2015年07月28日

復讐を今『悪党に粛清を』

復讐を今『悪党に粛清を』

 デンマーク製の西部劇映画…って何?もはやジャンルとしては死滅している西部劇を現代によみがえらせるというひねた行為に挑むのはクリスチャン・レヴリング。あのデンマークの映画救済運動、ドグマ95の設立メンバーである。
 そんなレヴリングが西部劇をつくろうというのだから至極まっとうな王道の西部劇になってしまうのは当然といえよう(本作はドグマ95作品ではない)

 ゴールドラッシュの1870年代、荒廃したデンマークから新天地アメリカでの成功を目指して旅だった元兵士のジョン(演じるのはTVドラマ『ハンニバル』で若き日のドクターレクターを演じ人気爆発中のマッツ・ミケルセン)は事業が軌道に乗ったこともあり、祖国から妻子を呼び寄せる。7年ぶりの再会を喜び合うも、駅馬車に同乗したならず者二人組が妻子に手を出し、その場を収めようとしたジョンは馬車から蹴落とされる。夜道を必死に追い続けたジョンが目にしたのは冷たくなった妻子だった。
 その場でならず者に復讐を遂げるジョンだったが、ならず者の正体はあたり一帯の街に君臨する悪名高きデラルー大佐(ジェフリー・ディーン・モーガン)の弟だった。
 大佐によって暴力と恐怖で支配された街では誰もジョンの味方になってくれず、大佐と部下たちによってジョンは捕らえられ、兄によって助けだされるも、報復によって兄も命を落とす。妻子も兄も亡くしたジョンは再び復讐のために銃を取る。


 「寡黙な主人公が家族を殺され、その復讐に燃える」という王道西部劇(それもマカロニ・ウエスタン風)のキャラを地で行くミケルセンの演技は素晴らしく、冒頭の駅馬車のシーンではならず者を相手に元兵士のジョンは二人程度は簡単に仕留められる腕前なのだが、妻子とともに平和な生活を望んだジョンは血塗られた過去を封印しようとしている。穏便に済ませようとするもならず者の振る舞いにうっかり手が出てしまう。それが取り返しのつかない結果を産んでしまう。この「俺の中の悪魔を目覚めさせてはいけない!」という様をわずかな眉や口元の動きで表現するミケルセンときたら…(西部劇の男は惨めに喚いたり、泣いたりしない!)
 この寡黙さと哀愁が北欧デンマーク人によほどハマっていたのだろう。これほど糞真面目な西部劇が今の時代に蘇ったことはほとんど奇跡。西部劇にはとんと興味のない人々が『悪党に粛清を』フリークとなって新たな西部劇フォロワーが生まれる予感がする。





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Posted by 縛りやトーマス at 14:16│Comments(0)映画
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