2015年04月17日

彼氏が死ぬ法則更新『くちびるに歌を』




 長崎・五島列島のとある中学校の合唱部顧問、松山(木村文乃)は産休に入るため、顧問の代わりを中学校の同級生で臨時教員の柏木ユリ(新垣結衣)に頼む。ユリは東京の音楽学校を卒業し、神童と呼ばれたほどの天才ピアニストだったのだ。女子しかいなかった合唱部にはユリ目当ての男子生徒が入部してくる。

 それにしても離島の教員が木村文乃に新垣結衣って、んなわけねーだろ!都会でもないわ!というモヤモヤを抱えたまま物語が始まる『くちびるに歌を』は合唱部が出場を目指すNHK全国音楽コンクールの課題曲『手紙 〜拝啓 十五の君へ〜』をモチーフにガッキー先生が部員たちに「15年後の自分に向かって手紙を書くように」という宿題を出す。まだ15歳の生徒たちに15年後の自分が想像できるか?ということと、ガッキー演じるユリが15年前の自分はどんな15年後を想像していたのか?という二つのテーマがある。

 普通はガッキー演じる先生が熱血指導者で、水と油のような女子部員と男子部員を導いていくんだろうと思いきや、ガッキー先生、まったくやる気ゼロで「あんたらがコンクールで勝てるわけない」と言い放ち、練習もほったらかし。おんぼろの軽トラで出勤し、ひとりでぼんやり携帯で彼氏とおぼしき男からの留守電を聞き続ける。
 そもそも神童と呼ばれたガッキーがなぜ東京から長崎に帰ってきたのか?生徒たちは学校のパソコンでYouTubeに残っているガッキーのピアノ演奏動画をチェック。多数のリストの中に「天才ピアノ少女、演奏をボイコット」という動画を発見。どこかのコンサートでピアノを弾かずに席を立つガッキーの姿が…
 後半になって明かされるその理由とは、東京で出会って将来を誓い合った男が、なんと交通事故死!それがコンサートの当日!
 おい、またかよ!ガッキーが映画に出ると必ず彼氏が死ぬ法則!!『恋空』『BALLAD 名もなき恋のうた』『ハナミズキ』『麒麟の翼』『トワイライトささらさや』…その歴史に『くちびるに歌を』が新たに刻まれました。ガッキーの歴史がまた1ページ…
 それがトラウマになってピアノがまったく弾けなくなるという…またまたトラウマを安易に使うお話で、ホント、邦画ってトラウマを使わないと話が作れないのか?

 そう聞くと安易なお涙頂戴話かと思うけれど、15年後の自分に手紙を出すという宿題を唯一やってきた男子部員の話は邦画らしからぬひねりが効かせてある。彼は自閉症のお兄さんがいて、仕事から帰宅するまで一緒についていないといけないんだけど、彼は手紙に

 「僕は15年後もお兄ちゃんの傍にいます」
 「僕はお兄ちゃんがいないと生まれてきませんでした。お父さんとお母さんは生まれてきたお兄ちゃんが自閉症だから自分たちが死んだら面倒を誰が見るんだろうと考えて、僕を産んでくれました」
 「だから僕はお兄ちゃんが大好きです。ずっと一緒にいます」

 一見、自閉症の子供が家族にいたら大変だろうなあ、と思うしこの子は合唱部に居たいけど練習をしているとお兄ちゃんを仕事場から連れて帰れないから合唱部に残るかどうかで揺れ動く…といった風に描かれるのでその境遇を辛いものと受け取っているのかなと思ったら、家族に自閉症の人がいることをそんなに否定的に捉えてないというのは邦画では珍しいのではないか。障害を安易なお涙頂戴の道具にしていないのも、とても良い。
 ただ、コンクールが終わった後のロビーのシーンとかが余計なんだよな…観客を泣かせよう、泣かせようと必死すぎるというね…そういうところが邦画のダメなところなんだって!合唱が終わったところでエンドロールにいかないと!


  


Posted by 縛りやトーマス at 01:28Comments(3)映画