2014年11月03日

いくらなんでも無理がある『ふしぎな岬の物語』



 吉永小百合が50余年の映画人生で初めて企画に携わった作品で、プロデューサーとしてクレジットされてもいる。監督はかつて『ミッドナイトイーグル』(07)『ラブファイト』(08)『築地魚河岸三代目』(08、脚本)といったゴミ映画ばっかりつくっていたが、『八日目の蝉』(11)で日本アカデミー賞を受賞した途端に名監督呼ばわりされている成島出。

 岬の突端にある岬カフェは店主の吉永小百合が毎朝、離れ小島の湧き水を使って、豆を一杯ずつ丁寧に挽いてその上「おいしくなあれ~」と魔法をかけて淹れたコーヒーが自慢。美味しいコーヒーと吉永小百合の人柄が村の住人たちを和ませていた。
 吉永小百合の人柄の良さは、強盗に入ってきた男に「これだけしかありませんけど」と自分でレジの少ない売上渡しちゃうぐらいのいい人。その上美味しいコーヒーとトーストでもてなすともはや吉永小百合に魂を鷲掴みにされた強盗、何も取らずに去っていくのであった…強盗にすら仏のような態度で接する小百合さんだから、常連客はすでに小百合さんの虜。30年来の顔なじみであるタニさん(笑福亭鶴瓶)は小百合さんに淡い恋心を抱いているのだが、何も言わずに小百合さんのコーヒーを毎日飲むのが関の山。今やティーン小説ですらセックス!レイプ!輪姦!が当たり前。とっくの昔に死滅した純愛がここにはあった!なにしろ大阪に左遷されることになった鶴瓶は勇気を振り絞って告白しようとするものの、「この関係を壊したくない」と何も言わずに旅立つぐらい。どんだけ純愛やねん!!
 クライマックス、とあることでカフェは全焼してしまい、小百合さんは岬を去ろうとするのだが、そんな彼女の元には今まで世話になった常連客たちがいくばくかの金を持ってきて「これで店を再建してくれ」というの!あの強盗までもが小百合さんのおかげで人生をやり直せた、とお金を持ってくるのだ。登場人物のすべてが小百合さんを愛していて、小百合さんのためなら金を出すことも厭わない、という映画を小百合さん自ら企画するという、厚顔無恥にも程がある映画。吉永小百合じゃなかったらみんなぶち切れてると思う。
 さらに小百合さんのことをずっと見守っている甥っ子の阿部寛がいるのだが、なんと阿部寛までもが小百合さんにゾッコン(死語)で寝ている小百合さんに近づいて触ろうとしたりするシーンまであって、19歳年上のおばあちゃん(おっと失礼)に阿部寛が惚れるって、いくらなんでも無理ありまっせ!!『北のカナリアたち』(12)では仲村トオルと不倫する役だったり(歳の差20!)と、小百合さんが大女優ポジションなので共演させる相手が中々いないというのはわかるけれど…まあ大女優っても『キューポラのある街』(62)『愛と死をみつめて』(64)ぐらいしかヒット作ありませんけど(シーッ)。

 誰か意見する人いないの?恐れを知らない若手とかが企画会議上で
 「小百合さん、いくらなんでも相手役が阿部寛って、無理ありまっせ!」
 「歳相応の役ってもんがあるでしょう!」

 とか誰か言わないの。言わないか。仮にそんな勇気のあるやつがいたとして、言った途端に両脇掴まれてふしぎな岬に沈められちゃうか。そいつを肥やしにした湧き水を汲んできて、小百合さんが「おいしくなあれ~」ってコーヒーに魔法かけるのな。あー怖い。完全にホラーだ。恐ろしい映画だねえ

 しかしサユリストっていうのはホントに今でも存在してるのかね?居たとしてもほとんど死んでると思うんだけど…同い年のタモリがサユリストっていうのはまだわかるが、7つ年下の笑福亭鶴瓶がサユリストってのは絶対ネタでしょ。もしくは商売上の理由とか。

  


Posted by 縛りやトーマス at 09:38Comments(2)映画