2015年05月23日

日教組が悪の巣窟です『ビリギャル』



 無口で友達がまったくいないさやかちゃんは友達にボールをぶつけられて怪我をする。これをいじめだと考えた母親、ああちゃん(最近やたらと見かける吉田羊)は学校に訴えるも事なかれ主義の先生たちは「大した問題じゃない」と言いはり、ああちゃんは娘をエスカレーター式の学校に転校させる。中学生で初めてできた友達と仲良くなったさやかちゃんは家にも帰らず遊び呆ける毎日。なにしろ家には自分に構わず、長男である弟をプロ野球選手にすることしか考えてないお父さん(田中哲司)がいるからだ。
 今までの寂しい人生を取り替えさんと茶髪にピアスのギャル化した中二のさやかちゃん(有村架純)はカバンに隠したタバコを担任(安田顕)に見つかり、母親呼び出し。「お前の友達もタバコ吸ってるんだろ?素直に話したら停学は勘弁してやる」という学校側にああちゃん反発。「学校は友達を売れって教えるんですか?それが教育なんですか!?」もはや学校教育に不信感しか抱いていないああちゃんの態度にシビれたさやかちゃんはダンマリを決め込んで無期限停学処分。
 家でますますギャル化するさやかちゃんに学習塾を勧めるああちゃん。金髪、ミニスカ、へそ出しルックのさやかちゃんにドン引きする学習塾の講師、坪田先生(伊藤淳史)。しかし坪田先生はどんな生徒でもイイトコをひとつでも見つけて、無理やり褒めて伸ばす超ポジティブ教育なので、さやかちゃんをこれでもかと褒め倒してすっかり乗せられた彼女は偏差値30からの慶應義塾合格を目指す。

 「成績最低のビリギャルが慶應義塾に合格するまでの話」というこれだけで映画の99%の説明が終わってしまう『ビリギャル 学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』は観客の想像を裏切るような驚きのどんでん返しなどまったくなく、5分後のストーリー展開は誰にでも予想できる全年齢対象映画だ。父親にプロ野球選手になるよう教育される息子は当然のように名門校の野球部で壁にぶち当たり、「もう野球はいやだ!」と父親に逆らい野球部を辞め、地元のチンピラグループにパシリとしてこき使われる…という普通の脚本ならダメ出しされてしまう展開がごく当たり前に出てくるのだ。そう、この映画は実話を元にしているのだが、本当に当たり前のことしか起こらないので、事実は小説よりも奇なりとはまさにこの事ではないか。

 この映画の象徴的なのは学校教育を完全に悪としているところで、安田顕演じる担任教師はさやかちゃんを「お前みたいなバカが慶応に行けるわけない!」と決め付け、坪田先生のところに押しかけ「あんたの教育は理想論」と喧嘩をふっかける。ひたすら可能性の芽を摘み取ろうとする学校側は悪の巣窟にしか見えない。
 それに引き換え坪田先生は最初の学力テストで0点を取ってしまうさやかちゃんをまったく貶さず「むしろ清々しいね!」と言い、解答欄をすべて埋めていることに「やる気があるのはいいことだ!」と褒めちぎる。またさやかちゃんが「だって~何か書いとけばひょっとして当たるかも知れないじゃん?」と乗せられてしまうと「その前向きさが大事なんだよ!」とまた乗せる…
 しかも坪田先生はやる気を出させるために褒めるだけではなく、狡猾なテクニックも使う。「よかった探し」をするだけではないのだ。例えば弁護士の親を持つ落ちこぼれがやってきて、弁護士にさせようとする親父に俺は落ちこぼれることで復讐してやるんだ、というひねくれ息子に対して「もっといい復讐をしてみないか?君は司法試験に合格して、でも弁護士にはならない!お父さんはショックを受けると思わないか?これが最高の復讐だよ」といってそいつに勉強させるよう仕向けるのだ。

 この調子で塾にやってくる様々なダメ生徒を徹底的に褒め倒し、ありとあらゆるテクニックでやる気を出させる教育は、「お前はダメだ!ダメなやつは何やってもダメなんだ!」しか言わない学校教育に比べてどう見ても良いようにしか映らないではないか。
 「箱の中のみかんがひとつ腐ると中のみかんはみんな腐る」式教育から落ちこぼれてしまう人たちにとってこの実話が絶賛されたのはよくわかる。この映画、日教組の人たちに見て欲しい!

 そういう意味でひたすら道徳臭い話ではあるが、爆笑するポイントがひとつある。慶應義塾の試験前日に合格祈願のコーヒー(受験シーズンによくでる合格文字入りのアレ)を坪田先生に渡されたさやかちゃんは試験開始前にがぶ飲み。すると腹を下してしまうのだ。試験中だというのに二度もトイレに駆け込むさやかちゃん。これじゃ、ビリギャルじゃなくて…ゲリギャルじゃねーかよっ!!試験開始前にコーヒーを飲むのは止めましょう。

 どっからどう見てもギャルにしか見えなかった有村架純の変貌ぶりはすごかったが、男の匂いが一切しないところとか、見た目以外のギャル要素が一切なかった。その辺は「やっぱお嬢だな」って思ったわ。


  


Posted by 縛りやトーマス at 02:16Comments(0)映画アイドル映画