代わりにデカい犬の方を連れてきた、というのもよくわからん。飼い犬は小型犬なんだけど…女の子は「たくさんの人がいる場所に犬がいた」と。たくさんの人?この家にはトーゴ以外にも人がいるのか?

 怖くなった夫婦は逃げ出そうとするも車は動かない。田舎で撮影しているせいか、カメラの前を蛾や虫が飛び交うのだが、一切カットしない!外に飛び出した夫はトーゴに殴られてものすご~い時間をかけて、後ろ手にされて木に括られる。部屋に鍵をかけてまってろ、すぐにここを出発するから、と言われた奥さんはなぜか服を脱いでシュミーズ一枚で寝る用意を始める。

 そのころ、家のどこかにある薄暗い部屋では眠りについていたご主人様が目覚める。一方、オープンカーのカップルは夜なのにまだいちゃついていて、警官に「またお前らか」(笑)カップルは「俺たちよりほかのやつを取り締まれよ。砂漠にいったやつとか」とへたくそな伏線を張りにくる。
 ご主人様はマノスという邪教の神(マノスはスペイン語で手の意味)をよみがえらせようとしているようで、「時は来た!」と眠っていた妻たちも目覚めさせる。この妻たちは家族3人をどうするかで喧々諤々に。

妻A「男のいけにえは構わないわ。でも子供は…」
妻B「女だけでいいわ。他はみな死ねばいい」「全員よ。正直女もいらないわ」
妻C「子供は女よ。あの子は死なせてはだめよ。女になるのよ」
妻D「死ぬべきよ」

 ご主人様はずっとこのやりとりでポツンと座った状態で聞いてるのだけど、立ち上がって「もういい!こんな戯言はたくさんだ!」ってこっちのセリフだよ!この妻たちのやりとり、何の意味があるのかさっぱりわからない。ご主人様は「そんなことをいうならお前はもう終わりだ」と宣言するも「やれるものならやってみればいいわ」とまるで相手にされてない(笑)ご主人様は偉いのか、偉くないのかどっちなんだ。

 この後妻たちは家族をどうするかを巡って争いに。砂場で突然はじまるキャットファイト!馬乗りになってペチペチ顔をひっぱたいたり、つかみ合いをする(じゃれあってるようにしか見えない)。これじゃまるで『死霊の盆踊り』だ!このキャットファイトシーンも延々と続くのでもう限界。
 トーゴはいけにえに捧げられることに。僕はてっきり妻たちの誰かがいけにえにされると思った。トーゴみたいな汚いおっさん、マノスだっていらないと思うよ。さてトーゴはいけにえに捧げられ、片手をもぎ取られる。手の神様だからね。こんなことをしている間にマイクは拘束を解いてマーガレットとデビーを迎えにいき、とりあえず家から逃げ出すことに…するのですが、マーガレットが何もない砂場で何度も転んで(へったくそに)もう歩けないと、なのでさっきの家に戻ろうという判断はわけがわからない。そして待ち換えていたご主人様にピストルをぶっ放すという唐突すぎる展開のあと、オチになるのですが…あまりにもあんまりなオチなんで、あきれ果てた。あと、いちゃついていたカップルがまた出てきたときは爆笑しました。一晩中やってるんかい!

 このご主人様と妻たちは何がしたかったんだ。マノスって一体何??

 言い忘れてましたが、マイク役は監督のハロルド・P・ウォーレンその人です。



 漫画『シネマこんぷっれくす!』でも語られてましたが、間延びしたテンポ、ヘッタクソな編集、安っぽい音楽、役者の雑な演技といい、すべてがZ級のシロモノ…たった68分しかないのに、見終わったら脱力感で2時間ぐらいは経った気分になって疲労困憊。
 エンドロールでThe end?とか出てくるのもこざかしい。どうせ続編なんてないんでしょ!




 …と思ってたらなんと、2018年になって続編の『Manos Returns』が公開されていた!しかもオリジナルキャストのご主人様役、トム・ネイマンにデビー役のジャッキー・ネイマン・ジョーンズも出演してる!(デビー役の人がご主人様役の娘というのも、はじめて知った)残念ながらハロルド・P・ウォーレンはすでに亡くなっているので監督は別の人なんですが、なぜやろうと思った?ファンなの?
 謎が謎を呼ぶ『魔の巣』、続編ぜひ日本で公開してくれないかなあ。

  


Posted by 縛りやトーマス at 02:52Comments(0)映画旧シネマパラダイストンデモ映画

2018年12月03日

犬がトニカクカワイイ『ドーベルマン・ギャング』

 銀行強盗映画…口にするだけで血沸き肉躍るではないか(?)。バスジャック映画、カーチェイス映画なんかにも同様の効果がありますね。アメリカでは未だに銀行強盗映画-こういうのは通ぶっていうと、ヘイスト(強盗)映画っていうらしいですよ-はたまに作られてますが、日本ではとんと見かけられなくなった。『暴走パニック 大激突』とか『月光仮面』とか昔はあったのに。銀行強盗自体が日本ではほとんど起きないからなあ。たまに包丁一本で「金を出せ!」とかいう間抜けな奴がすぐ逮捕されたりするぐらいですか。やはり日本では銃が手に入れにくいので、銀行強盗もやりにくいからだろうか。

 今回ご紹介するのは銀行強盗の本場、アメリカが1973年に公開した『ドーベルマン・ギャング』だ。



 なんと恐ろしいタイトル!平松伸二も真っ青な狂犬のごときギャングたちが銀行を次々襲う様が目に浮かぶ…のだが、これはタイトル通り、犬のドーベルマンが銀行を襲う映画なのだった…

 エディ、サミー、ジョジョの3人組は「完璧な銀行強盗計画」を立て、実行に移すが逃げる際、銀行前に止めた自分たちの車とそっくりな他人の車のトランクに金を放り込んでしまって大失敗!(どこが完璧な計画なんだ)
 これに懲りないエディは計画を見直す。なんとしても一山当てて遊んで暮らすんだ!そもそも人間のやることに完全などありえない、優秀なロボットにでもやらせればいいのだ…と一山当てることしか考えてないボンクラならではの発想に至るがロボットがどこで手に入れられるかわからない。途方に暮れるエディだが、中古車販売店に忍び込んだチンピラたちがドーベルマンに追い返されて捕まる様子を目にして、これだ!と。

「ドーベルマンを調教して、銀行強盗をやらせればいいんだ!」

 なるほど、大抵の人間はドーベルマンに吠えられたら恐れおののくし、仮にしくじっても銀行に自分たちはいないのだから逮捕されることもない。ドーベルマンは自供もしない!か…完璧だ!!
 画してエディたちは前代未聞のドーベルマンによる完全犯罪を目論む。軍用犬の調教をしているトレーナーのバーニーを騙して雇い入れる。「ジャーマン・シェパードしかやったことない、ドーベルマンの調教なんかしたことないよ」と渋るバーニーだが、何とか言いくるめて山中に小屋をつくって6頭の犬を連れてくる。
 6頭の犬にデリンジャー、ボニー、クライド、ベビーフェイス・ネルソン、プリティ・ボーイ・フロイド、マ・バーカーとアメリカ史上に名を遺す伝説のギャングたちの名前をつけてるところがちょっと洒落てる。「まとめて買ったからおまけがついてきた」とブルドッグが一匹。そいつにはジョン・エドガー・フーヴァーと初代FBI長官の名前をつけた。いかにも何かありそうなネーミングだが、深い意味はないので気にしなくてもよい。

 こうしてドーベルマンたちの調教が始まるのだが、これがなんとも牧歌的というか…カントリー音楽に合わせてドーベルマンが走ったり、柵を飛び越えたり、柵の下をくぐったり、相手に噛みついたり、待てと言われたりする様子がモンタージュで延々と続く。見ているうちに「ドーベルマン、カワイイな~」と感じてくる。「ペットフードはドギーマン」のCMを思い出した。

 連中の目的が銀行強盗だと気づいたバーニーとひと悶着ありながらも、最終的に計画に乗ることに。ただし作戦には重要な問題があった。ドーベルマンに複雑な命令はさせられない。当初の計画では入り口をふさぐ役、銀行の警備員を威嚇する役、行員に「金をバッグに詰めろ」と書いた手紙を渡す役などが細かく指定されていたが、近くに居て犬たちに指示を出さなきゃ無理だ。とはいえ銀行に自分たちが入ったら何の意味もない。完璧な計画はおじゃんか?だがバーニーが一頭ごとに指定した犬笛を聞かせて命令を聞かせる、というアイデアでこれを乗り切ることに。犬にバッグを背負わせて、金を詰めたらアジトまでの帰り道に土を巻いておき、その匂いを辿らせて猛ダッシュで帰らせればいい。か…完璧だ!!

 あとは実行あるのみだが、エディの愛人ジューンが「あんたたちのメシをつくって、犬の世話までしてる私になんの分け前もくれないってわけ?」と不満を漏らしだす。「娼婦にやる金なんかねえ!」と平手打ちしてその場を収めたが(収まるわけない)、バーニーが彼女を気遣いだす。意味深な場面なので、「二人がデキて、最後にはエディたちを裏切るんだな」といった伏線のように思えるが、そんなことはまったくなかった

 決行日。直前になってバーニーが「犬たちに悪いことはさせられない」と逃亡。仕方なくバーニーのそばで調教を見守っていたジューンが代わりに犬笛を吹いて命令を出す。無事強盗は成功し、アジトで大金を待つエディたち。金を取ろうとしたエディたちに犬たちが吠え、噛みつく!遠くでジューンが犬笛を吹いてエディたちを襲わせたのだ。あっという間にかみ殺されるエディたち。銀行で行員や客を威嚇している最中でもどことなくカワイイな~という描写が続くので、クライマックスで突然凶悪なシーンになって心底驚いた
 観客を痛快に裏切ってくれる展開に膝を打とうとしたのだが、犬たちはジューンすらも裏切っていずこへと走り去るのであった…

 最後にカントリーが爽やかに流れて「これで映画はおしまいだよ~」とあんまりな歌詞で苦笑い。音楽担当が『バック・トゥ・ザ・フューチャー』などのロバート・ゼメキス作品や近年では『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』や『レディ・プレーヤー1』などで知られるアラン・シルヴェストリの映画デビュー作というのもすごいが、主題歌を本人が歌ってるというのも!


 狙って作られたのか、意図せずそうなってしまったのかがわからない映画で見ているこっちは最後まで困惑しっぱなし。一部好事家の間では評価されていたようで、シリーズ化してパート3まで作られてる。監督のバイロン・ロス・チャドナウは本作と続編の『ドーベルマン・ギャング2』以外はまったく知られておらず、後にウィル・スミス主演で映画化された『0088/ワイルド・ウエスト』や『俺がハマーだ!』などテレビドラマの世界で活躍したのだから、きっと狙って作られたと思われる。
『フレンチ・コネクション』『ダーティーハリー』『エクソシスト』といった殺伐とした作品が多かった70年代だったとしても異質な作風で、タイトルの凶悪さに比べてもほのぼのとして、とにかくドーベルマンが可愛くて憎めない。忘れがたい魅力のある映画だ。犬に優しくしよう。

  


Posted by 縛りやトーマス at 15:42Comments(0)映画旧シネマパラダイス

2018年08月03日

2018年8月予定

8月予定

8月9日(木)
『旧シネマパラダイス』
会場:なんば紅鶴
開場:19:30
開演:20:00
料金:1,000円(1drink&1food込)
映画面白コメンテーター:縛りやトーマス

深夜のテレビでまったく知らない映画だけど最後まで観てしまった…そんな感じの集会です。今月はフランク・キャプラ監督の『群衆』(41)です。民衆の勝利を信じずにいられない。


8月11日(土)
『アイドル十戒 肥後橋死闘編 其の二』
場所:アワーズルーム
開場:18:30
開演:19:00
料金:1,500円(1drink別)
出演:竹内義和 縛りやトーマス

アイドルなんて好きにならなければよかった!という最新アイドル事情考現学。大丸梅田のももクロ10周年記念展レポ他。わしらうまいもん食ってよ、マブいスケ抱くために生まれて来とるんじゃないの。それも銭がなけりゃ何も出来やせんので!


8月21日(火)
『スーパーヒーロートーク@紅鶴 』
場所:なんば紅鶴
開場19:45
開演20:00
料金:1,500円(1drink込)
出演 :にしね・ザ・タイガー ソエジマ隊員 花鳥風月 緒形 縛りやトーマス 茅野みずほ

特撮大好き芸人たちがライダーや戦隊、劇場版、おもちゃ、ヒーローショー、純烈、カリスバーなどにいって熱く語る集会!
※このイベントは予約なしで当日入場できます



8月25日(土)
『僕の宗教へようこそ第一〇八教義~土曜ロードショー第二〇幕』
場所:なんば白鯨
開場:18:30
開演:19:00
料金:1,500円(1drink込)
出演:縛りやトーマス アシスタント・トモ

ABCラジオで映画面白コメンテイターとして活躍してる男が語る夏映画!『カメラを止めるな!』からアニメキミスイまで!


8月30日(木)
『キネマサロン肥後橋』
場所:アワーズルーム
開場:19:00
開演:19:30
料金:500円(1drink別)
出演:縛りやトーマス

3か月間限定の映画イベント。真夏の肥後橋に夜な夜な集まり、カルトな映画について語り合う奴らが居た…
今回は石井輝男、丹波哲郎のタッグで贈る『ポルノ時代劇 忘八武士道』。生きるも地獄、死ぬも地獄!

  


Posted by 縛りやトーマス at 08:21Comments(0)僕の宗教へようこそ旧シネマパラダイス