2016年07月06日

ドリルで破壊!『シチズンフォー スノーデンの暴露』



 話題になった人物にインタビューしたドキュメンタリー映画というのは多々あるが、この『シチズンフォー スノーデンの暴露』は唯一無二の映画といえる。アメリカ政府が国民を対象に無断で監視、盗聴していたいうエドワード・スノーデンの告発が話題になる前から撮り始め、世界中で騒動を巻き起こす様子をリアルタイムでカメラで収めたのだから…

 2012年、グアンタナモ収容所のドキュメンタリーなどで知られる映画監督ローラ・ポイトラスに電子メールが届く。政府の極秘事項に関する情報を提供したいという内容のもので、ポイトラスは旧知のジャーナリスト、グレン・グリーンウォルドとともに香港へ。そこで彼等を待っていたのは眼鏡姿のさえない(失礼)青年であった。

「私はNSA(国家安全保障局)の職員、エドワード・スノーデンです」

 スノーデンはNSA、その以前に努めていたCIAで通信データの収集・分析に関わっていたが、「対テロ対策」の目的で一般国民の電話の盗聴、通信メールの傍受をしていたという事実を知らせる。最初は半信半疑だったポイトラスたちはスノーデンのもつ膨大な資料、機密文書の数々に「大変な事態になっている」ことを確信する。
 スノーデンはグリーンウォルドが私用のパソコンにメモリーカードを挿したままにしていると「NSAは15分でカードの情報をすべて抜き取ることが可能です」という。パソコンを使うときには「魔法の布」というシーツを頭にすっぽりかぶって操作する。パスワードなどを読まれないためといい「パスワードを打ってるところは見ませんよ」というポイトラスらに「私の目を見ればキーボードのどこを打っているのかがわかります。CIAはそれが可能なのです」布をかぶったスノーデンの姿はほとんどジョーク。インタビュー中にホテルの部屋の外で火災報知機が短時間に何度発報するのを聞いて「(アメリカ)政府は僕の居場所がわからなくてイライラしているのかも」と笑う。後に世界を揺るがす大スクープとなるこのインタビューだが、映像から緊張感はほとんど伝わらない。布被ってるもんな(笑)。


 アメリカは一般国民のデータを収集するときには企業の協力を得ているという。Google、Apple、Yahoo!、Facebook、MicrosoftといったIT企業からの提供で個人の通話記録、通信メール、ワード検索、ネット通販の購入記録などすべてを国家は把握している(これをユビキタス監視という)。スノーデンはこれらの事実を告発した上で自分が内部告発者として名乗り出るという。危険ではないのか?しかしスノーデンは「名乗りでた方が安全なのです」。

 実はスノーデンの前にNSAの盗聴システム、トレイルブレイザーを告発したウィリアム・ビニーら内部告発者がいたが、匿名での告発だったために結果握りつぶされてしまったことがあり、スノーデンは「匿名ではダメだ」と実名告発を決意。そして最初は「政府が国民を監視している」という事実のみを伝えて欲しい、その後で自分が名乗り出ると。まず名前を最初に出すと世界中の人は「このスノーデンという男は何者か?」と考え、告発の内容よりも告発者のパーソナリティーの部分に目を向ける、自分は政府が国民を勝手に監視しているという事実についてみんなに考えて欲しいのだと。

 とにかくスノーデンの頭のキレに驚かされる。スノーデンの「最初に情報を出して、その後名乗り出る、するとみんなが政府が国民を監視するのは問題だと考える」という意見の通りになり、この間アメリカ政府は内部告発者の正体探しに躍起になるがスノーデンに当たりをつけても特定ができない。内部告発者がどれだけの情報を持ちだしたのかがわからない。もちろんスノーデンが告発者は自分とさとられないよう、情報を小出しにしていくからだ。
 結果政府はスノーデンが自ら名乗り出るまで気づかない。常に一歩前を行くスノーデンの行動は凡百のスパイ映画など足元にも及ばない。アメリカは機密漏洩の罪で指名手配するが、スノーデンは見事に亡命先のロシアに脱出してしまう(ロシアの空港でビザを無効にするというしょうもない嫌がらせぐらいしかできないのだ)。

 スノーデンが告発したNSAの情報集積をFBIは「違法性はない」といい、オバマ大統領は各国駐米大使館への盗聴を「諜報機関がある国ならどこでもやっている」と開き直る。しかしイギリス・政府通信本部(GCHQ)が収集した情報をNSAと共有しているという証拠を英ガーディアンが記事にしようとするとアメリカ及びイギリスは圧力をかけて資料の入ったハードディスクをドリルで破壊させる!それを聞いたスノーデンが「小渕優子みたいだな」という(言ってません)。

 タイトルのシチズンフォーとは先の握りつぶされた内部告発者が3人いたことから「4人目は自分」であり、「自分の後にシチズンファイブ、シチズンシックスと続いて欲しい」という意味も含んでいる。





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この記事へのコメント
ハリーポッターの人かと思った
Posted by fe at 2016年07月07日 12:38
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