2015年08月08日

紀里谷と一茂のしくじり人生

 8月3日は僕の誕生日で、なんば紅鶴で生誕を盛大にお祝いしていたんですが、その日に放送されたテレビ朝日系列の番組『しくじり先生 俺みたいになるな!!2時間スペシャル』に出演した『CASSHERN』でお馴染みの映画監督・紀里谷和明が同作品を批判した映画評論家やらコメンテイターへの怒りと日本映画界への不満をぶちまけて結構な騒ぎになったそうです。


映画監督・紀里谷和明が映画コメンテーター・有村昆をフルボッコにwww ネット上で絶賛の嵐
http://news.aol.jp/2015/08/03/kiriyakazuaki/


 前述した誕生日祝いのため生放送は見なかったのですが、放送内容を確認したところ、まあ紀里谷和明の映画なみにクッソつまらないものでして、なんでこんなものがネット上で絶賛されているのでしょうか。では番組内容を追ってみたいと思います。

 自ら『日本映画界の嫌われ者』と称して現れた紀里谷和明。紀里谷和明といえば世間のイメージは「CASSHERNでボロクソ言われた人」「宇多田ヒカルの元旦那」ぐらいだろうと思われますが、出演者から「宇多田ヒカルの…」とすぐさま振られる(この時点で番組のコンセプトがわかろうというものですが…)。
 紀里谷和明は「しくじった理由」として「映画界で成功しているのは異業種の人ばかり」(誰だよ)「予算が少ないことを理由にしてすぐ「日本じゃ無理」とか言いやがる」(これは確かにそうだな)「邦画とかいうカテゴリー。なぜ世界に通用する映画を作らないの?」と邦画への不満を「それまで映画を一本も撮ったことがない」のにぶちまけたのです。
 当然「そんだけいうなら撮ってみろよ!」となってしまい、色々あった末に『CASSHERN』の製作に着手。紀里谷は当時自分が仕事していたPV、ファッション業界の人間を連れて現場に乗り込み、「使えない」といって助監督のクビを次々すげ替えるといった映画製作現場の人間をないがしろにする行動に出まくり、「映画を撮ることはそんなに難しく考えてなかった。映画なんて尺が長いだけじゃん!2時間の映画なら3分のPV×20本分だ!」とわけのわからないことを思っていたそうです。

 そんなこんなで公開された『CASSHERN』は興行収入15億を記録。本人曰く「大ヒット」とのことですが、実際は2004年の邦画ランキングのベスト10にも入ってません。


2004年邦画興行収入ランキング
1位ハウルの動く城 200億円
2位世界の中心で、愛をさけぶ 85億円
3位いま、会いにゆきます 48億円
4位劇場版ポケットモンスター/アドバンスジェネレーション 裂空の訪問者デオキシス43億8,000万円
5位ドラえもん のび太のワンニャン時空伝30億5,000万円
6位名探偵コナン 銀翼の奇術師(マジシャン) 28億円
7位クイール 22億2,000万円
8位スウィングガールズ 21億5,000万円
9位NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE 19億3,000万円
10位半落ち 19億円



 「当時漫画(アニメ)の実写化はそれほどなかった」といい、『CASSHERN』が漫画アニメ実写化ブームの先鞭をつけた、とでも言いたげで自分大好き、プライド高めな紀里谷ですが、当時は『海猿』にも興行収入で負けていたのです(『海猿』は17億4000万円で12位)。
 さらに公開当時、映画評論家たちによって『CASSHERN』が酷評されたことが腹に据えかねているのか「100点中15点と言われた」「突っ立った人が延々と会話し続けるだけの映画とか言われた」と不満を漏らす。ちなみに15点と言われたのは前田有一で、延々と会話し続けるだけというのは町山智浩&柳下毅一郎のFBBです。

紀里谷と一茂のしくじり人生


 そんな中、「映画として2時間もたない」と批判した映画コメンテイター・有村昆がスタジオにおり、番組はここから紀里谷VS有村の対決に。


有村「3分のPVと2時間の映画のパッケージは、正直全然違うなと僕は思ったんです」
紀里谷「なるほど!」(憤然として)
(出演者笑)
有村「今これ予告編で見るとすごいな、と思うんだけど、2時間になった時に主役の人たちの演説大会が始まるんですよ。映画の方程式、常識からすると言いたいことは言わないでセリフとセリフの間に込めたりするんですよね。それを先生(紀里谷)の場合全部言っちゃって、それが押し付けがましい感じに…」
紀里谷「ハイ!これはありきたりな批評家がその当時さんざん言いました」
(出演者笑)
紀里谷「まあ似たり寄ったりなありきたりなことをさんざん言われました!」


 こんなやりとりが続き、スタジオの空気は明らかに紀里谷優勢。続いて二作目『GOEMON』では「自ら出演したためにしくじった」とし、「どれだけ自分大好きなんだと言われました」という紀里谷に有村が「CASSHERNに較べてGOEMONはよくなっってた」と空気を読んだ発言をすると「よくなった、って誰の目線だ!?」と攻撃の手を緩めない紀里谷。こういった紀里谷の意見に有村昆はほとんど反論できず、薄ら笑いでその場を凌ぐのみ。ついには出演者の長嶋一茂が「昆ちゃんは観てるだけじゃん!」と紀里谷擁護に回り、作る方は駆けずり回って人集めて、大変なんだよ!と言い始める。
 自らプロデューサーをつとめ、主演した映画『ポストマン』(08)が壮絶に失敗し、製作会社のザナドゥーは翌年倒産に追い込まれ、一茂本人も負債を背負ったというが、明らかに余計な思い込み入ってるから!あと『CASSHERN』は評論家に酷評されたけど、『ポストマン』は酷評すらされなかったから!無視なんで!
 
 「いやー、今日は気持ちいいですね!1回批評家にボロクソ言ってやろうと思ってた」と終始ご満悦な紀里谷和明の姿勢に「紀里谷意外と面白い」「映画評論家はエラソーにしすぎ」などネット上は高評価、とのことですが…
 まあ映画監督VS映画評論家という普段あまり見ることのない対決が見られたという部分の評価は出来るけど、これをガチ対決と評価するのはどうかな。
 有村ら評論側の意見に対する紀里谷の反論は弱すぎるし、それに対する有村の反論は反論にすらなっておらずこれはもう「対決しているように見せた茶番」と言ってもいい。
 例えば紀里谷和明は常に「ヒットさせているのに評論家は認めない」という姿勢で有村のいう「全部セリフで説明しすぎ、工夫すべきでは?」」という批判に「それが映画のセオリーなのは知っている、でも僕がやっているのは新しい可能性の提示だ」という。
 さらに『GOEMON』でのしくじりを自ら出演したことともしているのだが、『GOEMON』の興行収入は『CASSHERN』より下がって14億(制作費は2.5億多かったのでさらに実入りは…)。新しい可能性の提示は観客に受け入れられていないのでは?それこそ「しくじり」ではないのかと。
 そういったキッツイツッコミをせずにヘラヘラ笑いで流してしまう有村、始めっから対決する気ねーだろ。この二人、収録終わった後は絶対仲良くご飯食べてるよ。あと紀里谷が敵意をむき出す評論家サイドの意見が前田有一レベルだよ。また前田がね、番組に名前を出されて嬉しそうにしてるの。批判されてる立場なのに!


紀里谷と一茂のしくじり人生
https://twitter.com/maedayuichi_/status/628173352402710528


 喜んでる場合か!本来お前も有村昆同様ボコボコにされる立場じゃないの?直接反論しろ!それをせずに何をヘラヘラ嬉しそうに…この行為事態がしくじりじゃねーか。樋口真嗣同様、本人に反論しないで紀里谷和明の新作『ラスト・ナイツ』の感想文でボロクソに書こうってこと?ホント前田有一って最悪だわ。
 この状況から見て、今回の企画がガチ対決とはとても思えない。『しくじり先生』ってバラエティだし。言ってみりゃ仕込みヤラセで、全部台本じゃないの?

 それに長嶋一茂らが言う「評論する側は観てるだけじゃん。作る側は色々苦労してるから偉いんだ」なんて理屈はバカバカしい。評論ってそういうもんじゃないから。どっちが偉いとか偉くないとかじゃない。
 作った作品は公開されてるもんなんだから誰でも自由に意見を言っていいし、評論家の意見には作り手側も自由に意見言えばいいんだよ。作る方が語る方より偉いんだ、って作品には文句いうなってこと?だったら作品を公開なんかしないで箱にしまって埋めとけばいいのに。
 台本通り感がビンビンな番組でしたが、長嶋一茂の「作り手は色々苦労してるんだ」っていう稚拙な意見に有村昆が「お客さんにはそんなこと関係ないけど」って言ったのだけは面白かった。
 一茂はプロ野球時代も「色々苦労したんだ」って言いたいんだろうけど、あんた、現役時代オフに何をしているのかと聞かれて「ピアノを練習してました」って言ったことあるだろ。苦労してねーだろ!野球しろ、野球!!





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