2015年08月06日

最悪なら笑い飛ばせ『人生スイッチ』

最悪なら笑い飛ばせ『人生スイッチ』

 観客動員400万人超、アルゼンチンの年間興行ランキングNo,1、そして歴代興行記録を塗り替えるという空前絶後の大ヒット!何がアルゼンチン人の魂を揺さぶったのか!?

 『人生スイッチ』はほんの些細なきっかけから不運の連鎖に巻き込まれる人々の転落をブラックユーモアたっぷりに描く6つのオムニバス。それぞれのストーリーは繋がっておらず、独立したエピソードだ。
 一つ目のエピソード『おかえし』はファッションモデルが仕事の依頼を受けて飛行機に乗る。隣り合わせた乗客にモデルが元カレがひどい男で…と話しかけると「ああ、その男なら知ってるよ」と言い出す。それを聞いていた後ろの乗客が「私もその男を知ってる」すると前に座っていた乗客が「俺も知ってる!」なんとその飛行機に乗り合わせた全員がモデルの元カレを知っていた!もうひとつ共通していることは、全員その元カレを褒めない。全員が「あいつは最低の男だね!」っていうの。トドメにCAが「私もその人を知っています。さっきコクピットに入っていった人です!」男は自分をバカにした連中を飛行機に乗せて無理心中を図ったのだった!

 という強烈なオープニングからスタートする本作は基本、不運にの連鎖から最悪のオチを迎える人々ばかり出てくるのだが、4つ目と最後のエピソードだけは違う。この二つが俺のオススメ。なぜかこの二つだけがハッピーエンドになるから。


 4つ目のエピソード『ヒーローになるために』はビルを爆破解体するプロの職人・シモン(リカルド・ダリン)が主人公。彼は仕事はプロフェッショナルだが、家庭を放り出しており、離婚寸前。それでも娘の誕生日ぐらいは祝おうとバースデーケーキを買うため仕事を定時に上がるのだが、ケーキ屋の前に止めた車はレッカー移動させられてしまう。レッカー移動された車を受け取るために駐車場に言ったシモンは「駐車違反区域じゃなかっただろ」というが「クレームは役所に言ってくれ」と相手にされない。しぶしぶ罰金を払って帰路につくが渋滞に巻き込まれ、娘の誕生日パーティーには遅刻。またも嫁さんと大げんか。翌日役所で「取締がキツすぎないか」と文句を言ってもやっぱり相手にされず。公務員の態度に切れたシモン、窓ガラスを割って大暴れ!
 それが新聞で大きく報道されてしまい職場はクビ、切れやすい性格は親に向いていないと親権争いにも敗れてしまい、再就職の面接帰りに車をまたレッカー移動されてしまう!どうするシモン!?

 オチまで書くともうどうにでもなれ!と吹っ切れたシモン、わざと車をレッカーさせる。車のトランクには時限爆弾が仕掛けてあって駐車場に入ったところボカーン!
 もちろん警察に捕まってしまうのだが、レッカー移動の厳しさにはアルゼンチン国民の多くが不満を持っており、シモンは一転「政府に物申した英雄」扱いされる!職場でも家庭でも無視されていたシモンは刑務所ではみんなのヒーローとして扱われ、誕生日には受刑者全員からハッピーバースデーを歌われる中、ケーキを持ってくるのは面会にやってきた妻子…

 ここまでが気が滅入るようなオチばかりだったのでこのエピソードが強烈すぎた。そして最後の『HAPPY WEDDING』。盛大な結婚式を挙げている最中の新郎アリエル(ディエゴ・ヘンティレ)と新婦ロミーナ(エリカ・リバス)。幸せの絶頂にいる二人だが、アリエルが招待した同僚の女性がなんと彼の浮気相手だったことが発覚!!幸せの絶頂から真っ逆さまに突き落とされるロミーナ。そんな彼女を式場のシェフが慰める。もうどうにでもなれ!とシェフとイタしてしまうロミーナ。現場をアリエルに見られた彼女、逆ギレする。
 「アンタとの結婚は解消よ!」
 式場に嵐のごとく舞い戻ったロミーナは浮気相手を捕まえてぐるぐる回るダンスはどうだぁ、と彼女を勢い良く壁のガラスに叩きつける!参加者の前で二人の関係をぶちまけて慰謝料ふんだくってやるわ!と宣言。すると新郎アリエル、
 「僕の何が悪いんだぁ~!ちょっと浮気しただけじゃないかぁ~!ここまで言われるほどじゃないじゃんかぁ~!」
 と大号泣。そんな彼を「あなたは何も悪くないのよぉ~」とかばう母親。マザコンかよ!!
 完全に吹っ切れたロミーナは結婚式を撮影しているカメラマンに
 「ここ、ちゃんと撮っといて!私がもし再婚したらこの映像を結婚式で流してやるわ!!子供が生まれたら子守唄代わりに聞かせてやるわ!ディズニー・アニメなんか見せるもんですか!!」
 とはっちゃける。この後まさかのハッピーエンドを迎えてもう何がなんだか!!最悪の事態は笑い飛ばすしかないというラテンの国民性がよく現れているといえなくもない。





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Posted by 縛りやトーマス at 23:51│Comments(0)映画
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