2019年06月11日

ゴジラファンは複雑なのだ『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』



 2014年版『GODZILLA ゴジラ』の続き。前回はオリジナル怪獣のムートーとの戦いが描かれたが、今回は世界中に眠る怪獣たちが目覚め、地球の王座を巡って戦いが起こる。王の座は渡さんと再びゴジラが現れる。挑むのはキングギドラ、ラドン、モスラ!(そのほか)『怪獣総進撃』か?『オール怪獣総進撃』か?はたまた『FINAL WARS』か!?

 ・・・と期待を煽るだけ煽って我々の前にやってきたのは平成ゴジラシリーズ程度の大盛焼きそば一万倍野郎でしかなかった!

 とはいえ制作はハリウッドで、今世界でもっとも景気のいい中国資本をバックにつけたレジェンダリー作品なので、VFXはすさまじいの一言で、南極でのゴジラVSキングギドラ戦やメキシコでのラドン大暴れなどは絶句。が、後半のクライマックスは一切緩急がつけられず、ただただハイテンションで突き進むだけなので見ていて疲れるし飽きる。

 なにより怪獣バトルのすさまじさと比較しても人間ドラマの雑さ、酷さはいくら僕たちが『ゴジラ対メガロ』『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』とか、平成ゴジラVSシリーズとかに耐えてきたとはいえ、納得できなかった。

 まずこの映画の主役であるラッセル一家。マーク(カイル・チャンドラー)とエマ(ヴェラ・ファーミガ)はモナークの科学者で、サンフランシスコの惨劇で息子を失ったことからマークは組織を離れ、エマはマークが考案した怪獣と交信できる機械“オルカ”を完成させ、中国のモナーク施設でモスラを目覚めさせた上にコントロールすることに成功。しかしエコ・テロ集団に捕まり、助けにやってきたマークの前でオルカを使いキングギドラを復活させる。その後

「地球は死に瀕している!怪獣たちに地球を好き放題破壊させ、地球の寄生虫である人類を激減させるのだ!(サノスかよおめーは)そして地球を再生させよう!」

 とか突然言い始める。彼女はモナークにいたときは逆のこと言ってたのに、地球を破壊しようとするエコ・テロ連中に感化されたのか、平和のためにつくられたはずのオルカが人類に牙をむくのだ。これはゴジラシリーズで描かれてきた「科学の暴走が人類を破滅させる」というテーマに沿っているかもしれないが、このエマと娘マディソンのやることが支離滅裂。
 エマとマディソンはキングギドラが眠る南極にまで助けに来たマークを振り切ってキングギドラを目覚めさせる。
中国でエコ・テロ連中に捕まった時点で感化されてるわけだ。
 しかしその後、メキシコで無差別に暴れまわるラドンを見て「住民が避難するまで攻撃しない予定だったのに」とか言い出して母娘決別。しかし怪獣が暴れれば犠牲がでるのは当たり前で、その程度の覚悟で怪獣蘇らせたんかい!と言いたくなるし、娘もなに今更善人ぶってんだ!南極では親父すら無視しておいて!そして急に正義感に目覚めた娘はエコテロ施設を抜け出してオルカを持ち出し、ボストンのフェンウェイ・パークまでたどり着く。ここまでエコ・テロ連中の誰にも気づかれないまま・・・マディソンはオルカで世界中の怪獣の動きを停止。そして娘の行動を知ったエマはエコ・テロ連中を捨ててボストンへ・・・

 怪獣による世界中の破壊は全部この家族が原因なのに、ラストでは誰も死ぬことなく(追記:母親は死んでました)家族が再会できてよかったね、じゃねーよ!あっちなみにクライマックスではゴジラやキングギドラの真下で家族が怪獣を見上げてなんか騒いでました。話が雑過ぎる!大森一樹のゴジラでさんざん見た光景を2019年のハリウッド作品で見ることになろうとは・・・

 死ぬべき人間が誰も死なず、死ななくてもいい人間がみんな死ぬ、という不条理。この家族が怪獣を止めるために全員死なないと納得できない。そもそもモナークっていう組織自体が無能の集まりだよね。怪獣を発見して管理しているといいながら、実際は世界中で共有すべき情報を独り占めしていたわけで、なんか一握りの富裕層が世界の富を支配している、みたいな揶揄に見えなくもない。そして芹沢猪四郎博士(渡辺謙)の犠牲で世界が救われ、チャン・ツィイーが生き残る!見ようによっては欧米社会が支配してきた富をアジア人が再分配するストーリーに見えなくもない・・・ってこんな前田有一みたいな戯言を抜かしてる場合ではない。

 この杜撰なお話をやってしまったマイケル・ドハティ監督が大森一樹やら大河原孝夫の平成ゴジラVSシリーズのファンだというのはわかった。初代のファンです、みたいな戯言でお茶を濁さなかったことは好感がもてる。
 僕も青春時代のゴジラがVSシリーズだったからあのシリーズは憎みつつも愛している部分があるので、今回も腹が立つけど好きだといえる。ゴジラファンは複雑なのだ(面倒ともいう)。

  


Posted by 縛りやトーマス at 20:32Comments(4)映画特撮・ヒーロー怪獣