2018年05月26日

東映あかりん

 東映の11月公開作品、『走れ!T高バスケット部』のスタッフ、キャストが発表された。


https://www.toei.co.jp/release/movie/1212760_979.html

 弱小バスケット部の青春を描いた同名小説の映画化で、監督は『オトシモノ』『トワイライトシンドローム デッドクルーズ』『アナザーAnother』『ルームメイト』といったホラー、サスペンスでヒットを飛ばし、最近では『今日、恋をはじめます』『クローバー』『ReLIFE』などの青春恋愛映画で話題の古澤健。
 出演は志尊淳、戸塚純貴、鈴木勝大、西銘駿、竹内涼真…という東映おなじみのライダー、戦隊出身俳優で固められてます。そしてマネージャー役に早見あかり!タイトルに『走れ!が入っているのは偶然なのか…公式Twitterでは撮影中にあかりんが行くぜっ!怪盗少女の振り付けをしている動画が…

https://twitter.com/tkoubaske/status/999206410444455938

 俺たちのハートも狙い撃ちする本作は11月3日公開です。

http://tkoubaske.jp/sp/comment.html


  


Posted by 縛りやトーマス at 00:26Comments(0)映画特撮・ヒーロー

2018年05月16日

80年代オタク万歳『レディ・プレイヤー1』



 2045年の世界は貧富の差が拡大し、多くの人間はスラムと化した街での暮らしを余儀なくされたため、世界中の人々は仮想現実OASISに入り浸るようになった。OASISを開発したクリエイター、ジェームズ・ハリデーは自分が亡くなった後にビデオメッセージを残し、OASIS内にイースター・エッグを隠し、エッグにたどり着くために必要な3つの鍵を手に入れ、一番最初にエッグを手に入れたものに自分の遺産56兆円とOASISの管理権を渡すという遺言を公開した。
 ハリデーの意思を継ごうとするハリデー信者たちをはじめとするガンターと呼ばれるエッグハンター、そしてOASISを手に入れ金もうけのために利用することを企む大企業IOIの送り込んだシクサーズが激しい争奪戦を繰り広げる。しかし最初の鍵を見つけることすらかなわぬまま数年が過ぎていった。鍵を見つけるためにはハリデーが青春時代を過ごした80年代のポップカルチャーに詳しくなくてはならないからだ!


 72年生まれの作家、アーネスト・クラインはアメリカのゲーム会社、アタリが崩壊するきっかけとなったアタリショックの原因のひとつと言われるゲームソフト『E.T.』があまりの売り上げ不振のため、売れ残ったソフトを穴を掘って埋めた、とされる「ゲームの墓場」を探り当てるドキュメント『アタリ:ゲームオーバー』を制作し、穴を掘り起こす作業には愛車のデロリアンで駆け付け、『ディグダグ』のシャツ姿で颯爽とデロリアンを降りる様子を見せつけていた、筋金入りのオタクである。

 そんな彼は小説『ゲーム・ウォーズ』(原題『レディ・プレイヤー1』)に自分の好きな映画、音楽、ゲーム、アニメ、特撮といった要素をぶち込んだ。OASISで鍵を見つけるためにはゲームや映画、音楽、特撮に詳しくなくてはいけないという…要するにオタクじゃないとハリデーの遺産を受け継ぐ資格がない!原作小説で主人公たちは『フェリスはある朝突然に』を全部再現させられたり、『ジャウスト』(ファミコン『バルーンファイト』の元ネタとなったゲーム)をクリアさせられたりする。
 クラインのオタクっぷりは日本のアニメや特撮にまで発揮される。特にクライマックスはハンター同士の巨大ロボット戦になるのだが、勇者ライディーンマジンガーZ、エヴァンゲリオンボルトロン(日本のロボットアニメ百獣王ゴライオン)超電磁ロボ コン・バトラーVが敵のメカゴジラ(!)と激突する。主人公もひとつロボットを選んで参戦するのだが、なんと主人公が選んだのはレオパルドン!あの東映版スパイダーマンに登場する巨大ロボットだ。日本人でも忘れてる人がほとんどなのに、なぜアメリカ人のクラインが知ってるんだよレオパルドン!(最近になってアメコミのスパイダーバースシリーズに登場してるけどさ…)
 残念ながらレオパルドンは「アメリカでは誰も知らない」という制作側の偉いさんのひとことで登場できなかったが、映画では代わりにガンダムが登場する。日本人ガンターのダイトウ(PrizmaXの森崎ウィンが熱演!)が仲間の危機にガンダムに乗って駆け付ける。
「俺は、ガンダムで行く!」
 のセリフとともに…


 原作ではウルトラマンが登場してメカゴジラと決戦を繰り広げるドリームマッチなのだが、ウルトラマンは例の権利関係の問題で出すことができなかったため、ガンダムが3分しか活動できないという要素が付け足されることになった。しかし日本での映画公開後に円谷プロが勝訴。もう少し制作が遅れたらウルトラマンが出られたのに…!残念!


 このように小説ならば文字だけだから問題ないだろうけど、映像作品にするにはハードルが高そうな内容だ。この監督に選ばれたのはスティーヴン・スピルバーグ!80年代に『インディ・ジョーンズ』シリーズや『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ、『E.T.』などを制作して第一線で活躍していた男が「80年代最高だぜ!」な映画をつくるという奇跡の企画なのだ。
 映画版では80年代最高!という描写はやや抑えられ、ハリデーの人生を追うことでイースター・エッグにたどり着くことが可能になるという展開になってはいるが、OASIS内にはありとあらゆる映画のキャラクターが登場する。権利関係を越えて登場させることが可能になったのはスピルバーグの威光があったからに違いない。80年代に青春を過ごした僕なんかはわかるのだが、70年代のカルチャーこそが最高で、80年代には何もないとされていたのだ。そんな中、80年代のエンターテイメント界をほとんど一人で牽引していたのがスピルバーグだった。スピルバーグがいなけりゃ80年代は本当に何もないクズのような年代になってたところだ。
 御年71歳のスピルバーグが80年代、30代半ばの頃にやってたような冒険活劇を撮れるというのが何しろ凄い。宮崎駿に30代の頃にやってた作品がまたやれるかっていうと、絶対無理だと思う。

 物語は「仮想現実ばかりに閉じこもってないで、現実世界を楽しもうぜ!」っていう僕のような人間には耳が痛いオチなんだけど、スピルバーグだから優しく肩を抱いてくれるオチなんだよ。庵野秀明なら「現実に帰れ!」って上から目線になるところだ。ありがとうスピルバーグ。僕も56兆円あったら現実に帰ろうと思います。


映画のエンディングに流れるベストヒットUSAでおなじみのやつ

  


Posted by 縛りやトーマス at 16:30Comments(0)映画特撮・ヒーローVR

2018年05月15日

韓国映画界が羨ましい『タクシー運転手 約束は海を越えて』



 この映画を観てわかったことは、最近の韓国映画のある方向性と、邦画は逆さになってもかなわないってことですね。

 1980年5月。韓国・ソウルでタクシー運転手をしているシングルファーザーのマンソプ(ソン・ガンホ)は若くして亡くなった妻の忘れ形見である11歳の一人娘を育てるために一生懸命な、ごく平凡な労働者。ソウルで連日行われる学生デモには「親の金で大学まで行かせてもらった連中がデモごっこか。サウジアラビアの油田にでも行って働け」と愚痴をこぼす。
 ある日、光州まで行ってくれれば10万ウォンを払うという外国人の客を乗せる。大金に釣られてタクシーを走らせるマンソプだが、軍の検問に引っかかって光州には入れない。しかし「光州に入らなければ金は払わない」という客は軍の兵士に向けて密かにビデオカメラを回していた。客の正体はドイツ人記者のピーター(トーマス・クレッチマン)で、光州で起きている大規模な民主化デモのことを取材しに来たのだ。マンソプとピーターは裏道を通ってなんとか光州に入り込むが、彼らが目の当たりにしたのは、民主化デモに対して暴力や銃弾で弾圧を加える軍事政権の姿だった。


 映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』は1980年5月に起きた光州での軍事クーデターに抗議する民主化デモを弾圧した光州事件を基にした作品だ。光州事件は韓国国内では長い間「共産主義者による活動」とされていたが、実際は地元の民衆が自発的に起こしたものだった。その民主化デモに対して現地で戒厳令を敷く軍隊が不当な弾圧を加えて、最終的に約140人の民間人が犠牲になった。この事件が海外に知られるようになったのはドイツ人記者のユルゲン・ヒンツペーターが命がけで光州に潜入して撮影した映像のおかげだという。ヒンツペーターが光州に向かう際にタクシーをチャーターし、その運転手の名前はキム・サボク。映画におけるピーターのモデルがヒンツペーターで、マンソプのモデルがキム・サボクだ。

 マンソプは軍部による情報統制を疑いもせずに信じているので、軍隊が何もしていない民衆に銃弾を撃ち込む様子を見せられ唖然とする。光州で現地のタクシー運転手たちに助けられながら、家に残してきた娘が心配になって命からがらソウルにひとり舞い戻る。ソウルでは光州での出来事など何もなかったように人々が暮らしている。民主化デモは「共産主義者のテロ」として報道され、民間人の死者は兵士の死とすり替えられている。食堂で注文した冷麺をすごい勢いで啜るマンソプを見て「そんなに腹が減ってるのかい?これも食べなよ」とおにぎりをサービスしてくれるのだが、マンソプは光州で出会った民主化デモの参加者が差し入れだといって渡してくれたおにぎりのことを思い出す。光州の実態を知ってしまった以上、知らないフリはもうできない。自分はただのタクシー運転手だけど、自分にできることをやろうと思った彼は娘に電話をかける。

「お父さんは大事な仕事があるんだ。大切なお客さんをソウルまで送り届けないと。それがお父さんの仕事なんだよ」

 戻れば殺されるかも知れないのにマンソプはピーターをソウルへ送り届けるためにタクシーを走らせる。無抵抗なデモの参加者に戒厳軍は銃弾を撃ち込む。倒れて呻いている怪我人を助けようとする民衆にも容赦なく撃ち込まれる銃弾!マンソプは光州のタクシー運転手の仲間たちとともにタクシーを戒厳軍の前に横付けして怪我人たちを救う。クライマックスは追っ手から逃れるカーチェイスだ。あと一歩で追いつかれそうになるところをタクシー運転手の仲間たちが駆け付ける。タクシーで!なんという胸熱の展開か。


 光州事件というのは韓国の歴史の恥部であり、政府批判の内容でありながら去年の韓国内興行成績のトップを記録した。政府批判の映画が堂々作られてそれを国民の多くが観に行っているのだ。

 最近の韓国ではこのような政府批判の映画が作られ、ヒットしている傾向があり、2016年に興行ランキング4位となった『トンネル 闇に鎖された男』は崩落したトンネルに閉じ込められた男を救助しようとする話だが、途中でトンネルの手抜き工事が明らかになるのに会社は一切責任を取らず、近所で大きなトンネル工事をやっている最中なのでそちらを進めたいからと救助計画の邪魔をする。大臣がやってくるが深刻そうな顔でマスコミ向けの「ちゃんとやってます」アピールをするだけで具体的には、何もしない。明らかにセウォル号事件を揶揄するような内容で、あの事件と朴槿恵政権批判が今の韓国映画界に影響を与えているといえる。

 このような映画がつくられヒットしているという事態は日本では絶対にありえないだろう。韓国映画界が羨ましい。


  


Posted by 縛りやトーマス at 00:32Comments(0)映画

2018年05月07日

ヤプール人の魔の手が伸びる『パシフィック・リム:アップライジング』



 奴らが帰ってきた!巨大ロボットとカイジュウ(怪獣ではない)が地球の覇権をかけて激突する映画『パシフィック・リム』5年ぶりの続編だ。怪獣大好き!ロボット大好き!なオタク監督ギレルモ・デル・トロは『シェイプ・オブ・ウォーター』に専念していたので今回の監督はスティーヴン・S・デナイトにバトンタッチ。デナイト監督はデル・トロに負けず劣らずのオタクなので、異なるアプローチで続編に挑んだ。


 海底の裂け目からやってくるカイジュウと異種族プリカーサーの侵略を巨大人型兵器イェーガーで撃退した人類は10年もの間、つかの間の平和をむさぼっていたがPPDC(環太平洋防衛軍)はカイジュウたちの再来に備えて新型イェーガーの開発とパイロットの育成を急いでいた。
 中国の巨大企業、シャオ産業は元PPDCの研究員だったガイズラー(チャーリー・デイ)の協力の元、無人機ドローン・イェーガーの開発に着手。新型の有人機第6世代イェーガーか、無人機のドローン・イェーガーのどちらを正式採用する採択されるシドニー会議の場に謎の黒いイェーガー、オプシディアン・フューリーが現れ会場を破壊する。前回にはなかったロボット同士の激突だ!しかも相手のボディは黒!ライバルロボットはやはり黒でないとな…!デナイト監督の「おまえ、わかってるな」感が早くも炸裂する!
 前作で地球を救った英雄ペントコストの息子ジェイク(ジョン・ボイエガ)と相棒ネイト(スコット・イーストウッド)のあやつるジプシー・アベンジャーはあっさり敗れ、同じく前作の英雄だった森マコ(菊地凛子)もあっさり死亡!これがあまりに突然の死すぎて、デナイト監督はマコの死を受け入れられないファンにインタビューを通して解説することに。


【ネタバレあり】デナイト監督のパシリム裏話

https://twitter.com/i/moments/993059828313411584

 マコが死の直前に送信したデータからシベリアの廃棄されたイェーガー燃料工場に向かったジプシー・アベンジャーは再び現れたオプシディアン・フューリーを撃退。コックピットにはカイジュウの細胞が埋め込まれていた。この事態にPPDCはドローン・イェーガーの採用を決める。ハーマン博士(バーン・ゴッドリーブ)はガイズラーが10年前にカイジュウの脳とリンクしたことでプリカーサーから操られていることを知る。ガイズラーはドローン・イェーガーにカイジュウの細胞を組み込んで暴走させ、海底の裂け目から新たな3体のカイジュウの侵入を成功させる。目的は日本の富士山にある火山帯にカイジュウの血液を流し込んで大爆発を起こさせること。PPCDは残されたわずか4体のイェーガーに地球の未来を託す。イェーガーは決戦の地、東京を目指してロケットブースターでぶっ飛ぶ!


 前回は知能などまるでないように思われたプリカーサーにかなりの知能が感じられ、前作の味方を操って仲間割れのような状態を作り出している。まるで『ウルトラマンA』における異次元人ヤプールのようないやらしい作戦なのだ。そうすると東京で現れる合体怪獣の元ネタはA最終回に登場するジャンボキングか!?そういえば主人公のジェイクはラストでもう一人の女性主人公、アマーラと一緒にイェーガーに乗り込むんだけど、これってやっぱり北斗と南のウルトラタッチを意識してるのかな…二人が仲間からなかなか信じてもらえなかったり、途中で「追放だ!」って言われるのも北斗が竜隊長にすぐ「お前は謹慎だ!」って言われるのを彷彿とさせるな。
 見れば見るほどラストの決戦はエヴァ風というよりはウルトラマンA風だよな…デナイト監督、どこまでオタクなんだ!!

 こうなったら続編は死んだとされていた森マコが月星人・森マコとかになって帰ってきてくれないと納得できないな。デル・トロとデナイトならやってくれる!怪獣オタクのみなさんは満足の一本でしょう。



  


Posted by 縛りやトーマス at 00:34Comments(0)映画特撮・ヒーローオタク

2018年05月06日

今度はゲームソフトだ!『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』



 あの『ジュマンジ』が帰ってきた!「なぜ帰ってきた!?」と言われたこのリブートである。95年に公開された『ジュマンジ』は当時流行っていた『ジュラシック・パーク』の影響でCGをやたらと使ってみたかった映画のひとつで、街中でサイが暴れまわることとロビン・ウィリアムズが出ていたことや「CGで演出は派手になったけど、物語は今一つ」と水野晴郎先生がクサしていたことしか覚えていない。同じ原作者による精神的続編の『ザスーラ』はスタン・ウィンストンによるブリキのロボットやトカゲ宇宙人、流線形ロケットなどのガジェット面の見どころが多くて楽しめるんだけどねえ。

 そんなすでに忘れ去られた映画のリメイクがなぜアメリカで大ヒット。ソニー・ピクチャーズの歴代興行成績No.1というのだから…一体なぜ?と思ってたけど映画を見るとすぐにわかった。


 前回で捨てられたボードゲーム「ジュマンジ」はある人物に拾われるが、すでに時代はコンピューターゲーム全盛期。「今どき双六なんかダセえよ!」と見向きもされない。ならばこうだ!とジュマンジはゲームソフトに変身!呪いのビデオで感染する貞子が後のシリーズではネットを使って広がったような進化の過程を見るようだ。そのゲームを始めた少年アレックスはゲームの世界に閉じ込められてしまう。
 時は流れて2016年。とある高校生4人は学校で問題を起こした罰として放課後の学校で掃除を命じられる。4人は地下室で偶然見つけたゲーム「ジュマンジ」をプレイ。スタート時に選べる5人のキャラのうち4人(1人はすでに選択されていた)を選んでスタート。すると4人はゲームの世界に吸い込まれる。そのゲーム「ジュマンジ」の中では彼ら自身が選んだ実際の姿とは正反対のアバターになってしまう。やせっぽっちのゲームオタク、スペンサーは筋肉ムキムキのマッチョマン、ドウェイン・ジョンソンに。アメフト選手のアンソニーは頭脳派キャラのケヴィン・ハートに。シャイな小心者のマーサは超セクシー系の美女、カレン・ギランに。セルフィ―好きでインスタ映えしか考えてないべサニーはデブオヤジのジャック・ブラックに!(このキャラが一番強烈)
 彼らは現実の学校生活でも所属するカテゴリーが違う生徒たちなので、お互いのことをほとんど意識していなかったが、ジュマンジ内でまったく違う自分を演じさせられることで互いのことを初めて理解することができる…これって『ブレックファスト・クラブ』じゃないか!

 『ブレックファスト・クラブ』はジョン・ヒューズ監督のカルト青春映画でスクールカーストをはじめて描いたアメリカ映画とされている。近年『パワーレンジャー』(2017)でも引用されていた。ゲーム世界における荒唐無稽な冒険映画でありながら学生時代に誰もが経験したカテゴリーの違う生徒たちの衝突、それを経てわかりあう様を描いているのでどの世代の誰が見ても突き刺さる青春映画なのだ。こりゃあヒットするわけだ!まさか『ジュマンジ』で泣くとは思わなかった。改めてジョン・ヒューズの素晴らしさも再確認できる傑作なのだった。


  


Posted by 縛りやトーマス at 00:40Comments(2)映画

2018年04月30日

カンフーものに外れなし『映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ~拉麺大乱~』



 劇場用映画26作目。横浜・中華街を模したようなカスカベの中華街・アイヤータウンに入っていくマサオくんを見つけたしんちゃんをはじめとするカスカベ防衛隊は後をつけていくと、マサオくんは謎の拳法、ぷにぷに拳の師匠(CV:関根勤)に弟子入りしているという。一緒にやらないかと誘われるも面倒くさがるしんちゃんだったが、師匠の一番弟子である美少女のランちゃん(CV:潘めぐみ)を見て弟子入りを即決。「ぼく、兄弟子だから」と先輩風を吹かせるマサオくんだが、しんちゃんたちは8つあるぷにぷに拳を次々マスターしていくが、マサオくんはひとつも会得できないのであった。
 そのころ、アイヤータウンでは一度食べたら病みつきになり、禁断症状から暴力的になってしまうほどの中毒性を持つラーメン、ブラックパンダラーメンが大流行り。ブラックパンダラーメンのボス、ドン・パンパンはアイヤータウンを次々地上げしてチェーン店舗を建て続けていた。その魔の手は師匠の家にも伸び、対決の末に秘孔を突かれた師匠は「パンツ丸見え」しか言えなくされてしまう。師匠の仇討ちのため、ランちゃんとしんちゃんは猛特訓の末ぷにぷに拳の奥義8つをマスターし、伝説の最終奥義を会得すべく中国へ旅立つ。

 ドン・パンパンの目的はブラックパンダラーメンで稼いで稼いで稼ぎまくって大儲けするという、金もうけだけが目的の珍しい設定。映画クレしんの悪役の目的は世界征服とか、自分の思い通りの世界にするとかが最終目的で、過去のものすごいトラウマのせいでそうなったりするんだけど、今回の敵はそういうのが一切ない。それに中盤であっさりやられてしまう!
 中国でぷにぷに拳の精(声はサモ・ハン・キンポーの吹き替えでおなじみ、水島裕)から最終奥義を得る資格があるのかどうか問答になるのだが、ランちゃんは「正義のため」とか堅苦しいことばかりいう一方、しんちゃんは「最終奥義を得たら、ななこお姉さんとデートする!」とかふざけたことばかりのたまうものの、ぷにぷに拳は身も心も柔らかくしないとダメ!ということでしんちゃんが最終奥義獲得者に。納得できないランちゃんはしんちゃんが渋っている間に権利を横取りする形で最終奥義を得、帰国してドン・パンパンを片付けるも本当に悪いのはブラックパンダラーメンではなく、この世の色んな悪が問題なのだ!とコンビニで傘を持ち逃げする客を「お前の傘じゃないだろ!」と叩きのめし、満員電車ですかしっ屁をこくサラリーマンを「人に迷惑かけるな」とボコボコにしたりと、些細な悪すら許さぬ正義の人になってしまう。

 この「ヒロインが最後に悪になってしまう」という意外な展開は、僕と同い年の監督の高橋渉が「子供の頃漫画で読んだ、ゲームの『スパルタンX』でヒロインのシルビアが最後に襲い掛かってくるっていうネタが元で…」ってそれ、ファミコンロッキーじゃないか!!同じカンフーが題材とはいえ、こんなところでネタにされるとは…



 さて本作は映画の前半に張られていた伏線を見事に回収してオチがつくのだが、あまりに意外なオチのつけ方でのけぞった。そんなバカバカしい終わり方になるなんて…高橋渉監督作はロボとーちゃんやユメミーワールドなど、泣かせに走りすぎてて好きじゃなかったけど、今回はバカバカしい終わらせ方にして気持ちよかったね。カンフーものに外れナシだ。4人体制になってからの新曲となったももクロの主題歌『笑一笑 ~シャオイーシャオ!~』も作品テーマとあってバッチリだ!出番が1分以下なのはともかくとして…

  


Posted by 縛りやトーマス at 11:57Comments(0)映画アニメももいろクローバー

2018年04月28日

花は咲くか『ミスミソウ』



 怖い絵柄だけど普段は『でろでろ』とか愉快で陽気なギャグマンガを描いている押切蓮介が初めて本気のホラーを発表したところ多くの読者にカテゴリー5のトラウマを残した傑作の実写化。初期の単行本の帯に「精神破壊(メンチサイド)ホラー」って書いているぐらいのやつだから…『でろでろ』では妖怪やオバケを力づくでぶん殴った押切蓮介が今度は読者の精神をナイフでえぐり取る!
 内容のえげつなさから定番の「実写化不可能」と謳われていたが、えげつない物語づくりには定評のある内藤瑛亮によって完全映画化。クランクインの40日前にオファーが来たそうで、邦画にありがちな話とはいえそんな状況でよくもまあ、こんな傑作を作り上げたものだと唸らされた。


 過疎化が進む東北の街にある中学校に父親の仕事の都合で転校してきた中学3年生の野咲春花(山田杏奈)は「東京からきた」という理由だけで小黒妙子(大谷凜香)をリーダーとするクラスのグループから激しいいじめを受けていた。クラスの担任・南(森田亜紀)に訴え出ても生徒数の減少で廃校が決まっているので、面倒事を起こしてほしくないと相手にされない。卒業するまで春花は不登校を決めるがいじめグループの末席にいる流美(大塚れな)が春花の自宅にやってきて、春花が学校に来なければ自分がまたいじめの対象になると喚くのだった。
 そんな春花にとって唯一の救いはクラスメイトでただ一人味方になってくれる相場晄(清水尋也)で同じく東京からやってきた晄は写真が趣味で、まだつぼみの雪割草(ミスミソウ)の写真を撮って「春になって花が咲いたら一緒に東京に行こう」と誘われる。その帰り、春花の家は不審火で全焼する。両親は死に、妹は全身火傷の重症を負う。それはいじめグループによる放火であった。
 ショックで失語症に陥りながらも春花は登校するようになり、何事もなかったようにふるまう春花をいじめグループは恐れ、内3人が春花を呼び出し、自殺を強要する。放火の真相を知った春花はその場で3人を殺し、命がけの復讐をはじめる。


 一年中のほとんどが深い雪に包まれ、カラオケもレンタルビデオもない閉鎖的な田舎町で少年少女が静かに狂っていき「いじめぐらいしかやることがない」という理由でいじめられるヒロイン像には多くの観客が同情できるだろう。(「この閉鎖的な街に君の存在は毒だ」と言われるほどのヒロインを演じた山田杏奈の美しさも完璧)だから春花が家族の復讐のためにいじめグループを丁寧にいろんな手段で片づけていく展開にはどんなに手口や殺害方法が陰惨でも拍手を送ることはできる。しかしターゲットの残りがリーダーの妙子と末端の流美だけになったところで物語は別の展開を見せる。
 そもそも流美が放火のきっかけをつくり、妙子は知りながらも現場にはいなかった。春花に復讐された仲間の死体を見つけた流美は「私たちも殺される」と妙子に助けを求めるが「自業自得じゃん」と突き放される。妙子は春花が転校したとき、最初にできた友達で、ある出来事がきっかけで彼女を憎むようになったがグループの仲間に彼女を虐めるようにいったことは一度もなく、春花をいじめる仲間たちのそばで静かに立っているだけ。むしろ春花のことが好きだった、ということがわかってくると観客は戸惑うしかない(ただ、そばに立っているだけで風格を漂わせる大谷凜香の存在感は圧倒だ)木漏れ日の差し込む教室でカーテンにくるまれながらキャッキャウフフしているシーン(内藤監督は乃木坂46の『ぐるぐるカーテン』のPVを意識したという)はそれまでの陰惨な血まみれ劇と落差が激しすぎる。
 ついにバス停で妙子と春花が和解するに至り、復讐劇はあっさりと幕を下ろす。流美がノートに妙子の落書きをするほど密かに妙子のことを想っていて、「春花に晄を取られたから、妙子は春花のことを憎んでいじめたのではないか、放火も妙子のためにやったのに」と自分の気持ちをわかってくれない妙子を帰り道で凶刃にかける流美!登場人物の誰もかれもが勝手に他人の気持ちを曲解している(春花も妙子の本当の気持ちがわかっていなかった)。

 加害者側の人間性が明らかになるともう、観客は無邪気に春花のことを応援することなどできない。生き残ったものたちが勝手な思い込みを暴走させる愛憎劇になり、そしてラストシーンに至るわけですが、たったひとりの人間が罪を背負って生きていくことになる、という結末は原作から改変されているものの、原作者の押切蓮介が「こっちにすればよかった」と惜しんだほど秀逸で、ミスミソウの花が咲くクライマックスと見事につながっている。花は咲いた!




クライマックスに大音量で流れるタテタカコの『道程』主題歌としてつくられたようにハマっているが、実際は既発表曲


  


Posted by 縛りやトーマス at 11:27Comments(0)映画漫画

2018年04月21日

巨匠のマジコン疑惑

 80年代オタクが大歓喜の映画『レディ・プレーヤー1』、日本でもつい公開され大ヒットを記録。巨匠スティーヴン・スピルバーグ監督がまるで30~40代ぐらいの時に撮ったかのような瑞々しいアクション・アドベンチャーで、まさに年代そのものが80年代に回帰したかのような傑作の誕生です。これを71歳のスピルバーグが撮っているというのは物凄いことです。
 そんなスピルバーグ監督が来日、映画について語ってくれました。

【インタビュー】『レディ・プレイヤー1』スティーブン・スピルバーグ監督「皆さんを、空想と希望のある世界にいざないたかった」
https://ovo.kyodo.co.jp/interview/a-1149929

>-監督は、実際にVRゲームをプレーしたことはあるのでしょうか。

>プレイステーションで「マリオ」などをやりました。最初にやったときはゴーグルを外したくありませんでした(笑)。


 「プレイステーションでマリオをやった」ってどういうこと?映画の中にガンダムが出てきたり、『シャイニング』を追体験していることよりもこっちの方が気になってしょうがない!
 まさか巨匠がマジコン的なアイテムを使っていたということなのでしょうか?いやそんなことはあるまい。なにしろスピルバーグは巨匠ですから、巨匠に相応しいPSでもマリオが遊べる巨匠専用ハードを所有しているに違いない。さすが巨匠は一味違うぜ。




  


Posted by 縛りやトーマス at 23:18Comments(0)映画オタクハリウッド・スキャンダル

2018年04月16日

モリトモ・ペーパーズとは規模が違い過ぎるな『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』



 1971年、泥沼化する一方のベトナム戦争を分析した国防総省の機密文書、“ペンタゴン・ペーパーズ”をスクープしたニューヨーク・タイムズ、そして追随したワシントン・ポストの記者たちの奮闘を描く。

 ベトナム戦線に同行したアナリストのダニエル・エルズバーグ(マシュー・リス)は「戦線は悪化している」と報告するが、それを聞いた国防長官のロバート・マクナマラ(ブルース・グリーンウッド)はマスコミに「戦線は好転している」と正反対のことをいう。政府の方針を疑問に思ったエルズバーグは7000ページからなるベトナム戦線の分析・報告書“ペンタゴン・ペーパーズ”のすべてをコピーし、密かに持ち出す。
 コピーは大手新聞社のニューヨーク・タイムズに持ち込まれ半年に渡って分析される。タイムズは「世紀のスクープ」としてペンタゴン・ペーパーズを取り上げる。終わりの見えないベトナム戦争に疲れ果て反戦運動が高まり続けるアメリカ国内には衝撃が走る(当然)。しかしニクソン大統領(当時)は「機密漏洩だ!タイムズに圧力をかけろ!」と部下に電話で命令を飛ばす。映画の中で使われている音声はなんと本物のニクソン大統領の肉声(!)。

 結果、タイムズは「最高裁の判断にゆだねる」として途中で記事を差し止める。タイムズのスクープに臍を噛む思いだったワシントン・ポストの編集主幹ベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)は自分たちがこのスクープを後追いし、ベトナム戦争の真実を伝えるのだ、とペンタゴン・ペーパーズのコピーをなんとか手に入れようとする。そんな折、ポスト編集部にヒッピー風の恰好をした女性が靴箱を持って現れ、箱を手渡して去っていく。その中にはペンタゴン・ペーパーズのコピーの一部が…この人が何者なのか、映画の中の登場人物でなくても気になるが、その正体は映画の後半で明かされる(まさかこんな人が…というオチで驚く)。
 コピーを入手したブラッドリーと記者たちは数日で後追いのスクープをしようとするが、折しも株式上場を果たしたばかりのポスト上層部らはタイムズが圧力に屈しかけているのを見た上に、ニュースソースが同じとなればタイムズ同様、自分たちも国家機密漏洩罪になるのでは?と記事を掲載することにストップをかけようとする。ブラッドリーらと上層部、顧問弁護士らの意見はぶつかりあい、掲載するか否かはワシントン・ポスト社主であるキャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)の判断にゆだねられる。
 グラハムは前社主である夫のフィリップの自殺を経て社主になるのだが、それまでは単なる新聞社のお嬢様で、新聞のことなど何もわからないし、新聞社の人間として政府の高官らや大統領ともプライベートの付き合いがある身分。マクナマラ長官とは普段からランチの時に同席するような仲だったりする。ポストがペンタゴン・ペーパーズをスクープすることは友人・知人を敵に回すことになるのだ。プライベートの付き合いを取るか、それとも合衆国憲法修正第一条に則って国民の知るべき権利のためにこのスクープを掲載するのか?


 スピルバーグ監督は新作『レディ・プレーヤー1』の撮影後にこの企画に取り掛かり、わずか9か月ほどで企画・撮影・完成となり、アメリカでは2017年12月に限定公開、翌年1月に拡大公開。こんな突貫作業になったのはトランプ大統領下のアメリカでマスメディアを「フェイクニュース」呼ばわりし、萎縮する報道に「ビビらずに真実を報道しよう、ペンタゴン・ペーパーズを報道したタイムズとポストを見習おうよ!」と喝を入れるためだったという。
 今、この映画を一番楽しめるのは日本人であることは間違いない。日本でも今、モリトモ・ペーパーズ問題が大きく報道されているが(なんというベストタイミング!)、多くのメディアがビビッてしまい、まともに報道できないではないか。本家に比べてあまりにも規模が小さすぎるけれど、日本のマスメディアもぜひ戦って欲しい。
 政府に媚びを売るのが報道ではない、報道は国民の知るべき権利のためにあるのだというメッセージ、そして男性優位社会の中でまともに声をあげられなかったキャサリン・グラハムら女性たちが勇気を振り絞って戦う姿こそが正義というテーマははベトナム戦争の時代であろうが、2018年であろうが、不変のものだ。


  


Posted by 縛りやトーマス at 23:35Comments(0)映画世界のとんでもニュース

2018年04月15日

応援絶叫ヒロイン『トゥームレイダー ファースト・ミッション』



 2000年代に公開された映画『トゥームレイダー』のリブート版作品。3Dアクションゲームの金字塔である『トゥームレイダー』はプレイヤーキャラであるララ・クラフトが女性であることもあって単なる記号を越えたアイコンとして支持されている(もっとも成功したゲームのヒロインとしてギネスにも載った)。実写映画にされる時、ララをアンジェリーナ・ジョリーが演じると聞いてみんな拍手喝采したものだ。秘宝を巡って世界を駆け巡り、男勝りの活躍を繰り広げる大富豪の令嬢―などというキャラはジョリーしか演じられない!―だが出来上がった映画はあまりに中途半端でヌルかった。ド派手なアクションで開幕するも実は自宅での冒険シミュレーションだった!という腰砕けな冒頭の展開がそのまま終盤まで続いてしまうヘナチョコで、ジョリーはラジー賞にノミネートした。続編もヘナチョコなナンパ野郎とのかったるい恋愛ごっこを見せられ、ゲームシリーズが拡大を続け、大ヒットする中、映画版は忘却の彼方へ消えた。

 だが、2018年になって2013年のリブート版ゲームを元に復活。リブート版ゲームでのララ・クロフトはまだ冒険家としてスタートも切っていない時代の設定だ。ララは何年も前に失踪した大富豪の父親リチャードの帰還を信じて遺産の受け取りを拒み、自転車メッセンジャーのバイトをして暮らす貧乏学生。ある日、邸宅の隠し部屋を発見するとそこには古代のお宝や資料がザックザク。残されたビデオメッセージには自分が世界中の秘宝を求めて旅していた冒険家であったこと、秘宝を集めて世界の支配をもくろむ“トリニティ”という組織がいること、日本の無人島ヤマタイにあるヒミコの墓の封印が解かれれば世界は破滅すること―を観たララはヤマタイへ向かう。

 新生ララ・クロフトを演じるアリシア・ヴィキャンデルは映画前半のキックボクシング場面でバッキバキに鍛え上げた腹筋を見せつけ、自転車でイギリスの街道を縦横無尽に突っ走る場面などで身体能力の高さを証明してくれるが、冒険家としては素人レベル。そんな彼女がおっかなびっくりで罠をかいくぐり、ヘトヘトになりながら冒険を続けていく様子は、アンジェリーナ・ジョリー版ララ・クロフトと比べて弱弱しく映る。ジョリーはどんな危機的状況でも薄笑いで切り抜けるキャラクターだった。なにしろ『トゥームレイダー2』において海中でサメに襲われた時、サメの横っ面をぶん殴って撃退していたぐらいだから(ジョリーならそれぐらいはする)。
 ヴィキャンデルのララはまだ『ファースト・ミッション』の段階なので、大ジャンプひとつクリアするだけで大騒ぎ。見ているこっちも「がんばれ!」と声をかけたくなる。応援絶叫したくなるヒロインとは、2018年の日本向きではないか。舞台が日本の海に浮かぶ無人島なのは、そういうことだったのか。

  


Posted by 縛りやトーマス at 13:03Comments(0)映画