2020年01月27日

狼が帰ってきた!『野獣処刑人 ザ・ブロンソン』



 2016年に公開された『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』で驚いたのは『スター・ウォーズEPⅣ』でモフ・ターキン提督を演じたピーター・カッシングが当時の姿で登場したこと。これは別の役者が演じ、CGI処理でカッシングの顔を合成していたのだ。最近はCGでなんでもできますなあ、と思った。が、40年ぶりにつくられた『シャイニング』の続編、『ドクター・スリープ』ではジャック・ニコルソンが当時そのままの姿で出てきた!これもCGか!?と思ったらヘンリー・トーマス(『E.T.』のエリオット少年役)というジャック・ニコルソン似の俳優だった。制作予算からすれば、いくらでもCGで作れただろうに・・・『シャイニング』というアナログ時代の映画のリメイクにはふさわしい演出だったのかも。そんなことを薄らぼんやりと思ったのが『野獣処刑人 ザ・ブロンソン』だ。

 この映画の主演、ロバート・ブロンジーは、どっからどうみてもチャールズ・ブロンソンにしか見えない。CGか!?いや生身の人間だ!
 スペインの西部劇テーマパークでショーの仕事をしていたブロンジーの写真を見た本作の監督、レネ・ペレスは

「こいつはブロンソンの若い時の写真を使っているんだな・・・え、こういう顔の役者がいるのか?」

 ペレス監督はブロンジーに映画のオファーをする。こうして出来上がったのが、正体不明の男がヴィジランテとして町の悪党を処刑する、往年のブロンソン映画『デス・ウィッシュ』シリーズのオマージュだ。


 大都会の夜、人身売買にかかわるギャングの取引現場が一人の男に襲撃される。男はさらに空港での麻薬取引を襲い、腹に麻薬を隠し持った男に重いボディブローをぶちかます。泡を吹いて男は絶命した。

 地元ラジオDJのダン・フォーサイト(ダニエル・ボールドウィン。ボールドウィン兄弟の次男)は薄汚れた都会の腐敗を嘆き、悪の一掃を願う番組「正義を求めて」内で「警察には頼れない。誰かがこの世の悪を処刑するしかない」とアジるのだった。

 郊外の一軒家に住むアナ(エヴァ・ハミルトン)は一人娘のイサベル(レイア・ペレス)を独りで育てるシングルマザーだ。イサベルは2年前にギャングの麻薬現場で起きた銃撃戦に巻き込まれ、流れ弾を受けてしまい車いす生活を強いられている。今も犯人は捕まっていない。事件直後、差出人不明の封筒が毎月自宅に送られるようになり、その中には大金が入っていた。アナは不審がるもそれを生活の糧に、治安のよい郊外に移り住んだが、引っ越し先にもその封筒は送られ続けるのだった。ある日近所の浮浪者が郵便受けからその封筒をくすねようとすると、突然現れた男が浮浪者を襲って封筒を元通りに。その男こそ空港で男にボディブローをぶち込んだ通称K(ロバート・ブロンジー)、アナとイサベルに大金を送り続ける男の正体だった。Kはなぜ二人に大金を送り続けるのか?
 麻薬組織のボス、タイレル(リチャード・タイソン)が依頼した仕事を遂行しなかった殺し屋に非道な手段で復讐を遂げると、その場にKが現れる。Kはタイレルの部下を処刑するがタイレル本人には逃げられてしまう。
 だがタイレルを追い詰めんと雪が降り積もる山中にまでやってくるK。狙われる理由がわからないというタイレルにKは二人の間のある因果について語り始める。


 ブロンジーはブロンソンのそっくりさんとしてブロンソン風のアクション(もたつく追撃戦やのろのろとした、まったくスタイリッシュでない泥臭いガン・アクション)を披露する。Kは『デス・ウィッシュ』シリーズでブロンソンが演じたポール・カージーと違って人物の背後関係はまったくわからない、正体不明の男として描かれている。ヴィジランテ(自警団)の精神は受け継がれており、デス・ウィッシュ最終作以降に、ブロンソンが生きていたら演じたかもしれない役なのだ。
 この世の悪党を容赦なく処刑する狼が帰ってきた!ちなみに本当に狼が出てきます。悪党が大手を振って歩き回っている現代にこそ、ブロンソン=ブロンジーが必要だ!魂は、決してCGでは描けない

  


Posted by 縛りやトーマス at 23:14Comments(0)映画