2016年06月20日

本気のパロディ『アウターマン』

本気のパロディ『アウターマン』

 日本が世界に誇るバカ映画監督、河崎実による『ウルトラマン』シリーズ及び特撮作品へのパロディ映画。

 実写特撮ヒーロー、『アウターマン』シリーズが50年以上も続いている世界。そのうち『平成アウターマンシリーズ』で主演をつとめた俳優たちのサイン会が行われていた。「平成アウターマンシリーズはアウターマンらしさがない」「やっぱり昭和が一番だよ!」という特撮オタクたちの容赦無い批判を浴びながらもサイン会は盛況であった。が実際のところ平成アウターマンシリーズの俳優たちはアウターマンのイメージが強すぎて役者としてはまったく成功せず、アウターマングッズ屋の店長やバーのマスターが本業で、ファン向けイベントで糊口を凌ぐ日々なのだった…平成アウターマンの俳優を演じているのがハリケンジャーの塩谷瞬、ゴーオンジャーの古原靖久、仮面ライダーウィザードの戸塚純貴という元ヒーロー役者たちが自虐的に演じているのも河崎実作品らしい。

 各地で群発地震が発生し、なんとアウターマンそっくりの宇宙人が登場。「地球の危機を救いにやってきた」というアウターマンに人類は驚くばかり。その頃防衛省は『アウターマン』シリーズのライバル宇宙人、シルビー星人(ウルトラマンに出てくるバルタン星人の元ネタとされているシルヴィ・バルタンのもじりネタ)の本物を確保していた。シルビー星人のタルバ(Gero)いわく、アウターマンこそが悪の宇宙人であり、侵略目的で地球に訪れ、50年間番組で自分たちが正義の宇宙人であると洗脳した上で地球環境を自分たちの故郷の星、アウター星と同じようにテラフォーミングして23億の同胞を移住させるのが目的だったのだ。
 シルビー星人の故郷も同じ手口でアウターマンに占領されてしまい、ホームレス宇宙人となってしまっていた(この辺もバルタン星人のパロディ)彼にもアウターマンを倒すことはできない。唯一の手段はアウターマンに何の思い入れもない地球人と合体するしかない。その地球人とは平成アウターマンの主演俳優たちだった!
 そんなことできるわけない、と非協力的な三人だったが、シルビー星人タルバがシルビー星人ファンの少年、浩(福田徠冴)を助けようと身を挺して戦ったタルバの勇気に導かれ本物のヒーローになることを決意する(この辺『ギャラクシー・クエスト』風の展開で熱い物語になるのだった)。

 その頃、防衛省の科学者である福山博士(演じるは『世界忍者戦ジライヤ』の筒井巧)は初代アウターマンファンクラブ会員(笑)の仲間であるアウターマンオタクたちに頼んで全アウターマンのエピソードからアウターマンの弱点を探らせていた。結果、欠番にされていた初代アウターマン第32話から「シルビー星人がもたもたしてなかったらアウターマンを倒せた」ことを発見する。それをおそれたアウターマンがエピソードを欠番にしてしまったのだ…欠番エピソードをうまくネタに絡めてあり、ウルトラファンならニヤリとするところ。他にも真夏竜、沖田駿一、きくち英一など特撮番組出身の俳優が多く出演しておりこの辺りも特撮ファンには嬉しいよね。

 こういう特撮ファンなら「わかる」「納得」できる描写に加え、正義と悪の立場が逆転するというのも凝っていて、単なる特撮番組のパロディ、出落ちネタを膨らませたバカ映画と一刀両断するには惜しまれる内容で凡百のなんちゃってパロディとは一線を画する河崎実監督の才能が感じられる。さすが、バカ映画に本気で挑んでいる人間は違うよな。





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Posted by 縛りやトーマス at 21:24│Comments(0)映画特撮・ヒーロー
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