2017年11月18日

むしろ共感度100%だろ?『彼女がその名を知らない鳥たち』



“共感度0%、不快度100%”という惹句からも『彼女がその名を知らない鳥たち』が今の邦画のトレンドにまっこうから立ち向かう姿勢であることがうかがえる。

 十和子(蒼井優)はロクに働きにも出ず、家でブラブラとしている。大事にしている腕時計が壊れたと店にクレームの電話を入れる。珍しいタイプの時計なので同じぐらいの価値のものを交換で、という相手にこの時計がどれだけ大事なのかということをねちねちと話し続ける。レンタルDVDの再生が途中で止まれば店まで行って同じ作品のDVDを無料で出そうとする店員に「わざわざここまでやってきた自分の時間を返してほしい」と心底ダルそうにする十和子は完全にクレーマーだ。
 働きに出ないので稼ぎは15歳年上の内縁の夫、陣治(阿部サダヲ)に頼っている。その陣治は異常な心配性で一日に何度も十和子の携帯に連絡を入れ、「事故におうてへんかと思って」「お前のことが心配なんや」を繰り返す。仕事が終われば着替えもせずに着の身着のままで食事をし、脱いだ靴下を放り出し足の指の間につまったカスを取りながらメシを食らう、がさつで不潔な陣治を十和子が「虫唾が走る」と罵倒する。そんな態度を取られながらも陣治は平身低頭で「かんにんな。すまんな」というだけ。その度に十和子にはかつての恋人・黒崎(竹野内豊)との日々が美しくよみがえる。

 この冒頭だけで十二分に“共感度0%、不快度100%”な光景が繰り広げられ、さらに不快な光景は続く。

 クレームを入れた時計店から売り場主任の水島(松坂桃李)が謝罪にやってくる。水島から黒崎に似た面影を感じた十和子は既婚者だという水島と関係してしまう。ピロートークでタクラマカン砂漠にいった思い出を語り、
「ウイグル語でタッキリ・マカン、一面の砂漠で絶対零度の孤独っていうのかな…」
 などとしゃらくさい事をしゃべる水島は演じる松坂桃李があまりにイケメンなこともあって不快指数がさらに上がる!なにがタッキリ・マカンだ(笑)

 水島と関係するようになって帰宅が遅くなる十和子のことが心配でたまらない陣治は十和子の姉・美鈴(赤澤ムック)に相談。美鈴は「あんた、また黒崎って男と会ってるんじゃないの?」と責める。水島とのことは言えない十和子は口を濁す。陣治は(なぜか)十和子をかばうように「それだけは絶対にないです!」と強く否定
 数日後、十和子は酒田(赤堀雅秋)という刑事から黒崎が5年前から失踪していることを告げられる。失踪していることを始めて知った十和子は陣治がなぜ強く否定したのか、ひょっとすると黒崎の失踪に陣治が関わっているのではないかと疑いはじめる…

 この物語、ろくでもない人間しか出てこない。十和子は自分勝手で自堕落だし、水島で既婚者のくせに「妻とは冷め切っている」といって十和子と関係し続けるが実は職場の同僚とも不倫していて、十和子に話した同じセリフで口説いている!しかもその内容は全部他所からの受け売り。元カレの黒崎も単なるジゴロで、十和子をひどい目に遭わせた挙句「なんでわからないんだ!こんなに愛してるのに!」と殴る蹴るの暴力を振るう。どいつもこいつも最低のエゴイストばかり。だが、そんな最低だらけの人間たちの中でたったひとり陣治だけが深く十和子のことを大切に思い、愛していたことがわかるのだ。あんなにがさつで不潔で、嫉妬にまみれて十和子の後を付け回して水島に嫌がらせまでして「心配なんや!お前のこと愛してるんや!」と叫ばずにいられない陣治はストーカー一歩手前。「見た目の美しい人間たちによる中身も美しい人間の恋愛物語」ばかりが持て囃される邦画にあって汚らしく共感のしようがない人間ばかりが出てくる本作は異質。
 しかしどの役者もまったく共感できない役柄を演じながら、みな生き生きとし役者として忘れられない役を掴んだといえる。二枚目役者の竹野内豊や、イケメンすぎてチャラチャラした役ばかりの松坂桃李など、ろくでもない役なのに生き生きとしている。

 本作の主人公は蒼井優演じる「異性に縋らずにいられない女」、十和子であり彼女の物語なのだが、がさつで不潔、到底異性にもてそうもないが誰よりも深く十和子のことを愛していた陣治が主人公の物語としてみることもできる。劇中、十和子に初めて出会った陣治が一目ぼれし、不器用ながらも精一杯の愛情表現をし続ける場面に胸が熱くなる。原作小説を「喪男小説の新たな収穫」と喝破したのは豊崎由美でさすがだと思う。
 確かに不快度は100%かも知れないが、共感度0%だって?僕は喪男陣治の不器用な生き方に共感せずにいられない。


  


Posted by 縛りやトーマス at 08:41Comments(0)映画

2017年10月31日

一位はプリキュア!プリキュアです!

 ついに日本でも公開された『ブレードランナー2049』。本国アメリカではハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ報道に隠れてイマイチな滑り出しになってしまいましたが、ブレードランナー大好きな国、日本では一位スタートしてもらわないと配給先のソニーピクチャーズも困ってしまいます。同日公開にはハリウッドのブロックバスター系作品は一本もなく(おそらくブレードランナーと勝負するのを避けたのであろう)、邦画では広瀬すずの精神年齢が低すぎるスイーツ映画や、アニメ『Free!』の番外編ぐらいしか目立ったものがなく、もはや勝負は決まったはず。ではその結果は…


http://eiga.com/ranking/

>10月28日~29日の国内映画ランキング(全国週末興行成績・興行通信社提供)が発表された。2週連続で台風が日本列島に襲来したが、この週末は4本の新作が初登場。首位は「映画キラキラ☆プリキュアアラモード パリッと!想い出のミルフィーユ!」が獲得した。今年2月からテレビ放送が開始された「キラキラ☆プリキュアアラモード」の劇場版で、「プリキュア」劇場版シリーズの通算23作目となる。全国217スクリーンで公開され、オープニング2日間で動員17万0659人、興収1億9310万1900円をあげた。この成績は昨年10月に公開され、最終興収6.7億円をあげた「映画魔法つかいプリキュア!奇跡の変身!キュアモフルン!」の興収比119.4%。初登場1位獲得は、12年公開「映画スマイルプリキュア!絵本の中はみんなチグハグ!」以来2度目となり、好調なスタートとなった。

 まさかの映画プリアラが一位スタート!アニヲタのくせにプリアラを蚊帳の外に置いてしまってごめんなさい。そう思ったのはここ数年、映画プリキュアは数字的には苦戦の一途を辿っていたからだ。
 2013年公開の『映画 ドキドキ!プリキュア マナ結婚!!?未来につなぐ希望のドレス』が9億5000万の興収を記録して以来、『映画 ハピネスチャージプリキュア! 人形の国のバレリーナ』5億3000万、『映画 Go!プリンセスプリキュア Go!Go!!豪華3本立て!!!』5億6000万、前売り券が歴代3位の売り上げを記録した『映画 魔法つかいプリキュア! 奇跡の変身!キュアモフルン!』ですら6億7000万に終わっているのだ。この流れから、今年爆発するとは予想できなかった。
 今年の爆上げぷりの原因を探ると、テレビ本編の「スイーツづくり、パティシエ」という設定が効いているせいかなと。女の子にはやはりスイーツづくりや料理ものというのが不動の人気を誇っているからだろう。プリンセスとか魔法使いって言われてもなあ~頑張ってもプリンセスや魔法使いになれないことは誰でも知っているし。

 後塵を拝してしまった『ブレードランナー2049』ですが、土日2日間で動員14万9947人、興収2億2649万3800円という数字で、興収では上回っているものの、ランキングは動員で決定するのでプリアラに膝を屈する結果に。しょうがないじゃないか!2位で充分ですよ!わかってくださいよー




  


Posted by 縛りやトーマス at 23:28Comments(0)映画アニメ

2017年10月28日

杏南よ今夜もありがとう

 菅田将暉と韓国の監督もこなす俳優、ヤン・イクチュンの共演も話題な寺山修司唯一の長編小説を映像化した『あゝ荒野』。もうひとつの話題としてグラドル今野杏南が大胆な濡れ場に挑戦しているというもの。




ドスケベなグラドルファンが今野のおっぱい目当てで劇場に駆け付けたいところ、本作は前後編合わせて約5時間の長編(さすがは寺山の長編小説)。杏南のおっぱいが5時間出続けるなら文句もありませんが、そうはいかないので邪なファンは誰も映画館に行かなかったという悲しい現実。

 ところがいま動画配信サービスのU-NEXTで本作が全6回にわけて配信されております。27日に配信された第5話でようやく今野杏南のおっぱいが見られたと大騒ぎ!



 少し垂れ気味のむっちりとしたおっぱいがついに白日の下に晒されてもはや年貢の納め時(意味不明)!30前にきちんとおっぱい見せてくれたことは手放しで絶賛したい。杏南よ今夜もありがとう。吉岡里帆も小生意気なことぬかしてる暇があったらとっとと脱ぎやがれ!
 この効果で来週の第6話に関心が集まるところですが、たぶん次回のおっぱいはない。それでもU-NEXT万歳!今野杏南さんこれからも頑張ってください。

  


Posted by 縛りやトーマス at 16:06Comments(0)映画芸能人ヌード

2017年10月28日

あまりのトンデモ展開に目が白黒『ゲット・アウト』



 今年ハリウッドでもっとも低予算でつくられたにも関わらず大ヒットを記録したホラー映画(製作費$4,500,000に対して北米にて公開2か月で$175,484,140のヒット)。
 アフリカ系アメリカ人のクリス(ダニエル・カルーヤ)は白人の恋人ローズ(アリソン・ウィリアムズ)の家にいくことになったが、自分が黒人であることを白人の両親に知らせていないことに不安を感じる。

「うちの両親はレイシストじゃないし、パパは『オバマ大統領が3期目の出馬をしてたら投票する』って言ってるわ」

 ローズの自宅はニューヨークの郊外にある高級住宅地で、両親は温かくクリスを出迎えてくれるが屋敷の管理人や使用人が黒人で、メイドのジョージーナ(ベル・ガブリエル)は完全に目が死んでいるし、管理人のウォルター(マーカス・ヘンダーソン)は真夜中に屋敷の周りを全力疾走して、直角に曲がって走り去った(意味不明)


 怖い!ホラーだ!(バカな)このシーンのインパクトが強すぎて、ネットでは#GetOutChallengeとしてシーンを再現する遊びが流行っていたのであった。



 翌日、ローズの家では一族の人間が集まってパーティを開くことに。みなローズの両親のように温かくクリスを迎えてくれるものの、集まったのは全員白人なので居心地の悪さを感じるのだが、唯一黒人のローガン(キース・スタンフィールド)がいたことから、彼に親しげに話しかけるもローガンもまたウォルターやジョージーナのように変な反応をするのであった。クリスは彼にこっそりスマホのカメラを向けて写真を撮ろうとするが、フラッシュを焚いてしまう。するとローガンは鼻血を流して「出ていけ!出ていけ!」と騒いでクリスにつかみかかる。
 嫌になって帰りたくなったクリスがローズに慰められている間、パーティーではビンゴゲームがスタート。その商品はクリス本人だった。


 アメリカで人気のスタンダップ・コメディアンのコンビ、キー&ピールのジョーダン・ピールによる初監督作品はインターレイシャル・カップル(異人種カップル)の問題を描いた社会派作品として見られる。途中までは。映画は中盤以降は突如コメディになってしまうのだ!!
 開いた口が塞がらない、トンデモ映画になっていく後半は爆笑で、ホラーなのにG指定になっているのも頷ける。ジョーダン・ピールは日本ではほとんど知られていないが主演作の『キアヌ』がDVDスルーになっている。

『キアヌ』については↓
http://sthomas.otaden.jp/e440439.html

 『キアヌ』で二人は“黒人らしい生き方ができなくて黒人らしい生活になじめない”というギャグを演じている。黒人なのにジョージ・マイケルをずっと聴いているというキーはワルの振りをしなきゃならないのにジョージ・マイケルをフェイバリットにしているのをワルな黒人たちにポカーンとされてしまい、ジョージがワム!から抜けた話をものすごく悪そうにねつ造するというギャグは捧腹絶倒。こういったギャグセンスがある人なのでついつい『ゲット・アウト』にも取り込んでしまったみたい。社会派スリラーというだけじゃ見る人限られちゃうからね。

 序盤の展開はクリスや観客の心にもやもやとした黒い幕をかけ、後半では一気に幕が晴れたが唖然とした白ける寸前のオチが待っており、観ているこっちは文字通り目を白黒させるばかり。観客の心まで白黒させるとは…恐れ入った!!


  


Posted by 縛りやトーマス at 05:37Comments(0)映画

2017年10月26日

マイナス面をプラス面が補った過激アクション『亜人』



 good!アフタヌーン誌にて連載中の人気漫画の実写化。死んでもすぐに蘇り、「死ぬことができない」“亜人”が世界の各地で確認され、日本でも研修医の永井圭(佐藤健)が国内3人目の亜人として認定される。亜人は政府の保護を受けているとされていたが、研究所に運び込まれた永井を待っていたのは終わることのない人体実験の日々であった。本院の意思を無視して体中を切断され、反応が薄まると殺されて「リセット」されてまた人体実験が再開する…
 地獄のような日々に終わりを告げたのは研究所に突入したテロリスト、佐藤(綾野剛)であった。佐藤は国内最初の亜人であり、政府による人体実験を告発するため永井を救いにやって来た。決して死なない佐藤の前に研究所書院たちはなすすべなく殺されていく。躊躇もせず殺人を繰り広げる佐藤を恐れた永井は「一緒に戦おう」という佐藤の誘いを断って研究所を脱出、病気で入院中の妹、慧理子(浜辺美波)の元へ。その頃、佐藤は亜人二号の田中(城田優)とともに政府が隠匿してきた亜人への人体実験を告発し、亜人の保護を求めて記者会見を行うが、真の目的は亜人が普通の人間の上に君臨する支配権の確立であった。


 『進撃の巨人』『東京喰種』のような異常な生物と人間が戦う、漫画界で(特に講談社)最近流行りのテーマの実写映像化であるが、この手の実写企画がことごとく失敗しているのは原作ファンに気を使い過ぎて原作を再現するだけで精一杯だったり、原作から逸脱しすぎてわけのわからないことになっているか、どっちかなんですが、この『亜人』はこの手の漫画実写でありがちな原作の世界観を説明する時間をぶった切っている。序盤も永井という主人公の日常が亜人になってしまうことで崩れ去っていく、というシーンから始まるであろうはずが、すでに研究所で実験されているシーンから始まっている。
 佐藤ら反政府の亜人たちや、亜人の研究を指示する戸崎(玉山鉄二)や彼の部下でありながら実は亜人という下村泉(川栄李奈)という人物のバックボーンなどはまったく描かれない。説明を極端に省いているので少々理解に苦しむ展開が出てくるのだが、その分をアクションに費やしており、実にスピード感のある物語になっている。
 『るろうに剣心』『HiGH&LOW THE MOVIE』などを担当したA-TRIBEによる地面を高速で滑りゆくワイヤーアクションなどは目を見張る出来で、邦画のアクション描写は確実にレベルアップしている。特に川栄李奈が城田優に蹴り飛ばされたり、階段を生身で転がってゆく場面は相当体を張っていてそこらへんのヘナチョコ邦画では歯が立たない。

 佐藤健、綾野剛、玉山鉄二、千葉雄大、山田裕貴といったニチアサ系の俳優たちが邦画アクションの大作を背負っているというのも、特撮クラスタにしては嬉しい限り。

 説明不足の物語というマイナス部分を激しいアクションがプラスにして補っている実写『亜人』。アクションだけで金が取れる邦画の誕生です。

  


Posted by 縛りやトーマス at 21:32Comments(0)映画特撮・ヒーロー

2017年10月21日

ぶっ飛んでるよ!『バリー・シール アメリカをはめた男』




 16歳で飛行機の免許を取り、トランスワールド航空へ就職した男、バリー・シールは天才的な腕前をもつパイロットだったが、機長が寝ている隙にオートパイロットを切って操縦、非常事態になるほどムチャをして「先ほど乱気流に突入しました」とぬかすような男で、南米に飛んだついでに現地の葉巻やマリファナをこっそり懐に隠して密輸しちゃうイカれたやつだった。そんなシールにCIA職員を名乗るシェイファー(ドーナル・グリーソン)が現れ、中南米の国への偵察飛行を依頼する。


 1970年末から80年代初頭にかけて偵察飛行とついでに行ったダーティビジネスで巨万の富を築き上げた伝説の男、バリー・シールの「実話に基づいた」という部分がにわかに信じがたい破天荒すぎる内容の映画だ。バリー・シールを演じるのは伝説が似合うが一部の奇行でも知られるトム・クルーズ、彼と『オール・ユー・ニード・イズ・キル』で組んだダグ・リーマンが監督。バリー・シール本人の行動といい、トム・クルーズの演技といい、文字通りのぶっ飛んだ映画になっている。飛行機だけに。

 CIAは中南米のニカラグア、エルサルバドルなどアメリカの傀儡政権が打ち立てられている国で起きた革命政府を打倒するためにシールに偵察任務を依頼。命知らずなシールの突撃飛行によって鮮明な偵察写真が次々CIAに送られる。そんな折、コロンビアでメデジン・カルテルの幹部エスコバルらと出会ったシールはコカインをアメリカまで密輸する仕事を持ち掛けられる。
「お前、偵察だけなんだから飛行機は空っぽだろ?帰るついでにうちのコカイン運んでくれよ」
 ちょっとついでに、ぐらいの感じで振られた依頼をシールはあっさり受け入れ、飛行機いっぱいのコカインを空中から投げ捨てる密輸ビジネスをCIAに内緒でやってさらに儲ける。
 このビジネスでドジを踏んだシールはコロンビアの刑務所に放り込まれるが腕を惜しんだCIAから金で保釈される。しかしアメリカ国内の警察までは抑えきれないのでアーカンソー州の田舎に家を買ってやったから朝6時に警察が自宅に踏みこむまでに家族を連れて引っ越せ、と言われる(笑)。
 なんとか引っ越しを成功させたシールには引っ越し先で巨大な飛行場が与えられ、偵察だけでなく中南米の反政府ゲリラに提供する武器の密輸を任されるようになり、飛行場の隣の土地を整地して、そこに反政府ゲリラを連れてきて人を殺す訓練までさせる!(これ、本当に本当の話なの?)

 これは明らかに国際法違反だが、ベトナム戦争に負けたアメリカは軍隊の派遣を嫌がって密かにこのようなことを行っていたという。とはいえCIAはこの行為やバリー・シールへの依頼自体を今も認めていない(映画の中でもシェイファーがシールとの関係をにおわせる資料を破棄する場面がある)。トム・クルーズやダグ・リーマンもよくこんなヤバ目の作品つくったな。

 とはいえ映画自体は「アメリカ政府の暗部を暴く!」といったシリアスなドキュメント映画というよりは、娯楽作品を目指しているのであまりにすさまじくて笑ってしまう場面が続出。特に二重三重のダーティビジネスで金を荒稼ぎするシールはマネーロンダリングとして地元の土地に金をしまい込むための銀行をつくるのだが、すぐにいっぱいになるので新しい銀行をまたつくって、いっぱいになったのでまたつくって…を繰り返してるうちに1ブロックの土地が銀行だらけに(笑)。
 マネロンが追い付かないので自宅に金を隠すのだが物置の扉は札束で溢れて戸が閉まらなくなり、札をしまったキャリーケースは積み上がり、馬小屋に放り込んだ金を馬がカイバと勘違いして口にする。しまいにゃ庭に穴を掘ってそこに札束を放り込む。数年間にして当時の金で50億ドルを稼いだというのだから使っても使っても減らない。その金を地元に落とすと何もない田舎の町にキャデラックが走り回る異様な光景に…

 そんな生活が長続きするはずもなく、マネロンの件でFBI、麻薬密輸の件でDEA(麻薬取締局)、地元でトラブった件で地元の警察がシール逮捕に動き出す。ある夜にシールを逮捕しようと三者が一度に鉢合わせになって互いに銃を突きつけあう場面は爆笑必至。一生牢屋から出られないレベルの懲役を食らうはずだったシールだが、一本の電話がかかったきた結果、シールは無罪放免。判決に納得がいかないFBIらが大騒ぎする中を悠々と歩き去るシールを黒服にサングラスの男たちが出迎える。彼らが運転する車が向かった先はなんと…ホワイトハウス!シールは無罪放免を条件に政府からある仕事を引き受けさせられるのだが。


 この後シールがたどる顛末を見る限り、邦画のサブタイトル「アメリカをはめた男」は間違いだな。むしろ「アメリカにはめられた男」だと思うんだけど。トム・クルーズ映画なのでもちろん字幕は戸田奈津子さん。ひょっとしたら戸田奈津子さんが意見したかもな。「アメリカをはめた男」で決まりだ!って。誤訳だよ誤訳。


  


Posted by 縛りやトーマス at 16:32Comments(0)映画

2017年10月18日

ドス竜の再来なるか

 12月に公開される仮面ライダー映画最新作『仮面ライダー平成ジェネレーションズ FINAL ビルド&エグゼイド with レジェンドライダー』は仮面ライダーオーズ~仮面ライダービルドまでのライダーを演じた役者が勢ぞろいで登場することで話題になってますが、さらに敵のライダーを大槻ケンヂが演じるとのこと。

大槻ケンヂ、平成レジェンドライダーと対決!劇場版『仮面ライダー』懐かしキャラも復活!
https://www.cinematoday.jp/news/N0095388



『電人ザボーガー』の悪之宮博士ばりの顔を半分覆ったマスクで悪役らしさをギンギンに出しているオーケン。なんと劇場用映画出演は男の墓場プロダクションの『怪奇!!幽霊スナック殴り込み』以来11年ぶり!って誰も覚えてねえよそんなもん!
 オーケンが演じるのは最凶のライダー(毎年似たようなこといってるけど)、カイザーだが、ここはドス竜を演じた経験を生かして最強の忍者ライダーとして登場して欲しかったが『劇場版仮面ライダーエグゼイド トゥルーエンディング』に忍者ライダー出しちゃったからなぁ~残念。

 にしてもオーケン、ゲスト出演とはいえそれなりに出番も多そうなのに大丈夫か?演技の方は!? 『空想科学任侠伝 極道忍者ドス竜』の主演に懲りた上、実写業界特有の「朝5時、高尾駅に集合」などの早出に耐えられず役者業は廃業したはずじゃなかったのか?絶対今回の映画でも「早朝にSSA前に集合」などの早出があったと思うのだけど。
 さてこれが大当たりして石橋凌のように魂焦がすのか、ドス竜ばりのトンデモ怪優として踊るダメ人間になるのか、こうご期待(多分後者)。


  


Posted by 縛りやトーマス at 20:59Comments(0)映画特撮・ヒーロー大槻ケンヂ関連

2017年10月17日

失われたうまい棒

 12月16日に公開される映画『オレの獲物はビンラディン』の前売り特典として主演であるニコラス・ケイジの顔をパッケージデザインに使用したうまい棒、その名もニコラスティックがつくことが報道されていましたが、直前になって配布中止に。なんと、本人の許可を取っていなかったとのこと…


ニコラス・ケイジ主演映画の“特製うまい棒”配布中止「肖像権の使用許諾与えていない」
http://www.oricon.co.jp/news/2098853/full/


>FilmNation International, LLCとトランスフォーマー社は、ケイジがこの施策について認識しておらず「肖像権の使用許諾も与えていない」と文書を通じ説明。「特製うまい棒」配布のニュースが拡散したことで、ケイジが日本の製菓会社に対して肖像権を与えているような誤解が生じてしまったとしている。

 一部映画ファンの反応の中には「こんなバカなものに許可出すわけねーじゃんw」とうまい棒そのものにケイジが拒否反応を示したかのような書き込みが散見されるが、果たしてそうだろうか?

こんなバカなもの

 去年、ケイジは『ペイ・ザ・ゴースト ハロウィンの生贄』の日本公開時にケイジの顔を模した金太郎飴、『ペイ・ザ・ゴースト 特製組飴』通称ニコラス・ケイジ飴を二個(“ニコ”ラスだけに)前売り券の特典としてつけていたのだ。



 こっちの方が相当バカなものに見えるんだけど!これに許可出してたんだから、うまい棒だってきっとOKだったに違いない。単純なほうれんそうのミスで本人が企画を把握してなかったんじゃないかな。こんなことでケイジが腹を立てそうにも思えないし。
 それに日本ではケイジ主演映画ってどんなに小品でも必ず公開されてるし。本国ではVOD、限定公開だった『ダーティ・コップ』ですら全国公開されてるんだから。そんなおいしいビジネスの相手である日本の国民的菓子とのコラボを断るはずがない。きちんと許可さえ取っていれば…

 でもマスコミ試写はもう始まってるから、観に行った関係者には配られてたかもね。将来価値が上がるかもしれないので関係者は大切に取っておいた方がいいよ。


  


Posted by 縛りやトーマス at 22:36Comments(0)映画ハリウッド・スキャンダル食べ物

2017年10月16日

円環の輪になって見事完結『猿の惑星 聖戦記(グレート・ウォー) 』



 2011年に公開された『猿の惑星:創世記』から始まる新3部作の完結編。1968年から73年にかけて5作品が作られた『猿の惑星』シリーズは一度リメイクされている。ティム・バートン監督によるリ・イマジネーションと呼ばれた作品は猿のリンカーン像が登場するオチに観客どっちらけ。「エイブラハムならぬエイプラハムってか?HAHAHA」と劇場には乾いた笑いが起きたという。

 今回の新3部作はバートン版をなかったことにすべく、世界観の再構築、統一が行われた。アルツハイマーの治療薬を作る過程で実験体にされた猿が知能を持つようになるが、人間には致死性の高いウィルス“猿ウィルス”となって爆発的に感染し、世界中の人間が激減する。森に逃げ込んだ猿たちは最初の知能を持った猿シーザー(アンディ・サーキス)のもとコミュニティをつくって暮らしていたが生き残った人間たちと遭遇する。かつて実験動物として人間に虐待された過去をもつ猿コバ(トビー・ケベル)は人間たちを抹殺しようと猿たちを扇動する。育ての親ウィル(ジェームズ・フランコ)と暮らした日々の思い出から人間との争いを好まないシーザーはコバと対立し、「猿は猿を殺さない」という掟を破り、コバを殺す。そして人間たちとの全面対決は避けられないように…

 シーザー率いる猿の軍団はマッククロウ大佐(ウディ・ハレルソン)の部隊の急襲を受け、シーザーは妻子を失う。その悲しみから人間への復讐に憑りつかれたシーザーは生き残った仲間たちを新天地に向かわせ、自分は武器を手に馬にまたがり(!)マッククロウを追う。前作まで温厚そうな顔つきだったシーザーは険しい表情一辺倒に。モーションキャプチャーとCGによって作られたキャラクターでありながら演じたアンディ・サーキスの力によって表情以上のものが伝わってくるようだ。

 シーザーは道中、言葉を話せない少女を成り行き上、旅に同行させる。少女にはノヴァという名前がつけられるがこれは第一作に登場した言葉を話せない人間と同じ名前だ。さらにたった一人捨てられた兵士も言葉を話せなくなっていることがわかり、人間たちには「言葉を話せなくなる」症状が現れていることを知る。
 一行は人間たちが捕まえた猿を奴隷のようにこき使い、砦を築かせている場所にたどり着く。「言葉を話せなくなる」症状が現れだした人間とそうでない者たちを区別する壁をマッククロウは作らせていたのだ。聖戦記<グレートウォー>とは人間たちの聖戦だった!
 コバのように復讐に憑りつかれたシーザーはマッククロウに捕まり、鞭うたれる。猿たちを率いる資格すら失い無力さを噛みしめるシーザーだが、仲間の協力によって猿たちの自由を取り戻し、モーゼのように約束の地を目指す。『十戒』ばりに人間が滅び去るクライマックスシーンは衝撃的すぎて思わず笑ってしまう(笑ってはいけない)。

 猿たちの物語でありながら旧約聖書のように語られ、シリーズ第一作と円環の輪になる展開は『猿の惑星』サーガとして完璧ではないですか。ホント、バートン版は一体何だったんだ…


  


Posted by 縛りやトーマス at 21:14Comments(0)映画

2017年10月12日

大コケ?健闘?

 35年の時を経た続編『ブレードランナー2049』がついに全米デビュー。作品的な評価は別にして興行成績の方は…



映画「ブレードランナー」続編が大コケ 中年にしか受けない説
https://forbesjapan.com/articles/detail/18025


>1億5500万ドル(約175億円)という巨額な製作予算を投じて作られた「ブレードランナー2049」が、初週末(土曜日まで)に稼げたのは3150万ドル(約35億円)だった。しかも、この金額は5日深夜の先行上映の400万ドルを含めての数字だ。

>ハリソン・フォードとライアン・ゴズリングらが主演を務めた「ブレードランナー2049」の成績は、「キングコング:髑髏島の巨神」(3月公開、初週末の興収6100万ドル)の人気に遠く及ばない。この成績は同じく不発だった「エイリアン: コヴェナント」(5月公開)の初週の3600万ドルを下回ることになる。


 と、やや期待外れのスタートに。先月の興行をぶっちぎった『IT “それ”が見えたら終わり。』が1億2300万ドルのスタートだったことを考えても低めではないでしょうか。
 年毎に比較すると2016年は『ミス・ペレグリンと奇妙な子供たち』が2880万ドル、2015年は『オデッセイ』が5500万ドル、2014年は『ゴーン・ガール』が3800万ドルといったところ。


映画情報 オスカーノユクエ‏ @oscarnoyukue

「ブレードランナー 2049」が全米興行で大コケ、という報をちらほら目にしますが、決してそんなことはありません。全米の10月興行は月別に言えば年間ワースト3の“不入り月”で、さらに上映回数の制限される2時間43分という長尺でありながらOP興収3100万ドル超はむしろ大健闘かと。

https://twitter.com/oscarnoyukue/status/917289403701125120

 こんな意見もあるので一概に「大コケ」とまでは言えないと思うのですが、事前予想が高めだったこともあって数字に絡めた批判的な意見が出てくるのは仕方ないか。

 しかし初代の『ブレードランナー』だって興行的には完全に不発で、後にビデオで再評価されカルト映画化していったのは周知の事実で続編の監督、ドゥニ・ヴィルヌーヴはそんなところにまでオマージュをささげたのかと。最高じゃないか!
 興行的にはイマイチでも、評価の方は前作を超えたとすら言われているので、大コケがどうだのと、くだらない意見はそのうち時と共に消えるのだ。雨の中の涙のように…

  


Posted by 縛りやトーマス at 02:49Comments(0)映画

2017年10月08日

日本人はどうして怒らないのか『エルネスト もう一人のゲバラ』



 今年没後50年を迎える革命のカリスマ、エルネスト・チェ・ゲバラ。ゲバラの名がタイトルについてるのでゲバラ本人についての映画と思わせて、主役はゲバラからファーストネームをもらった日系ボリビア人、フレディ・前村・ウルタードであり、彼がゲバラのボリビア戦線にゲリラとして身を投じる姿が描かれる。

 フレディを演じるのはオダギリジョー。体重を12キロ落としてスペイン語を完璧にマスターし、完全になりきった様にまず興奮する。

 フレディは軍事政権に支配され貧富の差が激しい祖国ボリビアで比較的裕福な家に生まれながら近くに住む貧しい家庭に施しを与えるような青年で、やがて貧しい人々のために医師になることを志しハバナ大学の医学部を目指してキューバにあるヒロン浜勝利学校で留学生らと学び始める。幼馴染のグスタポ(ルイス・M・アルバレス)悪友のべラスコ(エンリケ・ブエノ)やキューバ人のアレハンドロ(ジャスマニ・ゲレロ)らと勉学に励むフレディ。

 思いを寄せるルイサがこともあろうにべラスコの子供を出産。べラスコは子供を面倒臭がってルイサと距離を置く様に怒るフレディ。しかしルイサはシングルマザーとして学校に通いながら子供を育てる道を選ぶ。フレディは怒りながらも憎しみを持たずルイサと子供を支えるのだった。
 祖国ボリビアで軍事クーデターが発生。フレディは祖国のためにゲバラのゲリラ部隊に参加、訓練に最後まで残ったフレディはゲバラから戦士名“エルネスト・メディコ(医者)”を授かる。

 祖国へゲリラ戦士として帰国するフレディはルイサの娘スサニータに誕生日プレゼントを渡す。「来年もまた来てね」というスサニータ。だがその願いはかなえられず…


 本作で描写されるのはフレディが学校でボリビア、そして世界の未来について語り合ったり、悪友らと言い争ったり、ボリビア人女性のルイサ(ジゼル・ロミンチャル)にほのかな思いを寄せる様子で、ゲリラ戦が中心ではなく、フレディがキューバで過ごした青春時代の学園ドラマなのだ。
 学園にやってきたゲバラ(ホワン・ミゲル・バレロ・アコスタ)と会ったフレディは「あなたの絶対的自信はどこからくるのか」と尋ねる。ゲバラは「自信とかではなく怒っているんだ。怒りは憎しみとは違う。憎しみから始まる戦いは勝てない」と語る。
 映画の冒頭では使節団として日本の広島を夜行列車で訪れたゲバラの様子が描かれる。しかもいきなり広島に行きたいと日本政府の反対を押し切って夜行列車に乗ってしまうというあたりにゲバラの為人が現れている見事な場面だ。当時日本ではゲバラの名がほとんど知られていなかったので地元広島のマスコミは中国新聞以外は誰もやってこない。同社の記者役を演じる永山絢斗だけが使節団に同行。原爆ドームや原爆資料館を訪れたゲバラが県庁外事課の人間につぶやく。「君たち日本人はアメリカにこんなひどい目に遭わされてどうして怒らないのか」と。

 日本とキューバの合作映画であり、キューバロケにして撮影スタッフの多くは日本人だがキャストはほぼ外国人という挑戦的な企画を阪本順治監督は感傷的にせず、不必要なほどドラマティックに持ち上げようともせずに「寡黙で誠実だった」というフレディの人柄をありのままに描く。邦画でありがちな必要以上に泣かせようとする作風に慣れていると不満に思うかもしれないが、これがドラマの描き方ではないのか。ゲバラも言ってたよ。「君たち日本人はあんなひどい邦画ばかりを見ていてどうして怒らないのか」と…(言ってません)

  


Posted by 縛りやトーマス at 04:33Comments(0)映画

2017年10月06日

君たちはハンバーガーだ『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』



 マクドナルドの創業者(ファウンダー)、レイ・クロックの自伝『成功はゴミ箱の中に レイ・クロック自伝 世界一、億万長者を生んだ男―マクドナルド創業者』を元に作られた伝記映画。
「えっ、マクドナルドの創業者はマクドナルドなんじゃないの?」
 という疑問が出てきそうなタイトルで、マクドナルドを「作った」のはディック&マックのマクドナルド兄弟なのだが、なぜファウンダーがレイ・クロックになっているのかというのを知るためにこの映画を見てもらおう。

 1954年、まとめて5つ作れることが売りのミルクセーキマシンのセールスマンをしているレイ・クロック(マイケル・キートン)は自慢のミルクセーキマシンがまったく売れずに苦しんでいた。すでに50代になり、ビジネスマンとしては先が見えてしまっているレイ。俺は一生冴えないセールスマンで終わるのか?
 そんなレイの元にドライブインからマシンの大量注文が入る。何かの間違いだとそのドライブインに向かう。その店「マクドナルド」には大量の行列が出来、店が提供するハンバーガーを客が皆、笑顔でほおばっていた。マクドナルドに興味をもったレイは社長であるディック&マック(ニック・オファーマン、ジョン・キャロル・リンチ)の兄弟と出会い、スピーディーに、誰でも簡単につくれるので安価で提供できる画期的なハンバーガーつくりのシステムを聞き出し、これに商機を見出す。

 このマクドナルドのシステムがどれだけ画期的かというと…兄弟は最初はレストランを経営し、ステーキやサラダといったメニューを出していたが、客の多くはドリンクやハンバーガーしか注文したのでハンバーガーのみに特化することに。メニューを限定することで注文の手間を省く。そしてハンバーガーは簡単な包装で提供する。レストランのように食器を使わないので食器代もかからず汚れた皿を洗う手間もいらない。それどころか店舗内にテーブルを置かないので店が狭くてもいい。テーブルに座って食べ終わるまでの間、席が空くのを待たなくてもいい。外で立って食べられるから。
 マクドナルドのシステムではパティを焼く担当、バンズで挟む担当、紙で包む担当…と作業が細分化され、調理の技術を持たない人間でもハンバーガーをつくることができる。そして細分化された作業をする人間が効率よく設置されて「もっとも効率のよい動線」を店内に設定するシーンは圧倒されながらもおかしいので笑ってしまう。そこまでやるのか!この作業の簡略化によってどの店舗でもまったく同じものが提供されるという、ファーストフードチェーンのシステムはマクドナルドが開発したのだ。

 レイは兄弟にフランチャイズ化を持ち掛けるが、目の届くところで適切なサービスを提供したいという兄弟はレイの提案に乗り気ではないが、最終的には根気に負けて「何かをやるときには必ず兄弟の許可を取ること」を条件にフランチャイズ化を許可する。

 フランチャイズ化はたちまち成功し、アメリカ中にチェーン店が誕生するが、レイは借金に苦しむ。チェーン店舗が次々出来ているのになぜ儲からないのか?契約上、利益のほとんどを兄弟にもっていかれ、ミルクセーキをつくるためのアイスクリームを保存する冷蔵庫の電気代はかさみ続ける。地下室に保存庫を作ろうにも兄弟は「地下室なんかつくって底が抜けたらどうする。『マクドナルドの床が抜けた』なんて報道されたらイメージが悪くなる」と地下室を作らせない。粉状のミルクセーキを導入しようとしても「品質が落ちる」と相手にされない。ついに自宅までが銀行に担保として差し押さえられそうになる。どん詰まりの状態になったレイの前に財務コンサルタントのハリー・J・ソネンボーン(B・J・ノヴァク)が現れる。
「あんたのやり方はめちゃくちゃです。これじゃ儲かるわけがない」
 ハリーはレイに新店舗の土地を買い取って、フランチャイズ店のオーナーにレンタルしろという。これまでは土地代をレイがレンタルしていたので土地代だけで儲けは吹っ飛んでいた。そのためにマクドナルド不動産を始めたレイはその後もハリーの勧めに従って儲けを増やすために新会社を設立しまくり、粉状ミルクセーキも導入。兄弟との対立は深刻化し、レイはマクドナルドの「ファウンダー」として兄弟から権利を奪い取ろうとする。


 マクドナルドのやった簡略化、画一化はファミリーレストランやウォルマートといった巨大スーパーに受け継がれる。「どこにいっても同じものが買える」画一化の始まりだ。マクドナルドのやり方は世界中に広まっていき、巨大チェーン店があちこちの町に進出し、地元の小さな個人商店を焼き尽くし、焼け野原にチェーン店がさらに進出するという流れを生み出した。画一化とはマクドナルドであり、マクドナルドとはアメリカなのだ。

 とはいえ、それはアメリカだけではない。日本にもマクドナルドそのものはもちろん、マクドナルド的なものが導入されている。それはAKBだ。同じシステムの元同じようなサービス(ステージ)がどのグループでも提供され、みんな「支店だから」といってファンが足を運んでいる。
 『ファウンダー~』のラストではレイがマクドナルドを奪おうとした理由も「名前がよかった。『レイ・クロック ハンバーガー』なんて名前で売れると思うか?マクドナルドという響きが欲しかった」というのだ。AKBだってグループの名前が何より大事で、メンバーなんか誰でもいいのだ(いつも入れ替わってるし)。その証拠にメンバーが卒業してソロ活動しても全然売れないのだから。高橋みなみだろうが篠田麻里子だろうが板野友美だろうが「AKBの~」とつかないメンバーには何の価値もない。名前を奪われた兄弟の店があっという間につぶれたように。AKBのなんとかメンバーだといっている君たちはせいぜいハンバーガーなんだぞ。


  


Posted by 縛りやトーマス at 19:30Comments(0)映画AKB48食べ物

2017年10月05日

今年も完全再現だ

 来年一月公開予定の『咲-Saki-阿知賀編』のキャスティングが発表。

「咲-Saki-」実写第2弾にエビ中中山、しゃちほこ咲良、アプガ新井、夢アド志田ら
http://natalie.mu/music/news/251439

 本作の重要なポイントは原作漫画におけるキャラクターの牌を操る仕草やオカルト麻雀の再現にあるので、登場人物のビジュアルから完全に似せようということ。普通に考えてもハードルの高い仕事なのだが、前作に引き続き今回も阿知賀編のキャラを完全再現
 以下ご覧ください。



大星淡役の夢アド志田友美なんて髪がふわっと浮いてるところまで再現してますし。静止画はいいけど、動いてる時はどうするんだw


二条泉役のアプガ(仮)新井愛瞳はちょっとした髪の横ハネも再現です。


お前はボウリング部員か!でおなじみの鷺森灼役、エビ中・中山莉子もグローブを完全に再現(それは再現できるだろ)


実写上、どうしても再現の難しい髪形が出てくる場合でもこちらの亦野誠子役、岩田華怜のようにできるだけ原作にビジュアルに近づけようとスタッフの努力が垣間見られます。


 ここまで原作を完全に再現してくれたら期待するしかないじゃない!今年12月のドラマ放送と1月の劇場版が楽しみですわ。


  


Posted by 縛りやトーマス at 01:24Comments(0)映画漫画アイドル映画

2017年09月28日

女性賛歌は勇気の賛歌『エル ELLE』



 ポール・ヴァーホーベン監督の最新作であり、主人公ミシェルを演じるイザベル・ユペールが象徴的に配されたポスター、そして「衝撃的な内容過ぎてアメリカでは誰も演じたがる女優がいなかったのでフランスで撮影することになった(だからフランス人女優のイザベル・ユペールが起用された)、という経緯を聞けば『氷の微笑』のようなエロティック・サスペンスを想像するが、冒頭自宅に押し入った覆面男にレイプされる主人公を見て『ブラックブック』のようなリベンジものかと思い直すも、どちらの想像も違っていた!

 ミシェルはバスルームで体を洗い流すと、寿司の出前を注文する(?)。一人息子のヴァンサン(ジョナ・ブロケ)が家にやってくるからだ。ヴァンサンはいい年して無職で、ハンバーガー屋のバイトが決まったことを誇らしげに報告してくるボンクラ。ヴァンサンが帰ったあと、ミシェルは厳重に戸締りをして寝る…って警察に連絡しないの?

 翌日会社に出社するミシェル。彼女はゲーム会社の社長で、会社で作ってるのはPS4で発売する女の人が怪物や触手に侵されるエロゲー。海外はPS4でエロゲー出せるのか…会社のプレゼンで若い男のスタッフがエロゲーをプレビューしてみせると
「全然エロくねえんだよ!お前これで勃つのかよ!」
 とボロクソ。男の社員は「いや、操作性は抜群なんですけど」とそんなところにこだわってどうするw そして会社には侵されるゲームのキャラにミシェル社長の顔写真をコラージュした映像が全パソコンに送付されてしまう!レイプ犯は会社内の人間なのか?

 こういったやりとりを経てミシェルはレイプ犯の正体を突き止めようとする…というのが大まかな筋なのだが、映画は観客の予想とはまったく違う方向に突き進む。共同経営者のアンナ(アンヌ・コンシニ)と彼の夫…だが実はミシェルと肉体関係を持っているロベールらとランチをしていると「私、昨日レイプされちゃったのよね」と堂々と話してしまう。ランチ時にする話じゃないんだけど。アンナは「警察に連絡しないの?」とごく当たり前のことを勧めるんだけど、「なんで?」といった様子のミシェル。
 別の日にひとりでランチを取っているとミシェルは見知らぬ客からスープをぶちまけられる。「あんた、一生許さないからね!」と罵倒つきで。実はミシェルの父親は近所の子供を大量に殺害した容疑で今も投獄されていて、彼が逮捕された時にテレビ局のカメラが10歳だったミシェルの姿を映していたのでフランス中が彼女を「殺人鬼の娘」として知っているのだ。ミシェルはこの年になるまで嫌がらせを受け続けていて、警察に相談しても「お前殺人鬼の娘だろ」とまったくとりあってもらえず、だからレイプされても警察に相談しないのだ。

 彼女は劇中レイプ犯の正体を突き止めるのだが、およそ自分をレイプした犯人がわかった人間がとるであろう行動をとらない。この行動をめぐって多くの観客が「理解できない!」とモラルを逆なでされてイラついているんだけど、人のモラルを逆なでし続けてきたポール・ヴァーホーベンの演出は今回突き抜けすぎている。

「女性がレイプされたからって、なぜメソメソ泣かなくてはいけないんだ!」

 とばかりにミシェルはいつも毅然として、泣き言も言わずに、世間からの非難や嘲笑を撥ねつけて生きている。女性の性被害をテーマにした映画のほとんどが「かわいそうな被害者」として描かれていることに反発するようにヴァーホーベンは主人公のミシェルをバカな男どもに立ち向かうスーパーヒーローとして成立させた。ヴァーホーベンの映画って大抵男はバカで女はカッコイイから、ン十年、一本筋の通った男である。
 ミシェルを演じたイザベル・ユペールも64歳とは思えないカッコよさで劇中ありとあらゆる男たちから言い寄られるも男にまったく依存していないのだった。


60代にしては美しすぎるイザベル・ユペール

 この大活躍ぶりで初めてアカデミーの主演女優賞にノミネートしたのも頷ける。かつて『ショーガール』というゴールデンラズベリー賞から「1990年代最低作品賞」として認定された映画があって登場人物全員が性悪で誰のことも好きになれないというすさまじい映画でこれもヴァーホーベンが監督なんだけど、昔ピンサロで指名した女の子がこの映画が大好きで、「ヒロインの生き方に憧れる」と言ってたよ。きっと風俗にやってくるような男はバカばっかりだったんだろうなあ(俺含)。彼女の人生はヴァーホーベン映画のようだったのかも知れない。


  


Posted by 縛りやトーマス at 04:38Comments(0)映画

2017年09月22日

今だ現役のドラゴン『スキップ・トレース』



 引退宣言しながら映画に出続けるジャッキー・チェン。プロレスラーとジャッキーに引退などない!グレート小鹿だって75歳でリングに上がるのだ。しかし、全盛期の動きはもう望めない。ここ数年の『ドラゴン・ブレイド』や『ライジング・ドラゴン』でははっきりと衰えが見えていた。そこでジャッキーが見出したのが「まだ動ける相手と共演する」という手法だ。
 こうして今回選ばれたのがジョニー・ノックスヴィルだ!『ジャッカス』の!なるほど、こいつを選んだか、といったところ。『ジャッカス』シリーズでは命がけのバカ騒ぎを生身で演じてジャッキーに負けず劣らずのアクションをやっていたジョニーなら相棒としてはぴったりである。

 そんな相棒を迎えたジャッキー演じる刑事、ベニー・チャンは冒頭で同僚刑事のヤン(香港のベテラン俳優、エリック・ツァン)を失う。二人は香港犯罪界の大物、ヴィクターを追っていたがヤンは体中に巻かれたダイナマイトで吹っ飛ばされる。ヤンの仇を討たんと若手刑事を率いたベニーはヴィクターの部下とされる実業家のハンサム・ウィリー(ヨン・ジョンフン)のアジトを突き止めるが、潜入捜査のミスから川沿いのアジトを一般市民の住居ごと吹っ飛ばしてしまって停職処分。
 ベニーはヤンの一人娘、サマンサ(『新宿インシデント』で共演したファン・ビンビン)からコナー(ジョニー・ノックスヴィル)という男の情報を得る。コナーは詐欺師でマカオのカジノでイカサマをして大金をせしめるのだが、そのカジノでヴィクターとハンサムらがある女を殺すところを目撃してしまう。一目散に逃げ出したコナーはロシアン・マフィアに捕まる。コナーはロシアン・マフィアのボスの娘を妊娠させて逃げ出したので追われていたのだ(のんきにギャンブルやってる場合か!)。そのままロシアに連行されてしまうコナー。
 コナーからヴィクターに近づく情報が得られると考えたベニーはロシアに飛んでボウリング場で拷問を受けているコナーを救出。せまい工場のベルトコンベアにのってグルグル回りながらロシアンマフィアと大格闘を演じるベニー。ここは往年のコメディチックなアクションをスピードは落ちたとはいえ、バッチリ見せてくれるジャッキー。ロシアン・マフィアのひとりを演じるイブ・トーレス(WWEのディーバ)とも激しいやりあいをかます。工場に落ちてたマトリョーシカでトーレスの攻撃を防ぐのだが、次々マトリョーシカが割れて指ぐらいの大きさになっちゃってドヒャー、だ(笑)

 ベニーは香港の法廷でコナーに証言させようとするが戻れば殺されると怯えるコナーはあの手この手で逃げ出そうとする。コナーのせいで飛行機のチケットをダメにしてしまったので、二人は歩いて香港を目指すことに。モンゴル、そして中国大陸。行く先々で二人はモンゴル相撲を取らされたり、筏で急流下り(この時、NGでジャッキーが溺れかける)、崖の間をロープを伝って渡るわ、中国地方の泥祭りに巻き込まれたりの珍道中を繰り広げる。
 
 往年の『五福星』やら『七福星』風のコメディだと思って安心しているとクライマックスで突然シリアスになってしまったり、中々見ていて飽きさせないつくりはさすが40年以上の経験で映画を知り尽くしているジャッキーと、『クリフハンガー』『ダイ・ハード2』『カットスロート・アイランド』で見せ場が次々やってくる作風でおなじみの監督レニー・ハーリンとの名タッグといったところか。ハーリンは中国で自身の映画会社までつくっている(http://getnews.jp/archives/1478899)ので肌にあっているのだろう。

 劇中アクションの多くはいつものようにジャッキーが生身でやっているが、共演のジョニーやファン・ビンビン、そしてレスリー役のシー・シー(TVドラマを中心に活躍する30歳の美女)もかなりの場面を自分で演じている。ジャッキーに言わせると
「なぜだかわからないけど、僕の映画に出演する役者はみんな自分でアクションをしたがる」
 そうだ。実際はジャッキーがやらせてるんだと思うけど…ちなみにジャッキーは美人に生身のアクションさせるのが大好きで『ラッシュアワー2』で共演したマギー・Qにも出会った初日に道場へ連れて行ってアクションできるかどうかを練習させたという。きっとビンビンやシー・シーも同じ目にあってるはず。
 30歳のシー・シーと最終的に結ばれるというオチにはいいかげんにしろ!ジャッキー、64歳だぞ!と思ったがまだまだ枯れてない証拠とも言える。今だ現役のドラゴン!ジャッキーに引退などない!!

  


Posted by 縛りやトーマス at 05:56Comments(0)映画