2016年03月14日

コロンビアの家族はつらいよ『エスコバル/楽園の掟』



 コロンビアの国会議員も務めたことがあるパブロ・エスコバルはフォーブスに「世界で7番目の富豪」と紹介されるほどの金持ちで、慈善事業に熱心な人物として貧困層から絶大な人気があったが、彼の裏の素顔はコロンビア最大の麻薬組織、メデジン・カルテルのボスだった…
 エスコバルは自分に逆らう人間を賄賂で買収するか、でなければ部下の殺し屋を使って抹殺するという飴と鞭でコロンビアの裏社会に君臨し、コカインを国内外に売りさばき自分の王国を作り上げる。エスコバルが送り込むコカインを問題視するアメリカ政府はコロンビア政府にエスコバル引き渡しを要求するがエスコバルの凶悪な報復を恐れた政府は色々な理由をつけてそれを断るが、対立組織との抗争が激化するエスコバルはアメリカへの引き渡し拒否を条件に刑務所に服役する。だがその刑務所自体がエスコバルの金で建設された(!)もので、サッカー場まである刑務所で一番エライのは当然エスコバル!誰も彼に逆らえない通称「エスコバル・ホテル」に君臨しそこから殺しや麻薬ビジネスの指示を出し続けるのだった。
 刑務所内で自分に馴れ馴れしく話しかけてきた幼なじみを刺殺したことで刑務所を移ることになるが移送中に逃亡。姿をくらます。最終的に隠れ家をデルタフォースに襲撃されて射殺されてしまうが未だにコロンビアでは貧困層を中心に人気のある人物で命日には墓に大量の花がたむけられるという。
 そのエスコバルを『トラフィック』で麻薬取締官を演じてアカデミー賞を獲得したベニチオ・デル・トロが熱演する。


 カナダ人のニック(ジョシュ・ハッチャーソン)は兄夫婦とともに最高のビーチを求めてコロンビアの海岸へ。掘っ立て小屋を立てて暮らそうとするが地元のゴロツキ集団に「誰に断って家建ててんだ」と金をせびられる。ほうっておくと凶暴な犬をけしかけられてしまう。
 街中で美人のマリア(クラウディア・トライサック)をナンパしたニック。「いい仕事がないか探しているんだ」「だったら私の叔父さんに頼めばいいわ」「叔父さんって誰?」「あのポスターの人よ」マリアが指差したのは国会議員パブロ・エスコバルのポスターだった。
 エスコバルに気に入られたニックは彼のファミリアに受け入れられ、仕事ももらえる。マリアとも婚約しすべてが順風満帆だったが兄がやってきて状況は一変。
 「お前、あのゴロツキたちがどうなったか知ってるか?あいつらは殺されたよ。生きたまま焼かれた死体を木に吊らされて…それをやったのはエスコバルの部下らしいぞ」
 数日前、ニックはエスコバルとふたりきりで話した時に犬に噛まれた傷跡のことを説明した。その時エスコバルは何事かを手のひらにメモしていた…
 翌日馬小屋でドラゴが血まみれの足を洗っているのを見かける。背後の小屋には拷問されて殺された男が!ドラゴを演じるのはハビエル・バルデムの弟カルロス・バルデム。兄貴譲りのおっとろしい演技でニックの精神をすり減らす。
 テレビでエスコバルを非難していた大臣が数日後に射殺されるに至ってニックは兄夫婦、マリアを連れてカナダへ逃げようとするが、朝早くにエスコバルに呼び出されてしまう。森に集められたファミリアを前にエスコバルは「色々あって刑務所に入ることになったんで財産を隠すことにした。今からお前らに財産を分けて運んでもらう」と説明。ニックも車に乗せられ田舎町に行って地元の老人の案内役の手引で洞窟までいって財産(ダイヤの原石)を隠して案内役の持ってるダイナマイトで入口を埋めたあとで口封じにそいつを殺してこいと拳銃渡される。
 田舎町についたニックの前に現れたのは10代後半の少年で「父さんが足を怪我したんでかわりに来た」と。俺、こいつ殺さなきゃならないの!?無事逃げ出すどころか追いつめられていくばかり…

 役者として活動していたアンドレア・ディ・ステファノの第一作。ステファノ監督は殺しのシーンや暴力的な描写をさほどはっきりとは映さず(なんと映倫区分G)、抑えの効いた、それでいて恐ろしさはビンビンに伝わってくる演出で南米のゴッドファーザーと恐れられたエスコバルにファミリアとして認められたがために滅亡へまっしぐらなニックの絶望を観客に体験させる。
 エスコバルを演じたベニチオ・デル・トロは邦画の悪役みたいに無意味にヘラヘラと笑わない。いつだって穏やかな表情でニックや周囲の人間を迎えるだけ。本当の恐ろしさは内に秘めて見せはしない。デル・トロはゲバラ役やったり待機作『ボーダーライン』で麻薬カルテルを襲撃するデルタフォースを手引するコロンビア人役をやってたりと幅広すぎですよ。
 こんな家族に入らなきゃよかった!カナダでボラボラしておけばよかった!家族はつらいよ!




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