2014年08月15日
トイ・ストーリーのマネかよ『STAND BY ME ドラえもん』

『friends もののけ島のナキ』(11)の監督コンビ(八木竜一、山崎貴)による3DフルCGアニメ映画の第二弾。阿部秀司プロデューサーが『トイ・ストーリー』のようなフルCGアニメを日本でも作りたい、という動機から『friends~』は作られた。なにしろ日本ではオリジナルの劇場用アニメというのがまずヒットしない。スタジオジブリのようなブランド化したものや、TVアニメの劇場化など原作モノでなければ誰にも知られず消え去っていくのが関の山。
『friends~』は最終的に14,9億の数字をだしたが、『トイ・ストーリー3』(10)が日本では100億超えてるのを見ると、少々物足りないのではないか。これでは「オリジナルの劇場用3DフルCGアニメをヒットさせる」企画自体が消滅する!と器具した制作サイドがとりあえず枠を維持するためにとりあえず原作付きを映画化しよう…と考えたのではないかと(以上根拠のない妄想です)。
そこでドラえもんが企画に挙がったわけだが、藤子プロはすぐにはOKを出さなかったという。そりゃあ毎年春の映画ドラえもんがあるんだから、それとは別の3DフルCGアニメなんか作ってもらわなくても結構!っていう意見なんじゃない?藤子プロからすると。今TVで放送しているものとは違うドラえもんが存在するという状況もまるでかつて日本テレビで放送していた初代アニメドラえもんを彷彿とさせ、藤子プロとしては余計なトラウマが蘇ってきちゃいそう!
そこで山崎貴監督は「原作漫画のエピソードをいくつか選び出して、ひとつのエピソードにする」とアイデアを出してきた。つまり原作通りにやるってこと!日本テレビのアニメは原作を無視した内容が藤本先生の怒りをかった理由のひとつだったことを考えると、山崎貴のアイデアは巧みではないか。
こうして原作漫画でも有名なエピソード『さようなら、ドラえもん』『帰ってきたドラえもん』をオチに使い、「ドラ泣き、しませんか?」というキャッチコピーに象徴される泣けるドラえもん映画が作られたわけだが…
『トイ・ストーリー』のようなオリジナル企画をヒットさせたい、という意図で作られた映画はあちこちのシーンに『トイ・ストーリー』からの模倣が見られ(タケコプターで町を飛ぶシーンや、キャラクターのオーバーリアクションなど)、さらにEDはNG集という有様でディズニーの3DフルCGアニメよりはるかに歴史のあるドラえもんがなんでトイ・ストーリーのマネをせにゃならんのか…
唯一オリジナルのアイデアとして採用された「成し遂げプログラム」は作品に上手くハマっていて、これはのび太を幸せにしないとドラえもんは22世紀の世界に帰って来られない…というもので、ドラえもんはとっとと未来の世界に帰りたいから早くのび太を幸せにしようとするんだけど、段々のび太との生活が楽しくなって別れがたくなる。『さようなら、ドラえもん』で未来の世界に帰る理由づけとしても上手く機能しているし、ここだけは上手いと思った。
あと、『のび太の結婚前夜』で描かれる山崎貴がイメージした「明るい未来」都市にトヨタの巨大ビルがそびえ立ってるの。こんな時代にまでトヨタが存在していて、トヨタによるメディア支配が行われているのかと思うと逆に暗い気分になっちゃったね!
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