2015年09月24日

宇宙の敵をぶっ飛ばせ ゲームに賭けた血が燃える『ピクセル』




 1980年代に大ヒットしたコロコロコミックの漫画『ゲームセンターあらし』は当時大流行となった『ブロックくずし』『スペースインベーダー』などのビデオゲームを題材にしたもので主人公のあらしが非現実的な技を繰り出してライバルたちと戦う(最終的には宇宙人のハイテクによって進化した恐竜とゲームで戦って地球を守る!)。小学生だった僕は夢中になってコロコロを読んでゲーマーに憧れて駄菓子屋のゲーセンに行って不良にカツアゲされて泣かされたもんだが…嫌な話思い出しちゃったかな!!

 『ピクセル』はかつてゲーマーだった中年男が地球を侵略しにきたゲームキャラと同じ形の宇宙人と戦って地球の平和を守る…これ、『ゲームセンターあらし』じゃねえかよ!!

 主人公のサムは友人のウィルとオープンしたばかりのゲームセンターに行く。そこで凄腕のゲーマーとして活躍する彼は当然のようにゲーム大会に出場する。

 「どうしてそんなにゲームが上手いんだ?」
 「敵のアルゴリズム(ゲームキャラの動きのパターン。昔のゲームはプログラムが単純なのでこれを覚えるとほぼやられずにゲームを進められ)を読むんだ」

 ゲームの腕前は普通だがクレーンゲームの達人なウィル、ワンダー・キッドと呼ばれている神童ラドローらの応援を受け、ゲーム大会で勝ち進んでいくサム。最後にチャンピオンとなるべく対戦した相手は、金髪美女を従えた(小学生なのに)自称ファイヤー・ブラスター(火炎噴射器)を名乗るエディ(ピーター・ディンクレイジ)。ダン・エイクロイド司会(!)の元、『ドンキーコング』決勝が始まった!二人共キル・スクリーン達成(22週目に強制的にゲームが終了するバグ)するが、わずかの差でサムは負けてしまう。
 このことがトラウマになったサム(アダム・サンドラー)は負け犬になり、33年後の現在はしがないホームシアターの取付業者としてさえない日々を送っていた。一方ウィル(ケヴィン・ジェームズ)はなぜか大統領にまでなっていたが絵本の文字も読めない大統領として支持率は下がる一方。
 そんなある日、グアムの米軍基地が何者かに襲撃されてしまう。攻撃の映像を見たウィルはサムを呼び出す「これは…ギャラガだ!」

 オールドゲームと同じ姿の敵が襲ってくる事態に面食らう政府首脳を前にゲームの知識をひけらかすサムだが、「オタクはお呼びじゃないんだ」と追い出される。帰りに“ワンダー・キッド”ラドロー(ジョシュ・ギャッド)を再会。彼は神童と呼ばれたのも過去のこと、今では陰謀論にとりつかれるニートになっていた(この映画の登場人物、どいつもこいつも…)。
 しかしラドローは敵のメッセージをたまたま録画していた昔のドラマの再放送から読み取っていた。敵はヴォルーラ星人という宇宙人で、サムたちが出場した33年前のゲーム大会の動画をNASAが宇宙のどこかにいる異星人へのメッセージとして打ち上げた衛星のデータを受け取ったヴォルーラ星人は「地球人からの宣戦布告」と勘違いし、攻めてきたことを。グアムでは地球が負けた。続いてインドのタージ・マハルが『アルカノイド』の攻撃を受け消滅。残り自機はひとつ。もう負けられない!

 次の襲撃地がイギリスのハイドパークと判明したので米軍は英国政府協力の元、迎撃するが襲ってきた『センチピード』に対ヴォルーラ星人用武器を装備した米軍は歯がたたない。アルゴリズムが読めないからだ。
 「もう見ていられない!」
 武器を奪い取ったサムは次々敵のイモムシを撃退、ラドローも加わってついに敵を全滅させる。これで地球側の一勝だ!この一件で認められたサムとラドローは地球を救うゲーマー軍団【アーケーダーズ】を結成。というと聞こえはいいけど、要するにいい歳してゲームのハイスコアしか自慢するものがないボンクラのおっさん達が集められるだけなんですけどね。


 2011年にアヌシー国際アニメーション映画祭短編部門を受賞した短編映画『ピクセル』を元に作られた本作は『ドンキーコング』のハイスコア勝負に挑むおっさんゲーマーたちを描いたドキュメント『The King of Kong : Fistful of Quarters』などをモチーフにした(嫌味なチャンピオン“ファイヤー・ブラスター”エディはパックマンのパーフェクトゲーマーにしてドンキーコングのハイスコアラーとして君臨したビリー・ミッチェルをモデルにしている)「かつてはゲームチャンピオンだったが、今はさえないボンクラたちが地球を守るために活躍する」という『ギャラクシー・クエスト』などにも相通じるオタクの男泣き映画である。

 ただ、『ギャラクシー・クエスト』がスター・トレックのマニア、トレッキーに対して思い入れや痒いところに手が届く的な描き方をしていたのに比べ、『ピクセル』は実際のゲームに対する描き方が割とぞんざいで、ラドローがゲームキャラの女性を溺愛している『ドージョー・クエスト』が架空のゲームな上にファッションが明らかに80年代じゃなかったりとか。80年代なんだから、そこはビキニアーマーだろうが…!


ドージョー・クエストのレディ・リサ


ビキニアーマーゲームキャラの代表例、夢幻戦士ヴァリスの優子


 そういった若干ヌル目の描写を抜きにしても『ピクセル』はなんの取り柄もない、ゲームのハイスコアしか人生に誇るものがないボンクラのオタク中年が地球の危機を救うという、まさに『ゲームセンターあらし』世代のオッサン(俺のことだよ!)は号泣必至(なんば白鯨の筐体でずっとマリオブラザーズのハイスコアランキングに君臨してるけど、誰にも相手してもらえないもんな…)。ゲームで活躍すると女にもモテる!人生上向き!という妄想気味のオチもたまらない。こんなオタクの男泣き映画メインビジュアルにも使われている「パックマンがカワイイ」とかいう理由で映画館に来ている女ども…お前らに何がわかる!!!





同じカテゴリー(映画)の記事画像
みんなキラキラしてる『ラ・ラ・ランド』
卑猥朗読会『お嬢さん』
前田有一がダメにする評論本
映画館の力もおかりしたい『劇場版ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』
消え行く解説者
一週間で忘れたるわ『一週間フレンズ。』
同じカテゴリー(映画)の記事
 みんなキラキラしてる『ラ・ラ・ランド』 (2017-03-22 23:11)
 卑猥朗読会『お嬢さん』 (2017-03-17 22:12)
 前田有一がダメにする評論本 (2017-03-14 22:18)
 映画館の力もおかりしたい『劇場版ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』 (2017-03-13 22:09)
 消え行く解説者 (2017-03-12 07:29)
 一週間で忘れたるわ『一週間フレンズ。』 (2017-03-07 11:05)

Posted by 縛りやトーマス at 16:05│Comments(0)映画ゲームオタク
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。