2019年09月23日

危うくランキングから見えなくなるところだった『見えない目撃者』



 2011年に公開され、韓国の二大映画賞である大鐘(テジョン)賞を獲得した『ブラインド』はある女性が乗ったタクシーがひき逃げ事件を起こし、警察に通報するも女性が盲目であったことからまるで信用してもらえず、そのひき逃げを偶然目撃した男子高校生の証言の方が信用されてしまう。しかし元警察官の女性が優れた洞察力を発揮し、世間を騒がせている女性失踪事件とひき逃げを結び付ける。目撃者の高校生が何者かに襲われたことから警察も本格的な捜査を始めるのだが、犯人の手は盲目の女性に伸びていた、というサイコサスペンスだ。

 2015年に中国で同じ監督によるセルフリメイク『見えない目撃者』が作られ、本作は日本での二度目のリメイク。セルフリメイクでは話はほぼ同じだが、日本版は細部がかなり変更されている。

 日本版では被害者女性は未成年の家 出少女たちで、彼女たちは家庭に居場所がなく、家 出しても親に捜索願いさえ出してもらえない。彼女たちの間には不幸な境遇に追いやられている自分たちを救ってくれる救世主「救様」と呼ばれる存在が都市伝説として広まっている。捜索願いも出されていないから警察も把握していない被害者たちは世間から「見えない」存在にされている
 家 出少女をさらった誘拐犯の車を偶然見た男子高校生、国崎春馬(高杉真宙)は将来の夢や目標が何もなく、ただぶらぶらと毎日を生きているだけで親や教師からも見捨てられている。彼が誘拐犯の車に轢かれそうになった現場に偶然居合わせた元警察官の視覚障碍者、浜中なつめ(吉岡里帆)はかつて自分が起こした交通事故で視力と同乗していた弟を失ったことで、心を閉ざし引きこもり気味の日々を送っていた。二人もまた世間からは「見えない」存在だ。「見えない」存在とされている犠牲者たちを「見えない」立場に置かれているものたちが救い出そうとする、日本版にはタイトルに二重三重の意味がかけられている(オリジナルや中国版リメイクでは被害者が狙われる理由が大きく異なる)。

 被害者が狙われる理由に日本版の独自性が出ていて、韓国映画の日本版リメイクにありがちなオリジナルに遠く及ばない余計なアレンジをしてしまって失敗するケースが多いが、本作が日本版独自のアレンジが上手く機能している。

 主演の吉岡里帆は初主演作の『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』が圏外スタートするぐらい壮絶に失敗して、興行ランキングから「見えない」状態にされていました。この二作目まで「見えない」状態にされたら今後の女優業に影響を及ぼすところ。大丈夫か吉岡!その吉岡本人の追いつめられている感が演技にも反映されていて、ただならぬ雰囲気を出すことに成功したいい演技です。



  


Posted by 縛りやトーマス at 01:33Comments(0)映画