2019年09月12日

佐藤二朗のギャグで笑ったら負け『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』




 将来を期待されたエリートたちが集まる名門・秀知院学園。その頂点に君臨するのは庶民の出でありながら学力のみでトップに立っている生徒会長・白銀御行(平野紫耀)と財閥四宮グループの令嬢である副会長・四宮かぐや(橋本環奈)。
 学園内でも「理想のカップル」と持ち上げられ、本人たちもまんざらではないが、白銀はエリート層に対するコンプレックスからか、かぐやは生まれついてのお嬢様故か、変にプライドが高くて素直になれない性格なので、実際は両想いでありながら「相手の方から告白してくるなら、考えなくもない」とひねくれてしまい、「告白した方が負け」と思うようになってしまった!画して白銀とかぐやはあの手この手で相手に告白させようとする、天才たちの恋愛頭脳戦がはじまった。そう、恋愛は好きになった方が負けなのである!!

 という素直になれないツンデレ同士の果てしない戦いを描いたラブコメ漫画の実写化である。この手のデフォルメのキツイ漫画の実写化はいかに役者がデフォルメ演技に染まり切れるかにかかっているが、その意味ではこの実写化、ほぼ完璧

 漫画内でキャラに「白銀を演じるなら平野紫耀」と書いたらホントにそうなったキンプリ平野紫耀は周囲から美化されすぎているが、ホントは間の抜けたポンコツキャラという2枚目半を好演。しかし原作にあった「私服がダサい」エピソードはどうしても本人がカッコよすぎたせいか、不採用になったのは仕方あるまい。

中学生の箪笥の奥から出てきたような私服を着る白銀

 決め台詞の「お可愛いこと・・・」を虫ケラでも見るような目つきで再現する橋本環奈のゾクゾクするような美少女っぷり、かぐや様にしか見えないわ!

 だがこの二人を上回るのが本作のメインヒロインであり、「見た目100点、頭の中身3点」の藤原書記を演じた浅川梨奈。アニメ版で藤原役だった小原好美の声に似せてくるというテクニックで藤原書記を完全に再現していた。『咲-Saki-』でも廣田あいかが演じた片岡優希をアニメ版の声優だった釘宮理恵に寄せてくることで完全に再現していたが、それと同じことをしてくるとは・・・

 こうした役者陣の過剰にデフォルメされた演技によって漫画的なラブコメ表現が嫌味に見えないことに成功しているのだけど、そんな若手のアイドル役者の努力と才能をたったひとりで叩き潰しているのが佐藤二朗だ。

 佐藤二朗は中盤以降に登場するかぐやの「恋の病」を診療する医者役なのだが、佐藤二朗が出てくる場面はダボが出るほどつまらない。
 特に二つの場面がつまらない。スひとつはトレスを無くすためにソーラン節を踊る、という場面。『情熱大陸』風にテレビカメラが病院に入っている設定で、病院のロビーでソーラン節を踊ってる時にカメラの前を松葉づえをついた患者が横切ると

「邪魔だ!邪魔だよ!」

 とその患者を押しのける!その後も踊り続けるのだが、後ろで見ている受付の女性がこらえきれずに笑いだすと

「ちょっと!何笑ってるの!撮ってるから笑わないで・・・ブハッ!だから、笑っちゃダメって・・ぶわっはっは!」

 と自分のやってることがおかしくなったのか、自分も笑いだす。これ、NGシーンじゃないの?自分のやってることで笑うなよ・・・それ、見てるこっちは全然笑えないから!
 もうひとつはラストで平野紫耀の前に突然現れて、「あなたは誰ですか?」とたずねると、

「私か?私はこの作品ナレーションを担当してる者だよ!」

 とメタ発言。唖然とする平野を置き去りにして変な歌を歌いながら去ってゆく。クスリとも笑えない。

 佐藤二朗のギャグはいつもこれで、わかる人にだけわかればいいという、内輪受け。佐藤二朗のギャグがわかるほど人間ができていない僕には彼が出てくる中盤以降は観るのが辛くなるほどの拷問時間だった。劇場には佐藤二朗のギャグでクスクス笑う人がいたので、世の中はよっぽど鍛えられた賢者たちが存在しているのだろう。だが僕は笑うことができない。
 映画とは、佐藤二朗のギャグで笑った方が負けなのである!!

  


Posted by 縛りやトーマス at 00:06Comments(0)映画漫画アイドル映画

2019年05月22日

期待しかない浅川梨奈

 9月6日に全国公開が決定した映画『かぐや様は告られたい~天才たちの恋愛頭脳戦』は主役の二人にキンプリの平野紫耀、橋本環奈がキャストされていることはすでに発表されていたが、他の生徒会メンバーなどの配役が未発表のままでしたが、21日に解禁されました。

平野紫耀&橋本環奈「かぐや様―」で浅川梨奈が“脳内お花畑”のゆるふわ美少女に!
https://thetv.jp/news/detail/190675/1142999/


 原作者が自らネタにするほどだった平野紫耀や、「生まれたときから欠けることなく美少女」の橋本環奈の完璧すぎるキャスティングが話題でしたが、『かぐや様~』のメインはこの二人ではない!あくまで主役は生徒会メンバーの一人、藤原書記でしょう!


進路指導で「将来就きたい職業は総理大臣」とぬかす藤原書記。

 リンク先では“生徒会きっての脳内お花畑”キャラで、ゆるふわ巨乳の美少女などと極めて控えめな紹介をされていますが、はっきりといえば見た目100点、IQ3のバカキャラですよ!?
 その藤原書記が天才たちが緻密に張り巡らせた高度な情報戦をバカ故にあっさりかいくぐって作戦をぼろぼろにしてしまう様は痛快で、やっぱり何も考えてないバカは恐ろしいんだな・・・と読者を戦慄させてしまう藤原書記はほぼこの漫画の主役。童顔巨乳のバカというハラスメント的に問題のあるキャラを嫌味なく演じられるのは難しいと思われていましたが、浅川梨奈がやるというのなら、何の問題もない

 アイドルグループ時代も童顔巨乳というポジションで不動の人気をモノにし、トーク・バラエティに出ればアイドルなのにアイドル好きというキャラで他のアイドルたちから一歩前に抜け出し、オタ芸を披露して悦に入り、やかましすぎるしゃべりでMCからウザがられる・・・そんな彼女を何度も見てきたけれど、一転役者になるとローテンションで「オカルトなどありえない」と常に冷静なお嬢様を演じた『咲-Saki-』や理系の大学院生役だった『リケ恋』など普段のキャラとはかけ離れた役ばかりに挑んでいた。それが女優ってことなんでしょうけど・・・ひょっとしたらテンション高めなのが演技で、本当は内にとじこもりがちなキャラなのかもしれないけど。

 なので、そんな浅川が珍しく見た目に沿ったキャラを演じるわけだ。そこにはもう、期待しかない。珍妙すぎる千花ラップの出番はあるのか!?ドーンだYo!


NHKヤングラップバトルの様子。このレベルなら期待できるぜw

  


Posted by 縛りやトーマス at 07:44Comments(1)映画アニメアイドル映画

2019年02月27日

ゾンビファンの脳みそを破壊する『トウキョウ・リビング・デッド・アイドル』



 当時、SUPER☆GiRLSのメンバーだった浅川梨奈主演のゾンビアイドル映画。「ゾンビ」と「アイドル」というローバジェット映画の定番要素二つがドッキングしたらどうなるか?華やかなカップルとなるか、それとも最悪の組み合わせになるのか!?


 3人組の地下アイドルユニット「TOKYO27区」(3人組なのに27区というこのネーミング)のセンターであるミク(浅川)は今日も満員のライブをこなしたが、メンバーのモエ(スパガの阿部夢梨)、ルナ(尾澤ルナ)のドヘタな歌と合わないダンスにブチ切れ。
「やる気あんの?わたしらもうすぐメジャーデビューで、もう地下アイドルじゃあないんだよ!」
 そんなミクの態度に少々ウンザリな二人。地下アイドルにありがちな無駄に意識高いケンカ、よくありますね。観客もちょっとイラついたところで、エレベーターから現れたゾンビ(突然)に噛まれるミク!騒然となる楽屋裏!周囲は突然のことにおびえるばかり(そりゃそうだよ…いくらなんでもゾンビの出現、突然過ぎ)で、誰もミクのことを助けない(これまでの態度が悪いせいもあるんじゃない?)。彼女を助けたのはゾンビハンターの男(また突然だなオイ!)

 腕の噛まれた後を包帯で隠したミクは人で溢れかえる真夜中の街を疾走…って、ゾンビが出てるのに普通に人が暮らしてるの?
 そう、この世界では人々が普通に生活を送っているのだ。ゾンビといえば発生した瞬間に無法地帯になったり、文明、日常が崩壊する様が描かれるのだが、この映画では通り魔が出てきたぐらいの騒ぎで済んでいる。なんて斬新な世界観なんだ。役者の後ろをよく見ると通行人が通っていたり、道路を車が走ってる。決して低予算すぎてポスト・アポカリプスな世界を描けないわけではない。

 ゾンビ化するまでのタイムリミットは72時間。噛まれた人間は警察によって専門の施設に強制収容される。のだが、捕まえた警察の偉い人がアイドル・ミクのファンなのでこっそり彼女を逃がしてあげるのだ。なお、低予算映画なので細かい設定についてはすべてセリフで説明される。
 なぜミクは逃げ出すのか?それは都市伝説として伝わっているゾンビ状態から回復する血清を探し求めるために。
 偶然見つけた「ワンダフル探偵事務所」の男、犬田満男(『ハルサーエイカー2』の田畑ジョー役やってた尚玄)に助けを求めるミク。

「わたし、どうしても夢を叶えたいの…アイドルの聖地、中野サンプラザでコンサートをやって国民的アイドルになるまで死ねないの!」

 ずいぶん小さい夢だな!中野サンプラザは確かに聖地かもしれんが、そこから国民的アイドルまでかなり遠いぞ!そこは嘘でも武道館っていおうよ!ミクは血清に関する噂が書かれたムーのまがい物じみたオカルト雑誌を見せて「ここに書いてる」そんなもん信用すんなよ。

クラーケンとネッシーの戦いは気になる

 逃亡したことで全国指名手配された彼女を助けるのは面倒だと手を引こうとする犬田だが、ミクが頭を下げてまで懇願するのに気が咎めて、この依頼を受けることに。

 翌日、高田馬場あたりにある雑誌編集部を訪ねていくと、建物があった場所は更地になっていた。なんと、数日前に謎のガス爆発を起こして編集部員は全員死んでいた。オカルト雑誌に真実を書いたから消されたのか?陰謀論が渦巻く中、タイムリミットは迫る。公園の草むらから突然現れた(ホント突然)ゾンビの頭を金属バットでカチ割り、逃亡する二人。
 一方、逃亡したミクを捉えんとゾンビハンターらも二人の足跡を追っていた。そのうちの一人、日本刀が武器の女子高生ゾンビハンター・如月が悶絶するほどカッコいい!襲い来るゾンビをバッタバッタと切り捨てるアクションは演じた星守紗凪、本人自ら挑んでます。公式プロフによると「特技・殺陣」とあり、ヘナチョコな剣の振り方じゃありません。こんな映画(失礼)で本格的な剣術アクションが見られるとは…僕は彼女のファンになるぞ!

本物の剣術ができるうえにカワイイぞ

 公園での撮影の間、ずっと小雨が降っている。別にじめじめとした世界観を描きたいとかいうわけでもなく、ただロケ日が雨で日程を変更するほどの余裕がなかったんだろうな…

 ミクたちはオカルト雑誌に記事を書いた男の家で「A」と呼ばれる感染少女がゾンビから回復する血清を作り出すことができる情報を入手、情報屋からA=アリシアと呼ばれている少女が実験のためどこかに監禁されていることを知るが、どこにいるのかわからないままタイムリミットは迫る。童顔巨乳好きゾンビ(どういうこと)に襲われるが、熱心なミクファンのオタクによって助けられ、というかオタク二人が勇ましく立ち向かうもあっさり犠牲になってる間に逃げたんだけど!アイドルはオタクを犠牲にして生き延びるんだ…彼らこそドルオタの鑑として語り継がれるべきだ。

 しかしミクらの前にゾンビハンター・如月が立ちふさがる…が、如月はゾンビを切り捨てると

「わたし、ミクちゃんの大ファンなの!」

 如月はTOKYO27区の古参(初期からのファン)だった!如月はアリシアの監禁場所を知っており、かつて感染した時に血清によって回復していたのだった。ミクのためにゾンビを人体実験に使っている組織を裏切ることにした如月、ミク、そして元刑事という過去も判明した(またまたまた突然!)犬田の3人は地下実験施設へ向かう。


 あらゆる意味で従来のゾンビ映画の埒外へ飛び出しており、予想以上の面白さがある。低予算ながら本格的な剣術、パルクールなどの大胆なアクションがあり、なによりゾンビが現れてるのに特に文明が崩壊していないとか、何もかも斬新すぎる。ゾンビ映画という枠に囚われがちなゾンビファンの脳みそを気持ちよく破壊する一本です。




  


Posted by 縛りやトーマス at 23:59Comments(0)映画アイドル映画レンタル映画館

2019年02月20日

東映にしかできない!『女番長』シリーズの系譜『BACK STREET GIRLS ゴクドルズ』




 誓いの盃を交わした犬金組・三人の極道、健太郎(白洲迅)、和彦(柾木玲弥)リョウ(花沢将人)は身も心も立派な極道として生きていくことを誓ったが、慕っていた若頭の永田が対立組織の罠にはめられ服役。三人は敵討ちのため敵対組織に乗り込むが返り討ちに。命だけは助かったが、敵対組織のボス、小黒田(小沢仁志)は犬金組に手打ちを要求。大金を失うことになった組長の犬金鬼万次郎(岩城滉一)は「東京湾に沈むか、臓器を売るか、それとも…」と三人に迫る。「命だけは勘弁してください!それ以外はなんでもしますから!」と土下座する三人に犬金は

「てめえら明日からアイドルになれ!アイドルになって稼いで来い!」

 選択の余地などない三人はすぐさまタイに渡って性転換手術。アイリ(岡本夏美)マリ(松田るか)、チカ(坂ノ上茜)の見目麗しい美少女に生まれ変わってアイドルグループ「ゴクドルズ」(極上のアイドル、の意)としてデビュー。

「売れちまったよオイ!!」

 三人の予想を裏切ってゴクドルズは売れまくり、小さなライブハウスを満杯にするほどに。三人は身も心も立派な極道のはずが、アイドルとして乙女な生き方を強要され、ギャップに苛まれていく。


 週刊ヤンマガに連載された漫画の映画化で、奇想天外かつ破天荒な内容に挑んだのは△マークの東映だ!極道はともかくアイドルって!東映のアイドル映画っていったら『ときめきメモリアル』ぐらいしか浮かばないぞ。
 しかし東映ではかつて杉本美樹、池玲子といった女優らが主役のバイオレンス・アクションを70年代に量産していたではないか。そう、あの『女番長』シリーズ、野獣のような女たちが愚かな男たちを手玉に取って大暴れする様子はまさしく『女番長』シリーズだ!
 さらに東映ならではの要素をミックスさせた。特撮ヒーロー番組からの起用だ。アイリ役の岡本夏美は『仮面ライダー1号』で立花藤兵衛の孫として藤岡弘、をビンタして「老人虐待では?」と言わしめていた。マリ役の松田るかは『仮面ライダーエグゼイド』のポッピー、チカ役の坂ノ上茜は『ウルトラマンX』のアスナ隊員!三人を導くよきライバルであり同志であるアイドル役に元スパガ、『スーパー戦隊最強バトル!』にでている浅川梨奈、外道のようなIT企業のヤク中社長はNEW電王の桜田通。あと、『仮面ライダー電王』の秋山莉奈さんも出てます。

 極道とヒーローの華麗なミックス。東映でなければできない映画だ。最後のカチコミシーンでは人見早苗(元ジャパンアクションエンタープライズ)さんがスタントに入ってるぞ。

 岩城滉一組長が真面目な顔して作詞したアイドルソング『恋のサカズキ』の切って切って切って指切って~にはもう爆笑。大杉漣さんも居酒屋の大将役で友情出演だ!ひょっとしたらこれが遺作!?

 シリーズ最終作から45年。女番長の系譜は生きていた!



  


Posted by 縛りやトーマス at 01:13Comments(3)映画アイドル映画

2019年02月06日

青春学園ゾンビものの新機軸だ!『映画がっこうぐらし!』



 深夜アニメを席捲しているジャンル「日常モノ」の王道をなぞった展開で始まる漫画『がっこうぐらし!』は「学園生活部」という学校の中だけで24時間生活をする(帰宅しないので学校の外に出ない)部に所属する女子高生の話だ。学校には独立した太陽光発電、浄水施設、物資倉庫、屋上の菜園などが存在しており、学校内で生活ができるようになっている。
 女子高生と担任の女教師が学校内で延々とキャッキャウフフする日常生活を心行くまで楽しもうとする読者は、突然冷や水をかけられる。学校の外にはゾンビがうようよしていて、彼女らは校内に自ら築いたバリケードの内側に閉じこもって外界からの助けを待っている。学校から出ないのではなく、出られないのだ。ほのぼの日常モノと思わせておいて、ゾンビアポカリプスモノだった!という出だしにビッグなサプライズが仕掛けられている。

 原作漫画、アニメともにこの出だしのサプライズは徹底して隠されていて、特にアニメではまさかそんな展開になると思わなかった視聴者を混乱に陥れた。なので多くの原作ファンが実写映画版にも同様のサプライズを仕掛けてほしいと願ったのだが、映画では当初からゾンビものというのを明かしたうえで宣伝されていた。深夜のアニメ放送ではともかく、映画館ではこのサプライズが仕掛けにくかったのかな?


予告編

 ただでさえ実写化には厳しいアニメファンにこういう変更点は批判されがちで当初は実写化への期待値が著しく低かったのですが、出来上がった作品は予想を軽く上回る傑作でした。
 原作の第一部、高校編をベースに崩壊した学校から脱出(卒業)するまでの物語を一部原作からの変更点があるものの、上手くまとめ上げた。このパンデミックの背景にある大企業が関わっていること、その企業がつくった「職員用緊急避難マニュアル」などの存在は実写化では削除され、徐々に拡大していく原作世界の壮大なスケール観はミニマム化したが、それが却って成功した原因だろう。世界観は広げれば広げるほどスケール観が出ると思い込んでる人が多いけど、むしろ実写の世界観は縮めた方がよいのだ
 変更部分がかなりあるが、原作世界のスケール観がほとんど失われていないのがすごい。ゾンビたちとの対決、サバイバルなどはアニメ版も顔負けの激しさだ。変に続編を匂わせないでこの一作のみで完結させている作りなのも好感。学校からの脱出を「卒業」、そこからの大学編を「進学」、最終章の会社編も「入社」とする、一連のサバイバル生活を人間が学生生活を経て社会に出ていくまで、誰しもが経験する通過儀礼としている原作の魅力をきちんと描写したことが実写版最大の成功だと思う。

 主人公たちを演じたラストアイドルのメンバーも演技力はともかく、過ぎ去っていく日々を惜しむように精いっぱい生きていく様を全力で演じていて、彼女たちの今しかできない表現だろう。めぐねえ(おのののか)とのラストシーンは号泣必至。

 原作付き作品は原作と同じようにしないと、とかく文句をいわれがちだけど変更したって原作の魅力が奈辺にあるかをわかっていれば大丈夫。変更点で面白かったのは学園が崩壊する理由。映画ではゾンビと化した生徒がカセットコンロから漏れたガスにチャッカマンで火をつけたために爆発が起きる、という少々不可解な理由になっているのですが、劇中「ゾンビは生前の記憶に従って行動する」説明がある。そうだ、冒頭で主人公の由紀が保健室のベッドで漫画『ゆるキャン』を読んでいた。この学校にも『ゆるキャン』に出てくる野外活動サークル(野クル)のような部活があるのだろう。火をつけたのは野クル部員だった!そんなところに伏線を張っていたとは…!

  


Posted by 縛りやトーマス at 01:36Comments(0)映画漫画アイドル映画

2018年10月22日

ポニーテールに惚れてまうやろ『あの頃、君を追いかけた』



 2011年に台湾で公開され大ヒットを記録した同名映画の日本版リメイク。台湾の作家、ギデンズ・コーが自らの青春時代を振り返った作品は90年代の台湾を舞台にしていたが、こちらは2000年代の日本を舞台にした。

 進学校に通う高校3年生の水島浩介(山田裕貴)は悪友らとつるんで不真面目な学校生活を送り、他愛もない日々を過ごしていた(高校3年生なのに…)。あまりの不真面目さに教師からクラス一の優等生、早瀬真愛(齋藤飛鳥)の前の席へ移動させられる。幼馴染の小松原詩子(松本穂香)の友人という以外は接点のない真愛とは話も合わず、「幼稚」とバカにされる浩介。ある日、教科書を忘れてしまった真愛に自分の教科書を手渡したことから二人は会話をするようになる。受験生だというのに勉強もしない浩介に真愛は手製のテストを渡す。面倒くさがりながらも彼女のテストを通じて浩介は成績を伸ばす。調子に乗った浩介は「本気出せば学内トップになれる」と豪語。真愛と髪型を賭けた対決をすることに。

「君の坊主頭が見られるわけだ」
「俺が勝ったらポニーテールな!」
「いいよ。ポニーテールでもピックテールでも」

 当然のごとく勝負は浩介が負けてしまうのだが、丸坊主を悪友たちにいじられてる浩介の目の前をポニーテールにした真愛が横切る…

 なんという胸キュン(死語)場面!本作は齋藤飛鳥が悶絶するほど可愛く撮られており、こんなん惚れてまうやろ!

 二人はその後も二人だけの勉強会を続け卒業へ。傍目にはつきあってるようにしか見えないのだが、ここまで一切告白していないので二人は仲のいい友達のまま。自分の夢のために友人たちや真愛は上京していくのだが、何もやりたいことがない浩介は地元の大学へ進むもモラトリアム状態に。やがて真愛とはすれ違うように。

 映画は10年後、大人になった浩介が10年間しくじり続けた過去を振り返るという内容で、何度も何度もチャンスとしか思えない場面があるのに、次々フラグをへし折ってゆく山田裕貴よ!何してんの!そうじゃないだろと!
 どんなに頑張っても、思い続けても叶えられないことがある、という最近の邦画では絶対にありえない話に心を打たれた。これが台湾の青春映画だ!リメイクを若手の恋愛映画が得意そうな連中に任せたら余計な改変を加えるところ、台湾版をほぼ忠実にリメイクした長谷川康夫監督の英断よ。

 『響-HIBIKI-』の平手友梨奈といい、本作の齋藤飛鳥といい、演技が上手い下手以前に役柄がピッタリ合っていて坂道グループのブレーンはホントいい仕事してると思う。

  


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2018年10月16日

欅坂のブレーンは目が肥えてるな『響-HIBIKI-』



 ビッグコミックスペリオールで連載中の漫画の映画化。本作が映画初主演になる欅坂46の平手友梨奈がヒロインの響を演じる。
 文芸雑誌・木蓮の編集部に届いた新人賞応募作。「鮎喰響」とだけ書かれた名前の読み方もわからない封筒の小説は傑作であることだけは間違いなかった。それを見た若手編集者の花井ふみ(北川景子)は「ネットでなければ受け付けない」条件のため、わざわざ本人に代わってネットで応募し直す。なんとかこの作品を世に出すのだ!あとは応募者本人を探し出しさえすれば…
 駆けずり回った結果、鮎喰響(平手友梨奈)はまだ15歳の女子高生であることがわかった。ただ自分の才能を確かめるためだけに書いた、という響を説得して新人賞選考に出した作品はあっという間に認められ、新人賞受賞、さらに芥川賞、直木賞を史上最年少でWノミネートという栄誉を果たす。世間が「15歳の天才少女あらわる」と持て囃すのだが、彼女は「絶対に自分を曲げられない」性格だった。

 学校でケンカを吹っかけてきた不良の指をへし折り(!)、同級生にセクハラをするかつての芥川賞受賞作家のオッサンの顔面にハイキック、新人賞を同時受賞した、世の中を斜に構えて見る田中(柳楽優弥)から「話題作りで女子校生に賞取らせてんのかよ」と絡まれ、響の小説なんか読んでいないと言われたことに腹を立て、授賞式の席上で田中をパイプ椅子で殴打!そのあと駅のホームまで追い回す…というエキセントリックなどという言葉では言い表せない奇行の数々でマスコミは大騒ぎ。いくら才能があってもこれじゃあ…と響の本を出すのに尻ごみする出版社、響に振り回される花井。しかし彼女のいうことはいつだって筋が一本通っている。響の言動に周囲は振り回されつつも影響を受け始める。


 ヒロインを演じた平手友梨奈の存在感にまず圧倒される。演技が上手いとか下手とかいう以前に役柄がバッチリハマっているのだ。彼女より上手い役者はいるだろうが、響役は平手しかいないと断言できる。ほとんど笑いもせずに相手を射殺すような目、突き刺すような声…すべて最高!
 欅坂というグループで高い人気を誇っているアイドルの初主演映画にこの作品を持ってきたブレーンは相当目が肥えているね。チャラチャラした恋愛映画に起用しなかったのは慧眼といえる。作品が尖りすぎているので大ヒットとまでいかないのが残念だ。とにかくアイドルといえば恋愛映画、という風潮にパイプ椅子殴打をかますこの一本、お前もお前もお前も平手友梨奈に圧倒されるのだ!

  


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2018年03月10日

信者にひどい目に遭わされる北原里英『サニー/32』



 『日本で一番悪い奴ら』『彼女がその名を知らない鳥たち』で邦画界一、ノリにノッている白石和彌監督が出世作『凶悪』で組んだ脚本家、高橋泉と再び組んだ実録映画路線が『サニー/32』だ!

 NGT48の北原里英演じる主人公の藤井赤理は東北で中学校教師で情熱をもって生徒の指導にあたるが、なにもかも空回り、いじめられてるかも知れない生徒の純子(蒼波純)の相談に乗ろうとしても相手にされない。そんな彼女は24歳の誕生日に誘拐される(突然!)。犯人はピエール瀧とリリー・フランキー。『凶悪』の二人組!ただ『凶悪』と違ってピエール瀧の方がリリーよりも立場が上ですぐに暴力を振るって相手を支配する男だ。一方リリーはちょっと頭のおかしい男でいつも股間をいじっているだが焼きそばの腕前は絶品だ(そんなやつのつくる焼きそば、食いたくねえ)
 二人は赤理を「サニー」と呼んでかわいがる。サニーとは14年前に起きた小学生女児による同級生殺害事件の犯人で、ネット上で出回った犯人特定画像に加害者が左右の指を3本、2本で独特なピースサインを作るポーズから「サニー」というあだ名をつけられネット上で神のように崇められている少女だ。ピエールとリリーは赤理こそが大人になったサニーだと決めつける。

 長崎で起きたNEVADAちゃん事件をモチーフにするという凶悪さに身震いするが、『凶悪』コンビなのでただ実際にあった事件をなぞりはしない、もっとどぎつく事件をえぐる。
 監禁場所はネットで中継され、ピエールが集めたサニー信者たちが集まってくる。「サニーによって人生を救われた」という杉崎(奥村佳恵)のような狂信的信者もいれば単に卒論のテーマにしたいという田子(大津尋葵)のような男もいる。中にサニー事件の被害者遺族がおり、勘違いして復讐の刃を赤理に向ける。混乱の中、医師の男(山崎銀之丞)は刺されて死に、死体は打ち捨てられ仲たがいの末、田子は監禁部屋の外に放り出されて凍死する。この過程はまるで連合赤軍あさま山荘の内ゲバのように描かれる。師匠の若松孝二的スタイルを踏襲したということか。

 その場にドローンを飛ばして現れた少年・百瀬はスタンガンでピエールたちをあっという間に片づけてしまう。そして自分のshowroomでサニーを配信してネット上の神になろうとする。これってドローン少年じゃねえか!演じた加部亜門の演技がハマりすぎで本当のドローン少年がスタイリッシュな革命家に思えてくる(バカな)。
 電気ショックで覚醒した赤理は信者たちを説教し、さんざん暴力を振るわれたピエール瀧を逆に足蹴にする。「オラ!こういうのが嬉しいんだろうが!」「あぁ…サニーさま、もっとやってください!」showroomの画面上に流れる「サニー!神!」の文字。「みんながわたしにサニーを求めるのなら、本当のサニーになってやる」と堂々宣言した赤理=サニーはネット配信の辻説法で神として崇め奉られるのだ。その内容も「パチンコがやめられない」という主婦に「お前が吸われた金は北の国からミサイルになって飛んでくる」というアレなやつ。

 監督による北原里英への責められ方は半端ではない。家の二階の窓から豪雪の上に放り出され、裸足で延々と歩かされる。途中で疲れ切って倒れるシーンはカットのタイミングを計っておらず、北原も倒れるタイミングがわからないから声を掛けられるまで歩いて行って、本当に力尽きて倒れる。追い込みすぎだろ!熱狂的な信者(ファン)にひどい目に遭わされるというのは、AKB時代にも体験してるだろうけど、ここまでの目には遭ってないはず。白石和彌の凶悪ぶり、おそるべし。

 そんな女優イジメを経て物語は第二のサニー(門脇麦)が現れ、「わたしが本物のサニーです」とネット配信で自分の指を自らへし折ったりする過激番組を配信。赤理は自身の番組に純子が書き込みをしてるのを見る。「先生、昔同級生をカラオケボックスで殺したんでしょ。すごいね。わたしも負けないで頑張るよ」といじめっ子の同級生に復讐しようとする純子を赤理は止められるのか?

 門脇麦演じる第二のサニーとの対決を経て赤理はようやく教師としての使命に目覚める。なんだか最後は温かいムードで完結するじゃないか。この実録路線でハートウォーミングなオチをつけようとは白石・高橋が一番の凶悪だろ!

  


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2017年12月12日

勝手に好きになれよ『先生!、、、好きになってもいいですか?』



 邦画の中高生向けスイーツ映画はキャストも監督も大体定番のラインナップが決まっていて、監督なら廣木隆一、月川翔、そして本作の三木孝浩がローテーション。女優なら土屋太鳳、平祐奈、小松菜奈、そして本作の広瀬すずがやはりローテーションで回している。もう何を見ても同じなので区別がつかない。話も男女がウジウジくっつくのくっつかないので2時間(長いよ!)ダラダラ引っ張るだけ。とっととキスして結ばれちまえよ!と言わざるを得ない。
 男側のキャストは生田斗真。彼はあまりスイーツ映画に出ているイメージがない…とはいえ『僕等がいた』『MIRACLE デビクロくんの恋と魔法』(これも三木孝浩!)などに出ている。僕が生田斗真と言われて思い出すスイーツ映画は『ハナミズキ』だ!クライマックス、借金を返すためにマグロ漁船に乗り込む生田斗真は最大の笑いどころで、マグロ漁船すらスイーツ(笑)のモチーフにしてしまうとは、恐るべし…


 そんな二人によるスイーツ(笑)映画は教師・生田斗真と生徒・広瀬すずの恋愛モノ。ごく普通の女子高生の広瀬すず(こんなカワイイ「ごく普通」はいねえよ!)が社会科の教師・生田斗真と恋愛に落ちる。広瀬すずの同級生は女教師の比嘉愛未に片思いしている竜星涼とやはり教師の中村倫也に片思いする森川葵がいて…どいつもこいつも…君ら、恋愛ごっこにうかつぬかしてないで真面目に勉強しなさい。
 生田斗真先生はすごくぼんやりしていて、ベンチで昼寝していて授業をすっぽかしそうになってしまうほどぼんやりしている!それを上の教室から見ていたすずちゃん、先生を起こすために分厚い辞典を窓から先生目掛けて落とす!

「当たり所が悪かったら死んでたぞ…」(ほんまそれ)

 と抗議するも起こしてくれたことには素直に感謝する生田斗真。同級生の報われない片思い(すくなくともすずはそう思っている)を見て教師との恋愛なんてありえない!と思っているすずちゃんですが、遅くまで居残り勉強させられる彼女のために付き合ってくれる先生を見て、次第に惹かれていくのでした。
 そんなこんなで先生に告白するも過去に付き合った女から酷い振られ方をした生田斗真は恋愛に怯え、さらに相手が生徒なので道徳的に無理だ!とすずを拒否。あきらめの悪いすずちゃんは「今度のテストでいい点を取ったら私と付き合え」と子供みたいなことを言い出す。普段の成績が平均点以下のすずちゃん、猛勉強を始めるも先生がまったく相手をしてくれないのでこの恋は実らないのだ!私は結ばれない人のことを好きになってしまったのだ!と自分の中だけで勝手に完結。ヤケになって他校の生徒と合コンに及ぶのでした。
 しかし根が小心者で奥手のすずちゃん、合コンを途中で切り上げて飛び出す。偶然にも大雨が降りだし傘も持たない彼女はずぶ濡れ。繁華街で酔っぱらいのサラリーマンに絡まれたところ、すずちゃんなぜかそのサラリーマン相手に「なぜ私が先生のことを好きになってはいけないのか?」と大演説。する相手が間違ってるよ!森川葵からすずが合コンに行ったと聞き、駆け付けた先生によって無事救出されて事なきを得る。この一件で彼女の本心を知った先生も惹かれるようになり、文化祭で花嫁姿のコスプレをしたすずと屋上で強引にキス。それを他の生徒に撮られてしまってtwitterで拡散!あわれすずは自宅謹慎、先生は責任を取って放校処分。


 ホント心の底から「知らねーよ」と言いたくなる話なのだが、映画を観る限りこの二人の間に恋愛感情が起こる理由がわからない。いくら20年前の漫画の実写化とはいえ、小学生の恋愛ごっこレベルを高校生に当てはめて描くのは無理がある。
 後半はあれだけ「もう恋なんてしない」と槇原敬之ばりに言ってた生田斗真先生がほぼストーカーと化して、「卒業したら迎えにいく」と告げたすずの卒業式の日、校門の前で待ち構えている!先生我慢できなかったの?少し落ち着こうぜ!
 この話のどこに誰が感情移入できるんだろう?すずも生田斗真も常識人とは思えないほど好き勝手やっている。『先生!、、、好きになってもいいですか?』って勝手に好きになれよ!どうせ止めても聞かないだろうし!


  


Posted by 縛りやトーマス at 00:27Comments(2)映画アイドル映画

2017年11月28日

童貞を死に追いやる女優

 『みんな!エスパーだよ!』や『ぼくは麻理のなか』『伊藤くんAtoE』などに出演して自慰シーンやパンツも平気で見せる男前な美女、池田エライザがまたまた童貞野郎のための作品に出演。

池田エライザが童貞たちのマドンナに!林遣都主演「チェリーボーイズ」で過激シーン挑戦
http://eiga.com/news/20171124/2/


 エラちゃんが童貞のマドンナっぽいなと思うのは、露出気味のグラビアより着衣の時の方がエロいんだよな。



 これはエロすぎ。全童貞を死に追いやる病。たべ・こーじの漫画みたいな体形してはる。おかげで出演する作品の傾向が限られてるのが残念。何かの間違いで学園青春モノに出た時の違和感ったらないねー。エラちゃんは実写ハガレンみたいな荒唐無稽な世界観のやつが似合ってる気がするので事務所関係者の方はぜひご一考を!

  


Posted by 縛りやトーマス at 19:38Comments(1)映画アイドル映画