2013年09月21日

自分探しの旅『マン・オブ・スティール』

スーパーマン映画『マン・オブ・スティール』を観る。

自分探しの旅『マン・オブ・スティール』

『スパイダーマン』三部作や『バットマン』のようなシリーズ化を目論んで数年前に作られた『スーパーマン・リターンズ』が予想外の不入りだったためにこの度クリストファー・ノーランを製作に迎えて新スーパーマンとして生まれ変わることになった本作はスーパーマンの故郷クリプトン星の崩壊から始まり、地球に流れ着いたカル=エル(スーパーマン)が地球人の夫婦に拾われ、地球人として育てられるもののやがて自身の正体を知り、自分の力を人助けのために使うことにする・・・という一からのやり直しに。

ノーランは『バットマン』シリーズでも「現実世界にバットマンのような人間が存在したらどうなるだろうか?」というシミュレーションをしたように、『マン・オブ・スティール』でも現実の世界にスーパーマンが存在したどうなるだろうかというシミュレーションを繰り返す。
子供の頃から超人的な能力を持ったクラーク(スーパーマンの地球名)は周囲から孤立して喧嘩すら出来ない。下手したら相手を殴り殺しちゃうから!ならばと彼は人助けのためにその能力を使おうとする。川に水没したバスを怪力で押し上げる。能力が役立ったと大喜びのクラークは地球での父親ジョナサンに「みだりにに能力を使ってはいけない」と諭される。使ってはいけない能力を自分はなぜ持っているのか?なんのために自分は生きているのか?と自問自答を続けるクラークはホームレスとなって自分探しの旅を始める。そのへんの若者じゃないんだから・・・

この時点では自分自身の正体が「クリプトン星の遺児カル=エル」だと気づいていないクラークは自分がまったく見えていないので旅を続けつつ、結局能力を使って人助けをしてしまい、そこには居られなくなってしまう。旅の果てに本当の父親ジョー=エルが遺したメッセージを受け取ったクラークはカル=エル/スーパーマンとしての使命に目覚める。
クリプトン星では出生がコントロールされていて、機械から生命が生み出される(!)。生まれた生命は階級ごとに仕事もなにかも決められていて逸脱を許されない。だがジョーは選択することの重要さを示すために妻ララにカル=エルを自然分娩で産ませる。地球での父ジョナサンは超人的な能力を持っていてもそれを使うだけが人生の選択ではないということを命をもって証明する。ハリケーンに巻き込まれそになったジョナサンを救おうとしたクラークに「よせ」というのだ。
「選択」という行為の重要さを説く二人の父親役がラッセル・クロウにケビン・コスナーですよ。ハリウッドが誇る超女たらしの二人に人生を説かれるスーパーマン!息子がよく曲がって育たなかったもんだな。

そんな選択を1時間以上もかけてたっぷりと描写された後はクリプトン星人の生き残り、ゾッド将軍、その手下らとのスーパーバトルが展開される。監督であるザック・スナイダーお得意のスローモーションを活用した肉弾戦はぶん殴った相手が数百メートルほどふっとび、一瞬にして数百メートルを移動して殴り返すという『ドラゴンボールZ』を彷彿とさせるアクション。見た目は派手だがただひたすら殴り合ってどっちがどれだけ強いのかまったくわからずいつの間にか勝敗がつくというアクションにはメリハリもカタルシスもない。
地球人たちは何が起こってるのかまったくわからず、クリプトン星人同士が暴れまわってる間完全に蚊帳の外に置かれている。
人の家の庭で他人が勝手に暴れまわって、破壊した挙句地球のヒーロー宣言されてもねえ。「喧嘩なら他所でやっとくれよ!」てなもんですわ。
異様な世界で狂人同士が対決する『バットマン』シリーズでリアリズムを追求することの間抜けさを最後まで見抜けなかったように、『スーパーマン』でもリアリズムを追求しすぎて単純明快なヒーロー像を逸脱してしまう間抜けさをまた繰り返したクリストファー・ノーランは自分自身が見えていない(だから自分探しをするのか)



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Posted by 縛りやトーマス at 23:44│Comments(2)映画
この記事へのコメント
スーパーマンも自分の星帰ればただの人と言う事にノーランは気づいて無いんでしょうか?

スーパーマンをリアリズムで演出しても意味ないしスーパーマンはアラン・ムーアが定義したところで正しい人と言うのが見抜けなかったんでしょうか?
Posted by ダーク・ディグラー at 2013年09月22日 00:20
ノーランのやたらとリアリズムを出そうとするのはなんなんでしょうか。そうすればスーパーヒーローという存在に説得力が出てくるとでも思ってるんでしょうか。
Posted by 縛りやトーマス縛りやトーマス at 2013年10月20日 05:53
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