2018年07月18日

最後のビデオ店

 うちにはビデオデッキがまだあって、たまにテレビ放映したのを録画した『ウルフガイ 燃えろ狼男』とかを見たりするんですが、今や街のお店はレンタル「DVD」店に。そもそもビデオデッキを知らない世代がほとんどだもんなあ。日本でこうですから、アメリカではもはや絶滅寸前です。


レンタルビデオ店の思い出は? ─ アメリカでは残り1店舗、ほぼ絶滅へ
https://theriver.jp/last-blockbuster/

 日本よりも早くアメリカのレンタルビデオ店は絶滅状態に。残っているのは1店舗!世界中を探せばまだあるでしょうが、アメリカでは最後のお店です。『キング・コング2』のビデオを返却するために四苦八苦する『ビッグ・ヒット』やスウェーデン製のビデオだと言い張ってハリウッド映画のデタラメなリメイクを作り続ける『僕らのミライへ逆回転』など、レンタルビデオをネタにした映画は色々ありますが、通用しない時代がやってくるのです。
 ちなみに僕のレンタルビデオ店の思い出は借りたビデオに全然違うテレビの2時間ドラマが入っていたことです。

  


Posted by 縛りやトーマス at 17:29Comments(0)映画レンタル映画館

2018年07月06日

倒錯趣味があってもいいじゃないか『ワンダー・ウーマンとマーストン教授の秘密』



 アメコミ『ワンダーウーマン』の起源に迫る『ワンダー・ウーマンとマーストン教授の秘密』を観た。日本では劇場公開されずDVDスルーになった作品だ。2017年公開の実写映画は全世界で異例のヒットを飛ばしたがその作品は如何にして誕生したか?

 舞台は1928年。ハーバード大で心理学の教授をしていたウィリアム・モールトン・マーストン(ルーク・エヴァンス)と妻のエリザベス(レベッカ・ホール)は嘘発見器の原型の開発にも着手していたがウィリアムよりも優秀なエリザベスは「自分には女性器がついているから博士号が取れない」と不満の日々。
 ウィリアムは新入生のオリーブ・バーン(『高慢と偏見とゾンビ』のジェーン役で知られるベラ・ヒースコート)の美しさ故に周囲から浮いている様子に惹かれ、助手に雇う。オリーブの母エセル・バーンは産児制限のハンストを起こして倒れるぐらいのフェミニスト活動家で、幼い頃は修道院に預けられていた。
 3人は研究者と助手という関係を続け、嘘発見器の完成にまで至るが、ウィリアムとオリーブの関係に嫉妬したエリザベスによって引き離される。が、オリーブが本当に想っていたのはエリザベスの方だった。彼女は同性愛者だということに苦しむけれど、ウィリアムは「だったら3人で暮らせばいいじゃないか!3Pしよう!」と堂々言い放つ(笑)。画してオリーブは他の男との婚約を解消し、マーストン夫妻とポリアモリー(三人婚)の関係に至る。ポリアモリーは男性側からの一方的な関係を迫られがちな一夫多妻制とは違い、複数人が完全な同意の元に行われる関係だが、3人の関係は当然ながら周囲の理解をまったく得られず、大学に関係が発覚するやウィリアムは解雇されてしまう。
 オリーブの妊娠もあり、3人は引っ越した上同居するが周囲にはその関係がバレないようにしていた。ウィリアムとオリーブは作家として、エリザベスはウィリアムの秘書として家計を支えることに。


 ・・・これのどこが『ワンダーウーマン』誕生につながるの?とモヤモヤするが、直後に話は急展開する。ウィリアムは偶然立ち寄ったボンデージ趣味の衣装屋でフェティッシュアートの数々を見せられる。これは自分が長年研究してきたDISC理論(DOMINANCE=支配、INDUCEMENT=誘因、SUBMISSON=服従、COMPLIANCE=承諾 四つの交互作用で人間関係は築かれるとする理論)そのものだ!

「最大の幸福は愛するものに服従すること」
「大事なのは喜んで従うことだ。自らの意思で」
「人に強いられて望まぬことをするとただの承諾になってしまう。人は承諾すると、不満と抑圧を感じるものだ」
「恨みも生まれる。極端になると犯罪や戦争、ファシズムを生む」
「承諾を避ける方法は誘因だ。考え方を変えさせる」
「完全に支配するんだ。相手は望み通りに動く。自ら喜んで。誘因こそが愛や平和をもたらす」

 衣装屋で公開SMショー(にしか見えない)を見せられたエリザベスは嫌悪感を露わにするが、ワンダーウーマンそのまんまのコスチュームを着たオリーブに見とれて”真実の縄”をオリーブに這わせる。ウィリアムはギリシア神話に登場する女性だけの部族、アマゾーンを元にした漫画原作『スプリ―マ・ザ・ワンダーウーマン』を考案し、出版社に持ち込んでコミック化に成功する。
 真実の縄は3人が完成させた嘘発見器に基づくアイデアだし、インビジブル・ジェットはウィリアムが子供たちと遊ぶためにもっていた透明飛行機からのインスパイアだ。
 ワンダーウーマンは毎回敵から拘束されたり、縛られて鞭打たれるが“承諾”の楔を断ち切って女性の自由のために立ち上がる!そしてワンダーウーマンの誘因によって世界は愛と平和で満たされるという…
 コミックだけでは伝わらない背景があるとわかって目から鱗が落ちる思いだ。しかも倒錯的な趣味嗜好があるとわかったのも衝撃だ。そんな趣味の人でも最も有名な女性ヒーローの漫画を作れるのだから、まったく趣味嗜好だけで人を変態扱いするのは止めてほしいものだ。僕だってあんなに強くてカッコイイ女性がいるなら服従させてもらう。こちらからお願いしたい。完全に支配するんだ。相手は望み通りに動く。自ら喜んで!



  


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2018年07月06日

不能のヒロイン『富美子の足』



 舞台役者として活動、週刊プレイボーイ誌上にて類まれな身体を披露した途端、認知度が上がった片山萌美さんはワンコインで買える雑誌で水着見せるなんてサイテーと言い張る吉岡里帆と違って大人の女性なので、さっさとヘアヌードを見せたにも関わらず「「脱ぐと何かが変わるよ」っていろんな人に言われてたんですけど何も変わらなかったです。自己嫌悪とかもなかったし。少し期待していたんですけどね(笑)」とさらっと言い放つような人である。
 そんな彼女はその後当然のように低予算のちょいエロ映画シリーズに駆り出されて、ちょいエロな演技をあっけらかんと見せていた。ここで満を持して谷崎潤一郎原作映画に主演!


 片山演じるヒロイン、富美子は男を虜にして止まない「足」を持っている。思春期の頃、この足のせいで義理の父親に足を撫でまわされ、電車で痴漢に遭い続ける。会社に入れば上司が隙を見て足に頬を摺り寄せられる(どういう会社だ)。そんな経験から自分の足を嫌悪するようになり、顔と胸を整形すれば男は足を見なくなる!と思うがやっぱり男は富美子の足しか見ない!
 整形の費用を稼ぐためデリ ヘル嬢を始めた富美子は資産家の老人、塚越に見初められる。
「お前の足にわしの遺産をすべてやる!」
 塚越役は『冷たい熱帯魚』で観客を恐怖のどん底に突き落としたでんでんが演じている。今回は常に絶叫口調で周囲を恫喝しまくる、最初っから最後まで常軌を逸した変人の役だ。
 塚越の家で家政婦のような仕事を始める富美子だが、塚越は甥の野田(渕上泰史)に富美子の足を見せて「この足そっくりのモノをつくれ!」野田は売れないフィギュア造形家で、塚越にお小遣いをもらうためにせっせと富美子の足をつくるのだが、彼はどう見ても現実の女性に興味のないオタクなので、塚越に富美子の足を舐めてみろ(それでインスピレーションが湧くからと)と言われて心底イヤそうに富美子の爪先を舐める。そんな調子なので塚越の望むものは出来上がらない。「こんな足からは熱も魂も感じられない!」「ちくわだ!ちくわ!空っぽのお前そのものだ!」と罵倒され、出来上がった足は叩き壊される。
 とっととこんな仕事から解放されて、遺産を受け取りたい富美子の目算は外れまくり、家に帰れば同居している車いす生活の母親に金をせびられ、それだけでは飽き足らず若い男を連れ込んでそいつの相手までさせられる(そいつから巻き上げた金は当然母親の懐に)。そんな母親となぜ同居するのかというと、富美子の足に見とれてハンドル操作を誤った男の車が母親を跳ね飛ばしたという後ろめたさがあるから。この足が私の人生すべてを狂わせる!なにしろあてがわれた若い男も富美子の足を舐めまわし続けるのだから。

 これは不能の物語だ。富美子は足のためにまともな性交や男女関係をもったこともないし、足に魅入られた塚越もおそらく不能だろう。野田はオタクだからいうまでもない(笑)。性的な満足が得られない故に3人は狂っていく。
 野田を利用しようとする富美子は女性上位で跨って虜にしようとするが朝チュンの時に野田は富美子の足を舐めまわす。やっぱりこの足のせいだ!しかし追い詰められた富美子はこの足を利用しようとする。野田を蹴り倒してドスの利いた声で彼を支配し、塚越に金をせびりに来る娘を始末させる。暴力で支配された野田は身も心も富美子の虜になってついに塚越が望んだ完璧な足を完成させる。しかし富美子が望んだ結果が得られないという、最後の最後まで不能なオチなのだった。
 不能で不満足な話なのだが、片山萌美はトップまで披露する大胆演技で観客を大変満足させてくれる。ワンコインで買える雑誌のグラビアすら否定するような吉岡里帆では到底できないような渇いた演技と濡れ場で谷崎らしい歪んだ女性像をもつ人々には理想のヒロインだ。



  


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2018年06月12日

子供の幸せ『ゴーン・ベイビー・ゴーン』

 第71回カンヌ映画祭でパルム・ドールを受賞した『万引き家族』には胸を打たれた。一見普通ではない、血縁関係のない家族が血縁関係のある普通の家族よりも温かい、という話で終盤、普通でないことを説教する警察官の高良健吾と池脇千鶴の言葉はまったくもって正しいのだが、正しさ故に家族の心にまったく響かないというのを見て「普通がそんなにいいのか、普通って何?」と思わされた。そして『万引き家族』を見ながら思い浮かべたのが『ゴーン・ベイビー・ゴーン』(2007)だ。
※以下ネタバレしていますのでご注意ください。




 デニス・ルへインの『私立探偵パトリック&アンジー』シリーズの第4弾でベン・アフレックの初監督作品だ。ボストンの街で4歳の少女アマンダが誘拐され、行方不明になる。アマンダの母へリーン(エイミー・ライアン)が目を離した隙にいなくなってしまったのだという。誘拐事件にマスコミが飛びつく中、警察の捜査に進展がないことにいら立ってアマンダの叔母ベアトリス(エイミー・マディガン)は地元に詳しい私立探偵のパトリック(ベン・アフレックの弟、ケイシー・アフレック)と相棒のアンジー(ミシェル・モナハン)にアマンダの捜索を依頼する。

 へリーンは目を離したどころか、子供を置いて男友達のところに行っていたのだ。おまけにドラッグ中毒のへリーンはヤクの売人チーズ(エディ・ガテギ)の運び屋もやっていた。そんなゴタゴタを知っている警察署長のジャック・ドイル(モーガン・フリーマン)ははじめからへリーンのDVを疑っており、警察はアマンダがもう生きていないと決めつけている。ジャックはベテランの刑事レミー(エド・ハリス)とニック(ジョン・アシュトン)をパトリックにつけてやるが、彼らも真面目に捜査しないし、アンジーも「ゴミ箱に捨てられた子供の死体は見たくない」と乗り気でない。

 パトリックはボストンの地元仲間を使って情報を集め、チーズが誘拐の主犯と断定する。身代金と交換でアマンダを渡すようにいう。チーズは白を切るが数日後に引き渡しを指示。レミー、ニックとともに引き渡し現場に行くも予想外のゴタゴタが起き、チーズは誤射され死亡、アマンダは池に落ちて死体は上がらなかった。

 最悪の結末を迎えた事件だったがパトリックはさらに別の幼児誘拐事件に首を突っ込み、そちらも最悪の結末を迎えてしまう。だが、パトリックはついにアマンダ誘拐事件の真相にたどり着く。


 アマンダはそもそも誘拐されていなかった。へリーンに母親の資格がないと思った人物が信用のおける人間にアマンダを預けて育ててもらおうとしたのだ。


 『万引き家族』では父親のリリー・フランキーが家に帰る途中で団地の廊下でポツンとしている女の子を連れてくる。妻の安藤サクラが女の子を家に帰そうとするが、夫婦が激しく罵り合っているのを聞き、「産みたくて産んだんじゃない」と女の子の母親(片山萌美)が叫んでいるのを耳にし、女の子をそのまま連れて帰る。
 二か月後、女の子の家を訪れた児童福祉相談所の職員が女の子が家にいないのをおかしく思い警察に相談して行方不明扱いになる。リリーや安藤サクラたちの家族は女の子をゆりと呼んで家族同然に暮らす。二か月間も子供を放り出しておくような親のところにいるより偽物の家族のところにいる方が幸せだ、というわけ。


 アマンダを引き取った人物は「あんな母親がまともに子供を育てられると思うか?」といい、この国では親権を主張されれば虐待されている子供を親から引き離すことすらできないと。アンジーもアマンダはこのまま愛情のある人間の元で暮らす方が幸せだと言い出す。悩んだ末、パトリックは警察にすべてを話す。子供が帰ってくれば、母親はきっと変わる、と信じて。


 アマンダが無事、自分の元に帰ってきたヘリーンは…何も変わらなかった。男をつくって遊びに出かけるヘリーンは様子を見に来たパトリックを歓迎し、ベビーシッターが来るまでアマンダを見ていてくれといって出かけてしまう。ひとり寂しそうにテレビを見ているアマンダのソファの隣にパトリックは腰を下ろす。アンジーは荷物をまとめてでていってしまった。
 ルへインの原作小説のタイトルは『愛しきものはすべて去りゆく』だ。

  


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2018年02月28日

今度は宇宙だ!『ザスーラ』

 この間『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』の完成披露に行ってきた。すでにアメリカでは8週連続ランキング入りというロングランで大ヒット中。元の映画はガッカリズッコケ映画だというのに信じられない受け方が信じられず「今更双六映画のリメイクかよっ」と思ってたんだけど、今回のリメイクは相当面白く、インディ・ジョーンズシリーズみたいな冒険映画の趣があり、青春映画としての甘酸っぱさもありでどの世代が見ても楽しめる内容。



 今回はその前作『ジュマンジ』の「精神的続編」だという『ザスーラ』(05)を見ましたよ。



 『ザスーラ』は『ジュマンジ』がジャングルを舞台にしたリアル脱出ゲームならぬリアル双六ゲームだったが、こちらは宇宙が舞台。そして原作者が同じクリス・ヴァン・オールズバーグ。「精神的続編」とはそういう意味である。

 ウォルター(ジョシュ・ハッチャーソン)とダニー(ジョナ・ボボ)の兄弟は両親の離婚以来ケンカが絶えず、父親(ティム・ロビンス)も子育てに手を焼いていた。スポーツもできる兄のウォルターに比べてダニーは夢見がちで内気。父親は急な仕事が入って兄弟の世話を長女のリサ(クリステン・スチュワート)に押し付けて出て行ってしまう。ダニーは地下室で見つけてきたボードゲーム「ザスーラ」を持ってきて兄に構ってもらおうとする。
 「ザスーラ」はネジを回すと中央のカウンターが回転して出た数だけプレイヤーのコマが進み、止まったマス目のカードに書かれてあることが実際に起きる双六だ。宇宙を舞台にしているのでコマは宇宙船。
 ダニーがひとりでゲームを始め、コマが止まるとカードが飛び出す。「流星群を回避せよ」すると家の天井をぶち破って流星群が降ってくる!しかも自宅の窓の外は宇宙空間になっていて外へ出ることができない…脱出するにはゲームをクリアするしかない。こうして仲の悪い兄弟は力を合わせてザスーラを始めることに。

 この仲の悪い兄弟がゲームを続ける、というのがポイントで二人は何かにつけて言い争ってゲームはまともに進まない。ふてくされたダニーが「パスタをつくる!」と言い出してゲームを放り出したりしてるのを見てるこっちは「そんなことはどうでもいいから、とっととゲームを進めろよ!」とか思っちゃう。この二人がまったく可愛くないのでどうしてもイライラが募ってしまう(そういう脚本なんだけど…)。
 「宇宙飛行士を救え」というカードが出てきて、15年間宇宙をさまよっていたという宇宙飛行士(ダックス・シェパード)が勝手に家の中の食べ物をあさりだすのでウォルターは追い出そうとするがザスーラの敵キャラ、ゾーガン星人を追い払ってくれたことからダニーは残ってくれといい、このことでウォルターは「僕の意見を無視した」と不満顔。
 さらにゲーム盤が移動した衝撃でコマの宇宙船の位置がずれちゃうと「ズルした!」「してない!」とケンカ(いい加減にしろ)。ウォルターはダニーのコマを前の位置にずらすのだが出てきたカードは「不正をしたので罰」。あわれウォルターは宇宙空間に放り出されそうになる。なんとか宇宙飛行士の活躍で助けられるが再び二人はケンカ…

 そんな中、ウォルターは黄金のカードを引き当てる。「流れ星にひとつだけ願い事をする」家の外の宇宙空間を流れ星が通過。険悪になっている二人を見て宇宙飛行士はその願い事だけはやめろと叫ぶ。宇宙飛行士はウォルターがダニーなんかいなくなればいい、という願い事をするのだと思ったのだがウォルターは別の願い事をしていた。宇宙飛行士は
「15年前に自分も弟とゲームをしていたが、ケンカして流れ星のカードを引いた時『弟なんかいなくなれ」と願ってしまい、弟が消えてしまったのでゲームが続けられなくなった。君たちは同じことを繰り返してはいけない」
 と二人を諭す。


 と、ここまで来て二人のしつこいケンカや、仲を取り戻すことの大切さを訴えたいというストーリーのキモがわかるとこの映画俄然面白くなってくる。このままケンカだけしてたらギブアップするところだった。兄弟は協力してゾーガン星人に立ち向かい、故障したロボット(ブリキのおもちゃが巨大化している)を上手く操って窮地を切り抜けていく。
 宇宙船のデザインは50年代の流線形で、トカゲ型宇宙人のゾーガン星人やロボットなどには『ターミネーター』『エイリアン2』『ジュラシック・パーク』のスタン・ウィンストンが関わっている。監督のジョン・ファブロー(『アイアンマン』シリーズ)とウィンストンはCGと特殊効果を上手くミックスさせた映像をつくりあげた。トカゲの宇宙人とか、ブリキのロボットやら流線形のロケットやらが出てきて50年代SF映画のような古典のイメージが『ザスーラ』の面白さである。『ジュマンジ』をあまり気に入っていないというファブローは『ザスーラ』で見事に『ジュマンジ』のガッカリ部分を手直しして、古典SF映画の面白さを十二分に楽しませてくれた。やっぱり特撮では宇宙人とか、見たことないものを見せてくれないとな!


  


Posted by 縛りやトーマス at 09:30Comments(0)特撮・ヒーローレンタル映画館

2018年02月10日

イカレた7人がやってくる『セブン・サイコパス』



 日本で現在公開中の『スリー・ビルボード』(アカデミー作品賞有力候補!)がまったく先の展開が読めないサスペンスで興奮させてもらった。監督のマーティン・マクドナーの作品は一度も見たことがないのだが、ネットフリックスで前作の『セブン・サイコパス』が配信されていたので見ることに。しかしすごいタイトルだな。『7人のイカレ野郎』だもんな。

 で、これが『スリー・ビルボード』同様、まったく先の展開が読めない!売れない飲んだくれの脚本家(コリン・ファレル)が思いつきで『セブン・サイコパス』ってタイトルだけ考えて何も浮かばない(笑)。スランプから彼女(『スリー・ビルボード』でウディ・ハレルソンの嫁役のアビー・コーニッシュ)をクソビッチ呼ばわりして捨てられそうに。
 そんなどうしようもない男の友人ビリー(同じく『スリー・ビルボード』ですぐに切れる暴力警官やってるサム・ロックウェル)がアイデアを出してやる。クエーカー教徒の男が娘を殺された復讐に走るが、クエーカー教徒は暴力を禁じているので攻撃できない。ただ出所した男の周りに必ず現れて精神的に追い詰めていく…
 せっかくいいアイデアを出したのにやはりそれ以上のネタが浮かばない脚本家。心配したビリーは勝手に新聞広告を出す。

「あなたの周りのサイコパスの面白い話を聞かせてください」

 何出してんだよw 結果、ウサギを抱いた男(トム・ウェイツ)がやってくる。彼はかつて黒人の彼女と二人で殺人行脚に出て、『ムーンライト・マーダラー』や『ゾディアック』を殺した(どちらも未解決の連続殺人事件)と言い張るサイコパスだった!
 ビリーはバイトで高級住宅街で散歩されてる犬を攫ってきて、知人ハンス(クリストファー・ウォーケン)が持ち主に返して賞金をせしめるというせこい詐欺行為を働いていたが、ある日地元マフィアのボス、チャーリー(ウディ・ハレルソン)の愛犬を攫ってしまってさあ大変!
 行き違いでハンスの妻が殺され、彼は復讐を誓う。彼の正体はクエーカー教徒のサイコパスだったのだ!その後ビリーも相当イカレたサイコパスだというのがわかって、脚本家の周りはサイコパスがいっぱい!取材対象者は周囲にいたという。


 この後一体どうなるのか、いろんな想像を働かせたんですが、何一つ当たりませんでした。この映画の展開が読めた人いたらすげえと思う。クライマックスもドカチャカ銃撃戦になると思ってたらほのぼのとしたオフビートな展開になったりして、こちらの予想の斜め上を軽く飛び越えていくのが快感。「こんな展開ねえだろ!」と登場人物が切れるぐらいだし。あ、この映画ってコメディなんですよね。

 人の悪そうなギャグと暴力を詰め込んだ『セブン・サイコパス』、あなたの想像力と勝負だ!100%負けるよ。映画が後半に行くにしたがってあの時の話は実はこういう意味だった、あの人の正体は…という風に貼った伏線が見事に回収されていく気持ちよさもある。ちなみに町山智浩さんによるとタイトルには複数形のsがついてるので正確には『セブン・サイコパ』だそうです。


  


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2017年12月24日

お前はジーグだから『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』



 クールジャパン、なんていったところで今日本で放送されてる深夜アニメのほとんどは諸外国ではほとんど注目されず、アニメーターは相変わらずブラックな環境を脱することができず、広告代理店の連中ばかりが儲かってる状況。しかし本当に外国でも人気のあるアニメは存在していて、その一つが永井豪のロボットアニメ。『UFOロボグレンダイザー』はフランスで『ゴルドラック』と名を変えて大ヒットしフランスでもっとも知られた日本のアニメになった。当時フランスに日本の政治家が訪れるというのでフランスはグレンダイザーの像なんかを作って歓待したが、日本の政治家は誰もグレンダイザーを知らずポカーンとしたという…クールジャパン!

 グレンダイザー同様、海外で人気を博した永井豪のロボットアニメ『鋼鉄ジーグ』を幼少時にイタリアで見たというガブリエーレ・マイネッティ監督は「日本のアニメヒーローに影響を受けたイタリアのスーパーヒーローものを作ろうとした」という。『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』という不思議な日本語のタイトルにして。

 主人公のエンツォ(クラウディア・サンタマリア)は窃盗を繰り返して暮らすチンピラだ。ある日高価そうな時計を盗んで追われたエンツォは水路に沈めた放射性廃棄物のドラム缶に落ちてしまう。親父と慕うセルジョの依頼で麻薬取引を手伝うが、トラブルでセルジョは殺され、エンツォも腹に銃弾を受けてビルから落ちる。しかしエンツォは傷一つ追っていなかった。放射性廃棄物に落ちたことで自分が常人ではない、鋼鉄の肉体を手に入れたことを知る。しかしチンピラの生きざまが染みついたエンツォはせっかくの力をATM荒らしなどにしか使わない。

 劇中、イタリアの街で爆弾テロが多発している様子が繰り返し報道されるから、観客はエンツォがスーパーヒーローの使命に目覚めて爆弾テロと戦うのだと想像するが、チンピラのエンツォにとって遊べるだけの金を手にして、アダルトビデオを見ながらヨーグルトにありつく日常だけが自分のすべて。
 そんな彼だがセルジョの娘、アレッシア(イレニア・パストレッリ)がマフィアのジンガロ(ルカ・マリネッリ)に拷問されているのを見て、罪悪感と同情から助けようとする。アレッシアはエンツォの活躍を見て「あなた、司馬宙みたいね!」という。不幸な境遇から精神を病んでアニメ『鋼鉄ジーグ』のDVDを見ることだけが心の支えの彼女は現実世界と『鋼鉄ジーグ』の世界がごっちゃになっている。

「その力を人類のために使って」「闇の日から世界を救うのよ」

 わけのわからないことをいう上にチンピラ生活を戒めようとするアレッシアをエンツォは鬱陶しがるが鋼鉄ジーグのアニメを一緒に見たことで同情以上の行為を持つ。だが触れただけで彼女が激しい拒絶を示すのを見て彼女が精神を病んだ理由がセルジョに性的虐待を受けていた過去にあることを知る。自身も悲惨極まりない少年時代を過ごしていたエンツォは彼女だけのヒーローになろうとする。

 本作は『鋼鉄ジーグ』の実写映像化ではなく、『鋼鉄ジーグ』という作品をヒーローの象徴としたまったく別の物語。でありながら『鋼鉄ジーグ』というヒーローをきちんと表現している。『マジンガーZ』や『ゲッターロボ』といった他の永井豪作品とは違って『鋼鉄ジーグ』は主人公の司馬宙自体がジーグの頭部になるサイボーグで、父親によって知らない間に改造されたというすさまじい過去を持つ。ジーグはヒロイン・美和が操縦するビッグシューターという航空機から打ち出されたパーツを合体させて完成するロボットで、ヒロインがいないとロボットになれない。アレッシアというヒロインがいて初めてヒーローとして成立するエンツォという物語の設定は完全にアニメをなぞっている!

 世界を救うからヒーローなのではない。たった一人の笑顔を見るために立ち上がる男こそがヒーローなのだ。胸が熱くなる映画だった。


  


Posted by 縛りやトーマス at 20:35Comments(2)映画アニメ特撮・ヒーローレンタル映画館

2017年08月26日

ホントの死のゲームはどっち?『青い鯨』と『NERVEナーヴ 世界で一番危険なゲーム』

 ここ数日の間、ネットで話題になっているぞっとするニュース、『青い鯨』。

世界中で少年少女を次々と自殺に追い込んでいく謎の死のゲーム「青い鯨(Blue Whale)」とは?
http://gigazine.net/news/20170825-blue-whale-suicide-game/

 少年少女に自殺を強いるゲームが拡大して大騒ぎに、ってどこのラノベだ、そんな簡単に自殺なんかするわけないだろうと思って記事を読むと、自殺願望や自傷癖のある人が巧妙に釣られて死に導かれるテクニックが書かれてあって、なるほどなと。


>ゲームの方法は非常にシンプルで、VK.com上でリンクを踏むなど何らかの方法で「管理者」までたどり着いたチャレンジャーが、この管理者に従って50日かけてタスクを遂行していくというもの。

>最初のうちは「午前4時20分に起きてホラー映画を見る」といった簡単なものですが、次第に「朝4時20分に起きて屋根に上る」「橋の上に立つ」「屋根の上に座りヘリから足を出す」といった危険なタスクが課されていきます。

>また、「自分を傷つける」「唇を切る」「腕に鯨の絵を彫る」といった自傷行為を求めるタスクも多くあります。そして50日目、チャレンジャーは監督者から自殺を求められるに至ります。


 この説明見て、最近似たような設定の映画があったのを思い出した。『NERVEナーヴ 世界で一番危険なゲーム』だ。



 イケてる友達、シドニーの取り巻きとして辛い日々を送っている(ツライのだ~)女子高生のヴィーはシドニーが公衆の面前で生尻を放り出すのをスマホに取らせて大喜びしている様子に面食らう(そりゃそうだよ)聞けばシドニーは若者の間で流行している闇サイト『ナーヴ』のプレイヤーとして登録し、人気者になっているという。『ナーヴ』は「視聴者」と「参加者」の二つを選び、参加者になると『ナーヴ』から送られてくる指令を制限時間内にこなすことで賞金を得ることができる。ルールは三つ

・自分のスマホで挑戦している様子を写すこと
・「失敗」もしくは「棄権」で失格
・密告した者は制裁される。ナーヴの存在は他言無用


 シドニーから根性なし呼ばわりされることに反発したヴィーは思い切って『ナーヴ』に参加。最初の指令「見知らぬ相手と5秒間キスをする」を無事にクリア。キスの相手だった青年イアンと二人でナーヴに挑むことに。

 ナーヴには見ているだけの視聴者が居て、挑戦している参加者を実況で煽ったりするのだ。プレイヤーにはそれぞれ「視聴者数」が示されてそれが人気のバロメーターになっているため、視聴者からの支持を得るためにあえて過激なミッションに挑戦する(シドニーを始め)プレイヤーがいて、アホなことやって登録者数や動画再生数稼ぎに躍起になるニコ生主やユーチューバーとなんら変わりがない。
 なのでその手の人たちから絶賛されているのかと思いきや、ほとんど相手にされていない様子。参加するやつも見ているだけの人間もろくでもない連中だと描かれているからかな…

 指令は次第にエスカレートしていき、犯罪行為スレスレのものになっていく。この「スレスレ」なのがポイントで、例えば「デパートでドレスを着た写真を撮れ」の次は「デパートから出ろ」になるんだが、試着室に置いた着替えがなくなってしまう。普通は「服を万引きして逃げろ」と解釈するところをヴィーたちは下着姿になって店を出ようとする。確かに「店から出ろ」とは言われたが万引きしろとは言われてない!コンビニで支払い済ませる前にアイス食ったり、路上で乞食行為したり、ドローン飛ばしたりする日本のアホとは発想からして違うのだった。

 面白いのはプレイヤーが他のプレイヤーを妨害するような指令が来ることがあるところ。他のプレイヤーが指令を達成できないようにするような指令が来たりもするので緊張感があり、たった一晩の間に起きた出来事を描いているため、スピード感に溢れ次の展開を予想させない。
 イアンが実はナーヴのリピーターである事実が発覚したり、ナーヴを抜けようとすると視聴者たちからのキッツイ妨害があったりとこの話、どことなく山田悠介っぽい。後半になると謎のハッカー集団が事件をあっさりと解決に導くという底抜けな展開もなんだか似てる。クライマックスはいきなりネット民批判が始まったりして(お前は君塚良一か!!)ひっくり返りそうになりましたが。
 ネット、SNS全盛の時代に生まれるべくして生まれた映画といえる。でもあんなカッコよすぎなハッカー集団はこの世のどこにもいないと思います!もっと不細工と大柄を混ぜておかないと。

  


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2017年07月14日

あーやの人魚姫観に行こうぜ!『人魚姫』




 『西遊記~はじまりのはじまり~』に引き続き、チャウ・シンチーが製作・監督・脚本に徹した最新作。

 ♪ア~ア~ア~アーアアー

 と『ドラゴン怒りの鉄拳』のテーマで始まる本作はタイトル通り人魚姫を題材にした物語だが、『ドラゴン怒りの鉄拳』と通じる部分もある。冒頭、どうしようもなくしょうもないギャグ(褒め言葉よ)で観客の心をガッチリ掴んだ(?)上で本編スタート。青年実業家のリウ・シュエン(ダン・チャオ)はリゾート開発のために必要な一帯の美しい海辺を大金を投じて買い占める。そして海には邪魔な魚を追い払うためのソナーを設置。このソナーが追い払う、とかいうレベルではなく魚を粉微塵に破壊するレベルの超音波兵器で、金魚がバラバラにされる凶悪ギャグが炸裂です。
 リウを強欲な新参者とバカにしている財閥のグループが集まるパーティで露骨にバカにされるものの、一番の金持ちであるリー氏(ツイ・ハーク)に認められ、資金援助を取り付けた上にリー氏の娘、ルオラン(キティ・チャン)をパートナーにしてアフターパーティでも美女に囲まれご満悦。(チビでハゲのジャン社長が金持ちらしくジェットパックで登場。なぜかこの場面で流れるBGMがゲッターロボのOP)しかし傲慢なルオランや金のために群がる美女たちにはうんざりのリウ。そこに突然汚らしい格好の女、シャンシャン(リン・ユン)が闖入。ボディガードが彼女をブレーンバスターでぶん投げる容赦ないバイオレンス!ズタボロの彼女はリウに電話番号を渡して去ってゆく。

 実はシャンシャンの正体は海辺に生息する人魚族で、リーダーのタコ兄(ショウ・ルオ)に命じられ、ソナーのために仲間を傷つけられ、難破船の中でしか生きられなくなった一族の復讐のためにリウをハニートラップに仕掛けて殺してやろうと近づいたのだった。登場シーンはいくらなんでもひどすぎるけど、普段の外見はさすが人魚姫と言わんばかりの美女なシャンシャン。シンチーって美女相手にわざと汚い格好させたり、ボロボロにさせるの好きだねホント。

 シャンシャンはリウに接近し、小さな遊園地に誘い出して好物の屋台チキンを一緒に食べようと誘うが、「この俺がこんなものを食べると思ってるのか?」と憤慨するも結局手づかみで貪り食ってしまう。リウはかつて貧乏だった頃に父親が道端に落ちていたチキンの食べかすを拾って食べさせてくれた過去を涙ながらに語る。強欲な金持ちだと思っていたリウの意外な過去を知ったシャンシャンはリウを殺すことができなくなってしまう。

 ここから物語はラブロマンス方面へ舵を切り、ソナーが人魚族の生態系を破壊したことを知ったリウはリゾート開発を止めさせようとルオランとの提携を打ち切ろうとするが、長年人魚の存在を追い続けてきたルオランは特殊部隊を送り込んで生け捕りにしようとする。
 貧乏だった頃の復讐にと金だけを追い求めてきたリウはシャンシャンに出会って人間の心を取り戻し、すべての財産(最後には命まで)を投げ打ってシャンシャンら人魚族を救おうとするクライマックスシーンはあまりにベタだけど泣いてしまうやないか。部隊が人魚たちを捕まえろ!っていうんだけど、水中に銃弾をバカスカ撃ち込んで(水中じゃ威力は相殺されると思うんだけど)捕獲、ってあれ、ほぼ惨殺してるよな…そんな凶悪さの直後に人魚族のボスである長老のババアが登場!このババアが部隊を巨大なヒレであっさり蹴散らしてゆく。シンチー映画お馴染みのババアが強い!(ポスターにもなってる七色のヒレは実はババアのもの)
 おとぎ話のフリしてシンチーらしさがまったく失われていないので安心した。

 見終わった後で、シャンシャン役の吹き替えがあの!平野綾さんだったことを知りもう一度見直す。冒頭のズタボロにされてる時の声と一転、美女になる声の切り替えは素晴らしく、チキン屋のデュエットなど、さすがミュージカル女優の片鱗を見せつけていた。あーやかわいいよあーや。

  


Posted by 縛りやトーマス at 14:41Comments(0)平野綾レンタル映画館

2017年07月12日

パワーレンジャー・クラブ

 7月15日から公開される『パワーレンジャー』はみんな知ってる東映のスーパー戦隊シリーズの『恐竜戦隊ジュウレンジャー』のローカライズ『マイティ・モーフィン・パワーレンジャー』のリメイク映画である。当然、「日本初のヒーロー物が逆輸入」という、スーパー戦隊を始め特撮ヒーロー番組大好きな人々が興味を惹くように宣伝されている。
 しかし各媒体にはジュウレンジャーや特撮番組には別段思い入れもない人たちもいるわけで、そんな人達が「ハリウッド映画だから」という理由で仕事のために見たくもない映画を見せられ(それが仕事なんだけど)、トンチキな文章を書いてしまったケースが多々。その代表的なのが映画.comのコレ。


パワーレンジャー 特集:「ああ、戦隊モノか……」と思ったヤツ、ちょっと来い!声を大にして言わせてもらう──“実は”とんでもなく面白い!!「パシリム」「アベンジャーズ」好きなら絶対見ろ!”
http://eiga.com/official/power-rangers/

 声を大にして言わせてもらうと、とんでもなくつまんねえぞこの特集記事!「ド直球な少年ジャンプの世界」とか「パシリム、アベンジャーズ、トランスフォーマー好きならマチガイナイ」って、完全に間違ってるよ!
 記事担当者はそもそもアベンジャーズやトランスフォーマーすら興味がなくて、自身の映画情報とパワーレンジャーが合致するキーワードが「少年ジャンプ」やアベンジャーズ、トランスフォーマーしかなかったのだろう。映画.com編集部に一人ぐらいいないの?特撮大好きな編集員が。他のWEB、紙媒体でも似たようなもんで元ネタに対する最低限の情報や理解、思い入れがあった上で書いている人がほとんどいない!中にはモノブライトの出口博之さんとかオジンオズボーンの篠宮暁さんとかいるんだけど…

 しかし、今回言いたいことはそれではない。『パワーレンジャー』にはもう一つ重要なキーワードがある。それは「青春映画」だ。
 パワーレンジャーとなる5人の若者はそれぞれ、フットボール選手(レッド)、チアリーダー(ピンク)、自閉症の天才少年(ブルー)、トランスジェンダーの少女(イエロー)、不登校のアウトロー(ブラック)というキャラクター分けがされている。彼らは本来なら所属するカテゴリーが違うので絶対に出会うことはないはずだが、あることから土曜の補習授業に出る羽目になる…ってそれ、『ブレックファスト・クラブ』だよ!

 『ブレックファスト・クラブ』は85年に公開されたジョン・ヒューズ監督(代表作『ホーム・アローン』)のカルト青春映画で、スポーツ野郎、お嬢様、ガリ勉、不思議ちゃんにチンピラ…というスクールカーストのせいで普通に生活していたら学校では絶対に出会わない5人がある事情から土曜の補習授業を受けさせられ「自分は何者か」という作文を書かされる。
 『パワーレンジャー』のキャラクター、展開は『ブレックファスト・クラブ』を完全になぞっている。監督のディーン・イズラライト自身もインタビューで認めてしまっているぐらい。


『パワーレンジャー』ディーン・イズラライト監督インタビュー ジョン・ヒューズから『ロサンゼルス決戦』まで!映画を構築した要素とは
https://spice.eplus.jp/articles/134730

――高校のスクールカーストに属する主人公たちから、ジョン・ヒューズ監督の『ブレックファスト・クラブ』を連想しました。同作を意識して製作されたんでしょうか?

そうです。『ブレックファスト・クラブ』を2017年版として作るなら、それも、スーパーヒーロー映画のレンズを通して作ったらどうなるか、ということを考えて製作しました。そうすると、すごくユニークなスーパーヒーローものが出来るんじゃないか、と思ったので。ぼくは、ジョン・ヒューズ監督の映画が大好きなんです。彼はティーンエイジャーの経験をテーマにした作品をたくさん作っていますが、どれも非常に娯楽的でありつつ、ダークでエッジが立っていて、バランスが凄くいいと思うんです。

――主人公たちのキャラクターは『ブレックファスト・クラブ』より現代的で、複雑ですね。特に、イエローレンジャー/トリニーが自身のセクシャリティに悩む姿が、非常に自然に描かれていたのが印象的です。スーパーヒーロー映画では初めてだと思いますが、なぜこのような設定に?

脚本のジョン・ゲイティンズ(『リアル・スティール』など)と話したのは、2017年の観客に訴えかけられる問題を描いて、『ブレックファスト・クラブ』の現代版にするにはどうしたらいいか、ということです。そうすると、今の若者の“悩み”を提示しないといけない。『ブレックファスト・クラブ』の主人公たちがアイデンティティに悩んでいたように、今日的なアイデンティティの問題のひとつとして、セクシャリティを取り上げたわけです。



 このようにイズラライト監督はどちらというと「スーパーヒーロー映画」よりは「青春映画」を撮りたかったようで(前作の『プロジェクト・アルマナック』も青春映画だし)、『ブレックファスト・クラブ』も『パワーレンジャー』の5人も始めはぶつかり合い、言い争うが、少しずつ自分の悩み事を打ち明けていくことで友情という絆で結ばれた5人は巨大な敵に立ち向かう。『ブレックファスト・クラブ』ではスクールカーストに、『パワーレンジャー』では街を滅ぼそうとするリタ・レパルサというヴィランに。

 一見、共通点のない二本の映画を上手く融合させており、イズラライト監督の目の付け所には唸らされる。普通にアクション映画を目指そうとしたらこんな作り方にはならないだろう。
 少年ジャンプがどうだの、アベンジャーズやトランスフォーマーがどうだのって言われても、監督が目指している方向とは全然違うよ!
 「ファンが見たいのはアクションであって、青春映画なんかじゃないよ!」という意見もあるだろうが、かつてスーパー戦隊シリーズが東映内部で「空気のような」存在だった時にトレンディドラマの要素を取り入れてシリーズに新たな風を吹き込んで成功した『鳥人戦隊ジェットマン』といったケースもある(ジュウレンジャーはその翌年だ)。イズラライトの『パワーレンジャー』は2017年のジェットマンと言えなくもないのだ。





  


Posted by 縛りやトーマス at 23:18Comments(0)映画レンタル映画館