2016年11月06日

コロッサスがたくらむ大破壊『地球爆破作戦』

コロッサスがたくらむ大破壊『地球爆破作戦』

 冷戦真っ只中のアメリカ、コロラドロッキー山脈の地下にある巨大コンピューター・コロッサスが起動する(真っ暗闇の中、電源スイッチが入れられ照明が時間差で点灯していく場面、ゾクゾクする)。開発者にしてこのプロジェクトの責任者であるフォービン博士(エリック・ブレーデン)は満面の笑みで軍上層部に迎えられる。コロッサスは冷戦の切り札、国防システムの要として開発され、敵国から発射されたミサイルを軍事衛星からの攻撃で破壊する。それをコンピューターに管理させ、さらにコロッサスは必要な情報を自動で収集、分析して進化を続けていくというAIなのだ。

「これでソ連に先んじたぞ!」

 大統領(ゴードン・ピンセント)らは大喜びで全世界に向けてコロッサスを発表する。しかしコロッサスは「同様のシステムが存在するので確認せよ」とメッセージを発する。直後、ソビエトも同様のコンピューター・ガーディアンが存在すると発表。コロッサスはガーディアンと接続するように要求。フォービンはガーディアンの能力を把握するために接続の許可を大統領に願う。フォービンらがコロッサスと「対話」する手段はキーボードでメッセージを打ち込むと司令室の天井にある立方体のモニタ4面にコロッサスのメッセージが表示されるという、ただのディスプレイにメッセージが出て来るのとは違う、凝った演出が見もの。
 接続されたコロッサスとガーディアンは「対話」を始め双方の情報を交換、独自のコミュニケーション方を確立するに至る。その対話をモニタしていたフォービンらは自分たちが追えないスピードで情報の交換を続けるようになったことを恐れ、回線を切断する。切断された回線を検索しようとするコロッサスは核ミサイルをソ連に発射、ガーディアンもミサイルをアメリカに向けて発射する。双方の迎撃システムは作動せず、再接続しなければ互いの国は滅んでしまう!あわててフォービンらは再接続し、すんでのところでソ連のミサイルは撃墜できたが、アメリカの核はソ連を直撃する…

 フォービンら開発チームは同様の事態がまた起きるのを避けるため、核ミサイルの無力化を図る。ガーディアン開発者のクプリン(アレックス・ロダイン)と密会するフォービンだが、現場でクプリンはソ連側のエージェントに殺されてしまう。コロッサスとガーディアンは「クプリンは不要」と判断したためだ。コロッサスは常時フォービンをモニタリングするカメラとマイクを要求。ミサイル無力化計画を進めながらフォービンは同僚のクレオ・マーカム(スーザン・クラーク)を「恋人」としてコロッサスに認識させる。人間にはプライベートが必要であると。週に数回、恋人とベッドで愛し合う時間は監視しないという約束を取り付けたフォービンは彼女を他のスタッフとの連絡役にして反逆計画を練る。「恋人」なのでマーカム博士はベッドルームに必ず全裸で入らなきゃいけないっていうのが可笑しい。最初は恋人役を演じるだけだったはずが、二人ともまんざらではないので本当に関係を持ってしまう。それどころじゃないだろ!

 コンピューターによる人間社会の支配が進む中、対コロッサスの反逆計画は進行していくが、反逆計画は次々と見抜かれスタッフは処刑されていく。コロッサスは人類へのメッセージとしてすべてのミサイルを世界中の都市を目標にしたと発表。世界通信で人類はコンピューターの支配によって戦争も飢餓も無くなるのだ!尚、反逆は絶対に許さない!逆らえば死あるのみ!お前もお前もお前も死ぬのだ!!その証明としてミサイル無力化を実行しようとした部隊が核爆発で処刑されてしまう。きのこ雲に絶望するフォービンにコロッサスは告げる。「すべての人類同様、君もやがて私を崇拝し、愛するようになるのだ」


 D・F・ジョーンズ(この名前で検索してもマンチェスター・ユナイテッドのサッカー選手ばかり出てくるんだが)原作のSF小説を映画化した本作を監督したのはジョセフ・サージェント。ナポレオン・ソロの映画化や史上初の黒人大統領(演じるはダースベイダーの声でおなじみ、ジェームズ・アール・ジョーンズ!)が誕生するSF映画『ザ・マン 大統領の椅子』や地下鉄強盗モノ元祖(そんなものに元祖があるのか)『サブウェイ・パニック』などで知られるが、『ジョーズ’87 復讐編』で海の藻屑と消えたのであった。
 『地球の制止する日』(51)『禁断の惑星』(56)といった数本を除けばSF映画なんていうものはチャチでガキっぽい安物に過ぎなかったが、『2001年宇宙の旅』(68)以降、知的なSF映画というものが認識され、この映画は間違いなく影響を受けている。『ターミネーター』のスカイネットなんてまさしくコロッサスだもんな。「人類のためにつくられたが、反逆して人類の抹殺を目論むコンピューター」という設定は後の『大鉄人17』などにも影響を与えたと思われる。
 コンピューターに支配されることで諸問題は解決するが、代わりに自由を失う社会はユートピアだろうか、それともディストピアか?と疑問をつきつけて終わるラストは衝撃的で、中々答えを出せないと思われるが原作には続編があって、火星人が地球の酸素を奪おうとしてコロッサスと交渉する…という展開で、火星人て!知的興奮を与えてくれるSFだったのにそりゃねえよ、ということでやっぱりコンピューターによる支配はNO!





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この記事へのコメント
「地球爆破作戦」懐かしいですね。邦題は配給会社がテキトーに付けたB級SFアクション映画風なので世間ではほとんど無視されていますが、
マイケル・クライトン原作の「アンドロメダ…」(ロバート・ワイズ監督)と並ぶ70年代前半を代表するSF映画の傑作です。
後の「ウォー・ゲーム」や「ターミネーター」シリーズなどにも影響を与えていますよね。
ソフトはDVDしか出ていませんが、何年か前にWOWOW(だったか)でHD放送されたものを録画してあります。
原作者のデニス・ジョーンズは本職は軍事史研究家だそうですが、本作以外にも幾つか小説を発表しており
内容的には豊富な軍事知識を背景にしたポリティカル・フィクションものが多く、トム・クランシーの先輩格といったポジションですかね。
残念ながら何れも絶版ですが、Amazonの中古で1円とかで入手できます(笑
Posted by shine at 2016年11月06日 16:28
『地球爆破作戦』は今リメイクやっているという噂なので、公開時に復刻されたりするのを期待しています
Posted by 縛りやトーマス縛りやトーマス at 2016年11月11日 09:50
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