2014年08月19日

帰ってきた『GODZILLA』

帰ってきた『GODZILLA』


 初めて見たゴジラは84年版で、映画館に熱心に通った高校生の頃にやってたのは平成ゴジラシリーズだった。ちなみに『ゴジラVSキングギドラ』は本編のセリフとBGMを収録したドラマCDまで出て、何度も聞いた。あんなアホなもんでも満足していた当時の俺、いいお客さん。
 だから後になって初代のゴジラを見たときは全然違うのでまあ驚いた。平成シリーズは本当にアホらしかったが、それでも俺は公開初日に南街会館(当時ゴジラを上映していた東宝系列の映画館。今はもうない)に足を運んでいた。年末に公開されるゴジラ映画を見るのはお祭り、お約束だったからだ。
 ゴジラ生誕50周年の節目に作られた集大成作品『FINAL WARS』から10年後の2014年、ゴジラは蘇った。ハリウッドで。

 平成ゴジラシリーズが退屈だった理由のひとつとして『ゴジラVSビオランテ』のリアル路線が受け入れられず、『VSキングギドラ』からは昭和ゴジラがつまらなくなっていった歴史をたどるようにファミリー路線、怪獣プロレス路線に逆戻りしてしまったことだ。しかもそれを支えるストーリーがハリウッドアクション映画(『ターミネーター』とか)の露骨なパロディだったりして観客をしらけさせたり、肝心の怪獣同士のバトルを盛り上げるアイデアがスカスカだった。例えば『ゴジラVSメカゴジラ』ではメカゴジラと爆撃機ガルーダが合体してスーパーメカゴジラになるのだが、その合体ってのがただ背中にくっつくだけ!映画館ではその合体を見た子供たちが「ええっ!これだけ!?」と非難の声をあげていた。スーパー戦隊シリーズとかで複数のロボットが変形、合体を繰り返すのが当たり前だという時代にそりゃねえわな。

 ハリウッドでゴジラが作られる、と聞いて日本では到底かなわない映像技術があるだけに『VSメカゴジラ』のようなドジはあるまい、と思う一方、98年の『GODZILLA』のようなトカゲのバケモンが暴れ回る内容だったらどうしよう(あれはのちにゴジラの元ネタでもある『原子怪獣現わる』のリメイクをしようとしたが、『原子怪獣現わる』はもう誰も覚えていないからスポンサーがつかないと思い、ゴジラのリメイクをするフリして『原子怪獣現わる』のリメイクをしたんだ…と関係者が明らかにしたのを聞いて納得したけど、当時は「なめとんのか、ボケ!これのどこがゴジラじゃ!」と怒りました)…と不安になったが、今回の映画化は原点に立ち戻り、恐ろしいゴジラ像が復活していた。
 
 最初に現れる怪獣はゴジラと思いきや、敵対する怪獣ムートーだし(ゴジラと別の怪獣が一作目から現れるというのも大胆じゃない)、肝心のゴジラはなかなか姿を現さず、破壊された街や痕跡を残し、背ビレだけ見せて海を横断し、映画が始まって1時間半ぐらい過ぎたところでようやく全体像がお目見え。引っ張りすぎ。
 カメラは全編に渡ってゴジラの足元から見上げるカットになっており、「人の目から見た怪獣」がきちんと描かれ、必要以上に巨大感が出ている。その巨大で超自然的な存在である怪獣に人類は蹂躙されるだけなのだ。

 人間側のキャラクター、最初に怪獣の存在を見抜くジョーは自説の正しさを証明したとたんに死に、その息子フォードは家族の待つサンフランシスコに帰らなきゃといいながら途中で軍隊に復帰するわで一体何がしたいんだよ?
 平田昭彦が演じた役と同じ苗字、初代の監督と同じ名前を持つ芹沢猪四郎博士も科学の力を結集した超兵器で人類を救ったりはしない。ゴジラと敵対する怪獣ムートーのぶつかり合いをただ見ているだけ!人間側の登場人物が取る行動はほとんど無駄で報われず、怪獣の圧倒的な破壊の前にひれ伏すのみ。
 人類の知恵が、科学が、愛が最後に勝利を掴みはしない。監督のギャレス・エドワーズは怪獣に襲われ危険地帯となった町を二人の男女がただ歩いていくという『モンスターズ/地球外生命体』を撮っており、それは『クローバーフィールド』の影響を受けているんだけど、放射線を巡って怪獣同士が戦うという行為を太古の時代から続けているという辺りに『ガメラ3 邪神覚醒』の影響も見え隠れしていたり、色んな怪獣映画のアイデアが引用されている。怪獣好きなんだな。


 日本の原発や、1954年に米軍が怪獣に向けて核を使用した(同じ年に第五福竜丸事件が起きている)とか、核に関する描かれ方に多少不満があるものの(今までのシリーズにだってそりゃ不満はあるんですよ)、初代の持つ圧倒的恐怖が再現されているだけでも、うるさ型のゴジラファンは納得でしょう。

 今回は初代のようにメッセージ性を打ち出したが、次回作はラドン、モスラ、キングギドラを出すというのでエンターテイメント路線になると思われる。じゃあ3作目は対キングコングしかないな!
 また怪獣オタクたちが公開初日にワクワクしながら映画館に駆けつける祭りがやってきたのだ。





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Posted by 縛りやトーマス at 05:07│Comments(0)映画
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