2013年12月28日

不思議ちゃんが求められる時代『カノジョは嘘を愛しすぎてる』

『カノジョは嘘を愛しすぎてる』を観る。

不思議ちゃんが求められる時代『カノジョは嘘を愛しすぎてる』

『僕は妹に恋をする』『僕の初恋をキミに捧ぐ』で世間の映画ファンを失笑の渦に巻き込んだ青木琴美先生原作漫画の最新映画化!
『僕は妹に~』では部屋のベッドで一発やった兄妹があとはやめられない止まらないとばかりに学校の理科実験室とかでもやりまくってしまう性欲ノンストップぶりを爽やかに描き、そして『僕の初恋を~』では心臓の病気で余命いくばくもない彼氏を救うために今しがた交通事故で脳死状態になった友人の親に「その心臓ください!」と少女が土下座!最後は骨壷に入った彼氏の遺灰とともに結婚式を挙げるという前代未聞のクライマックスにどうかしてるよ!と観客が呆れ返ったものだが、青木先生は業界を干されることもなく、今回の原作漫画も青木琴美作品中、最も長期に渡る人気連載となっているのだから世の中は不思議だ。
それだけ長期のヒットとなっているんだから、前二作のようなトンチキ展開はないのだろうな、と思っていたら・・・

冒頭、超高層ビルの屋上でぼんやり空をながめている佐藤健の元に一機のヘリコプターがやってきて、
「待たせたな!さあパーティだぜ!!」

これ以上ないカッコイイオープニングとして描かれてるんだけど、俺は笑いが止まらなかったよ!

彼らは今世間で一番売れているバンド、クリュード・プレイ(コールドプレイをもじったらしい)のメンバーで、元は同じ高校の同級生。音楽プロデューサーの反町隆史に見初められ、メジャーデビューを果たすものの直前でベーシストの秋(佐藤健)は脱退、以降はサウンドプロデューサーとしてバンドに関わることに。
クリュード・プレイは売れまくり、佐藤健は同じ事務所の西野カナの出来そこないみたいな歌手の相武紗季が彼女で、金にも女にも恵まれた生活を送っているものの、ビジネス優先の音楽作りに嫌気が指す日々。
そんなある日、趣味のラジコンヘリを飛ばしてたら、足元にレモンがゴロゴロと転がってきて、拾いに来た少女とぶつかる。不思議ちゃんっぽいマッシュルームヘアの少女

「君、一目惚れって信じる?」
「信じます!」


なんなのコレw

早速デートの約束を取り付けた佐藤健はタワレコで待ち合わせ、すると制服姿の彼女がやってきた!高校生かよ!!少女はクリプレ(クリュード・プレイの略称)のCDを取って
「私、このバンドのファンなんです!」
自分がクリプレの元メンバーだということは伏せている佐藤健は
「俺は音楽や、歌う女は好きじゃない!」と逆切れ。すると少女は表情を曇らせるのだった・・・
その少女は理子といい、実は高校の同級生とバンドを組んでいたのだった。いつものように河原沿いで練習をしている理子らに通りがかった反町隆史が一言

「俺、天才見つけちゃったよ!」


透明感のある(でちゃったよ!透明感!)理子のボーカルに惚れ込んだ反町隆史はそのまま事務所に彼女らを連れて行ってプロデビューさせると言い出す。僕らは素人のバンドですよ、と困惑するメンバーに
「だいじょうぶだよ。演奏はプロのスタジオミュージシャンがやるから。クリプレだってそうなんだぜ」
という反町。これこそが佐藤健がデビュー直前にバンドを脱退した理由だったのだ・・・
クリプレって演奏は全部男闘呼組みたいな(今でいうとゴールデンボンバー)フリなんだよ。

反町隆史の手によって理子らのメジャーデビューは大々的に報道される。すべてが決まった後で初めて理子の歌声を聞いた佐藤健が「彼女のプロデュースは俺にやらせてくれ」と彼女のために作った楽曲を反町に聞かせるが、理子とキスしてるフォーカス現場写真を握りつぶす代わりに手を引くように告げられる・・・


音楽業界を描いた少女漫画で実写映画にされ、演じている人間が実際に歌う、というとどうしてもあの『NANA』を思い出してしまう。ただ本作が『NANA』と決定的に違う部分はヒロインの描かれ方だろう。本作のヒロイン、理子役には5000人の中からオーディションして決定したという新人の大原櫻子が起用され、「声を聞いただけで魅了される」という設定も納得のいい声をしている。
理子は『NANA』のような野心とセックスで頭がパンパンのビッチどもとは違い、セックスの匂いがまったくしない不思議ちゃんとして描かれており、佐藤健とどんなにイチャイチャしてもせいぜいが可愛らしいキス止まり。大体同級生と組んでいるバンドも編成が女1,男2ですよ。確実にバンド内で女をとり合って大揉めを予感させる組み合わせにしか見えないが、男二人も理子に気があるんだけど言い出せないヘナチョコ野郎。よくいうと女の個性を大事にしすぎる奴。こんな世界だから理子が不思議ちゃんでいられるのも理解できるってもんだ。これが『NANA』ならこんな女は即顔がいいだけのDQNに食われて妊娠ですわ!
完全に行き詰って連載がストップしている『NANA』と入れ替わるようにこの漫画が人気作品になったのもわかる。みんなビッチにはもううんざりなんだよ!恋愛→セックスという単純な構図の漫画を書き続けてきた青木琴美が不思議ちゃんヒロインに到達したというのは大変興味深い(あくまで映画の話なので、原作漫画がどうかは知りません)

まだ完結していない原作の映画化なのはわかるが、作品内で起こる問題のほとんどが何も解決せずにテーマらしいものを匂わせるだけで終わり、ってまるでどうしようもなくなって打ち切られた漫画の最後みたいだな。
せめて反町隆史に反発するクリプレメンバーがこれからは俺たちだけの力でやっていく!みたいなオチにしてもらわないと。



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Posted by 縛りやトーマス at 19:38│Comments(0)映画
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