2016年06月06日

ドーピンダーが最高だ『デッドプール』




 タクシー運転手のドーピンダー(ケレン・ソニ)は真っ赤なコスチュームに身を包んだ妙なマスクの男を乗せて高速へ向かう。「俺はデッドプールだ」「プールさん、その赤いスーツはどうしたんですか?」「クリスマスだからだ」
 ドーピンダーは彼女を従兄弟にさらわれた身の上話をするとデッドプールと名乗る男は「そんな男はやっちまえ」「お前の愛が試されてるんだぞ」とアドバイス。そんなデッドプールにノセられたドーピンダーは運賃ももらえずに走り去る。
 高速道路の上でターゲットを待つデッドプール。「この映画がどうやって出来たか知りたい?ひげもじゃの奴(デッドプールの宿敵、ウルヴァリンのこと)に頼んだんだよ!」やがてデッドプールは疾走する車の上に飛び降り、ターゲットのエイジャックス(エド・スクライン)とボディガードらを血祭りにあげる。ひとりを日本刀で串刺しにし観客の方(カメラに向かって)に語りかける。「みんなは「この映画ってスーパーヒーローの映画だよな。でもこのコスプレ野郎、男をケバブみたいにしちゃったぞ」って思ってるだろう。驚いた?これはまったく違うタイプのスーパーヒーロー映画なんだ!」


 そう、文字通り『デッドプール』はまったく違うタイプのスーパーヒーロー(彼がヒーローかどうかは別として)映画だ。『X-MEN』シリーズの第8作として公開された本作は2月にアメリカで大ヒット、R指定映画として『マトリックス リローデッド』の持つ興行収入一億ドル突破の最短記録を塗り替えた。一体何が受けたのか?
 主人公ウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ)は元傭兵の何でも屋としてストーカーに悩まされる女性のため、犯人を死ぬほどビビらせるなどの活動で報酬を得ていた。日本でも問題のストーカーの解決手段としてとても有効な気がする。
 ウェイドはある日高級コールガールのヴァネッサ(モリーナ・バッカリン)と出会い、二人は惹かれ合う。二人は記念日ごとに記念日セッ クスをするほど愛しあい(国際世界女性デーのプレイ爆笑)、一年の交際を経てウェイドはプロポーズ、ヴァネッサもそれを受け入れるのだが、直後にウェイドが末期がんに犯されていることが判明。気ままなその日暮らしが祟ったのか?絶望するウェイドにリクルーターの男エージェント・スミスが近づき、ウェイドの体を治すことができると囁く。ためらいつつも男の誘いを受けるとある実験施設に連れて行かれ、エイジャックス、エンジェル・ダスト(ジーナ・カラーノ)らから治療と称したありとあらゆる拷問を受ける。結果ウェイドの癌は治り、驚異的な回復能力を手に入れるが代わりに全身が焼けただれたような状態になってしまう。こんな姿ではヴァネッサに会うことなんて出来ない、とウェイドは彼女のもとから去り、エイジャックスに会って自分の体を元に戻そうとすべく、全身を覆うコスチュームとマスクを自作。「俺はキャプテン・デッドプール(死の賭け)だ!…やっぱただのデッドプールでいいや」と復讐を開始する。

 戦闘中にも軽口を叩き、残酷なシーンの直前になると「今から残酷場面になるから見ない方がいい!」カメラのアングルを手で変えてしまったり、観客側に語りかけたり演劇でいう第四の壁を突破する行為を繰り返す。さらにX-MENからコロッサスやネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッドが登場するが「こんなにデカイ施設(恵まれし子らの学園)なのにX-MEN二人しかいないの?制作費足りないの?」とジョークをかましたり、スーパーヒーローにさせられる拷問中に「緑のコスチュームだけはやめてくれ!」(ライアン・レイノルズが過去に主演したヒーロー映画『グリーン・ランタン』が大失敗したことに関するギャグ)と叫んだり「ライアン・レイノルズなんて大根、顔以外は何もないんだぞ!」といった自虐ネタをかましたりとやりたい放題の数々がヒーロー映画としてあまりに斬新すぎたことが普段ヒーロー映画を見ない人たちに絶賛されたというわけ。

 そして過去と現在をいったりきたりするストーリーには映画の構成を意図的に破壊する行為が見え、かつてストーリーを計算し尽くした上であえて破壊して魅せたタランティーノが最近は『デス・プルーフ』『イングロリアス・バスターズ』などできちんと映画を作りこむようになっており、すると『デッドプール』のような破壊する作品がまた出てくるんだよね。

 マーベル・シネマティック・ユニバースは作品数が増えすぎて一見のファンが追えない状態になりつつあるが、単品で楽しむことができる『デッドプール』でまたもや新たなファンの取り込みが期待され、アメコミ映画はまた進化を遂げようとしている。

 個人的に最高なのはタクシー運転手のドーピンダー。チョイ役かと思った彼が後半にまた出てきて「プールさんの言う通りにしました!」と彼女を寝とった従兄弟をトランクに放り込んでいて、コロッサスらの手前「ちょwwwwそこまでしろって言ってないwwwwww(いいぞ!最高だ!)」とデッドプールとのやりとり最高だ!こいつのスピンオフつくれ!


  


Posted by 縛りやトーマス at 00:51Comments(0)映画漫画特撮・ヒーロー