2017年09月22日

今だ現役のドラゴン『スキップ・トレース』



 引退宣言しながら映画に出続けるジャッキー・チェン。プロレスラーとジャッキーに引退などない!グレート小鹿だって75歳でリングに上がるのだ。しかし、全盛期の動きはもう望めない。ここ数年の『ドラゴン・ブレイド』や『ライジング・ドラゴン』でははっきりと衰えが見えていた。そこでジャッキーが見出したのが「まだ動ける相手と共演する」という手法だ。
 こうして今回選ばれたのがジョニー・ノックスヴィルだ!『ジャッカス』の!なるほど、こいつを選んだか、といったところ。『ジャッカス』シリーズでは命がけのバカ騒ぎを生身で演じてジャッキーに負けず劣らずのアクションをやっていたジョニーなら相棒としてはぴったりである。

 そんな相棒を迎えたジャッキー演じる刑事、ベニー・チャンは冒頭で同僚刑事のヤン(香港のベテラン俳優、エリック・ツァン)を失う。二人は香港犯罪界の大物、ヴィクターを追っていたがヤンは体中に巻かれたダイナマイトで吹っ飛ばされる。ヤンの仇を討たんと若手刑事を率いたベニーはヴィクターの部下とされる実業家のハンサム・ウィリー(ヨン・ジョンフン)のアジトを突き止めるが、潜入捜査のミスから川沿いのアジトを一般市民の住居ごと吹っ飛ばしてしまって停職処分。
 ベニーはヤンの一人娘、サマンサ(『新宿インシデント』で共演したファン・ビンビン)からコナー(ジョニー・ノックスヴィル)という男の情報を得る。コナーは詐欺師でマカオのカジノでイカサマをして大金をせしめるのだが、そのカジノでヴィクターとハンサムらがある女を殺すところを目撃してしまう。一目散に逃げ出したコナーはロシアン・マフィアに捕まる。コナーはロシアン・マフィアのボスの娘を妊娠させて逃げ出したので追われていたのだ(のんきにギャンブルやってる場合か!)。そのままロシアに連行されてしまうコナー。
 コナーからヴィクターに近づく情報が得られると考えたベニーはロシアに飛んでボウリング場で拷問を受けているコナーを救出。せまい工場のベルトコンベアにのってグルグル回りながらロシアンマフィアと大格闘を演じるベニー。ここは往年のコメディチックなアクションをスピードは落ちたとはいえ、バッチリ見せてくれるジャッキー。ロシアン・マフィアのひとりを演じるイブ・トーレス(WWEのディーバ)とも激しいやりあいをかます。工場に落ちてたマトリョーシカでトーレスの攻撃を防ぐのだが、次々マトリョーシカが割れて指ぐらいの大きさになっちゃってドヒャー、だ(笑)

 ベニーは香港の法廷でコナーに証言させようとするが戻れば殺されると怯えるコナーはあの手この手で逃げ出そうとする。コナーのせいで飛行機のチケットをダメにしてしまったので、二人は歩いて香港を目指すことに。モンゴル、そして中国大陸。行く先々で二人はモンゴル相撲を取らされたり、筏で急流下り(この時、NGでジャッキーが溺れかける)、崖の間をロープを伝って渡るわ、中国地方の泥祭りに巻き込まれたりの珍道中を繰り広げる。
 
 往年の『五福星』やら『七福星』風のコメディだと思って安心しているとクライマックスで突然シリアスになってしまったり、中々見ていて飽きさせないつくりはさすが40年以上の経験で映画を知り尽くしているジャッキーと、『クリフハンガー』『ダイ・ハード2』『カットスロート・アイランド』で見せ場が次々やってくる作風でおなじみの監督レニー・ハーリンとの名タッグといったところか。ハーリンは中国で自身の映画会社までつくっている(http://getnews.jp/archives/1478899)ので肌にあっているのだろう。

 劇中アクションの多くはいつものようにジャッキーが生身でやっているが、共演のジョニーやファン・ビンビン、そしてレスリー役のシー・シー(TVドラマを中心に活躍する30歳の美女)もかなりの場面を自分で演じている。ジャッキーに言わせると
「なぜだかわからないけど、僕の映画に出演する役者はみんな自分でアクションをしたがる」
 そうだ。実際はジャッキーがやらせてるんだと思うけど…ちなみにジャッキーは美人に生身のアクションさせるのが大好きで『ラッシュアワー2』で共演したマギー・Qにも出会った初日に道場へ連れて行ってアクションできるかどうかを練習させたという。きっとビンビンやシー・シーも同じ目にあってるはず。
 30歳のシー・シーと最終的に結ばれるというオチにはいいかげんにしろ!ジャッキー、64歳だぞ!と思ったがまだまだ枯れてない証拠とも言える。今だ現役のドラゴン!ジャッキーに引退などない!!

  


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2017年09月15日

世の中にはついていい嘘があるんだ『あしたは最高のはじまり』



 『最強のふたり』のオマール・シー主演作。今回オマールが演じるのはコートダジュールで観光客の相手をして暮らすその日暮らしのプレイボーイ、サミュエル。彼の前に以前関係をもったクリスティンと名乗る女性が現れ「あなたの子よ」といって生後3か月の赤ん坊を置いて去っていく(ちょっと待て!)。
 あわてて彼女を追ってロンドンへと向かうがまたまた彼女は消えてしまう。言葉の通じない異国に赤ん坊を抱えたまま放り出され、財布を落としてしまったサミュエルは途方に暮れる。一体どうすんの!?
 彼に一目ぼれしたゲイのTVプロデューサー、ベルニーを頼って居候し、スタントマンの仕事も世話してくれることになった。無責任な道楽者の過去を捨てて、娘グロリアのために立派な父親になろうと誓うサミュエル。こんな筋立てを私生活では5人の子供に囲まれ、仲睦まじい奥さんと暮らすオマールにはうってつけの役だろう。
 またオマールのグロリアの育て方が独特で、8歳になった娘をほとんど学校に通わせず、自分のマネージャーをさせている!グロリアが現場で監督とやりあって気持ちよくサミュエルにすごいスタントをさせると無事仕事を終えたサミュエルとハイタッチ!まさにベストコンビ、『最強のふたり』だ(笑)

 いや、学校にいった方がいいよ!もちろん学校の校長先生がそんな二人を心配して学校に来るようにいうのだが、サミュエルは自分がスタントとして出演中の人気テレビドラマのファンだという先生に今後の展開をこっそり教えたり、放送前の動画を袖の下から渡したりして事なきを得る(コラコラ)。

 独特な娘の育て方をするサミュエルが唯一気にかけているのがいなくなったグロリアの母親クリスティン。彼女が残したままのフェイスブックアカウントにメッセージを送り続けるが返信はなし。グロリアには「お母さんは秘密諜報部員として世界中を飛んでいるから会えない」と下手すぎる嘘をついているのだが、時折彼女のフリをしてジョージ・クルーニーやアンジェリーナ・ジョリーと一緒に写った写真(合成)をメールしてくる(笑)。それもわざわざメールがやってくると部屋に設置した新着メールが届くと回転灯が作動する、という仕掛けまでつくって!寝室からスロープを使って降りられる装備もあるし、男親によるふざけた子育て感がたまらなくいい。

 やがてクリスティンが二人の前に現れる。新しい恋人を連れて…恋人を見たベルニーが「あいつ、絶対にゲイよ!」というのがおかしい(彼は何かにつけて「あいつゲイよ!間違いないわ!」という)。あんなやつにグロリアを渡しちゃダメ!
 しかしグロリアにクリスティンについて嘘をついていたことがバレて「最高のふたり」の関係は崩れてゆく。そして医者からの診断書を受け取るサミュエルは、ふたりに残された時間があとわずかだと知る…(これには大どんでん返しのオチがついている)

 サミュエルはいろんなことについて嘘をついているんだけど、全部グロリアのためについている嘘で、最後に別れることになってしまったグロリアが些細な嘘をついてサミュエルの元に戻ってくるオチのつけ方はあまりに完璧すぎてズルい!絶対泣くやろ…!
 オマールのいい奴キャラに左右される作品のようだが、グロリア役のグロリア・コルストンも13歳にして映画初出演で普段はヒップホップアーティストとしてDJもしているという若き才能。どちらもいーい笑顔でね!観客もいい気持ちになれる。ホンマ『あしたは最高のはじまり』やで…

  


Posted by 縛りやトーマス at 09:24Comments(0)映画

2017年09月10日

埼玉県戸田市の再来『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』



 人気漫画の実写化というと絵がある分、「観客によるイマジネーション」の余地がほとんど存在せず、少しでも漫画の絵とズレてしまったら原作を侮辱しているといわんばかりの批判がされがち(特に日本では)。なので邦画で漫画の実写化を大衆に納得させようと思ったら漫画と何から何まで同じようにするしかない。福田雄一の『銀魂』のように…

 しかし、1987年から始まった連載が今も続いている『ジョジョの奇妙な冒険』の実写化の監督を務めた三池崇史はそんな原作至上主義者や読者の顔色を伺うようなことはしなかった。何しろ実写化の舞台となる杜王町をスペインのシッチェスでロケ。どうしたって日本には見えない街並みでどう見ても外国人のエキストラが歩き回っているのを日本のM県のS市と言い張ったのだから。かつて『漂流街』でネバダ州でロケしたのを埼玉県戸田市と言い張っていたけれど、それに匹敵する見事なまでにハッタリの利いた光景だ。

 さらに三池崇史監督は長大な原作第四部の前編を連続殺人鬼のアンジェロこと片桐安十郎(山田孝之)や不良少年の形兆(岡田将生)、億泰(新田真剣佑)の虹村兄弟といった自身が好んでいるタイプのキャラクターたちは外連味たっぷりに描く一方、さほど興味の沸かなかったであろう登場人物、広瀬康一役の神木隆之介(原作に似せる気すらない!)や山岸由花子役の小松菜奈らの雑な描写!
 それでありながら主人公仗助(山崎賢人)の父、良平(國村隼)の家族や町への思いや虹村兄弟の家族の絆といった原作のテーマである「人間賛歌」の部分は余すところなく描かれており、ジョジョ実写化におけるツボの部分は外していないではないか。

 ジョジョを映像化しようというのに売りのひとつであるスタンドバトルにまったく振り回されていないのも凄い。アニメではスタンドをはっきりと全身写して激しいアクションをさせていたが、実写化ではクレイジー・ダイヤモンドやザ・ハンドのような人型スタンドは登場人物の背後をチラリとかすめる程度に表現されたりして謎の存在が蠢いているという、アクションよりもホラーチックな描写を際立たせたのは三池監督自身がスタンドによるアクションよりもロマンホラー(原作初期のキャッチコピー)の部分に惹かれたからではないか。

 原作の人気や設定に振り回されず、監督独自の解釈と演出に根差しつつ成功させる…これは漫画実写化の新たな好例だ!

  


Posted by 縛りやトーマス at 20:45Comments(0)映画漫画

2017年08月26日

ホントの死のゲームはどっち?『青い鯨』と『NERVEナーヴ 世界で一番危険なゲーム』

 ここ数日の間、ネットで話題になっているぞっとするニュース、『青い鯨』。

世界中で少年少女を次々と自殺に追い込んでいく謎の死のゲーム「青い鯨(Blue Whale)」とは?
http://gigazine.net/news/20170825-blue-whale-suicide-game/

 少年少女に自殺を強いるゲームが拡大して大騒ぎに、ってどこのラノベだ、そんな簡単に自殺なんかするわけないだろうと思って記事を読むと、自殺願望や自傷癖のある人が巧妙に釣られて死に導かれるテクニックが書かれてあって、なるほどなと。


>ゲームの方法は非常にシンプルで、VK.com上でリンクを踏むなど何らかの方法で「管理者」までたどり着いたチャレンジャーが、この管理者に従って50日かけてタスクを遂行していくというもの。

>最初のうちは「午前4時20分に起きてホラー映画を見る」といった簡単なものですが、次第に「朝4時20分に起きて屋根に上る」「橋の上に立つ」「屋根の上に座りヘリから足を出す」といった危険なタスクが課されていきます。

>また、「自分を傷つける」「唇を切る」「腕に鯨の絵を彫る」といった自傷行為を求めるタスクも多くあります。そして50日目、チャレンジャーは監督者から自殺を求められるに至ります。


 この説明見て、最近似たような設定の映画があったのを思い出した。『NERVEナーヴ 世界で一番危険なゲーム』だ。



 イケてる友達、シドニーの取り巻きとして辛い日々を送っている(ツライのだ~)女子高生のヴィーはシドニーが公衆の面前で生尻を放り出すのをスマホに取らせて大喜びしている様子に面食らう(そりゃそうだよ)聞けばシドニーは若者の間で流行している闇サイト『ナーヴ』のプレイヤーとして登録し、人気者になっているという。『ナーヴ』は「視聴者」と「参加者」の二つを選び、参加者になると『ナーヴ』から送られてくる指令を制限時間内にこなすことで賞金を得ることができる。ルールは三つ

・自分のスマホで挑戦している様子を写すこと
・「失敗」もしくは「棄権」で失格
・密告した者は制裁される。ナーヴの存在は他言無用


 シドニーから根性なし呼ばわりされることに反発したヴィーは思い切って『ナーヴ』に参加。最初の指令「見知らぬ相手と5秒間キスをする」を無事にクリア。キスの相手だった青年イアンと二人でナーヴに挑むことに。

 ナーヴには見ているだけの視聴者が居て、挑戦している参加者を実況で煽ったりするのだ。プレイヤーにはそれぞれ「視聴者数」が示されてそれが人気のバロメーターになっているため、視聴者からの支持を得るためにあえて過激なミッションに挑戦する(シドニーを始め)プレイヤーがいて、アホなことやって登録者数や動画再生数稼ぎに躍起になるニコ生主やユーチューバーとなんら変わりがない。
 なのでその手の人たちから絶賛されているのかと思いきや、ほとんど相手にされていない様子。参加するやつも見ているだけの人間もろくでもない連中だと描かれているからかな…

 指令は次第にエスカレートしていき、犯罪行為スレスレのものになっていく。この「スレスレ」なのがポイントで、例えば「デパートでドレスを着た写真を撮れ」の次は「デパートから出ろ」になるんだが、試着室に置いた着替えがなくなってしまう。普通は「服を万引きして逃げろ」と解釈するところをヴィーたちは下着姿になって店を出ようとする。確かに「店から出ろ」とは言われたが万引きしろとは言われてない!コンビニで支払い済ませる前にアイス食ったり、路上で乞食行為したり、ドローン飛ばしたりする日本のアホとは発想からして違うのだった。

 面白いのはプレイヤーが他のプレイヤーを妨害するような指令が来ることがあるところ。他のプレイヤーが指令を達成できないようにするような指令が来たりもするので緊張感があり、たった一晩の間に起きた出来事を描いているため、スピード感に溢れ次の展開を予想させない。
 イアンが実はナーヴのリピーターである事実が発覚したり、ナーヴを抜けようとすると視聴者たちからのキッツイ妨害があったりとこの話、どことなく山田悠介っぽい。後半になると謎のハッカー集団が事件をあっさりと解決に導くという底抜けな展開もなんだか似てる。クライマックスはいきなりネット民批判が始まったりして(お前は君塚良一か!!)ひっくり返りそうになりましたが。
 ネット、SNS全盛の時代に生まれるべくして生まれた映画といえる。でもあんなカッコよすぎなハッカー集団はこの世のどこにもいないと思います!もっと不細工と大柄を混ぜておかないと。

  


Posted by 縛りやトーマス at 01:52Comments(0)映画レンタル映画館

2017年08月21日

この海底の片隅に『海底47m』



 去年公開された『ロスト・バケーション』のスマッシュヒットにより空前のサメブームが起きているアメリカ。スピルバーグの『ジョーズ』の完成度が高すぎてサメ映画は何をやっても『ジョーズ』を超えられないと言われていたが、40年を経て『ジョーズ』に匹敵する作品が誕生したのだ。

 ケージ・ダイビングという檻の中に入ったままサメがうようよいる海の中に入り、ケージにぶつかってくるサメを見て楽しむというドキドキパニックな遊びがあるのだが、リサとケイトの姉妹は休暇で訪れていたメキシコでケージ・ダイビングを体験する。
 ダイビングスーツを着込んだ二人がケージの中に入れられ、海に沈んでいく。すると船とケージをつなぐケーブルの巻き上げ機が外れ、二人は47m下の海底に沈んでしまう…海底では船員との交信もできず、ボンベの酸素は減っていく一方。しかも姉のリサはダイビングの経験すらなかった!
 『ロスト・バケーション』みたいにサメ映画の恐怖プラス、ブレイク・ライブリーの濡れた水着に包まれたボディを楽しもうなどという、観客のドスケベ心甘い期待を海底に突き落とす。

 姉妹が47mの海底でひたすら救助を待つという、画面を見ているだけで息苦しくなってくる映画だ。海底で見つけた光を救助のダイバーと認識したリサは残り酸素僅かのケイトに代わってケージの外に出る。サメの襲撃を避けるため海底に沿って泳ぐが、途中で海底は途切れ、47mよりも深い奈落が彼女の目の前に!光すら届かない漆黒の闇。真夏だというのに心底凍えます。

 こんな状況で何の対策もなくダイバーが潜ってくるだけというのも納得できずにいると、救助のダイバー、姉妹と出会った瞬間にサメに食われちゃう。そりゃそうだよ!ヤバイ!喰われる!もう助からない!となったところで彼が持ってきた交換の巻き上げ機を手に入れてああ助かったと思うでしょ?けれどすでに切れ目の入っていたケーブルがぶっつり切れてさらに深いところへ落ちていく。ほっとした人間を冷血に文字通り絶望へ突き落とす展開が絶妙なのだ。
 船長たちの役に立たなさぶりにイライラしますが、船長役が『フルメタル・ジャケット』のジョーカー、マシュー・モディーンだからまあ助けられるわけはないわな、と…これが助けられるなら微笑みデブだって助けられたはずだ!

 広大な海中で狭い檻に閉じ込められ、サメに追い詰められてひたすら酸素は減るばかり。普通は海上で救助しようとする人間の悪戦苦闘が描かれたりするものだが、この映画は海底に沈んでいる姉妹だけを延々と映し続けることによって観客は登場人物と同じ閉塞感を味わうことになる。知らなかったよ。海がこんなに広いとは(でも味わうのは閉塞感)。
 そしてあまりに皮肉なオチ、絶望するにもほどがある。


  


Posted by 縛りやトーマス at 08:08Comments(0)映画

2017年08月03日

出オチ漫画の実写化は止めよう『東京喰種 トーキョーグール』



 僕は漫画の方を一切読んだことがないので、よくわからないのだがこんなツッコミどころだらけの漫画もないのではないか。人を喰う怪物「喰種」が人間社会に密かに溶け込んでいるという設定だが、喰種は人間の肉以外は水とコーヒーしか飲めないのだ。そんなのすぐバレるんじゃないの??

 ごく普通の大学生、カネキ(窪田正孝)は憧れの先輩、リゼ(蒼井優)とデートをし、深夜の公園でハグされるが、リゼの正体は喰種だった!リゼの攻撃で致命傷を負うも、工事現場で吊られたままの鉄骨の下敷きになってリゼは死亡。って誰もいないのに鉄骨吊ったままにしてる現場なんかないと思うんですけど…あ、ちなみにこの映画の面白いところ、ここまでです

 重傷のカネキは病院に担ぎ込まれ、誰の許可も得ていないのに死亡直後のリゼの臓器を移植され一命を取り留める。そのせいで半分人間、半分喰種の半喰種にされてしまったカネキは普通の食事が喉を通らず人間を食べたい欲望を持つようになり、モラルと生存の間で苛まれる。

 リゼと出会った喫茶店「あんていく」に逃げ込んだカネキは喫茶店の店長芳村(村井國夫)、店員トーカ(清水富美加)らに助けられる。「あんていく」は喰種たちの駆け込み寺だった。心底嫌そうにカネキを手助けするトーカ。清水富美加が本当に嫌そうにこの役を演じていて、こんなツッコミどころ満載の気持ち悪い映画は嫌になるよなあ。出家したくなるのもわかる気がする

 この漫画では喰種が主人公の側なんだけど、人間を喰わないと生きていけないから、どうしたって読者の感情移入を削ぐではないか。「あんていく」に潜む喰種たちは近所にある自殺の名所で飛び降り自殺する人間の肉を回収しているとかいうかなり無理のある設定でアンチモラル感を薄めようとしてるんだけど、完全に失敗してます。人肉を提供している父親を殺されてしまい、その後は「あんていく」に母親(なぜか相田翔子)ともども身を寄せてる子供(桜田ひより)が「人を狩る能力がないから」ということで人肉は「あんていく」が提供するんだけど、目玉をナイフとフォーク使って食ってるんだよ(かなりグルメ風に)。そんな連中にどう感情移入しろっていうんだ!


 喰種の方がこの調子なら、対する人間たちの方も粒ぞろいのどうかしてる連中で、赫子(かぐね)と呼ばれる触手のような器官により恐るべき戦闘能力を持つ喰種に対抗する喰種対策局というのが存在していて、所属する捜査官が喰種と対決するんだけどなぜか一対一の勝負を挑む。武器は喰種の死体から赫子を取り出して製作したガリアンソード。そんなもん使わないで、大勢で取り囲んでロケットランチャーぶち込むとか、火炎放射器でも使えよ。最後にはケバブの串(回転する)でどついたりしてるし、銃器使え!銃器!そんなんで勝てんのかよ!
 劇団EXILEの人(鈴木伸之)がトレーニングで鍛え上げてる体見せつけてましたけど(彼らは裸見せてナンボですからね)相手バケモンですよ。体を見せてバタンキューするのは腐女子だけです。


 「人を喰う怪物が存在していて、そいつに体の半分を支配される」って要するに『寄生獣』で、しかも『寄生獣』があえてやらなかった展開ばかりやっている。なぜ『寄生獣』がパラサイトに対して人間が本格的に対策を取り始めたところで終了したのか考えようよ。
 半分喰種になった主人公が喰種たちの隠れ家に匿われる、って時点で終了してる出オチ漫画なんだから。火星にいったらGがいた!っていう 『テラフォーマーズ』もそうだけど、漫画ではよくても実写にした時には実写ならではの説明や説得力のある描写が必要なんだから。
 もう出オチ漫画を実写化するのはやめよう。


  


Posted by 縛りやトーマス at 23:14Comments(1)映画トンデモ映画

2017年07月31日

オヤジなんかいらない『JKニンジャガールズ』



 『スパイダーマン ホームカミング』のプレミア試写に日本版主題歌を担当してる関ジャニ∞がゲストに来ていて、彼ら目当てのジャニーズファンが挨拶だけ見て映画を見ずに帰るという行為に非難が殺到したそうですが、アイドルファンって男女問わずそういうもんでしょ。僕はそういう光景を何度も、何十年も見てきた…アイドルファンはアイドルを見たいのであって映画を見たいわけじゃないというのをアイドル映画製作者は理解しておかないといけない。

 というわけでこの『JKニンジャガールズ』である。ハロプロ研修生から誕生した8人組ユニット、こぶしファクトリー主演映画。ハロプログループ主演の映画化というと、なんとあの『ピンチランナー』『カントリー・ガール 北海道牧場物語』(00)以来、三作品目。メンバー単独での出演はあってもグループだと℃-uteやBerryz工房、スマイレージですらグループ主演映画はないというのに…この事からもハロプロの期待の高さが伺え、ももクロの『幕が上がる』(15)みたいな感動作を期待したんだけど…

 関東と関西が人知れず、日本の覇権を巡って争っているという話で、その影で蠢いているのが女子高生忍者たち。首都東京を守るべく東京の女子校に送り込まれたJKニンジャガールズの4人・霧隠ノエル(浜浦彩乃)、石川ラブリ(広瀬彩海)、服部ココア(野村みな美)、百地イブ(和田桜子)。彼女らは関西忍者が企む「東京タワー消滅作戦」を阻止せんとする。
 …というあらすじだけ見たら、残り4人のこぶしファクトリーメンバーが関西ニンジャガールズとして戦うと思うのが普通だろうけど、なぜか関西のニンジャは温水洋一をリーダーとする忍者オヤジーズだった!なんで!?忍者オヤジーズはそのままでは関東JKニンジャガールズの居る女子校には潜入できないので、忍術を使って女子高生に憑依する。オヤジたちが輪になって「女子高生になっちゃ~え」と歌い踊る、悪夢のような光景を見せられ、温水洋一らは残り4人のこぶしファクトリーメンバーの中に入って無事女子校への潜入を果たす。こんな話にした脚本家の頭をかち割って覗いてみたいわ(脚本家は吉川ひなの主演の『デボラがライバル』を手掛けた伴一彦)。

 潜入したものの忍者オヤジーズは振る舞いそのものがオヤジなので(おしぼりで顔拭いたり、思いっきり足を開いて下敷きで仰いだりする)、JKニンジャガールズたちに怪しまれるのだが、主役の立場であるノエルはすげえアホ(アホガールか!?)という設定なので「あの子たちはオヤジーズじゃないよ!絶対に違う!」と何の根拠もないのに決めつける。ノエルのアホさにつけ込んで忍者オヤジーズのリーダー、大野ノゾミ(井上玲音)は彼女に接近して関東忍者の秘密を探ろうとするのだが、ノゾミに憑依する猿飛茂助(温水洋一)はノエルがあまりにカワイイので一目惚れ(笑)してしまい、しまいには車に轢かれそうになったノエルを救うために忍者の奥義、「消滅の術」を使ってしまう!
 その後ノエルとノゾミが百合的関係になってしまうんだけど、それなら温水洋一が憑依するって設定、別にいらないと思うんだけど!はっきりいって温水洋一らオヤジーズの存在がまったく不要で、こぶしファクトリーだけのゆるゆり話にしても成立するだろうに、なぜこんな話にしてしまったのか…責任者でてこい!

 実はこれ、舞台版がもともとあって、そちらは関東JKニンジャガールズとなにわニンジャガールズの対決になっていて、普通にノエルとノゾミが仲良くなってしまう展開とのこと。じゃあなんで映画でオヤジを出したんだよ…
 JKニンジャガールズの首領である浅野ゆう子が東京都知事で都民ファーストとか言ったり、昔はディスコで暴れまわっていたとか、寒すぎるギャグの数々に凍りつくばかり。オヤジの僕でも笑えません!
 ニンジャガールズがとにかくカワイイってのはいいんですけどね。何かやる度に「ジェケニン!」って決めポーズとるところ、悶絶するほどカワイイんだけど30回ぐらい繰り返すので途中で飽きてくる。1時間半がひたすら苦痛。これは舞台挨拶があったら映画を見ないで帰っても許されると思う。アイドルファンにとって映画は苦行だな。


  


Posted by 縛りやトーマス at 05:49Comments(0)映画アイドル映画

2017年07月30日

麻しんがゼロ

 『マジンガーZ』の劇場用アニメリメイクが厚生労働省の「麻しん(はしか)予防キャンペーン」とコラボすることになり、ポスターが発表された。


「劇場版マジンガーZ」×厚生労働省はしか予防キャンペーンがコラボ「麻しんがZero!」
http://eiga.com/news/20170730/1/

 言葉の響きだけで選ばれたようだが、「麻しんに負けない強い体を作ろう」ということかしら。宣伝やキャンペーンって大変なんだなあ。


  


Posted by 縛りやトーマス at 22:51Comments(0)映画

2017年07月23日

邦題もシンクロナイズドさせないと

 韓国に現れた巨大怪獣はNYにいる自分と繋がっていた―という珍妙な設定の怪獣映画(?)『コロッサル』は怪獣の形状がプルガサリに似ていることから東宝にクレームつけられて日本の公開が危ぶまれていたものの、無事解決したようで国内公開が決定。ただし、タイトルが『シンクロナイズドモンスター』に変更されて…


http://www.eirin.jp/list/index.php?title=%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%82%A4%E3%82%BA%E3%83%89%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC&eirin_no=&s_year=2009&s_month=1&e_year=2017&e_month=12&x=0&y=0

 怪獣とシンクロしたアン・ハサウェイが主役だから、そのまんまのタイトル。『コロッサル』じゃ何のことかわからないだろうから、邦題としてはまあまあかな。しかし、配給会社としてはいささかまずい決定が。

シンクロの名称変更=アーティスティックスイミングに―FINA
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170722-00000105-jij-spo

>国際水泳連盟(FINA)は22日、ブダペストで総会を開き、シンクロナイズドスイミングの名称を「アーティスティックスイミング」に変更することを決めた。2020年東京五輪は新名称で実施される見通し。

 これじゃ『アーティスティックモンスター』に変更しなきゃ!邦題はシンクロナイズドスイミングと「同調」させる意味でつけられたはずだから、ここは合わせておかないと。しかし変更した場合は「芸術的な怪物」という意味になり、芸術的な怪物ってなんだよ?シンクロじゃダメなんですか!?




  


Posted by 縛りやトーマス at 09:42Comments(0)映画

2017年07月21日

次はマッハバロンでお願いします

 国産初のヒーローもの『月光仮面』を生み出した宣弘社が70年代に発表した特撮ヒーロー番組『シルバー仮面』と『スーパーロボットレッドバロン』が合体する形で実写映画としてリバイバル。


1970年代特撮「シルバー仮面」×「レッドバロン」が実写映画化!40年以上の時を経て…
https://www.cinematoday.jp/news/N0093070


「テレビ放送から40年以上の時を経て、再び実写映画としてよみがえることが明らかに」ってあるけど、シルバー仮面は11年前の2006年に実相寺昭雄監督が『シルバー假面』のタイトルでリメイクしてんだけどなぁ…



 それはともかく、この『BRAVE STORM』はすでに完成し劇場公開の目処も立っているのですが、「大成功を実現させるには、更なる 広告宣伝費の増強」が必要であるということでクラウドファンディングを実施することに。製作費ではなく広告宣伝のためにクラウドファンディングやるってのも珍しいな。

http://www.patrons.jp/project/s/project_id/14


「製作委員会方式を避けた資金調達方法により、自社製作体制を突き進めた」という制作体制も素晴らしい。中規模予算ながらスタッフは『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』の岡部淳也が監督、クリーチャーデザインは雨宮慶太作品や『仮面ライダードライブ』のクリーチャーで知られる竹谷隆之という一流どころが参加しているではないか。
 出演陣も『クローズZERO』シリーズの大東駿介、『仮面ライダーオーズ/OOO』の渡部秀をダブル主役に『ウルトラマンジード』に出演中の山本千尋、『仮面ライダーフォーゼ』の鬼島役、タモト晴嵐などが揃っており、特撮ファンにも目配せをしたキャスティングも最高だ。
 肝心の内容も予告編に使用された真っ昼間に鉄橋をぶち壊して現れる巨大ロボのシーンなどに邦画特撮ではあまり見られないダイナミックさがあり、期待が高まる。ラストはメインビジュアルにも使われているレッドバロンVSシルバー仮面ジャイアント(だよな)の決戦になるというのもわかってるな。上映時間が81分というのが何よりいい。つまらない邦画ほどダラダラと2時間以上もあるんだよな。映画は2時間以内に収めてくれ。上映時間2時間以上にさせる鉄面党が許せなぁ~い

 国産の巨大ロボットものはほぼ壊滅的状況(海外でも成功作が少ないし)だというのに果敢にチャレンジしたスピリット+出来(予告編みただけだけど)は評価したい。しかし1500万円の資金は集まるのか?まだ140万しか集まってませんよ!このまま地球人類のために戦っているのに人間社会から爪弾きにされる春日兄弟のようになってしまうのか?




  


Posted by 縛りやトーマス at 10:21Comments(0)映画特撮・ヒーロー

2017年07月18日

ロメロよ甦れ

 ゾンビの巨匠、ロメロ死す!の報道が世界を感染が拡大するかのように駆け巡った。


ゾンビ映画の巨匠、ジョージ・ロメロ監督逝く 77歳
http://www.afpbb.com/articles/-/3135965

 ゾンビシリーズの最新作『ロード・オブ・ザ・デッド』のプロジェクトが発表されたばかりだというのに、残念。

ジョージ・A・ロメロの新作ゾンビ映画『ロード・オブ・ザ・デッド』、今度はゾンビによるカーレースだ!
http://mujina.hatenablog.com/entry/2017/05/21/085548

 ゾンビのカーレースってなんだよ。コーマンの『デス・レース2000年』か!?巨匠の死に世界中が涙に包まれているが、「ゾンビになって蘇ってくるから大丈夫」と安堵の声も聞かれる。いや、ゾンビになったら大変だろ!感染を防ぐために火葬にした方がいいのでは。
 しかし蘇るところをどうしても見たいファンがロメロの棺を奪い取ろうと葬儀を襲撃!(バイカー軍団かと思いきや、みんなバイクの免許がないのでチャリンコで)見事奪取に成功したファンたちが一軒家に集まって復活の儀式。見事ゾンビ再生!大喜びのファンにガブリと噛み付くロメロ!一軒家はドッタンバッタン大騒ぎ。君は蘇るのが得意なフレンズなんだね!そして感染は世界各地に広がって…


 みたいなホラー映画の脚本を映画会社の重役がしばらくの間、山ほど読まされる羽目になるんだろうなあ。死して尚世界中のボンクラ映画ファンに影響を与えるロメロはやはり偉大だな。生きていても死んでいても同じかもしれない。ロメロは本当のゾンビだった!


ローソンの店員みたいな格好のロメロ

  


Posted by 縛りやトーマス at 22:49Comments(0)映画

2017年07月15日

アニメの完コピを実写化とは言わないよ『銀魂』



 福田雄一監督は「酒もたばこもギャンブルもゴルフもやらない」そうである(ウィキペーディアより)。福田の映画は確かに酒もタバコもギャンブルもやらないような人間が撮りそうな映画だね。毒にも薬にもならないってやつ。

 ジャンプで69巻も出ている漫画の実写映画化である。長編なので実写化にあたっては以前劇場アニメ化された『新訳紅桜篇』をベースに、というかほぼ再現。漫画ではなくアニメの実写化であるところが大きなポイントだ。登場人物たちの軽妙なセリフのやり取りとギャグのかぶせあいが売りなので、声優陣の芸達者ぶりがアニメ版の理由のひとつだったので、実写映画はそれを完全にコピーしている。確かにこれはスゴイ。特にメインキャラクターの3人である銀時、新八、神楽をそれぞれ演じた小栗旬、菅田将暉、橋本環奈は杉田智和、阪口大助、釘宮理恵の声を完コピしていて違和感がない。スゴイ!でもそれって実写化なの?ただのかくし芸大会じゃないんですか!?

 小栗らを始め他の俳優陣もアニメのキャラのしゃべりを完コピしており(菜々緒以外は。菜々緒は別の意味でスゴイ。ありえないぐらいの棒読み、大根演技で笑わせてくれた)、改めていうが確かにスゴイ。でもそれならアニメの方を見ればいいんじゃないの!?
 完コピすることが福田雄一の考えるコメディなんでしょうか?コメディでもないよな。パロディでしかない。完コピした部分だけはテンポよくサクサクと進むが、一転シリアスな場面になると役者たちが目一杯演技をし始め、途端にダラダラと冗長になってしまう。ギャグパートはアニメの完コピに徹していた役者たちが今こそ見せ場だと演技し始めるの、もう見ていられない。
 福田雄一監督が唯一見せたオリジナル要素はエリザベスの声が山田孝之という部分。これも単に福田の『勇者ヨシヒコ』シリーズに出てたっていうだけ。友情出演、内輪ネタ。他にもムロツヨシとか佐藤二朗とか、いつもの面子がいつものネタをやるだけ。アニメの完コピと内輪ネタが福田雄一の限界。あのクソ寒すぎるCOUNTDOWN TVギャグとか、どれもこれもアニメの『新訳紅桜篇』に劣っていて(アニメのワーナーとブラザーズに匹敵しようとしたギャグがCOUNTDOWN TVなの?)、実写化という言葉の意味を問いただしたい。
 こんなの見るぐらいなら、アニメの方を100回見た方がマシです!

  


Posted by 縛りやトーマス at 05:12Comments(0)映画漫画

2017年07月12日

パワーレンジャー・クラブ

 7月15日から公開される『パワーレンジャー』はみんな知ってる東映のスーパー戦隊シリーズの『恐竜戦隊ジュウレンジャー』のローカライズ『マイティ・モーフィン・パワーレンジャー』のリメイク映画である。当然、「日本初のヒーロー物が逆輸入」という、スーパー戦隊を始め特撮ヒーロー番組大好きな人々が興味を惹くように宣伝されている。
 しかし各媒体にはジュウレンジャーや特撮番組には別段思い入れもない人たちもいるわけで、そんな人達が「ハリウッド映画だから」という理由で仕事のために見たくもない映画を見せられ(それが仕事なんだけど)、トンチキな文章を書いてしまったケースが多々。その代表的なのが映画.comのコレ。


パワーレンジャー 特集:「ああ、戦隊モノか……」と思ったヤツ、ちょっと来い!声を大にして言わせてもらう──“実は”とんでもなく面白い!!「パシリム」「アベンジャーズ」好きなら絶対見ろ!”
http://eiga.com/official/power-rangers/

 声を大にして言わせてもらうと、とんでもなくつまんねえぞこの特集記事!「ド直球な少年ジャンプの世界」とか「パシリム、アベンジャーズ、トランスフォーマー好きならマチガイナイ」って、完全に間違ってるよ!
 記事担当者はそもそもアベンジャーズやトランスフォーマーすら興味がなくて、自身の映画情報とパワーレンジャーが合致するキーワードが「少年ジャンプ」やアベンジャーズ、トランスフォーマーしかなかったのだろう。映画.com編集部に一人ぐらいいないの?特撮大好きな編集員が。他のWEB、紙媒体でも似たようなもんで元ネタに対する最低限の情報や理解、思い入れがあった上で書いている人がほとんどいない!中にはモノブライトの出口博之さんとかオジンオズボーンの篠宮暁さんとかいるんだけど…

 しかし、今回言いたいことはそれではない。『パワーレンジャー』にはもう一つ重要なキーワードがある。それは「青春映画」だ。
 パワーレンジャーとなる5人の若者はそれぞれ、フットボール選手(レッド)、チアリーダー(ピンク)、自閉症の天才少年(ブルー)、トランスジェンダーの少女(イエロー)、不登校のアウトロー(ブラック)というキャラクター分けがされている。彼らは本来なら所属するカテゴリーが違うので絶対に出会うことはないはずだが、あることから土曜の補習授業に出る羽目になる…ってそれ、『ブレックファスト・クラブ』だよ!

 『ブレックファスト・クラブ』は85年に公開されたジョン・ヒューズ監督(代表作『ホーム・アローン』)のカルト青春映画で、スポーツ野郎、お嬢様、ガリ勉、不思議ちゃんにチンピラ…というスクールカーストのせいで普通に生活していたら学校では絶対に出会わない5人がある事情から土曜の補習授業を受けさせられ「自分は何者か」という作文を書かされる。
 『パワーレンジャー』のキャラクター、展開は『ブレックファスト・クラブ』を完全になぞっている。監督のディーン・イズラライト自身もインタビューで認めてしまっているぐらい。


『パワーレンジャー』ディーン・イズラライト監督インタビュー ジョン・ヒューズから『ロサンゼルス決戦』まで!映画を構築した要素とは
https://spice.eplus.jp/articles/134730

――高校のスクールカーストに属する主人公たちから、ジョン・ヒューズ監督の『ブレックファスト・クラブ』を連想しました。同作を意識して製作されたんでしょうか?

そうです。『ブレックファスト・クラブ』を2017年版として作るなら、それも、スーパーヒーロー映画のレンズを通して作ったらどうなるか、ということを考えて製作しました。そうすると、すごくユニークなスーパーヒーローものが出来るんじゃないか、と思ったので。ぼくは、ジョン・ヒューズ監督の映画が大好きなんです。彼はティーンエイジャーの経験をテーマにした作品をたくさん作っていますが、どれも非常に娯楽的でありつつ、ダークでエッジが立っていて、バランスが凄くいいと思うんです。

――主人公たちのキャラクターは『ブレックファスト・クラブ』より現代的で、複雑ですね。特に、イエローレンジャー/トリニーが自身のセクシャリティに悩む姿が、非常に自然に描かれていたのが印象的です。スーパーヒーロー映画では初めてだと思いますが、なぜこのような設定に?

脚本のジョン・ゲイティンズ(『リアル・スティール』など)と話したのは、2017年の観客に訴えかけられる問題を描いて、『ブレックファスト・クラブ』の現代版にするにはどうしたらいいか、ということです。そうすると、今の若者の“悩み”を提示しないといけない。『ブレックファスト・クラブ』の主人公たちがアイデンティティに悩んでいたように、今日的なアイデンティティの問題のひとつとして、セクシャリティを取り上げたわけです。



 このようにイズラライト監督はどちらというと「スーパーヒーロー映画」よりは「青春映画」を撮りたかったようで(前作の『プロジェクト・アルマナック』も青春映画だし)、『ブレックファスト・クラブ』も『パワーレンジャー』の5人も始めはぶつかり合い、言い争うが、少しずつ自分の悩み事を打ち明けていくことで友情という絆で結ばれた5人は巨大な敵に立ち向かう。『ブレックファスト・クラブ』ではスクールカーストに、『パワーレンジャー』では街を滅ぼそうとするリタ・レパルサというヴィランに。

 一見、共通点のない二本の映画を上手く融合させており、イズラライト監督の目の付け所には唸らされる。普通にアクション映画を目指そうとしたらこんな作り方にはならないだろう。
 少年ジャンプがどうだの、アベンジャーズやトランスフォーマーがどうだのって言われても、監督が目指している方向とは全然違うよ!
 「ファンが見たいのはアクションであって、青春映画なんかじゃないよ!」という意見もあるだろうが、かつてスーパー戦隊シリーズが東映内部で「空気のような」存在だった時にトレンディドラマの要素を取り入れてシリーズに新たな風を吹き込んで成功した『鳥人戦隊ジェットマン』といったケースもある(ジュウレンジャーはその翌年だ)。イズラライトの『パワーレンジャー』は2017年のジェットマンと言えなくもないのだ。





  


Posted by 縛りやトーマス at 23:18Comments(0)映画レンタル映画館

2017年07月10日

夏のアニメ対決

 いよいよ夏本格到来ということで(雨ばかり降っているけど)フジテレビが7月の特番、土曜プレミアムをアニメ祭りにするラインナップを発表。

7/14(金)
『カーズ』19:57~

7/16(日)
『カーズ2』19:00~

7/22(土)
『怪盗グルーのミニオン危機一発』21:00~

7/29(土)
『心が叫びたがってるんだ。』21:00~

 これに対抗して日テレの金曜ロードSHOW!の7月ラインナップは

7/14
『思い出のマーニー』

7/21
『ジュラシックパーク』

7/28
『ジュラシックワールド』

 夏休みの子供向けにアニメをぶつけるフジ、そして子供にはバカ受けの恐竜モノをぶつけてくる日テレ、勝敗はどちらに?
 ちなみに今、アメリカはサメ映画ブームで今年もイギリスのサメ映画『海底47メートル』がスマッシュヒット。日本もおとなしく『ジョーズ』や『ディープ・ブルー』をテレビ放映してサメ地獄に叩き落とすべきではないか。今年も午後のロードショーは『シャークネード』シリーズを連続放映の予定。

http://www.tv-tokyo.co.jp/telecine/oa_afr_load/


  


Posted by 縛りやトーマス at 02:10Comments(0)映画テレビ

2017年07月09日

犬はどうでもいいのか『ジョン・ウィック:チャプター2』



 斬新な格闘術ガン・フーを生み出したジョン・ウィックが帰ってきた!シュワルツネッガーやスタローン、ブルース・ウィリスが90年代にやってたような銃弾バラマキより、如何に少ない弾丸で相手をしとめるかというワンショット・ワンキルが最近のアクション映画の主流になっている中に、ガン・アクションとカンフーを組み合わせたガン・フーというアクションは利いた。今回はそれに加えてナイ・フーカー・フーという新アクションもある!なにそれ!


 前作で亡き妻の忘れ形見であるビーグル犬の敵討ちとしてロシアン・マフィアを全滅させたジョン(キアヌ・リーブス)。その際に奪われた愛車フォード・マスタングを取り返すべく、愛車が保管されているロシアンマフィア・アブラム(前作で始末したタラソフの叔父)のアジトである自動車工場向かう道すがら、マフィアの構成員を車で跳ね飛ばすこれがカー・フーだ!(人を轢き殺してるだけやんけ!)
 ジョンは自動車工場のマフィア連中を皆殺しにする殺しの腕前を見せつけ、アブラムとは和解し、愛車を取り戻す。ようやく我が家に戻ってきたジョンは武器をしまいこみ、前作の帰り道で盗んできた犬(ビーグル犬でもなんでもない、別の犬。犬ならなんでもいいのか)とともに安息の日々を取り戻すのだった。

 しかしそんなジョンの元に今度はイタリアン・マフィア、カモッラの幹部サンティーノ(リッカルド・スカマルチョ)が現れる。彼は復帰したジョンの噂を聞きつけ、殺しの依頼にやってくるのだが引退を決意したジョンは依頼を断ろうとする。だが、ジョンとサンティーノは「誓印」を交わしていた。引退する際にジョンは最後の仕事としてバーバ・ヤーガという伝説の殺し屋を始末したが、その際の手引や情報と引き換えにカモッラと「どんな仕事でも一度だけ引き受ける」という契約を「誓印」によって結んでいた。「誓印」を盾に仕事をさせようとするサンティーノにジョンは引退したからと一方的に依頼を蹴るが、報復としてサンティーノはジョンの家を破壊。亡き妻との思い出の残る家を焼け出され、愛犬と二人きりになってしまうジョン。
 殺し屋専門の高級ホテル、コンチネンタル・ホテル・ニューヨークの支配人であるウィンストン(イアン・マクシェーン)に相談するが、誓印の借りをサンティーノに返すしかないというウィンストン。渋々ジョンはサンティーノの依頼を受けることに。依頼はカモッラのボスであり、サンティーノの姉でもあるジアナ(クラウディア・ジェリーニ)を暗殺すること。

 ジョンはコンチネンタル・ホテル・ローマに向かい、旧知のオーナー、ジュリアスと再会。このジュリアス役がなんと『続・荒野の用心棒』のフランコ・ネロ!「武器が欲しい」というジョンに棺桶の中から機関銃を手渡すのだった(嘘)。
 ジョンは強固な警護をものともせずジアナを暗殺するが、サンティーノの部下であるアレスがなぜかジョンに牙をむく。ジアナを暗殺した後はジョンを始末するよう言われていたのだ。自分が罠にハメられたことを悟ったジョンは戦いつつ逃走、途中でジアナのボディガード、カシアン(演じるのはラッパーのコモンで最近は『ラン・オールナイト』『スーサイド・スクワッド』などアクション映画にも出演中)に追われるもコンチネンタル・ホテル・ローマに逃げ込む。
 「ホテルでの殺し合いはご法度」(これが重要なクライマックスにつながる)というコンチネンタル・ホテルの掟に従ってカシアンは武器をしまい、ジョンの置かれた状況を説明される。納得はするがジアナを殺したことは許さないと復讐を宣言してホテルを出て行く。バーにはいつの間にかアレスが居て、ハンドサインで「また会いましょう」と告げる。アレス役はオーストラリア出身のモデル、ルビー・ローズ。彼女も最近は『バイオハザード・ザ・ファイナル』『トリプルX:再起動』といったアクション映画に立て続けに出演中。本作ではハンドサインだけで会話する暗殺者を演じて強烈な存在感を見せつけている。

 このように国際色豊かなキャスティングが魅力であり、500万ドルの賞金首をかけられたジョンはNY中で世界中からやってきた殺し屋たちに狙われる。街を歩くだけで休む間もなく殺し屋が襲いかかる!変なのが街のど真ん中で銃弾が飛び交ったり、刃物振り回されても市民があんまり騒がないんだよな。さすが摩天楼。人殺しぐらいは日常茶飯事なんだな(違う)。

 孤立無援のジョンは二人のホームレスに助けを求める。求める相手が間違ってるよ!その人たちこそ助けが必要でしょ!と思ってると二人は追っ手を隠し持ったサイレンサー付拳銃であっさりワンショット・ワンキル!なんとNY中のホームレスはバウリー・キングと名乗る地下犯罪組織の王の手下なのだった。キングはジョンと争ったが、ジョンが見逃したことによって生きながらえた過去があったのだ。キング役はローレンス・フィッシュバーン。ご存知モーフィアス役で『マトリックス』依頼の共演。キングの協力を得てジョンはサンティーノの居場所を見つけ出す。

 ガン・フーに加えナイフと銃を使った格闘技、ナイ・フーを披露し殺し屋どもを歌うように踊るように始末していくキアヌ・リーブス。もはやただのアクション映画ではない。殺戮という名の芸術だ。
 ラストで世界中を敵に回すことになったジョン。今度は日本を舞台にするのはどうでしょうか。コンチネンタル・ホテル・ジャパンのオーナーは当然千葉真一!襲い来るニッポンのヤクザの親玉は遠藤憲一でどや?ゲスト出演は真田広之に大葉健二…夢が広がる。あと日本で撮影したらキアヌの大好きなラーメンも食い放題なのでメリットしかないな。東京オリンピックなんかどうでもいいから『ジョン・ウィック』が自由に撮影できるよう法整備を整えるんだ。

 前作では重要だった犬は今回どうでもいい扱いでした。結局犬はどうでもいいんかい!

  


Posted by 縛りやトーマス at 20:11Comments(0)映画