2016年05月07日

大人の事情『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』



 実写『キャプテン・アメリカ』シリーズの第三弾にしてマーベル・コミック実写映画のクロスオーバー『マーベル・シネマティック・ユニバース』の13作目。


 ナイジェリアでブロック・ラムロウ/クロスボーンズ(フランク・グリロ)率いるヒドラの残党によるテロ活動を阻止すべく出動したキャプテン・アメリカ/スティーブ・ロジャース(クリス・エヴァンス)ら。しかしクロスボーンズの爆発に巻き込まれ大量の死者が出てしまう。被害を生むきっかけをつくったワンダ・マキシモフ/スカーレット・ウィッチ(エリザベス・オルセン)は激しく苦悩し、ウルトロン計画の犠牲者となった若者の遺族から叱責されたトニー・スターク/アイアンマン(ロバート・ダウニーJr.)も後悔するのであった。
 アベンジャーズの活動が多大な犠牲を払うことを危惧した世界各国は国際的な組織の管理下にアベンジャーズを置き組織の許可なしにスーパーヒーローが活動できないようにする『ソコヴィア協定』を127カ国の同意の元成立させる。トニーやジェームズ・"ローディ"・ローズ/ウォーマシン(ドン・チードル)ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウ(スカーレット・ヨハンソン)らはアベンジャーズ解体といった最悪の結末を避けるべく「世界からの非難を避けるためにも組織の管理下に置かれた方がいい」とするトニーの意見に同意する。だがロジャースはこの協定では行くべきところに行けず、行く必要もないところに出動させられる上に個人の自由が損なわれる、個人の行動の責任は個人が負うべきだと協定に反対する。
 そんな中、ウィーンで行われたソコヴィア協定の署名式でテロ行為が発生、またも犠牲者が出てしまう。テロの容疑者として監視カメラに写ったのはヒドラによって洗脳された暗殺者、ウィンター・ソルジャーことバッキー・バーンズ(セバスチャン・スタン)だった。バッキーの友人であったロジャースはシャロン・カーター/エージェント13(エミリー・ヴァンキャンプ)から情報を得て密かに潜伏先のドイツでバッキーに接触、彼が犯人ではないと確信するがウィーンのテロで犠牲者となったワカンダ国王の息子、ティ・チャラ/ブラックパンサー( チャドウィック・ボーズマン)と戦闘になり、駆けつけたウォーマシンにロジャースらは投降する。
 ロジャースは協定書にサインしようとするがワンダがヴィジョン(ポール・ベタニー)によって監視されていることを知って抵抗、精神鑑定を受けている最中のバッキーが何者かによって再び洗脳状態に戻されてしまう。ロジャースとサム・ウィルソン/ファルコン(アンソニー・マッキー)は混乱に乗じてバッキーを連れて逃亡、テロ事件の背後にジモ(ダニエル・ブリューニュ)という男がおり、シベリアにあるヒドラの洗脳施設に自分以外のウィンター・ソルジャー軍団が冷凍保存されていてそれらが解放されれば世界中が大混乱に陥ることになる。ソコヴィア協定ではジモの目的を阻止することが困難と考えたロジャースらは仲間を敵に回す危険を犯してでもシベリアへ向かうことを決め、ワンダ、引退を撤回したクリント・バートン/ホークアイ(ジェレミー・レナー)、ロジャースを信奉するスコット・ラング/アントマン(ポール・ラッド)を仲間に加え空港へ向かうがトニーら協定派のメンバーと戦闘になってしまう。さらにトニーの要請に応じてやってきたピーター・パーカー/スパイダーマン(トム・ホランド)が参戦し、スーパーヒーロー同士の“シビル・ウォー(内戦)”は激化する!


 かつてカプコンが94年にアーケードゲーム『エックス・メン チルドレン オブ ジ アトム』 というX-MENのヒーロー同士が対戦する格闘ゲームを出そうとした時、当初はマーベル側から「ヒーロー同士が対戦するのはちょっと…」と難色を示されたという。当時はコナミの『X-MEN』(92)、『T.M.N.T. Turtles in Time』(91)や『キャプテンアメリカ&ジ・アベンジャーズ』(データイースト、91)のようにベルトスクロールタイプのアクションゲームが隆盛でアメコミ原作のヒーロー同士が戦う対戦格闘ゲームというのは考えもされなかった時代だ。ところがこれが大ヒットし、翌年『アベンジャーズ・イン・ギャラクティックストーム』(データイースト)という対戦格闘がすぐさま登場、後にコミック『シビル・ウォー』となったのだからカプコンの先見の明たるや!

 その映画『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』は組織によって管理されることを選ぶ派か、それとも個人の行動の責任は個人で負うべき派かに分かれて争うことになる。どちらが正義か悪かという図式ではないのだ。かつて組織の裏切りにあった経験を持つキャプテン・アメリカは単純に組織が正しいとは信じられないし、ローズなんかは軍人だから組織に従うのが当然みたいな態度だし、軍隊のはぐれものなサムは自由の方を愛しているしで、ヒーロー同士の立ち位置が明確にされており、チーム分けには違和感がない。

 唯一違和感を覚えるのは新スパイダーマンだ。このスパイダーマン登場が本作の大きな話題の一つである。スパイダーマンは同じマーベル作品だけど、実写映画『マーベル・シネマティック・ユニバース』のシリーズには出演できなかった。その理由は『マーベル・シネマティック・ユニバース』シリーズはディズニー・スタジオ(当初はパラマウント→ユニバーサル)が制作しており、実写映画『スパイダーマン』を制作しているのがソニー・ピクチャーズなので権利関係から共演ができなかったのが今回、大人の事情で共演と相成った。大人の事情とは何か?
 『スパイダーマン』の実写映画シリーズはサム・ライミ監督のトリロジー(02~07)と『アメイジング・スパイダーマン』シリーズ(12~14)の二つがある。初期のトリロジー大ヒットを受けて『アメイジング~』シリーズもトリロジーとして制作される予定だったが興行成績が振るわず、観客からの評価もイマイチということで2作目で制作を断念、17年から新な新シリーズ『スパイダーマン:ホームカミング』が制作されるのだが、前シリーズのマイナスイメージを払拭すべく話題性が欲しいと思ったソニー・ピクチャーズの関係者が新スパイダーマンを『マーベル・シネマティック・ユニバース』に登場させる、というネタを考え、ディズニースタジオ側も『シビル・ウォー~』にスパイダーマンが出てくるのは話題としてアリだ!ということで(『アベンジャーズ』シリーズにもスパイダーマン出演の打診はあったがソニーが権利を譲渡してくれなかったので出演はナシに)企画にGOサインが。スパイダーマン電撃出演の背後にはそういう大人の事情があったわけだ。
 そのせいか、スパイダーマン登場の場面は結構無理があった。強引に枠を開けたというかなんというか。ちなみにトニー・スタークがピーター・パーカー(まだ彼はスパイダーマンという正式名称を名乗っていない)をスカウトしにいくというものだが、ピーターが家に帰るとトニーがメイおばさんと食卓で仲良くくつろいでいる(というかモロにちょっかいだしてる感が)というシーン。新シリーズでメイおばさんを演じるマリサ・トメイは『レスラー』でミッキー・ロークが思いを寄せるストリッパー役を演じて話題になったが51歳とは思えない若々しいエロスを発散させる熟女ぶりでピーターも学校で「おまえんちのおばさん、結構エロいよな」とネタにされるレベル(そんなシーンはありません)ですわ。さらにマリサ・トメイってトニー・スターク役のロバート・ダウニーJr.と交際してた過去があるんだが、完全にお前らのプライベートの再現やんか!なぜ入場料金を払ってプライベートを見せられなければならないのか。それにトニーは役の上ではペッパー・ポッツ(グウィネス・パルトロー)という秘書兼恋人の女がいるのに今回名前しか出てこない!(婚約していたが今は別居中という描写が)これはロバート・ダウニーJr.がパルトローを捨ててマリサ・トメイに再びちょっかいだそうとしているようにしか見えない!!しかも『スパイダーマン:ホームカミング』にはトニー・スタークがゲスト出演するという!これってどう考えても…これがホントのシビルウォー!!

 この映画どちらが悪か正義かという話ではないのだが、そんなこともあってトニー・スターク、ロバート・ダウニーJr.はなんか嫌な奴に見えてしょうがない!アイアンマンが許せない!俺はキャプテン・アメリカ派だ!





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この記事へのコメント
この前テレビでやっていたアメイジング・スパイダーマンを見ていてやっぱりトビー・マグワイヤと巨乳のMJの方がいいと思った。
アンドリュー・ガーフィールドは馴染めない。
イケメンだという人がいるけれど、ずっと見ている間違和感を感じ続け、やっとわかった!
こいつはノーマン・ベイツに似ているのだ!(笑)
Posted by Hirokichy at 2016年05月08日 01:43
X-MENとアベンジャーズが戦争するシリーズが87年に出てますし
アイアンマンとキャプテンアメリカなんか60年代から頻繁に喧嘩してますから
ヒーロー同士が戦うゲームに難色を示したというのはガセでは?
Posted by ダイフク at 2016年05月11日 21:10
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