2017年10月30日

2017年11月告知

11月予定

11月2日(木)
『旧シネマパラダイス』
会場:なんば紅鶴
開場:19:30
開演:20:00
料金:1,000円(1drink&1food込)
コメンテーター:縛りやトーマス

今月はコーマン製作の“名状しがたい”ホラー『ダンウィッチの怪』
\いぐないーぱ/
\ケジマ/
\ヤダモーン/



11月11日(土)
『アイドル十戒~新たなる挑戦 其の三』
場所:アワーズルーム
開演:19:00
料金:1,500円(1drink別)
出演:竹内義和 縛りやトーマス

来月に迫ったももいろクリスマス準備会


11月18日(土)
『僕の宗教へようこそ第九十九教義~地下ニュースグランプリ特選』
場所:なんば白鶴
開場:18:30
開演:19:00
料金:1,500円(1drink込)
出演:縛りやトーマス アシスタント・トモ

年末恒例の地下ニュースグランプリの前に色々振り返る回


11月20日(月)
『スーパーヒーロートーク@紅鶴 』
場所:なんば紅鶴
開場19:45
開演20:00
料金:1,500円(1drink込)
出演 :にしね・ザ・タイガー ソエジマ隊員 花鳥風月 緒形 縛りやトーマス 茅野みずほ

8:30からになっても僕らはニチアサキッズ  


Posted by 縛りやトーマス at 19:45Comments(0)僕の宗教へようこそ旧シネマパラダイス

2017年04月23日

2017年5月告知

5月予定


5/5(金)
『深大阪地獄絵図~おおさかオモシロマップ』
場所:なんば紅鶴
開演:20:00 料金:1,500円(1drink込)
出演 :射導送水 B・カシワギ 縛りやトーマス


5/8(月)
『旧シネマパラダイス』
会場:なんば紅鶴
開場:19:30
開演:20:00
料金:1,000円(1drink&1food込)
コメンテーター:縛りやトーマス

 『ローガン』公開記念、アラン・ラッド主演の西部劇『シェーン』を紹介。帰ってこいよ!




5/13(土)
『僕の宗教へようこそ第九十三教義~土曜ロードショー第十五幕』
場所:なんば白鶴
開場:18:30
開演:19:00
料金:1,500円(1drink込)
出演:縛りやトーマス アシスタント・トモ


5/20(土)
『帰ってきたアイドル十戒 七戒目』
場所:アワーズルーム
開演:19:00
料金:1,500円(1drink別)
出演:竹内義和 縛りやトーマス


5/23(火)
『スーパーヒーロートーク(仮) 』
場所:なんば紅鶴
開場19:45
開演20:00
料金:1,500円(1drink込)
出演 :にしね・ザ・タイガー ソエジマ隊員 花鳥風月 緒形 縛りやトーマス 茅野みずほ


5/27(土)
『アニつるvol.19』
場所:なんば紅鶴
開演:16:00  


Posted by 縛りやトーマス at 06:05Comments(0)僕の宗教へようこそ旧シネマパラダイス

2017年03月28日

2017年4月予定

4月予定


4/8(土)
『帰ってきたアイドル十戒 六戒目』
場所:アワーズルーム
開演:19:00
料金:1,500円(1drink別)
出演:竹内義和 縛りやトーマス

妄想アイドル話とスキャンダル解説。


4/11(火)
『旧シネマパラダイス』
会場:なんば紅鶴
開場:19:30
開演:20:00
料金:1,000円(1drink&1food込)
コメンテーター:縛りやトーマス

『キング・コング 髑髏島の巨神』公開記念、ハリーハウゼンの実質デビュー作『猿人ジョー・ヤング』。渾身のストップモーションアニメを見よ!


4/16(日)
『超スーパーヒーロートーク 』
場所:松竹角座劇場
開場18:30
開演19:00
料金:前売り1,000円 当日1,500円
出演 :にしね・ザ・タイガー ソエジマ隊員 花鳥風月 緒形 縛りやトーマス 茅野みずほ
ゲスト:浪速伝説トライオー

なんば紅鶴の人気特撮ヒーロートークライブ、『スーパーヒーロートーク』が松竹角座劇場に参上。パワーアップした演出&アトラクション形式でみなさんをお待ちしております。ゲストは大阪のローカルヒーロー、浪速伝説トライオー!角座劇場で僕達と握手!

前売り券は↓
http://www.kadoza.jp/dotonbori/schedule/sp/2017/04/evpost_1279.php


4/22(土)
『僕の宗教へようこそ第九十二教義~まんがタイム白鯨』
場所:なんば白鶴
開場:18:30
開演:19:00
料金:1,500円(1drink込)
出演:縛りやトーマス アシスタント・トモ

今読むべき漫画の話。老害・柳沢きみおを許さない  


Posted by 縛りやトーマス at 01:58Comments(0)僕の宗教へようこそ旧シネマパラダイス

2016年12月07日

この時代遅れが!『リメインズ 美しき勇者たち』

 『バーナード嬢曰く。』の3巻でド嬢が北海道で起きた羆による日本で最大の被害を産んだ獣害事件、三毛別羆事件をテーマにした小説『羆嵐』を読んで珍しく興奮する場面がある(ド嬢はそもそも本を最後まで読まない)。三毛別羆事件は小説だけではなく映画にもなっている。それが松竹映画、ジャパンアクションクラブ創立20周年記念映画『リメインズ 美しき勇者たち』だ。




 大正末期の北国。夜中に一件の民家が熊に襲われる。夫は頭をえぐられ、妻は首筋を噛まれそのまま持ち去られる。翌朝、惨劇に気づいた村人が雪の積もった地面に残る血の跡を追っていくと、ゴリゴリと熊が人体を食らう音が聞こえてくる。離れたところから熊に食われている妻の腕がビクンビクンと跳ね回る。このあたりの描写、90年代の作品にしては激しすぎる。


熊に食われる奥さんの片腕

 仇を討たんと猟銃をぶっ放す村人たちだが、距離が遠すぎて当たらない。荒れて村人に襲いかからんとする熊を威嚇射撃で蹴散らすのは熊を追ってやってきたマタギの集団だ。ベテランの嘉助(菅原文太)、嘉助に可愛がられている鋭治(真田広之)、一番若いサブ(黒崎輝)、次郎(真矢武、『重甲ビーファイター』の傭兵ドラゴ)、伍平(栗原敏、『宇宙刑事シャリバン』のガイラー将軍)の5人。嘉助は凶暴な羆の赤マダラによる凶行だと見抜く。

「あいつはおなごしか食わねえ。これまでさ、12人がやられてる。そのうち5人は食われてる。その5人はおなごだ。おらの村でもおなごが1人やられた。それからずーっとあいつさ追っかけてここまで来ちまったんだ」

 マタギたちはこの一件は自分たちに任せるよういい含め、赤マダラの後を追う。深く雪の積もった山の斜面を駆け上がり、尻から滑り降りるマタギたち。冬の山道をものともしないJACの面々である。
 川の中に入って足跡を消したり、後ろ足で逆さに戻ったり(頭のいい熊だな)と上手く赤マダラに逃げられてしまったマタギたちは一旦村に戻ることに。帰りの道中で野生の熊に出会った彼等は一匹だけでも狩ろうと周囲をぐるりと囲んで追い詰める。鋭治が銃口を向けた時、一匹のハスキー犬が飛びかかり、集団とは別のマタギが熊をしとめる。そのマタギは鋭治の村の幼馴染のユキ(『巨獣特捜ジャスピオン』のキューティークイーン、村松美香)だった。ユキは1年前に両親と弟を赤マダラに殺され、母親を食われた。仇を討つために女人禁制とされた山に入り、女マタギとなって愛犬のメルとともに山に消えて以来の再会であった。仇討ちはやめて村に帰れと鋭治の言うことも聞かず再び山中へと消えるユキ。「この強情っぱりが」と呆れ果てる鋭治。

 数日後、嘉助らの村に警察署長(田中浩)らを連れた県会議員(長門裕之)がやってくる。雉狩りに出かけた際に、女マタギに狩りを邪魔された上、怪我を負わされたという。嘉助たちはユキの事だと察するが知らない振りをしようとする。業を煮やした警察たちは家を荒らすが次郎の抵抗にあう。

「マタギか…この時代遅れめ!!いつまでもこんなところでくすぶっておらんで、銅山の人足にでも雇ってもらえ!」

 と嫌事をまくし立てる長門裕之!こういう嫌味な役がよく似合う。作品の時代背景は北海道に開拓民たちが入っていた頃だから自然とともに生きるマタギを時代遅れと見る向きもあったのだ。

 赤マダラを追って嘉助たちは祭に湧く村に入る。よろず屋の蟹江敬三に動物の毛皮と米や味噌を交換しにもらいにきたのだ。蟹江は若い嫁のヤエ(高部知子)をもらって有頂天。しかし村に赤マダラが現れて高部知子を咥えて走り去る!ちなみに高部知子、この映画の前後に結婚して芸能界を一度引退している。文字通りスクリーンから消える高部知子、と書くとなんかカッコイイ。食われてるけど

熊に食い去られる高部知子。多分ダブルだと思うけど

 (映画の冒頭で)獣害に遭った村に戻ると村民たちは大人の男を残して避難を始めていた。村人は山狩りをして食われた妻の遺体の一部を取り返し、墓に埋めたのだが、赤マダラは墓を掘り起こして遺体を食らっていた。村にもうおなごがいないとわかれば熊は他の村に行ってしまう。もはや一刻の猶予もならぬと嘉助たちマタギは5人がバラバラに散って赤マダラを待ち伏せする作戦に出る。熊に出会う確率は高くなるが一対一で対峙しなければならないため、深手を追うどころか命を落とす可能性も高くなる。嘉助は彼らに命令する立場だが、この場は命令せん、やりたい者だけでやるという。若いサブは

「おらは1人で熊と向き合ったことがねえ。死んだじっちゃがよく言ってただ。熊狩りは恐ろしい命がけの勝負だども、誰の力も借りねえで切り抜けた時、はじめて一人前の男になることができると…おら、一人前の男になりてえ」

と。次郎、伍平が続き、鋭治も決意する。
 画して五人はバラバラに待ち伏せをする。サブたちは空き家に潜み、嘉助は赤マダラが食い散らかした墓穴にこもって熊を待つ。鋭治はおなごの着物をありったけ集めて空き家に飾り付け、自身も女物の着物を羽織る…ってそれ女装の一歩手前じゃないですか…さすが真田広之、この状況で己の趣味を明らかにするとは…

 一騎打ちを確信する鋭治。だがそこに現れたのはユキだった。
「おなごの着物で赤マダラおびき出す、おらと同じこと考えてたみてえだなや」
 ユキを追い返そうとする鋭治だが、本物のおなごの方が罠にはよほどいいと、ユキは着物を脱いで下に決意のアマゾネスビキニを見せびらかす!何着てんだよ!!大正時代だよ!!

どこで見つけてきたんだそのビキニ

 ユキの決意のほどもあり、赤マダラはおびき寄せられる。最後の戦いがはじまった!もちろん二人の活躍によって赤マダラは討ち取られ、北海道に平和が戻ったのである。えっ、「墓に潜んだ嘉助や待ち伏せしているサブたちはどうなったの」って?彼らはこの最終決戦、出番がないのだ。菅原文太はずーっとあの墓の中で待ってるだけ。初めから離れた場所で1人だけで待ち伏せするという計画なのはわかるけど、普通は菅原文太だけでもこの場に何事かを察して駆けつけ、雄々しく戦って死んでゆく、ぐらいの演出があるものなのに…このラストシーンはちょっとだけ拍子抜け。
 東映メタルヒーローシリーズでおなじみの金田治によるアクションは凄まじいし、熊が人間を咥えたまま引きずっていったりするシーンの残酷さ、迫力といったらないが、ところどころで所詮はきぐるみだよなあ…と思わせられるのだ。製作は1990年、『ジュラシック・パーク』の製作が始まったころでCG全盛期になる以前とはいえ、もう少し頑張ってくれ!しかし従来のきぐるみ特撮の良さも見受けられ、作中で時代遅れと罵られたマタギが決死の活躍を見せる展開には「きぐるみはまだまだいけるんじゃい!」という日本特撮の熱い心意気を感じられるし、何より極寒の大地を踏みしめ、熊狩りの旅を続けるJACメンバーのアクション、まさに美しき勇者(つわもの)たちではないか!

 千葉真一が初の監督作品としてメガホンを取っている。千葉が盟友の深作欣二に打診したそうだが、「JAC20周年なら自分で演出したらどうか」と言われたそうだ。深作監督は晩年、新井英樹の漫画『ザ・ワールド・イズ・マイン』を映画化しようとシナハンまでしたが亡くなったことで企画は立ち消え。『リメインズ~』は『ザ・ワールド・イズ・マイン』のエピソードゼロだったのかも知れない。


  


Posted by 縛りやトーマス at 19:42Comments(0)映画特撮・ヒーロー旧シネマパラダイス

2016年11月06日

コロッサスがたくらむ大破壊『地球爆破作戦』



 冷戦真っ只中のアメリカ、コロラドロッキー山脈の地下にある巨大コンピューター・コロッサスが起動する(真っ暗闇の中、電源スイッチが入れられ照明が時間差で点灯していく場面、ゾクゾクする)。開発者にしてこのプロジェクトの責任者であるフォービン博士(エリック・ブレーデン)は満面の笑みで軍上層部に迎えられる。コロッサスは冷戦の切り札、国防システムの要として開発され、敵国から発射されたミサイルを軍事衛星からの攻撃で破壊する。それをコンピューターに管理させ、さらにコロッサスは必要な情報を自動で収集、分析して進化を続けていくというAIなのだ。

「これでソ連に先んじたぞ!」

 大統領(ゴードン・ピンセント)らは大喜びで全世界に向けてコロッサスを発表する。しかしコロッサスは「同様のシステムが存在するので確認せよ」とメッセージを発する。直後、ソビエトも同様のコンピューター・ガーディアンが存在すると発表。コロッサスはガーディアンと接続するように要求。フォービンはガーディアンの能力を把握するために接続の許可を大統領に願う。フォービンらがコロッサスと「対話」する手段はキーボードでメッセージを打ち込むと司令室の天井にある立方体のモニタ4面にコロッサスのメッセージが表示されるという、ただのディスプレイにメッセージが出て来るのとは違う、凝った演出が見もの。
 接続されたコロッサスとガーディアンは「対話」を始め双方の情報を交換、独自のコミュニケーション方を確立するに至る。その対話をモニタしていたフォービンらは自分たちが追えないスピードで情報の交換を続けるようになったことを恐れ、回線を切断する。切断された回線を検索しようとするコロッサスは核ミサイルをソ連に発射、ガーディアンもミサイルをアメリカに向けて発射する。双方の迎撃システムは作動せず、再接続しなければ互いの国は滅んでしまう!あわててフォービンらは再接続し、すんでのところでソ連のミサイルは撃墜できたが、アメリカの核はソ連を直撃する…

 フォービンら開発チームは同様の事態がまた起きるのを避けるため、核ミサイルの無力化を図る。ガーディアン開発者のクプリン(アレックス・ロダイン)と密会するフォービンだが、現場でクプリンはソ連側のエージェントに殺されてしまう。コロッサスとガーディアンは「クプリンは不要」と判断したためだ。コロッサスは常時フォービンをモニタリングするカメラとマイクを要求。ミサイル無力化計画を進めながらフォービンは同僚のクレオ・マーカム(スーザン・クラーク)を「恋人」としてコロッサスに認識させる。人間にはプライベートが必要であると。週に数回、恋人とベッドで愛し合う時間は監視しないという約束を取り付けたフォービンは彼女を他のスタッフとの連絡役にして反逆計画を練る。「恋人」なのでマーカム博士はベッドルームに必ず全裸で入らなきゃいけないっていうのが可笑しい。最初は恋人役を演じるだけだったはずが、二人ともまんざらではないので本当に関係を持ってしまう。それどころじゃないだろ!

 コンピューターによる人間社会の支配が進む中、対コロッサスの反逆計画は進行していくが、反逆計画は次々と見抜かれスタッフは処刑されていく。コロッサスは人類へのメッセージとしてすべてのミサイルを世界中の都市を目標にしたと発表。世界通信で人類はコンピューターの支配によって戦争も飢餓も無くなるのだ!尚、反逆は絶対に許さない!逆らえば死あるのみ!お前もお前もお前も死ぬのだ!!その証明としてミサイル無力化を実行しようとした部隊が核爆発で処刑されてしまう。きのこ雲に絶望するフォービンにコロッサスは告げる。「すべての人類同様、君もやがて私を崇拝し、愛するようになるのだ」


 D・F・ジョーンズ(この名前で検索してもマンチェスター・ユナイテッドのサッカー選手ばかり出てくるんだが)原作のSF小説を映画化した本作を監督したのはジョセフ・サージェント。ナポレオン・ソロの映画化や史上初の黒人大統領(演じるはダースベイダーの声でおなじみ、ジェームズ・アール・ジョーンズ!)が誕生するSF映画『ザ・マン 大統領の椅子』や地下鉄強盗モノ元祖(そんなものに元祖があるのか)『サブウェイ・パニック』などで知られるが、『ジョーズ’87 復讐編』で海の藻屑と消えたのであった。
 『地球の制止する日』(51)『禁断の惑星』(56)といった数本を除けばSF映画なんていうものはチャチでガキっぽい安物に過ぎなかったが、『2001年宇宙の旅』(68)以降、知的なSF映画というものが認識され、この映画は間違いなく影響を受けている。『ターミネーター』のスカイネットなんてまさしくコロッサスだもんな。「人類のためにつくられたが、反逆して人類の抹殺を目論むコンピューター」という設定は後の『大鉄人17』などにも影響を与えたと思われる。
 コンピューターに支配されることで諸問題は解決するが、代わりに自由を失う社会はユートピアだろうか、それともディストピアか?と疑問をつきつけて終わるラストは衝撃的で、中々答えを出せないと思われるが原作には続編があって、火星人が地球の酸素を奪おうとしてコロッサスと交渉する…という展開で、火星人て!知的興奮を与えてくれるSFだったのにそりゃねえよ、ということでやっぱりコンピューターによる支配はNO!


  


Posted by 縛りやトーマス at 03:15Comments(2)映画旧シネマパラダイス

2016年08月26日

反戦セッション『ジャズ大名』



 『シン・ゴジラ』の影響でにわかに岡本喜八監督の再評価が起きている昨今、レンタルDVDやアマゾンプライムなどで喜八映画に初めて触れようとする人たちがいるとのこと。まっすぐ『日本のいちばん長い日』や『独立愚連隊』を見るのはまだしも、『ブルークリスマス』なんか見ちゃった日には「なんだこりゃ」となるのは必死!なので僕としては『ジャズ大名』あたりからお勧めしたい。

 南北戦争が終了、黒人奴隷としてこき使われていたトロンボーン吹きのジョーは「俺は自由だ!」と歩いている途中で同じく解放された兄のサム、従兄弟のルイ、叔父のボブと再会する。彼等の台詞は英語に日本語の吹き替え(石川あたりの方言)が被さる形。
 4人は祖国アフリカへ帰ろうとする旅の途中でメキシコ人の商人アマンド(ミッキー・カーチス)に出会い、俺の知り合いの船にただで乗せてやるから代わりに音楽をやってくれと言われ、喜んでついていくが乗せられた船は日の沈む西側に進んでいた(アフリカは南)。彼等はだまされていたのだ。クラリネット吹きの叔父ボブが病で死んでしまい、嵐に遭ったのをこれ幸いとジョーたちは小舟に乗って逃げ出す。

 気がつけばジョーたちは駿河の国庵原藩に漂着。助けられた彼等は藩主・海郷亮勝(古谷一行)の城内に匿われる。幕末の最中、珍客の処遇に窮した家老の石出九郎左衛門(財津一郎)は江戸にお伺いを立てるもそれどころではない江戸は藩主に一任させる。亮勝は世情に疎く、そんなことより愛用の篳篥(縦笛)を吹いていたいという藩主なので黒人の持つ楽器や音楽に興味が湧き、なんとか会おうとするが家老は会わせようとしない。
 江戸に預けている亮勝の奥方が世継ぎを産んだとの知らせが参り、藩主らは喜びに沸くが亮勝の妹・松枝(岡本真実。彼女のはっちゃけ演技が見事)は「子供は十月十日で生まれるもの。一年がかりで生まれた子供の話など聞いたことがない」と一蹴。亮勝が江戸に詰めていた日数と合わず、奥方の不義密通が疑われる。監督不行届の責任を取って切腹しようとする九郎左衛門を亮勝は止め、代わりに黒人たちと引き合わせることに。
 亮勝は黒人らから叔父ボブの壊れて音が出ないクラリネット(笑)を渡される。鈴川(本田博太郎)の通訳で「この楽器には篳篥の葦舌(リード)のようなものがないのだ」と自分の篳篥から葦舌を外してクラリネットにつけると音が出た!亮勝は思いのままにクラリネットを吹き続ける。朝から晩まで!

 戊辰戦争が激化し、幕府に続く街道にある庵原藩は幕府軍、薩長軍の通り道になっているので両軍が通り道に使うのであるが、亮勝は「ここをただの道にするのだ。幕府も薩長も自由に通ってもらえ」と城内に通り道をつくるよう命令。九郎左衛門は殿の部屋も潰すのか聞いたところ亮勝は「無用。余にはこれさえあればよい」とクラリネットを振りかざす。

 あっという間に城内に通り道が出来、それを「東名高速の前身」「バイパス開通」といったギャグにしてしまうセンスにはひっくり返った。城内には三味線、琴、鼓、果てはそろばん、動物の骨といったものまで駆使したジャム・セッションが始まる。「あんなどんちゃか騒ぎを…」と言っていた九郎左衛門までもが山鹿流陣太鼓を繰り出してセッションに参加してしまう!
 その頃城の通り道では幕府軍と薩長が激しく斬り合いをしていた。それをよそにジャム・セッションは狂乱の度合いを増していく。愚かな殺し合いをあざ笑うように人種も身分も飛び越えたセッションの方が楽しそうに見えるという反骨のメッセージが軽快なジャズのリズムに乗って届いてくる。
 冒頭でくらいブルースをやろうとする叔父たちに「そんな悲しげな曲じゃねっしゃ。もっと跳びはねるような陽気な、陽気な」というジョー。ひたすら暗くて陰鬱な反戦映画が多い中、底抜けに明るいトーンで描かれる本作は岡本喜八の奇才ぶりが伺える。岡本喜八を知らない人が今見ても充分楽しめるぞ。イェーイ!!


  


Posted by 縛りやトーマス at 00:19Comments(0)映画音楽旧シネマパラダイス

2016年05月28日

6月予定

6月予定


6/1(水)
『旧シネマパラダイス』
場所:なんば紅鶴
開演:20:00
料金:1,000円 (1drink&1food付き)

今月は『原子力潜水艦シービュー号』の原案『地球の危機』!
地球を覆う灼熱のヴァン・アレン帯を核ミサイルでぶっ飛ばせ!ネルソン船長のシービュー号が行く!地球が地球が大ピンチ!





6月4日(土)
『特撮ヒーロー“塊”vsアニメヒーロー“塊” ~電子台史上最大!?の決戦~』
会場:CLUB COCHLEA(元・wktktheatre)
開場14:30 開演15:00 終演21:00
料金:2,000円(予約・当日とも。ワンドリンク代込)
※注※ 再入場時には、別途ワンドリンク代がかかります。

出演:万能竜巻 水無瀬紀柳 綺沙±0(安曇聖奈&ヒカリ) 蒼奇勇 SHOW-WA  しまらっきょう 古鉄まひろ 変幻妖姫アラクノフォアン&炎熱合金イデュー・アイン 縛りやトーマス 
ガイアメモリ未だに全部集められてないよ倶楽部
真田遼  かいけー@K-NORA


6/7(火)
『深大阪地獄絵図 おおさかオモシロマップ特別編 村田らむが見た関西』
場所:なんば紅鶴
start 20:00 ¥1,300- (1drink別)
出演:射導送水 B・カシワギ 縛りやトーマス
ゲスト:村田らむ

今回は特別編として、絶版作家であり禁足地のスペシャリストである村田らむ氏を迎えて、外から見た関西をテーマに、関西の危ない場所をレポート!!
果たして、村田らむの眼に映る関西はどんな場所なのか!?


6/11(土)
『続・新アイドル十戒 六戎目』
場所:アワーズルーム
開演:19:00
料金:2,500円(1drink付)
出演:竹内義和 縛りやトーマス

アイドル十戒はストーカーを許しません!DVDと写真集を複数購入させるイベントも同様です!


6/18(土)
『僕の宗教へようこそ第八十二教義~哀愁のアニソンサロン』
場所:なんば白鯨
開場:18:30
開演:19:00
料金:1,500円(1drink込)
出演:縛りやトーマス アシスタント・トモ

哀愁のアニソンを土曜の夜にお届けします


6/21(火)
『新漫画党編集会議』
場所:なんば紅鶴
start 19:30
¥1,000-(1drink別)

出演:ぶたお Bカシワギ 縛りやトーマス 男鹿おかゆ


6/26(日)
アニつるvol.16

詳細後日。全てを得るか、地獄に落ちるか。  


2016年02月26日

3月イベント告知

3月予定


3/1(火)
『旧シネマパラダイス』
場所:なんば紅鶴
開演:20:00
料金:1,000円 (1drink&1food付き)

映画コメンテーター・縛りやトーマスがお送りする今では顧みられなくなった旧映画の数々をご紹介。
今月は狂気の船長が復讐の銛を突き立てる!ジョン・ヒューストン×レイ・ブラッドベリ×グレゴリー・ペックの『白鯨』!




3/5(土)
『アニつるvol.15』
場所:なんば紅鶴
開演:17:00
料金:1800円(1drink別)
GUEST / 吉田徹(アニメR)、ペケキングテリー
NEW DJ / Nayeeb&マタムネ
DJ/Robizombie(赤犬)、イトウタカアキ(赤犬)、KKラングレー、ブリティッシュバタードッグ、恐怖の日の出登場(パンダ企画&毒電波少女みぉん)
はっち、WENZZDAY、ヤンロン、縛りやトーマス、is@m、林人生、他

アニソン好きによるアニソン好きのためのアニソンイベント!「アニつる」!
今回もみっしりとした出演陣で固めております!


3/12(土)
『続・新アイドル十戒 三戎目』
場所:アワーズルーム
開演:19:00
料金:2,500円(1drink付)
出演:竹内義和 縛りやトーマス


アイドルさえいなければ幸せになれたのに!愛に狂った男たちの告解!


3/15(火)
『新漫画党編集会議』
場所:なんば紅鶴
開演:19:30~
料金:1000(1drink別)
出演:男鹿おかゆ ぶたお Bカシワギ 縛りやトーマス

目指せガタケット!


3/21(日)
『深大阪地獄絵図~おおさかオモシロマップ』
場所:なんば紅鶴
開演:20:00
料金:1,000円(1drink別)
出演 :射導送水(さばラジオ) B・カシワギ(青春あるでひど) 縛りやトーマス


3/26(土)
『僕の宗教へようこそ第七十九教義~土曜ロードショー第十三幕』
場所:なんば白鯨
開場:18:30 開演:19:00
料金:1,500円(1drink込)
  


Posted by 縛りやトーマス at 21:26Comments(0)僕の宗教へようこそ旧シネマパラダイス

2015年09月11日

地球のエネルギーをいただくぜ!『クロノス』

 ハイこんばんは。今回ご紹介する作品は『クロノス』。あのロビー・ザ・ロボットが出てくる『禁断の惑星』の原作、アーヴィング・ブロックの原作・製作作品ですね。1957年公開作品ですよ。





 『禁断の惑星』(56)では、人間の潜在意識の底にあるものが具現化するといういわゆる「イドの怪物」をテーマにしたもので潜在意識とはなにか?自我とは?という心理学をSFというジャンルに落とし込んだ金字塔的作品でしたが、こちらの『クロノス』では宇宙人のロボット兵器が街を破壊するというシンプルな侵略モノとして作られています。


 人気のない真夜中のハイウェイを一台のトラックがひた走る。が、トラックは突然エンストを起こして止まってしまう。修理を始める運転手に謎の光が襲いかかる。光を浴びた運転手は無表情になり、トラックに乗り込むと先ほどまで来た道を逆戻りしていく…

 ラボ・セントラル(中央研究所)にやってきたトラックの運転手は警備員を殴り倒して侵入。責任者であるエリオット博士(ジョン・エメリー)に運転手から飛び出した光が取り憑くと運転手はそのまま気を失ってしまう。
 「さっきこの男に頭を殴られて…こいつは死んでいる!」
 運転手は心臓発作を起こしていたのだ。驚く警備員らにエリオット博士は「連れて行け」と冷たく言い放つ。普通不審者が死んだりしたら色々ややこしいと思うのだけど警備員は博士に言われるがままに死体を運び出すのだった。以後、この運転手のことは一切話に絡みません。この研究所、大丈夫?そもそも何を研究しているのか。

 研究者のアーノルド・カルバーはスーパーコンピュータが計算した小惑星の軌道データを同僚のレスリー・ガスケル(ジェフ・モロー)に持っていく。ガスケルは小惑星M47を研究している(ここで天体望遠鏡の存在が明らかになることから、ラボ・セントラルは天文研究所であると思われる)。
 M47が軌道を変え動いていることを発見したガスケルは写真を現像することに。現像室の助手、ヴェラ・ハンター(バーバラ・ローレンス)のもとへ。大発見に沸き立つガスケルだが、ハンターは「映画の約束がおじゃんね」とご機嫌斜め。この二人、付き合っているようだ。「元気だしな」と彼女を慰めるカルバー。イケメンで助手とヨロシクしている(死語)ガスケルに比べ、カルバーはスーパーコンピュータに【スージー】なんて女の子の名前をつけて可愛がっているのであった。擬人化マニア、こいつ、ナードやん!

 「でもなんでスージーなの?」
 「単純明快さ。シンクロ・ユニファイング・シノメトリック・インテグレイティング・エクイテンサー。頭文字を合わせてSUSIE」



めっちゃ自慢げに語ってますけど、聞いてるハンターの方は「ああ、そう」ぐらいの反応です。オタクはいつの時代もこんな目に遭うのか


 コンピューターオタクがリア充から冷たい扱いを受けている様を見ながらなぜか涙が溢れて来ますが、【スージー】はエラーを起こして停止。彼女が復帰するまですることがないので二人は映画を観に行こうとしますが仮設証明のチャンスが目の前にあるガスケルは気もそぞろ。デートよりも研究の方にご執心。この人もある意味研究オタクなのです。結局デートは中止。写真の現像をしながらいちゃついていると、【スージー】は再び起動。M47は軌道を変え、地球に激突することが判明する。


 「直径4.9マイル、質量6,000メガトン、秒速1,750マイル、方角:地球…」

 16時間以内に小惑星が地球に激突する。止めるには核弾頭で破壊するしかないと、米軍の作戦が決行されます(V2ロケット発射映像の流用)。しかしM47は傷ひとつない。しかし軌道を変えることには成功したので都市部ではなくメキシコの海に落ちたのだった。地球は土地よりも海の面積の方が大きいから、隕石が落下してもまず海に落ちると言われてますけども。
 この時点でもみんなアストロイドと言い張るM47の正体は画面上をどう見てもUFOにしか見えないんだけど。



 なぜかM47が核弾頭を受けた瞬間、激しくショックを受けたエリオット博士、気を失って病院に運ばれるのだった。
 M47を単なる小惑星と思うことは出来なくなったガスケルは「もしこれが何かの陰謀だったら?」とカルバーを炊きつけてメキシコへ単独乗り込むことへ。「エリオット博士の許可はどうするんだ?」と聞くカルバーに「博士はそのような立場にない」と。博士の立場って…
 その後ハンターも合流してメキシコ人の家に居候する3人。ビーチでいちゃつくガスケルとハンター。その時海から光が溢れ、翌日巨大な物体が出現した!



これがクロノスだ!


 ヘリで乗り込もうとするも勝手がわからないため、そのまま引き上げるガスケルたち(何しに来たんだ)。一方、入院したエリオット博士は医者に「時間がないんだ。私の話を聞いてくれ」と告白を始める。自分は宇宙人に乗っ取られていること、その宇宙人はエネルギー不足で滅び行く母星からやってきたこと、地球のエネルギーを吸い尽くして母星を救おうとしていること…それらを統合失調症患者の妄想として処理しようとする医者だったが、メキシコに現れたクロノスを見て「まさか…」と思っているところにエリオット博士がやってくる。症例報告を録音したテープをよこせ!と揉み合いになり、むき出しの高圧電流(なんでこんなところにあるんだよ!)に医者を押し付け殺し、テープを奪ったエリオット博士は自主退院。エリオット博士は完全に乗っ取られている状態ではなくて、精神を支配される力が弱まると元のエリオット博士の精神が表に出てくるんだね。

 エリオット博士(宇宙人)の指示を受けたクロノスはピコピコ音を出しながら移動。足の部分に相当する円筒を出したり引いたりしながら横移動。クロノスの移動シーンはアニメーションで処理され、『宇宙戦争』(53)でおなじみのSFXマン、ジョージ・パルのスタッフ、ジーン・ウォーレンとウォー・チャンがそれぞれアニメーション、モデルを担当している。なかなかに味わい深い動きをしているのだが出したり引っ込めたりするだけで移動はできるのだろうか?走行用の足をつければよかっただけのような…偉い人にはそれがわからんのです。

 次々発電所を襲ってエネルギーを奪い尽くしていくクロノス。ちなみにクロノスとはギリシア神話に出てくる天空神ウラノスと地母神ガイアの間に生まれた子供で、ウラノスを阿部定にして権力を奪い取るも「生まれてくる子供に権力を奪われる」と予言されたのでクロノスは生まれてきた子供(ハデスとか)を飲み込んでいったが末子のゼウスだけが難を逃れ、やがてゼウスに討たれるのであった、という神話からの引用だ(この辺のエピソードは『強殖装甲ガイバー』でも引用されてる)子供を飲み込むエピソードを「地球のエネルギーを吸い取る」という風に解釈しているわけ。

 軍隊の攻撃も効かないクロノスは人間には打倒できないのか?その頃病院からの連絡を受けた(であろう)ハンターがことの発覚を恐れたエリオット博士に襲われる。ガスケルによって間一髪救われるハンター。そして高圧電流に触れたショックで正気に戻った博士は宇宙人の目的について話しだす。「なんとかして止められないのか?」というガスケルに

 「わからん。なんとかしてプロセスを逆にするんだ」

 と博士。クロノスは最初にすぎない、もし成功すればもっと後に続く地球のエネルギーを搾り取りにくるのだと!
 宇宙人は地球人の体を長い間乗っ取ることができないらしく、死に絶えるのが目前のエリオット博士の肉体を捨てて誰かの体へ移動しようとする。それを察した博士は残された力を振り絞り、断熱室に閉じこもり己を抹殺する。死にゆく博士から這い出した宇宙人は火花を散らして絶命。

 残されたガスケルたちは対策を考えるが名案は浮かばず、苦悩を続ける。クロノス撃退のヒントを得るきっかけは【スージー】だった。

 「どうしたんだスージー!無理強いしていることはわかってる。頼むからノイローゼにならないでくれよ」

 計算途中でエラーを起こす【スージー】を思いやるオタクのカルヴァ―。後の『2001年宇宙の旅』でもHAL2000がノイローゼに近い症状を起こして宇宙船の乗組員を殺し始めたから、それに何十年も先駆けてるんだ!
 カルヴァ―は「論理回路がパンパンになって詰まりパニックを起こすんだ」とボヤく。「それだ!」と何かを思いつくガスケル。「それをクロノスに適用するんだ」



 クロノスの頭から突き出た二本のアンテナは+と-ではと見抜いたガスケル(そんな単純なの?)、ここにエネルギーを落として逆流させれば処理能力の限界を超えたやつは内部崩壊を起こすはず…
 米軍機が放射性物質をパラシュートで投下、クロノスの上部で破壊されたそれはやつの処理能力をオーバーさせ、内側からクロノスは破壊されていった…

 「これで僕は【スージー】のもとへ帰れる。君らは映画を見に行ける」

 そうそう、ガスケルとハンターは映画を観に行く約束してたんだった!(どうでもいいよ!)けれどハンターの表情は不安そう。

 「まだ他にも送ってくるのかしら?」
 「その時のために準備しておけば大丈夫さ」

 あのクロノスは最後の一体とは思えない。手にしたエネルギーを破壊のためだけに使うようなら、第二、第三のクロノスが現れるかも知れない…

 『地球の静止する日』(51)のゴートという先例はあれど、「侵略、破壊する」巨大ロボットとしては初のケースと思われる『クロノス』は50年代のSF映画全盛の時代のみならず、今もなお眩い光を放つ後世に語り継がれるべき作品なのです。ナードというものを肯定的にとらえたパイオニアとしても!


  


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2015年08月18日

ユニバーサル第六の怪物『大アマゾンの半魚人』




 ハイ、今回ご紹介しますのは『大アマゾンの半魚人』(1954)ですね。1930年代にドラキュラ、フランケンシュタイン、ミイラ男、透明人間、狼男などのモンスター映画で傑作を生み続けていたユニバーサル映画が新たに考案したモンスター、怪物映画ですよ。

 オーソン・ウェルズの劇団に居たプロデューサーのウィリアム・アランドがウェルズ邸でディナーに誘われた際、カメラマンのガブリエル・フィゲロア(ジョン・フォードの『逃亡者』(1947)、ドン・シーゲルの西部劇『真昼の決闘』(1971)などで知られるメキシコの名カメラマン)から「アマゾンの村でいけにえを要求する半魚人」の話を聞いたことから着想を得る。アランドは3ページのシノプシスを書き、レイ・ブラッドベリ(!)に脚色を依頼したという。前年にブラッドベリの原作を元にした『イット・ケイム・フロム・アウター・スペース それは外宇宙からやってきた』の製作をアランドが手がけた関係だろう。

 アマゾンの奥地で化石を発掘しているカール・マイア博士(アントニオ・モレノ)ら一行はデボン紀の地層から水かきのついた手の化石を発見する。「調査隊が必要だ」と考えたマイア博士は手の実物をもってブラジルの海洋生物研究所のデヴィッド・リード博士(リチャード・カールソン)、助手のケイ・ローレンス(ジュリー・アダムス)、所長のマイク・ウィリアムス(リチャード・デニング)に調査を依頼。研究所の維持費を欲しがるウィリアムスはこれが世紀の大発見になると快諾。だがその頃現地に残した発掘隊のキャンプは半魚人・ギルマンに襲われ全滅していた…

 アランドが書いた話を元にモーリス・ジムが脚本にした話は科学者たちがアマゾンの奥地で捕らえられた半魚人を都会に連れていこうとする。しかし半魚人に同情した美女の助手が逃がそうとするも科学者がギルマンを追跡、射殺しようとしたので助手は科学者と袂を分かつ…
 アランドとジムの作った話は『キング・コング』(1933)に影響を受けた、というかほとんどそのままでユニバーサルは製作を渋り、次に雇われた脚本家アーサー・ロスも「ドラキュラやミイラが半魚人に変わっただけで25年も前の恐怖映画の焼き直しだ!」と今更『キングコング』をやってる原案にダメを出し、科学者を英雄的な立場に書き直し、製作がスタートした。

 キャンプが全滅したためブラジルからやってきた調査隊のメンバーが発掘をするハメになるが成果は上がらず、リードの判断で入江で発掘をすることになるが、現地人ポーターで船長のルーカス(ネスター・パイヴァ)はそこがブラック・ラグーンと呼ばれる場所で帰ってきたものは誰もいないという。
 入江に向かう船の上でリードとケイが仲睦まじくしているところに水中銃を持ったウィリアムスが現れる。ルーカスに「何を捕るんだ?」と聞かれ水中銃を船の帆柱にぶっ放しながら「なんでもいい」というウィリアムス。後々の対立を予感させるシーン。


 水中シーンの撮影はフロリダ・ワクラスプリングス州立公園の泉で行われ、水中ショーの経営者だったN・ペリーが雇われる。ロケハン当日に都合が悪くなったペリーはショーのメンバーだったリコウ・ブラウニングに撮影隊の案内を任せる。ジャック・アーノルド監督と水中撮影担当のチャールズ・S・ウェルボーンはブラウニングに「魚の大きさと人の体を比較したいから」と試しに泳がせてみた。ブラウニングの泳ぎに満足した二人はギルマンのコスチュームを着て水中で泳ぐ役を任せようと思った。ブラウニングは飛行機のチケットを渡され、LAへ飛んだ。

 リードとウィリアムスは入江の底に潜る。底で見つけた水草をケイに渡していちゃつくリードに「おままごとは後にしろ」と嫌味を言うウィリアムス。「彼は野心むき出しで、他人の功績を横取りしてばかり」とぼやくリードに「彼はああいう人だから」とかばうケイ。



ここで本作の見どころであるジュリー・アダムスの水着シーン


とリコウ・ブラウニングによるギルマンが水中を泳ぐシーン

 手持ちカメラによる水中シーンの撮影は当時、初ともいえる試み。ブラウニングが演じるギルマンは「着ぐるみのモンスター」ではなく本当に半魚人が存在している!半魚人が泳いでいる!と疑わせるに充分な迫力に圧倒される。
 ブラウニングはこれで一躍名を知られるようになり、後に『007 サンダーボール作戦』とそのリメイク『ネバーセイ・ネバーアゲイン』で見事な水中アクションを監督する。日本のファンにはタモリ倶楽部でタイトルをつけられたZ級映画『グルメホラー 血まみれ海岸・人喰いクラブ/地獄のシオマネキ・カニ味噌のしたたり』の脚本家としても有名かも(?)
 しかしケイはよくこんなところで泳ごうと思ったな。現地人から「人喰いナマズ(?)がいるぞ」と言われてるのに。

 ケイが船に上がったあと、ギルマンが水中に下げた網をひっぱり船を傾ける(すごい怪力だ!)。網が破られているのを見た調査隊は水の中に何かが居ると思い、リードとウィリアムスが水中カメラと水中銃を手に潜る。ギルマンを発見したウィリアムスは迷わず銃を撃つ。「なぜ撃ったんだ!?生け捕りにすべきだ」というリード。どうやってだよ?写真を現像するもタイミングを逃して何も写っていない。船に上がってきたギルマンは船員を襲う。陸上でのギルマンはベン・チャップマンが演じた。「半魚人は陸上でものろのろ動く」ということで足には5キロの錘がつけられた。だからギルマンは陸地を歩く時は足を上げずにすり足のようにする。でも船に残ったギルマンの足あとは歩き方とまったく一致してないのが微笑ましい。

 魚を麻痺させる薬物ロテノンを使って半魚人を捉えようとするも効果なし。捜索は夜中まで行われ(そりゃ半魚人なんかがいるとわかったらおちおち寝ていられない)船に上がろうとした半魚人をケイが見つけ、闇の中ついにギルマンの全身像を見る調査隊。リードとウィリアムスが勇ましくもギルマンを追って水底からつながっている洞穴へ。しかし辿り着いたころには反対側から抜けだしていたギルマンがケイを襲う!ケイを助けようとした現地人がクビを締めて殺される。ギルマンはケイを抱っこしてどこかへ去ろうとするがロテノンが効いていたのか、力尽きてしまう。
 ギルマンを船底に檻に閉じ込めてこれで一安心、と思ったがリードが「洞穴を調べるべきだ」と言い出し、ケイと見張りを一人残して調査へ。見張り役が退屈なので寝てしまう(まあ夜だしね)。寝こけたところ、突然物音がして目を覚ます、がそれは様子を観に来たケイが立てた物音だった!という微笑ましい場面
 しかし二人がおしゃべりに夢中になっていた隙に檻からギルマンが脱け出す。見張りは襲われてしまうがケイがランプを投げつけ、全身に火が回ったギルマンは水中へ逃れる。感染症の恐れがある見張りは寝たきりになり。残されたメンバーはリード、ケイ、ウィリアムス、マイア、船長のルーカス。これでは何もできないとリードが帰ろうと言い出し、手ぶらでは帰れないというウィリアムスとまたまた諍いを起こす。「誰のせいでもないわ」ってケイが言うんだけど、あんたが余計なおしゃべりしてたからこんなことになったんじゃあ…

 結局帰ることになり、一人半魚人を捕まえるべきだと主張するウィリアムスにルーカスがナイフを喉元に突きつけ「何か言い分がおありで?」渋々承諾するウィリアムス。なんか、ウィリアムスが悪役にされてるんだけど、捕まえた時に早く帰ろうって言ってたのウィリアムスなんですけど!リードがもっと調べようとか言い出さなきゃ何も起こらず帰ることができたのに。

 入江の出口に木々を組んだ仕掛けがしてあり、どうやら怒り狂った半魚人のしわざらしい。ワイヤーで外そうとするも失敗。もはや半魚人を始末するしかないとするリード。しかしウィリアムスはどうしても生け捕りにしたいらしく「俺がおとりになるぞ」とまで言い出す。「どうかしてるぜ!」と殴り合いを始める二人。その部屋には感染症にかかった患者が寝てるんだけど。そんなところで殴り合いするなよ…



病人がいるところでは静かにね

 まず仕掛けを外して船が勧めるようにしようとするリード。そこにギルマンが襲いかかるが懲りずに潜ってきたウィリアムスがギルマンを攻撃。水中銃の矢が見事ギルマンの腹に命中するが、ギルマンの反撃に遭ったウィリアムスは水底に引きずり込まれ、アクアラングのホースを噛みちぎられ、溺死。リードはギルマンを撃退する秘密兵器を作り出し、最後の決戦に挑む。

 クライマックス、瀕死の傷を負ったギルマンは洞穴を出てよろよろと沼に向かって歩いて行く。背後から止めの銃撃を浴びせようとするマイヤー博士をリードが「もういい」と止める。ギルマンは力尽き沼にゆっくりと沈んでいく(またもブラウニングの名演技!)。
 ギルマンの最期については色々な結末が考えられ、「斧で頭を叩き割られる」案が残ったそうだが、その死は曖昧にされた。なぜかって?続編を作るためさ!!
 制作費1万8000ドルを大きく上回る130万ドルを稼いだ作品の二匹目のドジョウを狙わないはずもなく、翌年にはすぐさま『半魚人の逆襲』が公開され、さらに翌年、3作目の『The Creature Walks Among Us』が公開されるのだった。
 そして現在、ユニバーサルが何を思ったのか本作のリメイクを計画中で、なんと助手のケイ・ローレンス役をスカーレット・ヨハンソンにオファー中!正気か?


スカヨハ、SF怪奇映画『大アマゾンの半魚人』リメイクに主演?
http://www.cinematoday.jp/page/N0072401


 スカーレット・ヨハンソンって最初はコーエン兄弟の『バーバー』とか『モンタナの風に抱かれて』、そしてなにより『ゴーストワールド』といった文芸作品、ミニシアター系作品に出ていて評価されたのに、ダメな方の『GODZILLA』の脚本家、ディーン・デヴリンのB級モンスター映画『スパイダー・パニック!』に出た時にインタヴュアーから
「なんでこんな映画に出てるの?」
 って聞かれて
「いつもはお高く止まってる映画に出てるから、たまにはバカな映画に出たくなったんだよ!」
 ってファンを唖然とさせてた嫌な女だったけど、久々にB級モンスター映画魂に火が点いたのか。またインタヴュアーに答えて欲しいな。
 「たまにはバカなモンスター映画に出たくなったんだよ!」


  


Posted by 縛りやトーマス at 14:44Comments(0)映画旧シネマパラダイス

2015年07月02日

7月告知

7月予定


7/11(土)
『続アイドル十戒 五戒目』
場所:アワーズルーム(肥後橋)
http://hourz.info/%E3%81%94%E6%A1%88%E5%86%85/
開演:19:00~
料金:2000円(1dink別)
出演:竹内義和 縛りやトーマス

終わったはずのやつらが帰ってきた!生まれ変わった続アイドル論。アイドルさえいなければ幸せになれたのに。


7/17(金)
『深大阪地獄絵図~おおさかオモシロマップ〜』
場所:なんば紅鶴
開演:20:00 料金:1000円(1drink別)
出演 :射導送水(さばラジオ) B・カシワギ(青春あるでひど) 縛りやトーマス


7/20(月)
『紅撮 〜特撮限定原曲系DJイベント〜』
開演:18:00
料金:1,500-(1drink別)
DJ:KKラングレー ブリティッシュバタードッグ マタムネ ヤンロン 縛りやトーマス B・F・柏木他

なんば紅鶴がお送りする時代錯誤系原曲DJイベント「アニつる」の
スピンオフ企画!特撮縛りで歌う!叫ぶ!燃え尽きる!これが「紅撮」!
今までかからなかった、かけてほしかった「怪獣」「映画」「怪奇」系や
今までも勿論かかった蒸着や特捜やらで、歌え!叫べ!燃え尽きろ!



7/21(火)
『新漫画党編集会議』
場所:なんば紅鶴
開演:19:30~
料金:1000(1drink別)
出演:もみちゃんズ 花鳥風月緒形 ぶたお Bカシワギ 縛りやトーマス


7/23(木)
『旧シネマパラダイス』
場所:なんば紅鶴
開演:20:00
料金:1000円 (1drink&1food付き)

毎月プレゼンターがおススメする
パブリックドメインな映画達を大音量&大画面で上映!
しかもワンフード+ワンドリンク付き!
お仕事帰り、暇つぶし、デートプランに是非!
プレゼンターは毎度おなじみ映画評論家縛りやトーマス!
今回は『チャップリンからの贈り物』公開記念、チャップリンの『モダン・タイムス』です!




7/25(土)
『僕の宗教へようこそ 第七十一教義』
場所:なんば白鯨
開場:18:30 開演:19:00
料金:1500円(ドリンク代込み)
出演:縛りやトーマス アシスタント・トモ  


2015年01月18日

健康の秘訣はリンゴ酢


訃報『禁断の惑星』ロボットデザイナー、ロバート・キノシタさん100歳で死去
http://www.cinematoday.jp/page/N0069787

 SF映画の金字塔『禁断の惑星』のロビー・ザ・ロボット、『宇宙家族ロビンソン』のフライデーなどで知られるデザイナーのロバート・キノシタ氏が亡くなった。
 ロビーの登場はそれまでロボットといえば四角形の箱を重ねたようなデザインが主流の中、頭部は曲線を描き、(中の機械が透けて見えるというのもチャーミング)全体的に丸みを帯びたデザインという斬新なもので、ロビンソンのフライデーも両手の部分が二つに分かれて物をつまむように出来ているという、この二つは後のロボットデザインに大きく影響を与えた。『課長バカ一代』に登場するロボットのデザインで意見がわかれた時、手をフライデー風のやつにしたことで全員の意見がまとまる、という回があったことでもロバート・キノシタの偉業がわかろうというもの。


今見ても衰えることのない『禁断の惑星』のロビー

 しかし100歳まで健在だったというのもすごいな。長寿の秘訣(ひけつ)は健康的な食生活と毎日欠かさず飲んでいたリンゴ酢のおかげと以前に語ったことがある。なるほど、リンゴ酢か。よくテレビでドキュメントだと思ったらにんにく卵黄のCMだったりして気が抜けないことがあるが、リンゴ酢のCMも一時期よくやってたような。「ロバート・キノシタも100歳まで生きたリンゴ酢!」日本での再ブームが期待される。みんなも『禁断の惑星』『宇宙家族ロビンソン』見ながらリンゴ酢を飲もう、ロビンソンのリメイク、『ロスト・イン・スペース』は別に見なくていい。

  


Posted by 縛りやトーマス at 21:02Comments(0)映画旧シネマパラダイス

2015年01月04日

ロボットは一体しかでてこないぜ『ロボット大襲来』

 先月の旧シネマパラダイスはロジャー・コーマンのAIP作品『ロボット大襲来』(54)でした。よくある異星人の侵略SFなんですが、異星人が一切姿を現さず、ロボットを尖兵にしているのがポイントです。
 キャサリン・クロウリー演じるノラ・キングが目を覚ますとロサンゼルスの街からは誰も人がいなくなっていた。自宅を出てさまよい出るも人っ子ひとりいやしない。やがて目を見開いて死んでいる女性を発見。その場に居合わせたフランク(リチャード・デニング)になぜ誰も居ないのはたずねるも彼も詳しい事情を知らない。
 冒頭のゴーストタウン化したロサンゼルスの映像は早朝に人気のない時間を選んで撮影、もしくはスチール写真を挿入するというテクニックが用いられ、低予算ながらリアルなゴーストタウンの映像化に成功しています。

 レストランで二人の男女、車を動かそうとしていたチャールズ(モート・マーシャル)と合流。するとビルに巨大な黒い影が…ホテルに逃げ込んだ面々は残された新聞から異星人による侵略が始まったこと、市民には避難勧告が出されたことを知る。落ち着いて対策を考えようというフランクに逆らって外へ逃げ出したチャールズはロボットの怪光線を浴びて死んでしまう…

 ここで初めてロボットが登場するんだけど、こいつがどう見てもハリボテです。



 動きはベイマックスよりのろく、足を引っ掛けて倒したら絶対単独で起き上がってこられないであろう構造で、こんなヘナチョコで金星人(後に金星から侵略者であることが判明する)は何をしようとしていたのでしょうか。あとこいつ、大きさが等身大。途中ビルの壁に映った巨大な影はなんだったのか。

こんなにでかくありません

 この後軍隊が回収したロボットを科学者たちが実験に使う場面とフランクたち4人がホテルに立てこもって救助を待つ場面が交互に展開。科学者たちがロボットに電極やコードをつないで動かしたりするんですがピストルをロボットの手で発射させたりするので、ロボットがどういう仕掛けで動いているのかを解明して作戦に利用するのかと思いきや、最終的にはロボットの頭脳を狂わせる音を出して撃退するというオチ(バートンが後に『マーズ・アタック!』で引用した)で途中繰り返されたあの実験はなんだったんだ!回収したロボットは謎のひび割れがあるのだけど、このひび割れが出来た理由も最後までわからぬまま…まあ低予算ですからね。






 ところでタイトルは『ロボット大襲来』なんだけど、出てくるのは一体だけでどこが大襲来やねん!

ロボットが階段を登ってゆくシーン、足元がおぼつかなくてハラハラさせられるぞ!

 ロボットは侵略側なのに、健気な動きに思わず「ロボットガンバレ」と応援してしまいそう。



怪光線、かわせるんだw

 当時は金星に生命体が存在するかもという研究が発表されており、『金星人地球を征服』とか、金星を滅ぼしたキングギドラなどSF映画のテーマに金星ブームが巻き起こった時代なのです。にしてもこんなしょぼいロボットでは召使いにもならないような気が…金星人、しっかりしろ。

 このように旧シネマパラダイスでは50~60年代のSF、怪物映画を発掘しております。次回は1/29(木)20時よりなんば紅鶴にて、ガンQの元ネタ、『巨大目玉の怪獣~トロレンバーグの恐怖』(58)をお送りします。いやぁ~映画って本当にいいもんですね。


  


Posted by 縛りやトーマス at 03:40Comments(0)映画旧シネマパラダイス

2014年11月02日

でっかくなっちゃった!『戦慄!プルトニウム人間』



 バート・I・ゴードンは巨大イグアナが人を襲う『キング・ダイナソー』、巨大イナゴが人を襲う『世界終末の序曲』のヒットで知られる。巨大生物と言ってもSFXを使うとかそういうのではなく、本物を持ってきてそのまんま写しちゃうだけなのだ。『キング~』ではトカゲを写すだけ(トカゲにゴムで作った背ビレやしっぽをつけて怪獣のように見せかける)だし、『世界終末~』ではバッタを持ってきて、ビルの写真の上を歩かせて巨大イナゴがビルに取り付いているように見せる…という種明かしすれば「アホかお前は」レベルの技術。
 この次に『The Cyclops』なる一つ目の巨人が出てくる映画でバート・I・ゴードンは人間の役者の顔に特殊メイクをさせるのだが、これで「人間にメイクをさせればトカゲ怪獣を作ったりするよりも安上がりだ」と気づくのだった。あと爬虫類では演技をつけられないが、人間の役者にはつけられる!そうして出来上がったのが『戦慄!プルトニウム人間』だ。

 ネバダ州で行われた水爆実験の最中に墜落したセスナ機のパイロットを救おうとしたマニング大佐(グレン・ランガン)はうっかり放射能を浴びてしまい全身やけどを負って虫の息。水爆実験なのに防護服も着ないで軍服にヘルメットだけというあたりがアメリカ人の放射能に対する無知っぷりを表していますね。
 しかし翌日にはマニング大佐は全快しているのだった。駆けつけた婚約者も安心するのだが、その夜に入院先の病院からマニング大佐は姿を消してしまう。やっとのことでマニング大佐の移送先までやってきた婚約者が見たのは、被爆の影響で巨大化したマニング大佐だった…

 医者や科学者がマニング大佐の巨大化を止めようとするが、決め手はなく、マニング大佐は巨大になるとともに人間性を失っていくのであった。
 放射能を浴びて巨大化、人間としてのアイデンティティを失うことに苦悩する…というマーベル・コミックの『超人ハルク』の元ネタともいえる。ハルクで気になるのは超人化した際に着てるシャツが破けてしまうのだが、なぜかズボンだけはそのまんまという部分。『戦慄!プルトニウム人間』ではマニング大佐は布みたいなやつをふんどしのように巻いているのだが、これは米軍が考案した伸縮自在の布なの。



 放射能を浴びて人間が巨大化するのもビックリだけど、伸縮自在な布を米軍自らが開発しているのもビックリだ。


「おれはピエロだ!アッハッハ!」


 と壊れていくマニング大佐は逃亡、細胞の研究をしているクルター医官が巨大化を抑える薬品を開発、こいつを大佐に打ち込むわけだが、巨大化した大佐に普通の注射はダメだからと専用の巨大注射器を使う。これも米軍の考案したブツですか?しかし狂い始めた大佐は注射器を投げつけ、針が突き刺さったクルターは即死


コントのように死んでいくクルター医官

 本作には『巨人獣』という続編もあるのだが、マニング大佐は人間性を完全に失って片目を失い、頭部の一部から頭蓋骨が露出しているというタイトル通り完全に怪物、怪獣扱いなのだ。「これじゃ怪獣と同じじゃないか!」という事に気づいたのだろう、マニング大佐を演じたグレン・ランガンは続編では降板し、『The Cyclops』で一つ目の巨人を演じたディーン・バーキンが大佐役を演じている。
 『戦慄!プルトニウム人間』とは特殊メイクのない怪獣映画だったのだ。
 バート・I・ゴードンは巨大生物モノばかり作ったので、その名前を略してミスターBIGと呼ばれ、その後もクモを大写しにする『吸血原子蜘蛛』とかねずみ出てくる『巨大生物の島』(ハリーハウゼンの『SF巨大生物の島』とは別)、アリを大写しにする『巨大蟻の帝国』などをつくり続けた。今の技術からすれば噴飯ものの低レベル映画だが、『パシフィック・リム』や『GODZILLA』といった巨大生物映画が未だ作られているのにはミスターBIGの影響力があったに違いないのです。



  


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