2018年07月06日

倒錯趣味があってもいいじゃないか『ワンダー・ウーマンとマーストン教授の秘密』



 アメコミ『ワンダーウーマン』の起源に迫る『ワンダー・ウーマンとマーストン教授の秘密』を観た。日本では劇場公開されずDVDスルーになった作品だ。2017年公開の実写映画は全世界で異例のヒットを飛ばしたがその作品は如何にして誕生したか?

 舞台は1928年。ハーバード大で心理学の教授をしていたウィリアム・モールトン・マーストン(ルーク・エヴァンス)と妻のエリザベス(レベッカ・ホール)は嘘発見器の原型の開発にも着手していたがウィリアムよりも優秀なエリザベスは「自分には女性器がついているから博士号が取れない」と不満の日々。
 ウィリアムは新入生のオリーブ・バーン(『高慢と偏見とゾンビ』のジェーン役で知られるベラ・ヒースコート)の美しさ故に周囲から浮いている様子に惹かれ、助手に雇う。オリーブの母エセル・バーンは産児制限のハンストを起こして倒れるぐらいのフェミニスト活動家で、幼い頃は修道院に預けられていた。
 3人は研究者と助手という関係を続け、嘘発見器の完成にまで至るが、ウィリアムとオリーブの関係に嫉妬したエリザベスによって引き離される。が、オリーブが本当に想っていたのはエリザベスの方だった。彼女は同性愛者だということに苦しむけれど、ウィリアムは「だったら3人で暮らせばいいじゃないか!3Pしよう!」と堂々言い放つ(笑)。画してオリーブは他の男との婚約を解消し、マーストン夫妻とポリアモリー(三人婚)の関係に至る。ポリアモリーは男性側からの一方的な関係を迫られがちな一夫多妻制とは違い、複数人が完全な同意の元に行われる関係だが、3人の関係は当然ながら周囲の理解をまったく得られず、大学に関係が発覚するやウィリアムは解雇されてしまう。
 オリーブの妊娠もあり、3人は引っ越した上同居するが周囲にはその関係がバレないようにしていた。ウィリアムとオリーブは作家として、エリザベスはウィリアムの秘書として家計を支えることに。


 ・・・これのどこが『ワンダーウーマン』誕生につながるの?とモヤモヤするが、直後に話は急展開する。ウィリアムは偶然立ち寄ったボンデージ趣味の衣装屋でフェティッシュアートの数々を見せられる。これは自分が長年研究してきたDISC理論(DOMINANCE=支配、INDUCEMENT=誘因、SUBMISSON=服従、COMPLIANCE=承諾 四つの交互作用で人間関係は築かれるとする理論)そのものだ!

「最大の幸福は愛するものに服従すること」
「大事なのは喜んで従うことだ。自らの意思で」
「人に強いられて望まぬことをするとただの承諾になってしまう。人は承諾すると、不満と抑圧を感じるものだ」
「恨みも生まれる。極端になると犯罪や戦争、ファシズムを生む」
「承諾を避ける方法は誘因だ。考え方を変えさせる」
「完全に支配するんだ。相手は望み通りに動く。自ら喜んで。誘因こそが愛や平和をもたらす」

 衣装屋で公開SMショー(にしか見えない)を見せられたエリザベスは嫌悪感を露わにするが、ワンダーウーマンそのまんまのコスチュームを着たオリーブに見とれて”真実の縄”をオリーブに這わせる。ウィリアムはギリシア神話に登場する女性だけの部族、アマゾーンを元にした漫画原作『スプリ―マ・ザ・ワンダーウーマン』を考案し、出版社に持ち込んでコミック化に成功する。
 真実の縄は3人が完成させた嘘発見器に基づくアイデアだし、インビジブル・ジェットはウィリアムが子供たちと遊ぶためにもっていた透明飛行機からのインスパイアだ。
 ワンダーウーマンは毎回敵から拘束されたり、縛られて鞭打たれるが“承諾”の楔を断ち切って女性の自由のために立ち上がる!そしてワンダーウーマンの誘因によって世界は愛と平和で満たされるという…
 コミックだけでは伝わらない背景があるとわかって目から鱗が落ちる思いだ。しかも倒錯的な趣味嗜好があるとわかったのも衝撃だ。そんな趣味の人でも最も有名な女性ヒーローの漫画を作れるのだから、まったく趣味嗜好だけで人を変態扱いするのは止めてほしいものだ。僕だってあんなに強くてカッコイイ女性がいるなら服従させてもらう。こちらからお願いしたい。完全に支配するんだ。相手は望み通りに動く。自ら喜んで!



  


Posted by 縛りやトーマス at 12:55Comments(0)特撮・ヒーローレンタル映画館

2018年07月04日

メレ様が実質主役『宇宙戦隊キュウレンジャーVSスペース・スクワッド』



 メタルヒーローシリーズとスーパー戦隊シリーズのクロスオーバー作品第3弾。今回は『宇宙戦隊キュウレンジャー』とのコラボ。テレビシリーズから数年後。新たに開発されたネオキュータマが12の犯罪組織を配下に収める幻魔空界によって奪われる。襲撃者がカメレオングリーン・ハミィ(大久保桜子)だったことから現在宇宙連邦大統領(物凄い立場だ)の鳳ツルギ(南圭介)は全宇宙にハミィの指名手配を宣言。「仲間を信じないのか」とツルギの態度に激昂した獅子レッド・ラッキー(岐洲匠)と彼に同意するオウシブラック・チャンプ(CV:大塚明夫)らと袂を分かつ。かつての仲間を信じたいが、信じきれないワシピンク・ラプター283(CV:M・A・O)らと心ならずも対立することになるキュウレンジャー。一方、幻魔空界の手先、宇宙忍デモスト(CV:日野聡)は手に入れたネオキュータマで腑破十臓(唐橋充)、エスケイプ(水崎綾女)といったスーパーヴィランたちを蘇らせ下僕としていたが、メレ(平田裕香)だけは「なぜ生き返らせた」とデモストに反目し、ハミィの裏切りにも理由があるのではと考える。


 当初はかつてのキャラクターの再利用を目的とした安易な公式による二次創作と思っていたこのシリーズも回を重ねるごとにこなれていき、独自性が出てきて新たな魅力が生まれてきた。石垣佑磨演じる宇宙刑事ギャバンtype-Gをシリーズを通した主役にし、その時々に応じて共演する戦隊やキャラクターを絡めていくわけだが、今回はギャバンが本拠で同時に展開する事件の指示を出しながら、烏丸舟・宇宙刑事シャイダー(岩永洋昭)の方をギャバンの代わりに現地に赴かせ、軽いノリのシャイダーが事件の裏に隠された真相を起用に探り当てる、という展開だ。ギャバンが安楽椅子探偵的なポジションになっているわけ。

 かつての仲間たちがすれ違いから敵となり争う、というのはアクション監督を担当した坂本浩一の定番だが、さらに悪役側のヴィランたちも一枚岩ではなく、誰も彼も人のいいなりになるより己の生き様を真っ当したいタイプのキャラクターなので単に悪役のひとりとして蘇らされたわけではない、というのが旧作ファンの心をガッチリ掴んでます。中でもメレ様は実質主役の扱いで、理央様の愛のために生き、理央様の愛のために戦うラブウォリアーとしての生き様を真っ当したまま死んでゆく!他のヴィランもキュウレンジャーやギャバンたちに敗北するのではなく、役目を終えて消えてゆく、という心憎い演出。旧作のファンからすると単にやられ役として出てきて、あっさり新作のキャラにやられるのではいつも納得がいかなかったので、満足。悪役側の話がよすぎるのでキュウレンジャー側がどうでもよくなるレベルだ。

 ラストには今後の展開を予想させるキャラクターも登場し、僕の青春時代ど真ん中のシリーズがついにやってくるのかと感慨深い。本部長も復活してくれ!

  


Posted by 縛りやトーマス at 22:44Comments(0)特撮・ヒーロー

2018年06月26日

俺ちゃんに差別はない!『デッドプール2』



 奴が帰ってきた!R指定のスーパーヒーロー映画として爆発的なヒットを飛ばした前作より2年、不死身の男がスクリーンに帰ってくる!『デッドプール2』は人体実験で不死身の力を得た元傭兵の殺し屋、ウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ)が前作から引き続き世界を股にかけてマフィアどもを皆殺しにしていたが、ある日報復として自宅を襲われ、最愛の恋人ヴァネッサ(モリーナ・バッカリン)を失ってしまうという衝撃のオープニングで幕を開ける。ちなみにタイトルロールにも「どういうこと?」「彼女死んじゃったの?」と出てくる(笑)。


 ヴァネッサを失ったショックで酒浸り、コカイン漬けの日々を送るデッドプール。彼女の後を追って死のうとするも不死身だからできない!五体バラバラになった彼をコロッサス(ステファン・カピチッチ)がX-MENに迎えにやってくる。彼女のためにも正義のヒーローになってやり直せというコロッサスの勧 誘に「もっと有名なX-MENを出せ」(この映画は低予算なのでコロッサスとかネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッドとか地味目なメンバーしかでてこない、という内輪ネタ)と愚痴りながらも加入。「絶対に人殺しはするな」と固く言いつけられたデッドプール。だが14歳のミュータント少年、ラッセル(ジュリアン・デニソン)が暴れている現場で彼が施設で虐待を受けていることを知ると施設職員らを銃殺。殺すなっていったのに!あわれデッドプールとラッセルは拘束されてしまう。ミュータント専用施設に入れられた二人の前に未来から来たサイボーグ戦士、ケーブル(ジョシュ・ブローリン)が現れ、ラッセルを殺そうとする。ラッセルは人間を恨み、殺戮する凶悪なミュータントとなりやがてケーブルの家族を殺すというのだ。ケーブルはラッセルの犯行を止めるためタイムマシンでやってきたのだ。ラッセルを救うためにデッドプールは新チーム『Xフォース』を結成する。


 本作はR指定なので人がバラバラになったり、首がすっ飛んだりするシーンが平気で出てくる。前作でも「明るく正しいヒーロー映画だと思った?早く映画館を出た方がいいぞ!」と観客に向けて話しかけてきたり、ドラッグ、セッ クスに関するきわどい描写が遠慮せずに出てくる。デッドプールは不死身で身体を真っ二つにされてもそこからまた生えてくる。ある場面では下半身がゆっくり生えてくる、フリチン状態の時にケーブルと会話してるデッドプールが足を組み替える。すると股間がモロ見えになるんだけど「なんで足を組み替えた?」「『氷の微笑』のパロディだよ」(『氷の微笑』でシャロン・ストーンが足を組み替えてノーパンの股間が一瞬見える、という有名なシーンの再現)…

 Xフォースにリクルートされたメンバーはたいしてロクな活躍をしないまま一人を残して全滅(笑)。そのうちのひとり、バニッシャーという「透明になる男」が出てくる。透明でセリフもないけど誰もいないところに「いる」。パラシュートで飛び降りた時(パラシュートだけが落下してくる)、高圧電流に触れて即死。感電の瞬間2秒だけ姿が見えて演じてるのがブラッド・ピットだとわかるというどうでもいいギャグに大物を起用。ちなみにブラピはコーヒー一杯でこの仕事を受けたそうです(これも、ブラピはいつもコカイン入りのコーヒーを飲んでいるという話にちなんだ強烈なジョークだと思う)。

 デブ少年のミュータントが出てきたり(デブのヒーローって見たことある?)、ネガソニックちゃんは女性だけど日本人女性のユキオ(忽那汐里がキュートに演じている)が恋人だし、デッドプールは盲目の婆さんと暮らし、インド人のタクシー運転手ドーピンダーを雇って彼が運転中にカーステレオでかけるインド音楽を「そんなわけのわかんねえ音楽かけるな」というケーブルを「差別すんじゃねえ!」と怒り爆発。ブラックトムという名のミュータントをケーブルが殺すと「お前は黒人差別か!」と言い放つ。アフロヘアの黒人女性ドミノ(ザジー・ビーツ)に「ブラック・ブラックウィドウだな」とアベンジャーズシリーズのブラック・ウィドウをその名前なのに白人女性じゃねえか!というネタをかましたり、X-MENというチーム名は「女性差別だ」といって新チーム名をXフォースにしたり…とにかく全方面に関して忌憚のない表現がこれでもかと繰り出される。こういうのはパンセクシュアリティ、全性愛といって性別を乗り越えてあらゆる人を愛する、というものでバイセクシュアル(両性愛)も越えている!デッドプールに差別はない!
 性差別も恩讐も血縁も乗り越えて、みんなで家族になろうという、『万引き家族』と同じテーマ。それをさらに越えている!スゴイ映画だ。
 なにしろ忽那汐里が日本人女性の役としてハリウッド映画に出演してるというのもすごい。今までのハリウッド映画じゃこういう役は日系アメリカ人や韓国人女優がやってたのだから。デッドプールは世界を変える…のか!?ラストの凄まじい自虐ネタもお楽しみに!


  


Posted by 縛りやトーマス at 02:10Comments(0)漫画特撮・ヒーロー

2018年06月03日

せめてレイティング上げようよ『仮面ライダーアマゾンズ THE MOVIE 最後ノ審判』



 アマゾンプライムビデオで配信されていた『仮面ライダーアマゾンズ』の完結編となる劇場版。野座間製薬会社によって研究されていた人工生命体アマゾンは事故により4000の実験体が脱走、人間社会に潜伏した。食人本能を持つ彼らは駆除班によって狩られていたが、野座間製薬幹部・水澤令華(加藤貴子)の遺伝子をアマゾン細胞に移植することで作られた青年、悠(藤田富)=アマゾンオメガとアマゾン細胞の開発に関わっていた科学者、鷹山仁(谷口賢志)=アマゾンアルファの出会いによって物語は動き出す。身勝手な実験によって生み出されたアマゾンたちを駆除することに反発する悠は自らの実験で生み出されたアマゾンたちを狩ることで責任を果たそうとする仁らと対立。

 アマゾンズというタイトルから昭和ライダーの『仮面ライダーアマゾン』との関連を想像するが、旧作との関連性はまるでない。旧作の持つ怪奇ドラマと野性味あるアクションしか共通点はない。このシリーズを通して描かれるのは「食人」である。密かに暮らすアマゾンたちは食人本能を抑えるアマゾンレジスター(旧作のギギの腕輪を模したデザイン)を装着しているが、期限が2年しかないため以降は生きるためにやむなく人間を襲って食っている。「非人道な実験によって作られた者たちが生きるための食人は許されるのか?」ということだ。このあたりのグロテスクな描写が地上波の深夜放送ですら躊躇して配信限定になった理由だろう。


 season1とseason2の戦いを経て、生き残ったアマゾンは悠と仁の二人だけとなり、政府の駆除部隊4Cの黒崎隊は「この二人を狩ればすべては終わる」と作戦を展開。黒崎隊に所属されていた悠の義妹、美月(武田玲奈)は追い詰められた悠を救おうとし、二人ともども池に落ちる。二人は子供だけが暮らしている養護施設・切子学園に助けられる。学園長である御堂(姜暢雄)の元、自給自足の生活をして野菜しか食べない子供たちと暮らすことにする二人だが、里親にもらわれて学園を去る子供が里親によって食われているのを悠は見てしまう。この学園の子供たちは一握りの金持ちたちの食用として作られる「アマゾン畜産計画」によって生み出された新種のアマゾンであった!

 里親たちが子供をステーキにして食ってしまう描写はイーライ・ロスの『ホステル』ばりに演出されていて、本気度大の食人場面はseason1どころじゃなかった!さらにえげつないのは悠が学園に戻って事実を明かすと、子供たちは「知ってます!」「私たちは食べられることが喜びなんです」とおびえもせずに言い放つ。まるで藤子・F・不二雄の『ミノタウロスの皿』(家畜と人間の立場が逆転している星の話)ではないか。
 クライマックスに悠が選ぶ選択はもはや子供番組とか、仮面ライダーとかの枠を飛び越えてしまっている。この内容でレイティングG(全年齢対象)ってのはどうかしてるぞ!劇場で仮面ライダーのタイトルだけ見て子供連れて来てしまった親子による阿鼻叫喚の地獄絵図が展開されてなきゃいいけど!日曜の朝からイスラム系テロリストを模したような集団、難波チルドレンを暗躍させてる『仮面ライダービルド』といい、最近の仮面ライダーはどうかしてる。

 本当はseason1で死ぬはずだった最強のヒモ、鷹山仁と悠が交わす最初の会話、いかにも仁さんらしくて最高ですね。


「仁さん!目が見えるようになったのか!」
「・・・もう見たいもんなんかねぇけどな・・・」


  


Posted by 縛りやトーマス at 14:43Comments(0)特撮・ヒーロー食べ物

2018年05月26日

東映あかりん

 東映の11月公開作品、『走れ!T高バスケット部』のスタッフ、キャストが発表された。


https://www.toei.co.jp/release/movie/1212760_979.html

 弱小バスケット部の青春を描いた同名小説の映画化で、監督は『オトシモノ』『トワイライトシンドローム デッドクルーズ』『アナザーAnother』『ルームメイト』といったホラー、サスペンスでヒットを飛ばし、最近では『今日、恋をはじめます』『クローバー』『ReLIFE』などの青春恋愛映画で話題の古澤健。
 出演は志尊淳、戸塚純貴、鈴木勝大、西銘駿、竹内涼真…という東映おなじみのライダー、戦隊出身俳優で固められてます。そしてマネージャー役に早見あかり!タイトルに『走れ!が入っているのは偶然なのか…公式Twitterでは撮影中にあかりんが行くぜっ!怪盗少女の振り付けをしている動画が…

https://twitter.com/tkoubaske/status/999206410444455938

 俺たちのハートも狙い撃ちする本作は11月3日公開です。

http://tkoubaske.jp/sp/comment.html


  


Posted by 縛りやトーマス at 00:26Comments(0)特撮・ヒーロー

2018年05月16日

80年代オタク万歳『レディ・プレイヤー1』



 2045年の世界は貧富の差が拡大し、多くの人間はスラムと化した街での暮らしを余儀なくされたため、世界中の人々は仮想現実OASISに入り浸るようになった。OASISを開発したクリエイター、ジェームズ・ハリデーは自分が亡くなった後にビデオメッセージを残し、OASIS内にイースター・エッグを隠し、エッグにたどり着くために必要な3つの鍵を手に入れ、一番最初にエッグを手に入れたものに自分の遺産56兆円とOASISの管理権を渡すという遺言を公開した。
 ハリデーの意思を継ごうとするハリデー信者たちをはじめとするガンターと呼ばれるエッグハンター、そしてOASISを手に入れ金もうけのために利用することを企む大企業IOIの送り込んだシクサーズが激しい争奪戦を繰り広げる。しかし最初の鍵を見つけることすらかなわぬまま数年が過ぎていった。鍵を見つけるためにはハリデーが青春時代を過ごした80年代のポップカルチャーに詳しくなくてはならないからだ!


 72年生まれの作家、アーネスト・クラインはアメリカのゲーム会社、アタリが崩壊するきっかけとなったアタリショックの原因のひとつと言われるゲームソフト『E.T.』があまりの売り上げ不振のため、売れ残ったソフトを穴を掘って埋めた、とされる「ゲームの墓場」を探り当てるドキュメント『アタリ:ゲームオーバー』を制作し、穴を掘り起こす作業には愛車のデロリアンで駆け付け、『ディグダグ』のシャツ姿で颯爽とデロリアンを降りる様子を見せつけていた、筋金入りのオタクである。

 そんな彼は小説『ゲーム・ウォーズ』(原題『レディ・プレイヤー1』)に自分の好きな映画、音楽、ゲーム、アニメ、特撮といった要素をぶち込んだ。OASISで鍵を見つけるためにはゲームや映画、音楽、特撮に詳しくなくてはいけないという…要するにオタクじゃないとハリデーの遺産を受け継ぐ資格がない!原作小説で主人公たちは『フェリスはある朝突然に』を全部再現させられたり、『ジャウスト』(ファミコン『バルーンファイト』の元ネタとなったゲーム)をクリアさせられたりする。
 クラインのオタクっぷりは日本のアニメや特撮にまで発揮される。特にクライマックスはハンター同士の巨大ロボット戦になるのだが、勇者ライディーンマジンガーZ、エヴァンゲリオンボルトロン(日本のロボットアニメ百獣王ゴライオン)超電磁ロボ コン・バトラーVが敵のメカゴジラ(!)と激突する。主人公もひとつロボットを選んで参戦するのだが、なんと主人公が選んだのはレオパルドン!あの東映版スパイダーマンに登場する巨大ロボットだ。日本人でも忘れてる人がほとんどなのに、なぜアメリカ人のクラインが知ってるんだよレオパルドン!(最近になってアメコミのスパイダーバースシリーズに登場してるけどさ…)
 残念ながらレオパルドンは「アメリカでは誰も知らない」という制作側の偉いさんのひとことで登場できなかったが、映画では代わりにガンダムが登場する。日本人ガンターのダイトウ(PrizmaXの森崎ウィンが熱演!)が仲間の危機にガンダムに乗って駆け付ける。
「俺は、ガンダムで行く!」
 のセリフとともに…


 原作ではウルトラマンが登場してメカゴジラと決戦を繰り広げるドリームマッチなのだが、ウルトラマンは例の権利関係の問題で出すことができなかったため、ガンダムが3分しか活動できないという要素が付け足されることになった。しかし日本での映画公開後に円谷プロが勝訴。もう少し制作が遅れたらウルトラマンが出られたのに…!残念!


 このように小説ならば文字だけだから問題ないだろうけど、映像作品にするにはハードルが高そうな内容だ。この監督に選ばれたのはスティーヴン・スピルバーグ!80年代に『インディ・ジョーンズ』シリーズや『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ、『E.T.』などを制作して第一線で活躍していた男が「80年代最高だぜ!」な映画をつくるという奇跡の企画なのだ。
 映画版では80年代最高!という描写はやや抑えられ、ハリデーの人生を追うことでイースター・エッグにたどり着くことが可能になるという展開になってはいるが、OASIS内にはありとあらゆる映画のキャラクターが登場する。権利関係を越えて登場させることが可能になったのはスピルバーグの威光があったからに違いない。80年代に青春を過ごした僕なんかはわかるのだが、70年代のカルチャーこそが最高で、80年代には何もないとされていたのだ。そんな中、80年代のエンターテイメント界をほとんど一人で牽引していたのがスピルバーグだった。スピルバーグがいなけりゃ80年代は本当に何もないクズのような年代になってたところだ。
 御年71歳のスピルバーグが80年代、30代半ばの頃にやってたような冒険活劇を撮れるというのが何しろ凄い。宮崎駿に30代の頃にやってた作品がまたやれるかっていうと、絶対無理だと思う。

 物語は「仮想現実ばかりに閉じこもってないで、現実世界を楽しもうぜ!」っていう僕のような人間には耳が痛いオチなんだけど、スピルバーグだから優しく肩を抱いてくれるオチなんだよ。庵野秀明なら「現実に帰れ!」って上から目線になるところだ。ありがとうスピルバーグ。僕も56兆円あったら現実に帰ろうと思います。


映画のエンディングに流れるベストヒットUSAでおなじみのやつ

  


Posted by 縛りやトーマス at 16:30Comments(0)ゲーム特撮・ヒーローVR

2018年05月13日

禁じられたキャンペーン

 夏に行われるウルトラフェスティバル2018の公式サポーターに爆笑問題が決定。記者発表会に出て爆笑を攫ったとのことですが…




爆笑問題が公式サポーターに就任!「ウルトラマンフェスティバル2018」記者発表レポート
http://hobby.dengeki.com/event/569666/


 席上ではウルトラマンと一切関係のないTOKIOや麻生大臣の不適切発言など芸能、政治の時事ネタに終始する爆笑問題。こいつらのこういう「場にそぐわない時事ネタ」そのものが不適切だと思うんだけど。なんでこいつにしたの(公式サポーターを)って発言、そのまま返してやるよ!!

 こんなの呼ばないで、歴代のウルトラ俳優を呼べばいいのに。そっちの方が嬉しいわ。映画のキャンペーンでも全然関係のない芸人がくだらないドタバタ芸をやって会場の温度を下げまくっていることよくあるけど、こういうキャンペーンはいい加減見直してほしい。ふざけるなTBS!!
 まあ地球人同士争ってもしようがないんだけど…

  


Posted by 縛りやトーマス at 08:11Comments(0)特撮・ヒーロー

2018年05月07日

ヤプール人の魔の手が伸びる『パシフィック・リム:アップライジング』



 奴らが帰ってきた!巨大ロボットとカイジュウ(怪獣ではない)が地球の覇権をかけて激突する映画『パシフィック・リム』5年ぶりの続編だ。怪獣大好き!ロボット大好き!なオタク監督ギレルモ・デル・トロは『シェイプ・オブ・ウォーター』に専念していたので今回の監督はスティーヴン・S・デナイトにバトンタッチ。デナイト監督はデル・トロに負けず劣らずのオタクなので、異なるアプローチで続編に挑んだ。


 海底の裂け目からやってくるカイジュウと異種族プリカーサーの侵略を巨大人型兵器イェーガーで撃退した人類は10年もの間、つかの間の平和をむさぼっていたがPPDC(環太平洋防衛軍)はカイジュウたちの再来に備えて新型イェーガーの開発とパイロットの育成を急いでいた。
 中国の巨大企業、シャオ産業は元PPDCの研究員だったガイズラー(チャーリー・デイ)の協力の元、無人機ドローン・イェーガーの開発に着手。新型の有人機第6世代イェーガーか、無人機のドローン・イェーガーのどちらを正式採用する採択されるシドニー会議の場に謎の黒いイェーガー、オプシディアン・フューリーが現れ会場を破壊する。前回にはなかったロボット同士の激突だ!しかも相手のボディは黒!ライバルロボットはやはり黒でないとな…!デナイト監督の「おまえ、わかってるな」感が早くも炸裂する!
 前作で地球を救った英雄ペントコストの息子ジェイク(ジョン・ボイエガ)と相棒ネイト(スコット・イーストウッド)のあやつるジプシー・アベンジャーはあっさり敗れ、同じく前作の英雄だった森マコ(菊地凛子)もあっさり死亡!これがあまりに突然の死すぎて、デナイト監督はマコの死を受け入れられないファンにインタビューを通して解説することに。


【ネタバレあり】デナイト監督のパシリム裏話

https://twitter.com/i/moments/993059828313411584

 マコが死の直前に送信したデータからシベリアの廃棄されたイェーガー燃料工場に向かったジプシー・アベンジャーは再び現れたオプシディアン・フューリーを撃退。コックピットにはカイジュウの細胞が埋め込まれていた。この事態にPPDCはドローン・イェーガーの採用を決める。ハーマン博士(バーン・ゴッドリーブ)はガイズラーが10年前にカイジュウの脳とリンクしたことでプリカーサーから操られていることを知る。ガイズラーはドローン・イェーガーにカイジュウの細胞を組み込んで暴走させ、海底の裂け目から新たな3体のカイジュウの侵入を成功させる。目的は日本の富士山にある火山帯にカイジュウの血液を流し込んで大爆発を起こさせること。PPCDは残されたわずか4体のイェーガーに地球の未来を託す。イェーガーは決戦の地、東京を目指してロケットブースターでぶっ飛ぶ!


 前回は知能などまるでないように思われたプリカーサーにかなりの知能が感じられ、前作の味方を操って仲間割れのような状態を作り出している。まるで『ウルトラマンA』における異次元人ヤプールのようないやらしい作戦なのだ。そうすると東京で現れる合体怪獣の元ネタはA最終回に登場するジャンボキングか!?そういえば主人公のジェイクはラストでもう一人の女性主人公、アマーラと一緒にイェーガーに乗り込むんだけど、これってやっぱり北斗と南のウルトラタッチを意識してるのかな…二人が仲間からなかなか信じてもらえなかったり、途中で「追放だ!」って言われるのも北斗が竜隊長にすぐ「お前は謹慎だ!」って言われるのを彷彿とさせるな。
 見れば見るほどラストの決戦はエヴァ風というよりはウルトラマンA風だよな…デナイト監督、どこまでオタクなんだ!!

 こうなったら続編は死んだとされていた森マコが月星人・森マコとかになって帰ってきてくれないと納得できないな。デル・トロとデナイトならやってくれる!怪獣オタクのみなさんは満足の一本でしょう。



  


Posted by 縛りやトーマス at 00:34Comments(0)特撮・ヒーローオタク

2018年04月06日

湊くん!全部私のせいだ!

 『仮面ライダー鎧武』の仮面ライダーデューク/戦極凌馬役などで知られる俳優の青木玄徳さんが強制わいせつ致傷で逮捕されてしまいました。

仮面ライダー出演俳優が逮捕 青木玄徳容疑者 強制わいせつ致傷の疑いで
https://www.daily.co.jp/gossip/2018/04/06/0011138509.shtml

青木玄徳容疑者は逃走も 現場にプロモーション用資料を落とし発覚
http://news.livedoor.com/article/detail/14541000/

 産経の記事によると

>同署によると、青木容疑者は現場周辺の飲食店で午前1時ごろまで1人で飲酒。店を出た後、30分ほどの間に4人の女性に次々と抱きつく姿が防犯カメラに映っていた。

 酔った勢いでは済まされないレベルの行為。本人は罪を認めて鎧武の戦極凌馬のように「全部私のせいだ!」と供述したそうです(嘘つけ)。



 彼は今年公開される実写『パタリロ!』のバンコラン役担当なんですが、このまま降板してしまうのか気になるところ。この日青木玄徳のスタッフ公式Twitterアカウント(以前までの事務所を退所して、この4月からフリーランスになった)が開設されたのですが、その一時間後に本人逮捕でアカウント削除。展開が早いなあ。最近の仮面ライダーみたい。
 鎧武では黒幕としてあらゆる人間を苦しめて視聴者と登場人物を絶望のどん底に突き落としてましたが、実際の生活で一般人女性を絶望させてどうするんだ…

  


Posted by 縛りやトーマス at 23:10Comments(0)特撮・ヒーロー

2018年02月28日

今度は宇宙だ!『ザスーラ』

 この間『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』の完成披露に行ってきた。すでにアメリカでは8週連続ランキング入りというロングランで大ヒット中。元の映画はガッカリズッコケ映画だというのに信じられない受け方が信じられず「今更双六映画のリメイクかよっ」と思ってたんだけど、今回のリメイクは相当面白く、インディ・ジョーンズシリーズみたいな冒険映画の趣があり、青春映画としての甘酸っぱさもありでどの世代が見ても楽しめる内容。



 今回はその前作『ジュマンジ』の「精神的続編」だという『ザスーラ』(05)を見ましたよ。



 『ザスーラ』は『ジュマンジ』がジャングルを舞台にしたリアル脱出ゲームならぬリアル双六ゲームだったが、こちらは宇宙が舞台。そして原作者が同じクリス・ヴァン・オールズバーグ。「精神的続編」とはそういう意味である。

 ウォルター(ジョシュ・ハッチャーソン)とダニー(ジョナ・ボボ)の兄弟は両親の離婚以来ケンカが絶えず、父親(ティム・ロビンス)も子育てに手を焼いていた。スポーツもできる兄のウォルターに比べてダニーは夢見がちで内気。父親は急な仕事が入って兄弟の世話を長女のリサ(クリステン・スチュワート)に押し付けて出て行ってしまう。ダニーは地下室で見つけてきたボードゲーム「ザスーラ」を持ってきて兄に構ってもらおうとする。
 「ザスーラ」はネジを回すと中央のカウンターが回転して出た数だけプレイヤーのコマが進み、止まったマス目のカードに書かれてあることが実際に起きる双六だ。宇宙を舞台にしているのでコマは宇宙船。
 ダニーがひとりでゲームを始め、コマが止まるとカードが飛び出す。「流星群を回避せよ」すると家の天井をぶち破って流星群が降ってくる!しかも自宅の窓の外は宇宙空間になっていて外へ出ることができない…脱出するにはゲームをクリアするしかない。こうして仲の悪い兄弟は力を合わせてザスーラを始めることに。

 この仲の悪い兄弟がゲームを続ける、というのがポイントで二人は何かにつけて言い争ってゲームはまともに進まない。ふてくされたダニーが「パスタをつくる!」と言い出してゲームを放り出したりしてるのを見てるこっちは「そんなことはどうでもいいから、とっととゲームを進めろよ!」とか思っちゃう。この二人がまったく可愛くないのでどうしてもイライラが募ってしまう(そういう脚本なんだけど…)。
 「宇宙飛行士を救え」というカードが出てきて、15年間宇宙をさまよっていたという宇宙飛行士(ダックス・シェパード)が勝手に家の中の食べ物をあさりだすのでウォルターは追い出そうとするがザスーラの敵キャラ、ゾーガン星人を追い払ってくれたことからダニーは残ってくれといい、このことでウォルターは「僕の意見を無視した」と不満顔。
 さらにゲーム盤が移動した衝撃でコマの宇宙船の位置がずれちゃうと「ズルした!」「してない!」とケンカ(いい加減にしろ)。ウォルターはダニーのコマを前の位置にずらすのだが出てきたカードは「不正をしたので罰」。あわれウォルターは宇宙空間に放り出されそうになる。なんとか宇宙飛行士の活躍で助けられるが再び二人はケンカ…

 そんな中、ウォルターは黄金のカードを引き当てる。「流れ星にひとつだけ願い事をする」家の外の宇宙空間を流れ星が通過。険悪になっている二人を見て宇宙飛行士はその願い事だけはやめろと叫ぶ。宇宙飛行士はウォルターがダニーなんかいなくなればいい、という願い事をするのだと思ったのだがウォルターは別の願い事をしていた。宇宙飛行士は
「15年前に自分も弟とゲームをしていたが、ケンカして流れ星のカードを引いた時『弟なんかいなくなれ」と願ってしまい、弟が消えてしまったのでゲームが続けられなくなった。君たちは同じことを繰り返してはいけない」
 と二人を諭す。


 と、ここまで来て二人のしつこいケンカや、仲を取り戻すことの大切さを訴えたいというストーリーのキモがわかるとこの映画俄然面白くなってくる。このままケンカだけしてたらギブアップするところだった。兄弟は協力してゾーガン星人に立ち向かい、故障したロボット(ブリキのおもちゃが巨大化している)を上手く操って窮地を切り抜けていく。
 宇宙船のデザインは50年代の流線形で、トカゲ型宇宙人のゾーガン星人やロボットなどには『ターミネーター』『エイリアン2』『ジュラシック・パーク』のスタン・ウィンストンが関わっている。監督のジョン・ファブロー(『アイアンマン』シリーズ)とウィンストンはCGと特殊効果を上手くミックスさせた映像をつくりあげた。トカゲの宇宙人とか、ブリキのロボットやら流線形のロケットやらが出てきて50年代SF映画のような古典のイメージが『ザスーラ』の面白さである。『ジュマンジ』をあまり気に入っていないというファブローは『ザスーラ』で見事に『ジュマンジ』のガッカリ部分を手直しして、古典SF映画の面白さを十二分に楽しませてくれた。やっぱり特撮では宇宙人とか、見たことないものを見せてくれないとな!


  


Posted by 縛りやトーマス at 09:30Comments(0)特撮・ヒーローレンタル映画館