2019年02月25日

「本当に凄い日本」が観られる映画『サムライマラソン』



 1855年の幕末、黒船到来に揺れる日本。安中藩(現在の群馬県)の藩主、板倉勝明は藩士たちを鍛えるために七里あまりの距離を徒歩競争させる安中遠足を実施。これが日本初のマラソン大会であるとされている。
 これを『超高速!参勤交代』の土橋章宏が『幕末まらそん侍』として小説に。それを実写化した『サムライマラソン』だ。『超高速~』は参勤交代を期限までに成功させないと藩が取りつぶしになる、というシリアスな一面を笑いに変えた傑作だったので、今回も笑いありのコメディかな?と思ったらてとつもないハードな作品だった…


 幕末。江戸幕府は来航したペリー提督らによって開国を迫られる。安中藩主の板倉勝明(長谷川博己)は「アメリカは口では和平を唱えていても、日本の侵略が目的だ」と疑い、やがて起きるであろうアメリカとの戦いのために藩士を鍛える必要があるとし、心体を鍛えるという名目で七里あまりの中山道を往復する「安政遠足」の開催を決定。その距離約60キロ!さらに勝明は「優勝者にはどんな望みもかなえよう」とし、藩士たちは色めき立つ。
 重臣の息子、辻村平九郎(森山未來)は板倉の娘、雪姫(小松菜奈)の婿となって藩を治める野望にとりつかれる。その雪姫は江戸に出て絵の勉強をしたいという夢があったが、勝明に反対されている上に傲慢な平九郎との結婚を拒むため屋敷を抜け出し、男装して遠足にひそかに参加する。藩で一番足が速いとされる足軽の上杉広之進(染谷将太)は両替商の留吉に「1着を譲れば10両をやる」と八百長を持ちかけられる。あばら家で暮らす妻子を見て名誉と金のどちらを取るかで悩むのだった。藩から解雇されたばかりの侍、栗田又兵衛(竹中直人)は隠居する前に一花咲かせようと亡くなった友人の息子と二人で遠足に参加する。

 様々な思いを持つものたちが遠足に参加する中、勘定方の侍、唐沢甚内(佐藤健)は平凡な家庭人であった。しかしその正体は代々幕府から遣わされた隠密。安中藩の動きを怪しく感じた甚内は幕府に密書を送る。受け取った家老の五百鬼(豊川悦治)は安政遠足を謀反ととらえ、刺客を安中藩へ送る。遠足の復路で疲れ果てた藩士たちを討って安中藩をつぶすために。
 甚内は安政遠足に謀反の疑いがないことに気づくが、時すでに遅し。遠足の道中で勘定方の上司、植木(青木崇高)と出会い、彼もまた幕府の隠密であることを知る。植木は幕府の命令に従って藩をつぶそうとするが、長い隠密生活の中で、妻(門脇麦)をめとり、子供を授かり、仲間たちもできた。かけがえのない者たちを藩で見つけた甚内は「これはただの遠足でございます。謀反ではありません」と植木を説得するが聞き入れられず、やむなく植木を斬ってしまう。藩を救うために戦うことを決意した甚内は雪姫、平九郎、広之進ら藩士たちとともに刺客と対峙する。


 日本の幕末を舞台にし、出演者も日本人の映画だけど、なぜか制作側には多くの海外勢が勢ぞろい。プロデュースはイギリス人のジェレミー・トーマス。日英合作映画をニュージーランドで撮影(出資の都合で)した『戦場のメリークリスマス』や中国の清朝・最後の皇帝を描いた『ラスト・エンペラー』を手掛け、異文化の人々をミックスさせることに躊躇しない男は日本の侍の映画をオカルトホラーの『キャンディマン』や文芸作品『アンナ・カレーニナ』まで幅広い作風のイギリス人監督バーナード・ローズに任せ、音楽をミニマル・ミュージックの巨匠、フィリップ・グラスに担当させた。

 日本の映画なのにスタッフの多くはハリウッドで仕事をしている人たちなのだ。黒船の襲来で揺れる幕末の日本を描写したかのような制作によってこの映画は化学反応が産まれることになった。『るろうに剣心』シリーズで迫力ある殺陣を見せた佐藤健のアクションや面構えは「ハリウッドで仕事をしている」ような風格がある。これまでは「顔の綺麗な兄ちゃん」ぐらいのイメージしかなかった佐藤健が30代になって実にいい役者になってきたではないか。舞台でたぐいまれな身体能力を発揮している森山未來も只者ではない迫力がある。
 日本の時代劇なら血の一滴も流れないところ、この映画では首が飛び、斬られた首の口がぱくぱくと動き、死体の上をカマキリが這いずる。役者たちはぬかるんだ山道で泥に塗れ、息を切らして駆けずり回る。


 外国を恐れて閉じこもった国が変革していく話をその外国人スタッフによって制作され、日本では出せないような魅力を引っ張り出せた、というこの事実。
 昨今のテレビ番組では「日本凄い」と凄くもないことを声高に主張することが多いが、本当に凄いのは外国と仕事して、お互いのいい部分を引き出すことなんじゃないでしょうか。本当に凄い日本はこの映画の中にある。



  


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2019年02月23日

第91回アカデミー賞予想

 日本時間2月25日に第91回アカデミー賞が発表されます。一応、映画の仕事をしているのでアカデミー賞予想(主要部門だけ)などしようかなと思います。

 去年はノミネート作品の中からある程度予想が絞れたのですが、今年は大混戦の模様。 なにしろ票が割れており、前哨戦になる各業界の映画賞も全部バラバラなんですよ。監督組合賞を『ROMA/ローマ』が受賞したら、俳優組合賞は『ブラックパンサー』を選んでいたりと、かぶってるものがほとんどありません。

全部門ノミネート
https://eiga.com/official/oscar/all.html



 まずは作品賞から。

・ブラックパンサー
・ブラック・クランズマン
・ボヘミアン・ラプソディ
・女王陛下のお気に入り
・グリーンブック
・ROMA/ローマ
・アリー/スター誕生
・バイス


 アメコミ映画で初のノミネートとなった『ブラックパンサー』、Netflix配信映画でこれまた初の作品賞ノミネートを果たした『ROMA/ローマ』は最多10ノミネート。同じく最多ノミネートの『女王陛下のお気に入り』は助演女優賞に二人(レイチェル・ワイズ、エマ・ストーン)も入ってます。
 この作品賞が大混戦の模様。日本でも大ヒット中(!)の『ボヘミアン・ラプソディ』はブライアン・シンガー監督の途中降板・過去のロリホモ疑惑が発掘されて悪評に塗れ、『グリーンブック』のピーター・ファレリーも過去の性暴力を告発され、主人公となった黒人ピアニストの遺族に無許可で映画化されたと抗議を受けて勢いに陰りが出たとの報道が。
 いずれも映画の出来、内容とは全然関係ないところで難癖がつけられるという話で、こんなことで受賞が左右されるなら本当にアホらしいとしかいいようがありません。この辺が各業界の映画賞で評価が割れた原因なのかも。

 下馬評では『ROMA/ローマ』が圧倒的なのですが、Netflix配信映画というのが保守的なアカデミー会員の反発をどうしても買ってしまうところが不利に働くかも。アメコミ初のノミネートである『ブラックパンサー』もそれだけでは受賞するに弱い気が。トランプ政権を揶揄してみせた『女王陛下のお気に入り』『バイス』もちょっと露骨すぎるかなと。
 そうすると黒人と白人が南部の旅を続けるうちに人種の壁を乗り越えて友情を育むという、ある意味ベタな『グリーンブック』が評価を集めるかなと。

作品賞 グリーンブック


〇監督賞

・スパイク・リー『ブラック・クランズマン』
・パヴェウ・パヴリコフスキ 『COLD WAR あの歌、2つの心』
・ヨルゴス・ランティモス『女王陛下のお気に入り』
・アルフォンソ・キュアロン『ROMA/ローマ』
・アダム・マッケイ『バイス』

 無冠の帝王、スパイク・リーの受賞が噂されていますが、『ROMA/ローマ』が圧倒的すぎて、今回もリーは悔し涙に暮れる感じ。


監督賞 アルフォンソ・キュアロン


〇主演男優賞

・クリスチャン・ベール『バイス』
・ブラッドリー・クーパー『アリー/ スター誕生』
・ウィレム・デフォー『永遠の門 ゴッホの見た未来』
・ラミ・マレック『ボヘミアン・ラプソディ』
・ヴィゴ・モーテンセン『グリーンブック』

 増量で別人になったクリスチャン・ベール、ヴィゴ・モーテンセンの二人が有力候補。オスカーは体重を減らしたり増やしたりするか、病気の人を演じると評価されやすいというセオリーがあるのでこのどちらかな?と思われるのですが、クイーンのフレディ本人にほぼなり切った、ラミ・マレックに軍配か。


主演男優賞 ラミ・マレック


〇主演女優賞

・ヤリッツァ・アパリシオ『ROMA/ローマ』
・グレン・クローズ『天才作家の妻 40年目の真実』
・オリヴィア・コールマン『女王陛下のお気に入り』
・レディー・ガガ『アリー/ スター誕生』
・メリッサ・マッカーシー『ある女流作家の罪と罰』

 計7度ノミネート、無冠の女王グレン・クローズがついにオスカー獲得か!?との前評判ですが、無知で癇癪持ちのわがまま女王陛下を見事に演じたオリヴィア・コールマンを推したい。

主演女優賞 オリヴィア・コールマン


〇助演男優賞

・マハーシャラ・アリ『グリーンブック』
・アダム・ドライバー『ブラック・クランズマン』
・サム・エリオット『アリー/ スター誕生』
・リチャード・E・グラント・『ある女流作家の罪と罰』
・サム・ロックウェル『バイス』

 この部門で最大の話題が『ムーンライト』で助演を受賞したマハーシャラ・アリが二度目のオスカーなるか、というもの。『グリーンブック』におけるアリの「エリート黒人」は本人も実際すごい才能持ったエリートなので「本人そのままなんだから演技なんかしてないじゃないか!」という意見がバカバカしく思えるほどの名演技なので議論の余地なしでアリに決定!


助演男優賞 マハーシャラ・アリ


〇助演女優賞

・エイミー・アダムス『バイス』
・マリーナ・デ・タビラ『ROMA/ローマ』
・レジーナ・キング『ビール・ストリートの恋人たち』
・エマ・ストーン『女王陛下のお気に入り』
・レイチェル・ワイズ『女王陛下のお気に入り』

 同作品から二人ノミネートの『女王陛下のお気に入り』ですが、二人のうち一人を選んだら角が立つじゃないか!だからエマもレイチェルも候補から外れます。となるとブッシュ政権の影の黒幕の黒幕といわれていたチェイニー副大統領の嫁を演じたエイミー・アダムスかな!


助演女優賞 エイミー・アダムス


 あと気になるところは外国語映画賞。日本から『万引き家族』がノミネートしていることで、国内で注目を浴びていますが、これは『ROMA/ローマ』に決まりでしょう。『ROMA/ローマ』は作品賞と両方にノミネートしているので、どちらかは受賞するのではないかと。発表の順番は外国語映画賞が先なので、ここで『ROMA/ローマ』が受賞したら作品賞はナシで。もし『万引き家族』が外国語映画賞を受賞したら、作品賞の発表は俄然盛り上がることになりますよ!

 そして長編アニメーション部門には『未来のミライ』が入っています。本選にノミネートする前に全アカデミー会員が条件を満たした(米国で劇場公開した、上映時間が70分以上、など)出品作品に投票してノミネートを決める。今年は『リズと青い鳥』『夜明け告げるルーのうた』『夜は短し歩けよ乙女』『さよならの朝に約束の花をかざろう』などを押しのけて細田守が選ばれており、なんで一番つまんないのがノミネートされたんですかねえ…毎年、幸福の科学の作品が入ってるのはアメリカの信者向けに公開されたからなんでしょうけど、さすがカルトに厳しいアメリカは出品までが限界ですね。
 で、こちらは『スパイダーマン:スパイダーバース』で決まりでしょう。

 以上第91回アカデミー賞主要部門の予想です。発表は日本時間25日10時から!  


Posted by 縛りやトーマス at 00:25Comments(2)映画

2019年02月20日

東映にしかできない!『女番長』シリーズの系譜『BACK STREET GIRLS ゴクドルズ』




 誓いの盃を交わした犬金組・三人の極道、健太郎(白洲迅)、和彦(柾木玲弥)リョウ(花沢将人)は身も心も立派な極道として生きていくことを誓ったが、慕っていた若頭の永田が対立組織の罠にはめられ服役。三人は敵討ちのため敵対組織に乗り込むが返り討ちに。命だけは助かったが、敵対組織のボス、小黒田(小沢仁志)は犬金組に手打ちを要求。大金を失うことになった組長の犬金鬼万次郎(岩城滉一)は「東京湾に沈むか、臓器を売るか、それとも…」と三人に迫る。「命だけは勘弁してください!それ以外はなんでもしますから!」と土下座する三人に犬金は

「てめえら明日からアイドルになれ!アイドルになって稼いで来い!」

 選択の余地などない三人はすぐさまタイに渡って性転換手術。アイリ(岡本夏美)マリ(松田るか)、チカ(坂ノ上茜)の見目麗しい美少女に生まれ変わってアイドルグループ「ゴクドルズ」(極上のアイドル、の意)としてデビュー。

「売れちまったよオイ!!」

 三人の予想を裏切ってゴクドルズは売れまくり、小さなライブハウスを満杯にするほどに。三人は身も心も立派な極道のはずが、アイドルとして乙女な生き方を強要され、ギャップに苛まれていく。


 週刊ヤンマガに連載された漫画の映画化で、奇想天外かつ破天荒な内容に挑んだのは△マークの東映だ!極道はともかくアイドルって!東映のアイドル映画っていったら『ときめきメモリアル』ぐらいしか浮かばないぞ。
 しかし東映ではかつて杉本美樹、池玲子といった女優らが主役のバイオレンス・アクションを70年代に量産していたではないか。そう、あの『女番長』シリーズ、野獣のような女たちが愚かな男たちを手玉に取って大暴れする様子はまさしく『女番長』シリーズだ!
 さらに東映ならではの要素をミックスさせた。特撮ヒーロー番組からの起用だ。アイリ役の岡本夏美は『仮面ライダー1号』で立花藤兵衛の孫として藤岡弘、をビンタして「老人虐待では?」と言わしめていた。マリ役の松田るかは『仮面ライダーエグゼイド』のポッピー、チカ役の坂ノ上茜は『ウルトラマンX』のアスナ隊員!三人を導くよきライバルであり同志であるアイドル役に元スパガ、『スーパー戦隊最強バトル!』にでている浅川梨奈、外道のようなIT企業のヤク中社長はNEW電王の桜田通。あと、『仮面ライダー電王』の秋山莉奈さんも出てます。

 極道とヒーローの華麗なミックス。東映でなければできない映画だ。最後のカチコミシーンでは人見早苗(元ジャパンアクションエンタープライズ)さんがスタントに入ってるぞ。

 岩城滉一組長が真面目な顔して作詞したアイドルソング『恋のサカズキ』の切って切って切って指切って~にはもう爆笑。大杉漣さんも居酒屋の大将役で友情出演だ!ひょっとしたらこれが遺作!?

 シリーズ最終作から45年。女番長の系譜は生きていた!



  


Posted by 縛りやトーマス at 01:13Comments(3)映画アイドル映画

2019年02月15日

ウドーフェスを超えた『FYRE:夢に終わった史上最高のパーティー』

 2006年に行われたウドー・ミュージック・フェスティバルは今も多くの人の胸に刻まれている。悪い意味で。
 富士スピードウェイと泉大津フェニックスの二か所で開催され、「ウッドストックの興奮がよみがえる」「大人の夏フェス」と、とにかくすごい自信だけは伝わってきた。
 ふたを開ければ人はガラガラで、メインステージに大物が登場しても客はせいぜい数百、小さいステージで5人という有様で、学園祭の学生バンドでも、もう少し客呼べるよ!大阪会場の泉大津ではステージ内を犬を散歩させてる人がうろついてたりしていた。富士でもエリア前方でレジャーシートが敷かれていたり、持ち込み禁止の缶ビールを開けまくり(クーラーボックス持参で)、寝たりしていたという。
 スタッフもまるでやる気がなくて、会場の端っこで椅子に座って寝ている画像は拡散された。物販の奥で偉い人がやけ酒をあおっていた、などという噂も信じられるレベルの悲惨さ。「泉大津の集客は初日2千、二日目3千の計5千」(公式発表1万5千)という結果に終わり、ウドーの夢は砕け散った。以後ウドーミュージックフェスティバルは「大失敗した音楽フェス」の代名詞として伝説となった。しかし世の中は広い。ウドーを超える失敗を記録したフェスもある。




 ネットフリックスで配信中の『FYRE:夢に終わった史上最高のパーティー』は2017年にバハマの島で2週間にわたって行われる予定だったファイヤ・フェスティバルのドキュメントだ。
 起業家のビリー・マクファーランドはラッパーのジャ・ルールをあるイベントに呼ぼうとしたが、コネがない。そこでジャとコネがあるという人物に話をすると「500ドルがいる」と言われ払った。別の人が「さらに1000ドル必要」と言われそれも払う。すると「ジャ・ルールが嫌がってる」…そんなやり取りを経てビリーはようやくジャと会うことができた。アーティストと出演交渉するだけで金も時間もかかる。なんて面倒なんだ!そこでビリーとジャは画期的なサービス「FYRE」を共同で立ち上げる。アーティストに出演交渉する際は「FYRE」で検索して予約をして金を払う。それだけでアーティストが出演してくれる!仲介人を通さないので余計なお金も無駄な時間もかからない。画期的なサービスだ。
 それをウェブ・サミットで発表したときはそれほどの話題にもならなかった。FYREのスタッフは宣伝するためにコンサートを開いては?とアイデアを出し、ビリーが「音楽フェスにしよう」と言い出す。そしてファイヤ・フェスティバルの企画がスタートする。

 バハマの島をひとつビリーは買い取り、ここで1万人規模の音楽フェスを開こうとする。そのためには何をすればいいか?まず宣伝だ!

 彼らはネットで宣伝するためのPV撮影を始める。スーパーモデルたちを10人以上も集めて会場となるパブロ・エスコバル・アイランド(ビリーが麻薬王エスコバルが所有してた島なんだ、とデタラメをいった)でモデルたちとビリー、ジャたちがパーティーを開いて酒を飲んでジェットスキーをしたりする動画がつくられた。焚火をし、モデルたちが豚と戯れる。なんで豚が必要なんだ?スタッフらにジャは「俺が豚が必要だといったら、必要なんだ!」コンセプトもターゲットもよくわからないパーティーの映像が延々と撮影され、モデルたちはなんで呼ばれてるのかわかっていない。撮影は進む。PVは完成。ビリーとジャはモデルたちに「ハッシュタグをつけて拡散しろ。とにかくバズるんだ!」
 映像はたちまち話題になりPV数はうなぎのぼり、広告代理店もFYREに投資しはじめ、著名人たちを数百人かき集めて同じ時間帯に一斉に投稿する一大キャンペーンも大成功。ファイヤ・フェスに誰もが注目した。このイベントの成功は約束されたも同然!

 しかし問題はここからだった。PVをつくって宣伝もした。ファイヤ・フェスはそれ以外何も決まってなかった。

 まず島には1万人も入れない。泊まる場所もない。豪華なヴィラに泊まれ、ヨットで専用シェフによる食事も楽しめる。とにかく豪華で、夢のようなフェスというのが売り文句だったが島には客のためのトイレもネット環境もない。テントを立ててそこに泊まるアイデアを出すが、ためしに一日泊まったスタッフは「うるさいし安全じゃないし蚊もたくさんいるし…」指摘されてもビリーは意に介さず「クルーズ船を借りてきて、そこに泊まればいい」絶句するスタッフに笑顔で「本気だよ!」と笑うビリー。一部のまともな人間たちは「このフェス、何かがおかしい!」と思い始めていた。

 現実的に島に入れる客は1000人までだと問題点を指摘したスタッフは翌日クビに。この時点でフェス開催まで45日。あと一か月半しかないのに、ようやく舞台設定のスタッフを雇っている有様。スタッフの多くはフェスもやったことのない素人ばかりだった。
 開催予定の島を完全に購入していないことがわかり、島の持ち主はエスコバルの名前をつけられて「イメージが悪くなる」と彼らを追い出す。近くに別の島を買うが規模は縮小。さらにその島で行われるレガッタの大会の開催時期と重なってホテルはほとんど抑えられている。フェス参加者が泊まる場所、トイレ、食事、ネット環境、ステージ…何もかも一からやり直し。
 毎日、毎時、毎分なにか問題が起き、資金は湯水のように消えていく。資金調達のためにチケットを購入した参加者に「特典を利用したいならさらに追加の料金を振り込んでくれ」高額のチケットを売った後なのに!
 客も何かがおかしいと思い始め、フェスの公式サイトに説明を求める書き込みが溢れたがビリーは都合の悪い意見は削除しろと担当に命令。
 出演予定だったメジャーレイザーのメンバーのひとりはたまたまバハマに休暇で来ていて、現場を観に行って「これ大丈夫?」と不安がるがビリーは自信満々に「大丈夫」というのだった。

 開催まで10日を切り、現場作業員とスタッフらは現実的にフェスの開催は無理だとわかったので、ビリーに警告し続ける。「中止しかない」資金繰りに行き詰まり、フェスを開催しなければ破産に追い込まれることになるビリーは開催を決行する。

 ほぼ素人のスタッフらは次々起こる問題を可能な限り解決する。「止められなくて、あの怪物を生み出してしまったんだ」。フェスのために用意した大量のエビアンを税関に抑えられ「17万5千ドルを現金で払え」と言われたとき、彼らはそれをどう解決したか?スタッフはいう。

「ビリーは…“チームのために犠牲を”と。“毎日してるのにまた?”」
「彼は“我らのゲイリーダーとして自分を売ってもらえないか?”“男のアソコを舐めてくれ”“水のために”と」
「“税関長とヤッたら水のコンテナが返ってくる”」


 正気を疑うビリーの発言だが、このスタッフは覚悟を決めて税関長に会いに行ったというのだ。フェスのために!実際は冗談だったみたいで水は返してもらえたのだが、なんなんだ?これは!


 開催前日の夜に雷雨がやってきて、ここまで悪いことが重なるものかと。完成していない避難用テントが雨水にさらされ、マットレスは水浸し。スタッフらはただ茫然と夜空を眺めつぶやく。「もう逃げられない…」

 開催日。島にやってきた参加者は夢の楽園に来たはずが地獄絵図のような光景に直面するのだった…

 これが初めから客をカモにしようとか、詐欺目的だったらわかるんだけど、ビリーは本気でものすごいフェスをやろうとしてたんだよね。情熱以外のすべてが足りなかっただけで、ってそれ一番問題だよ!

  


Posted by 縛りやトーマス at 05:24Comments(0)映画音楽ネットフリックス

2019年02月12日

80年代の失われた風景が今『劇場版シティーハンター<新宿プライベート・アイズ>



 シティーハンターが連載していた80年代は僕がジャンプ読者だったど真ん中の時代であり、僕にのってのジャンプは『キャプテン翼』『キン肉マン』『ドラゴンボール』『聖闘士星矢』『シティーハンター』であった(あとは巻来功士と黒岩よしひろ)。90年に公開された二本立て以来となる29年ぶりのシティーハンター映画。テレビスペシャルも99年以来なので新作アニメ自体が20年ぶり。「なぜ今シティーハンター?」などと野暮なことは聞かなくてもよろしい。いいものはいつ観てもいいのだ。

 しかし20ン年ぶりといわれると気になるところはふたつある。シティーハンターといえば新宿駅の掲示板に「XYZ」と書き込むとそれがシティーハンターへの依頼になるわけだが、とっくの昔の掲示板など無くなっている。今回は駅の掲示板のあった場所でスマホを起動させるとAR掲示板が出てくるのだ。
 もう一つは主人公、冴羽獠の「もっこり」である。美女の依頼は必ず遂行するが、美女と見れば見境なくナンパする男。もっこりを見せつけたまま美女を駅のホームで追いかけまわし、電車のドアにもっこりが挟まったまま山手線を一周させられる話は傑作なんだけど、現在の表現ではギリギリアウトといったところかもしれない。厳しい時代になったもんだ。

 しかし復活した今回の映画でも、もっこりネタは健在だった。美女のお尻を触ろうとし、シャワーを覗こうとし、更衣室を覗こうとピンク色に染めたドローン、その名もエローンを飛ばす。もっこり魂は2010年代にバージョンアップされていた。これがなきゃシティーハンターじゃない!!


 さらにシティーハンターのテレビアニメで思いだすのは作品を盛り上げた楽曲群だ。当時テレビアニメを見ていた視聴者の度肝を抜いたのは劇中のラストからフェードインする形でシンセサイザーのイントロが流れ、ドラムが鳴り響いて最高潮のリズムに達したときにEDに突入するTM NETWORKの『Get Wild』!劇中フェードインして流れだすEDテーマなんて前代未聞だった。この曲とともにTMはヒットチャートを駆け抜けた。1~3とシリーズを重ねる中で小比類巻かほる、大沢誉志幸、PSY・S、岡村靖幸、FENCE OF DEFENSEといったEPICソニー(CBSソニー)系アーティストの主題歌、挿入歌も話題になった。80年代はソニー系アーティストの時代だった。
 今回の映画では『Get Wild』が当時のバージョンで使用される、と宣伝されていたが、蓋を開ければアニメ1~3までの主題歌はほぼ全部使われていた。定番挿入歌の『MR.PRIVATE EYE』『FOOTSTEPS』まで使う大盤振る舞い。当時の視聴者は懐かしさが胸にこみ上げてくるだろう。

 声優陣もレギュラー陣は全員当時のメンバーが再結集。72歳の神谷明さんをはじめ、60代に達したベテラン勢が欠けずに全員集合したのは凄いこと。教授とかずえさんという映画でちょっとしか出ないキャラクターまで当時の声優だった茶風林さんと山本百合子さんをキャストしていたのでこのこだわりたるや!当時はモブの声が多かった山寺宏一さんが重要なキャラクターの声を当てたりしているのもグッとしますね。


 このように当時のファンが懐かしさに浸るための復活なので、シティーハンターファン、あなたのための映画ですよ!2のED、『STILL LOVE HER (失われた風景)』に合わせて現在の新宿の風景が流れてゆく場面…本作最高のエモーショナルなシーン。失われた風景は今も僕らの胸の中で生きている。



  


Posted by 縛りやトーマス at 00:12Comments(0)映画アニメ漫画音楽

2019年02月11日

あおちゃんのバンブルビー愛、実る

 3月に公開予定の実写映画トランスフォーマーシリーズの最新作『バンブルビー』にディセプティコン(デストロン)のシャッター役吹き替えに悠木碧さんが決定!

ガチすぎる“バンブルビー愛”が話題に!熱狂ファンの悠木碧、濱野大輝と吹き替え声優に抜てき
https://eiga.com/news/20190207/15/

 悠木碧さんはガチすぎる実写トランスフォーマーファンとして有名なので、満を持しての起用です。

声優・悠木碧さんのトランスフォーマー愛がスゴい! ついに、バンブルビーの母になる「ビー、私がママだよ…。」
https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1503910355

 ハマると際限なく浸かってしまうのは、隙あらば移動中に課金するポイントカードを買ってしまうほどの沼体質なあおちゃんの悪い癖ですが、そういうところも愛せるわー
 タカラトミーに次いで映画公式にもガチヲタとして認定された悠木碧さん、今後レギュラー出演も期待されるところ。ハリウッド実写映画の吹き替えというと、話題性のためにタレントを優先されがちなのですが、今回のようにガチ愛のあるプロ声優の起用が積極的に進められるかもしれません。



  


Posted by 縛りやトーマス at 00:10Comments(0)映画オタク

2019年02月06日

年金はちゃんと払え『ポーラー 狙われた暗殺者』



 デンマークの至宝、マッツ・ミケルセン主演の『ポーラー 狙われた暗殺者』を観た。ネットフリックスで配信中だ。

 プール付きの豪邸で引退生活を楽しむ男マイケル(『ジャッカス』のジョニー・ノックスヴィル!)がセクシーボディのギャルといちゃいちゃしていると、いきなり数人の男に殺される。
 ミケルセン演じるダンカン・ヴィズラは組織“ダモクレス”の殺し屋で引退を2週間後に控えている。ブラック・カイザーの異名を持つ凄腕だが、組織には「50歳になったら引退」という定年退職制度があるため、それに従って退職金と年金を受け取って余生を過ごそうと考えている。
 組織を父親から受け継いだブルート(マット・ルーカス)は組織の負債を埋めるため、引退する殺し屋たちの退職金と年金を払うのを惜しみ、「受け取り手が死んだ場合、金は組織のものとなる」という契約書の条項を利用して新たに雇った若手の殺し屋をつかって処分する(マイケルが殺されたのもそのため)。

 組織の連絡係、連絡は簡潔に「speak!(述べよ)」の一言のみ(このシーンがクソカッコいい)の女、ヴィヴィアン(キャサリン・ウィニック)を使ってダンカンはおびき出されるが、罠に気付き先手を打って皆殺しに。ブラック・カイザーの凄腕を知るヴィヴィアンはダンカンに手を出すぐらいなら、年金を払った方がマシよと忠告するが「年金を払いたくない!」とブー垂れるブルートは若手に命令してあの手この手でダンカンを葬ろうとする。

 今の日本じゃないんだから、そんなに年金払いたくないの?これは「年金をきちんと払わないとひどいことになる」という内容なので、日本の年金問題にも一石を投じる映画です(嘘)。

 中盤ぐらいまではミケルセンの引退を控えた殺し屋の悲哀が醸し出されていて、ミケルセンの渋い魅力が楽しめるのでそれを目的にして観る人は充分満足できるのですが、次第にトンデモ展開になっていって…マニピュレーターで動かす「軍隊」で追っ手を皆殺しにするあたりはもう何がなんだか。

 とにかく…年金はちゃんと払え!


  


Posted by 縛りやトーマス at 23:10Comments(0)映画ネットフリックス

2019年02月06日

青春学園ゾンビものの新機軸だ!『映画がっこうぐらし!』



 深夜アニメを席捲しているジャンル「日常モノ」の王道をなぞった展開で始まる漫画『がっこうぐらし!』は「学園生活部」という学校の中だけで24時間生活をする(帰宅しないので学校の外に出ない)部に所属する女子高生の話だ。学校には独立した太陽光発電、浄水施設、物資倉庫、屋上の菜園などが存在しており、学校内で生活ができるようになっている。
 女子高生と担任の女教師が学校内で延々とキャッキャウフフする日常生活を心行くまで楽しもうとする読者は、突然冷や水をかけられる。学校の外にはゾンビがうようよしていて、彼女らは校内に自ら築いたバリケードの内側に閉じこもって外界からの助けを待っている。学校から出ないのではなく、出られないのだ。ほのぼの日常モノと思わせておいて、ゾンビアポカリプスモノだった!という出だしにビッグなサプライズが仕掛けられている。

 原作漫画、アニメともにこの出だしのサプライズは徹底して隠されていて、特にアニメではまさかそんな展開になると思わなかった視聴者を混乱に陥れた。なので多くの原作ファンが実写映画版にも同様のサプライズを仕掛けてほしいと願ったのだが、映画では当初からゾンビものというのを明かしたうえで宣伝されていた。深夜のアニメ放送ではともかく、映画館ではこのサプライズが仕掛けにくかったのかな?


予告編

 ただでさえ実写化には厳しいアニメファンにこういう変更点は批判されがちで当初は実写化への期待値が著しく低かったのですが、出来上がった作品は予想を軽く上回る傑作でした。
 原作の第一部、高校編をベースに崩壊した学校から脱出(卒業)するまでの物語を一部原作からの変更点があるものの、上手くまとめ上げた。このパンデミックの背景にある大企業が関わっていること、その企業がつくった「職員用緊急避難マニュアル」などの存在は実写化では削除され、徐々に拡大していく原作世界の壮大なスケール観はミニマム化したが、それが却って成功した原因だろう。世界観は広げれば広げるほどスケール観が出ると思い込んでる人が多いけど、むしろ実写の世界観は縮めた方がよいのだ
 変更部分がかなりあるが、原作世界のスケール観がほとんど失われていないのがすごい。ゾンビたちとの対決、サバイバルなどはアニメ版も顔負けの激しさだ。変に続編を匂わせないでこの一作のみで完結させている作りなのも好感。学校からの脱出を「卒業」、そこからの大学編を「進学」、最終章の会社編も「入社」とする、一連のサバイバル生活を人間が学生生活を経て社会に出ていくまで、誰しもが経験する通過儀礼としている原作の魅力をきちんと描写したことが実写版最大の成功だと思う。

 主人公たちを演じたラストアイドルのメンバーも演技力はともかく、過ぎ去っていく日々を惜しむように精いっぱい生きていく様を全力で演じていて、彼女たちの今しかできない表現だろう。めぐねえ(おのののか)とのラストシーンは号泣必至。

 原作付き作品は原作と同じようにしないと、とかく文句をいわれがちだけど変更したって原作の魅力が奈辺にあるかをわかっていれば大丈夫。変更点で面白かったのは学園が崩壊する理由。映画ではゾンビと化した生徒がカセットコンロから漏れたガスにチャッカマンで火をつけたために爆発が起きる、という少々不可解な理由になっているのですが、劇中「ゾンビは生前の記憶に従って行動する」説明がある。そうだ、冒頭で主人公の由紀が保健室のベッドで漫画『ゆるキャン』を読んでいた。この学校にも『ゆるキャン』に出てくる野外活動サークル(野クル)のような部活があるのだろう。火をつけたのは野クル部員だった!そんなところに伏線を張っていたとは…!

  


Posted by 縛りやトーマス at 01:36Comments(0)映画漫画アイドル映画

2019年02月02日

山本耕史の歴史を修正しないと!『映画刀剣乱舞』



※『映画刀剣乱舞』のネタバレについて書かれていますので注意してください

 DMMのゲーム『刀剣乱舞』の実写化『映画刀剣乱舞』を観に行く。事前の知識はまったくなく、「艦これみたいなやつ」ぐらいの知識しかなかった。

 西暦二二〇五年、歴史の改編を目論む歴史修正主義者によって、過去への攻撃が始まった。時の政府により歴史の守護役を命じられた審神者は、かつての刀剣を目覚めさせた。歴史修正主義者が送り込む、時間遡行軍と戦うために。人の形をとったそれらを、“刀剣男子”という――

 というプロローグがきちんとあって、それだけで艦これとは違うな…と思った。艦これにはちゃんとしたストーリーがないもんな。
 映画版のストーリーは歴史修正主義者が本能寺の変に時間遡行軍を送り込み、「織田信長の死」をなかったことにしようとする。審神者は刀剣男子のうち三日月宗近 (鈴木拡樹)、山姥切国広(荒牧慶彦)、薬研藤四郎(北村諒)、へし切長谷部(和田雅成)、不動行光(椎名鯛造)、日本号(岩永洋昭)を過去に送り、歴史通り織田信長(山本耕史)の死を見届け現代に戻る。しかし信長は死んでいなかった。このままでは歴史が変わってしまう!宗近らは再び過去へ飛ぶ。しかし宗近は殺すはずの信長を守り姿を消す。なぜ宗近は裏切ったのか?

 刀剣乱舞が映画化すると聞いたとき、感じたのは「大丈夫か?」という不安だ。すでにミュージカル、2.5次元舞台化が成功しているものの、舞台と映画はまったく違うので、映画にしようと思うと舞台では説明しなくてもいい設定や物語をきちんとしないとリアルに見えないからだ(初めからキャラクターの設定と関係性だけで済ませてしまうならば不要だが)。しかもこの映画は時代劇として成立させるつもりなので成功のハードルは遥かに高い。しかしスタッフの中に「脚本:小林靖子」の名前を見たときに思った。「靖子にゃんなら信用できる」と―

 小林靖子は単なるキャラクター映画にせずに、歴史上最大の謎のひとつに迫る壮大な歴史ミステリーに挑んだ
※以下ネタバレにつき反転で読んでください
 宗近に助けられた信長は安土城に入り、豊臣秀吉(八嶋智人)に「安土で待つ」と助けを乞う密書を送る。しかし天下取りが目前に迫っていた秀吉はその密書を握りつぶし、明智光秀(嶋村太一)の軍を退けた後で安土城を囲んで火を放つ。宗近は「これが正しい歴史」だと信長に告げる。信長が自害したのは本能寺ではなく安土城だった。秀吉の正室高台院が所持していた三日月宗近は真実を知っていたが、それを知らせれば「正しい歴史」が伝わってしまい、歴史が変わってしまう。だから宗近は誰にも真実を伝えずに自分だけで時間遡行軍の攻撃を阻止し、安土で信長の死を見届けようとした…

 安土城焼失は今も原因がはっきりしていない謎で、小林靖子は歴史上真偽の程はともかく、新解釈でこのミステリーに驚きの答えを出した。以前『劇場版 タイムスクープハンター -安土城 最後の1日-』(2013)でもこの謎に挑んだが、アホらしいオチ(映画で確認してくれ)すぎて笑えなかったことと比べても今回の解釈は奮っている。キャラクター実写と歴史ミステリーをミックスさせた靖子にゃんの力量で本作は傑作へと昇華した。

 役者陣で気になるのは信長役の山本耕史だ。『新選組!』で土方歳三、『真田丸』で石田三成、今度BS朝日でやる4K時代劇では徳川吉宗!刀剣では織田信長かよ!そんな大した役者でもないと思うのだが、次々と歴史モノの大物を演じているのはなぜ?しかも嫁は堀北真希だし。許せん!この歴史を修正しないと!

  


Posted by 縛りやトーマス at 21:52Comments(0)映画

2019年02月01日

まさに炎の友情『クリード 炎の宿敵』



 さかのぼること1985年、『ロッキー4/炎の友情」でアポロを殺し、ロッキーと戦った旧ソ連の戦闘マシーン、ドラゴが息子を連れて帰ってきた!ロッキーの最大のライバルであるアポロの息子、アドニスを主役にしたシリーズ最新作。

 前作でボクサーとしてのスタートを切ったアドニス(マイケル・B・ジョーダン)は破竹の勢いで勝ち続け、ついにライトヘビー級チャンピオンに。恋人ビアンカ(テッサ・トンプソン)とも結婚し、娘も産まれる予定だ。アドニスは王者として順風満帆の生活を送っていた。ロッキーの経営するレストラン「エイドリアン」に男が訪れる。かつてリングで戦ったイワン・ドラゴ(ドルフ・ラングレン)だった。店内に張られたロッキーが戦ったかつての名勝負の写真を見て

「俺の写真はないのか?」
「お前の写真はないな」

 ロッキー、ドラゴ戦の写真ぐらい貼っておけよ!ドラゴは旧ソ連の英雄として国家の支援を受けていたが、ロッキーとの試合に敗れたため、支援者や政治家たちからそっぽを向かれ、妻は去り、国から追放されたドラゴはウクライナへ渡り、一人息子のヴィクターにボクシングを叩き込み、復讐にやってきたのだ。現チャンピオンのアドニスを倒し、栄光を取り戻そうとするドラゴ親子。亡き父の仇を取らんとするアドニスはヴィクターとの勝負を望むが、ヴィクターの目を見たロッキーは
「やつには何も失うものがない。お前にはある。やつは野獣だ。勝てる相手じゃない」
 と勝負を避けるようにいうが火のついたアドニスは止まらない。リングに上がるが勝負は一方的なものとなる。ヴィクターの反則もあってベルトは保持したが、結果は誰の目にも明らかだった。

 一躍、時の人となったヴィクターはロシア政府から歓待を受け、二人の元を去ったはずの母親まで帰ってくるが、自分たちのことを一度は捨てた国や母親が手のひらを反してすり寄ってくるのを見たヴィクターは怒りをあらわにするのだった。
 一方、ロッキーも長い間息子とは不和は続いており、生まれた孫にも会いにいっていない。アドニスも非嫡出子という境遇のせいか、父アポロとの思い出もない。『クリード 炎の宿敵』はボクシングのために親子の関係を犠牲にした男たちの物語だ。ロッキーはアドニスに「父親のようにはなるな」と告げ、再びトレーナーに返り咲く。

 シリーズ中5の次に最低と言われた『ロッキー4』が34年を経て炎の感動作としてよみがえるとは思ってもみなかった。『ロッキー4』での共演を経て友人となり、『エクスペンダブルズ』シリーズにも出たドラゴ役のドルフ・ラングレンが再登場し、親子のドラマを再び盛り上げている。試合を決することになるドルフがとった行動は涙なしでは見られない。さらに『ロッキー4』でドラゴの妻役を演じたブリジット・ニールセンまでもが友情出演しているのだ!
 ニールセンは共演を経てスタローンと交際をはじめ、売れない役者時代を支えてくれた嫁を捨て、スタローンとニールセンは結ばれるもすぐに破局。その理由はニールセンの浮気にあったとされるが、その浮気相手のひとりがアーノルド・シュワルツェネッガー!ライバルであり友である男と浮気してるって…離婚の際に財産分与として大金を持っていかれたのだが、そんな人でも再登場させている。スタローンは懐の深い男というしかない。これがホントの炎の友情!

  


Posted by 縛りやトーマス at 17:35Comments(0)映画