2019年11月01日

ワケわからんが、スーパーワンな『ロボット2.0』



 チッティが帰ってきた!「ワケわからんが面白い」という身も蓋もないキャッチコピーと共にインドからやってきたSFロボット映画『ロボット』はインド映画破格の37億円を投じてつくられた。
 生みの親であるバシー博士の彼女に恋をしたロボット・チッティは博士の怒りをかって破壊されるが、彼と対立する悪の教授によって悪の回路を組み込まれ、自らレプリカを大量に生産し殺戮兵器となり人間の敵になる。博士はロボットから悪の回路を抜き取り、捕らえる。ロボットは自分自身を分解し、博士は罪を許されることに。
 大量に生み出されたロボット軍団が大暴れする場面はハリウッドも呆気にとられる破天荒さで、インド映画の自由な発想は素晴らしいぞう。その『ロボット』の続編がやってきたのだ。製作費はさらにアップして90億円!これは『バーフバリ』の製作費(2本で約70億円)を遥かに超える、インド映画史上最高額である。監督と主演は前作に引き続きシャンカール(『ジーンズ 世界は二人のために』)、インド映画界が世界に誇る“スーパースター”ラジニカーントだ。今回も、「ワケわからんが」もっと面白い!

 自らつくったロボット・チッティの暴走で大変な被害が起きたことを反省し、人間のためになる良いロボットをつくっているバシー博士(ラジニカーント)。現在の助手はスーパーモデルのごとき美貌の美人ロボット、ニラー(エイミー・ジャクソン。ほんまもんのモデル兼女優)。
 街では人々のスマホが持ち主の手を離れ、どこかで飛んで行ってしまうという怪事件が勃発。スマホたちは携帯業者や通信大臣らを抹殺するのだった。えっスマホでどうやって殺すのって?たとえばこんな感じ。

・大量のスマホに圧し掛かられて圧死
・喉にスマホが詰まって窒息死
・体に入って爆発


 恐ろしい・・・スマホは恐ろしい・・・

 バシー博士は美人ロボットのニラー(エイミー・ジャクソン)とともに事件の調査を開始。このニラーの特殊スーツが『僕の彼女はサイボーグ』の綾瀬はるかっぽいデザインで素敵。
 博士は事態の解決に改良したチッティを復活させようとする。かつて暴走したチッティに殺されたボラ教授の息子は「また暴走して人を殺すぞ」と博士の計画に反対。彼は父親の復讐の機会をうかがっていたのだ。軍隊による解決が選択されるが、大臣がスマホによって殺されてしまい、政府はチッティの復活を承認する。

 街では大量のスマホが空を埋め尽くし、鳥人になったり、怪鳥に変化して人を襲っていた。い、一体どういうことなのかよくわからないと思うけど、映画を見た僕もよくわかりません。ワケわからんが、それがイイ!

 博士らはこの怪事件を生み出したのは鳥類学者のパクシにあることを突き止める。パクシ役は『パッドマン』で一躍名を知られることになったアクシャイ・クマール。
 パクシは携帯、スマホ普及のために短期間で大量に建設された電波塔の影響で鳥が死んでしまうことを嘆き、携帯業者の規制と電波塔の建設反対、スマホの使用禁止を訴えるが、まるで相手にされず失意の果てに首を吊るのだった。
 巨大な怨念となったパクシは霊体となり、スマホを自由にあやつることで人間たちに復讐をはじめる。

「携帯を持つ者には今から閻魔の審判が下る!」

 その前にバシー博士によって正義の戦士となったロボット・チッティ(ラジニカーントの二役)があらわれる!はぁー、なんという『ターミネーター2』感!奇しくもジェームズ・キャメロンが久しぶりに制作することになった『ターミネーター・ニューフェイト』が公開される前に『ターミネーター2』のパロディをやってしまおうとは・・・

 復活したチッティ(ラジニカーントの二役)はパクシと戦い、死闘の果てに勝利する。だがチッティの活躍を良く思わないボラ博士の息子は封印されたパクシの怨念を再び開放。パクシはバシーの体を乗っ取り、博士に手を出せないチッティをも破壊してしまう。
 もはや誰も彼を止めることはできないのか?ただ一人、いや一体だけ残されたニラーはチッティの修理を始める。ニラーはこのままのチッティではパクシに勝てないことを悟りバシーが封印していたファームウェア2.0のチップをメインCPUにセット。バージョン2.0のチッティが誕生!(タイトル回収)
 前回同様のワルなロボットとなったチッティはニラーとイチャつき始めるのだが、「おふざけはこれまで。あなたはパクシにバラバラにされた。ナンバーワンは彼よ」と煽ってくる。しかしチッティは動じない。

「ナンバーワンにこだわるのはガキだけだ。俺様はオンリーワン。スーパーワン。唯一無二だ!」

 唯一無二のスーパースター、ラジニカーントだからこそ説得力のあるセリフだなあ。クライマックスのサッカー場での決戦はとにかくハチャメチャで、全編にわたって常識に囚われない驚天動地な場面の数々にひっくり返る。スーパーワンの活躍はワケがわからん。が、この後本家『ターミネーター』もやってないようなネタが飛び出してきて、単なるオマージュで終わっていないのがインド映画の奥深さであろう。ワケわからんが、本家を超えた!

 インドでは現在VFXスタジオが多く作られており、VFXの本場ハリウッドのスタジオもインドにサテライトスタジオを持っている。『ターミネーター』っぽいとは言ったが、その『ターミネーター』の制作に関わってるスタン・ウィンストン・スタジオの後継スタジオ、レガシー・エフェクツも制作に加わっているので、公開間近の『ターミネーター・ニューフェイト』が「正統な続編」と謳っているようにこの『ロボット2.0』も「正統なスピンオフ」と言えなくもない(バカな)。

  


Posted by 縛りやトーマス at 01:49Comments(1)映画