2016年12月04日

そんなに何度もどんでん返しはいらない『疾風ロンド』




 医学研究所から持ち出された炭疽菌。その炭疽菌の隠し場所と引き換えに金銭を要求した男は死んでしまい、回収を依頼された男はわずかなヒントを頼りに隠し場所のスキー場を捜索するが、脚を怪我してしまう。気温10度を越えると容器が破裂し炭疽菌で多数の死亡者が出てしまう。スキー場のパトロール隊員とその友人のスノーボード選手を上手く騙して炭疽菌の容器を捜索させるのだが…

 という筋立ては面白そうな東野圭吾の小説を映画化した『疾風ロンド』は映像化の方向性を完全に間違えたためにただの下らないバラエティに成り下がった。なにしろ監督が『サラリーマンNEO』の吉田照幸だもんなあ。なぜコメディコントの人がやるのか?この映画がコメディだから!コメディじゃないよ!この話!
 医科学研究所の研究員・葛原(最近東映映画にばかり出ている戸次重幸。東宝における吉田羊的ポジション)は炭疽菌・K-55を偶然の産物として開発してしまい、所長の東郷(柄本明)から「こんなものを作ったのがバレたら会社は潰れてしまうぞ!」とオーバーリアクション(これがまた見ていられないレベル)で発狂。葛原をクビにしてしまう。逆恨みした葛原はK-55を盗み出し、隠し場所の目印となる木につけたテディベアの写真とともに3億円を要求。しかし葛原は直後交通事故を起こして死んでしまう。

「死んだやつに金は払わなくていい。ラッキーだ!あとはK-55を回収するだけ」
 とオーバーリアクションで部下の研究員・栗林(阿部寛)に命じる。テディベアには位置を知らせる発信機がつけられており、4日だけ電源が持つ。気温が10度を下がると炭疽菌の容器が破裂してしまうため、4日後の金曜日がタイムリミット。栗林は最近不仲に陥っている息子の秀人(濱田龍臣)をスキー旅行という名目で炭疽菌が埋められている野沢温泉スキー場に連れ出して(なぜひとりで行かない?)回収を目論む。原作では架空のスキー場なのになぜ野沢温泉スキー場という実際にあるスキー場でロケまでしてるかって?タイアップだから

 栗林は慣れないスキーで転びまくり、立入禁止区域で遭難しかけて救助を呼ばれたり、挙句は靭帯を切って歩くことすら困難に。スキーもロクに出来ないのにキツイコースや立入禁止区域に入ろうとする栗林を不審に思ったパトロール隊員の根津(大倉忠義)やその友人のスノーボード選手・瀬利(大島優子)に問い詰められ、栗林は「ある患者の治療に必要な新薬が盗まれてスキー場に埋められてしまった」と咄嗟の嘘をついて二人を捜索に巻き込むことに成功。しかし彼等の行動を物陰から見つめる不審な男・折口栄治(ムロツヨシ)がいた。彼は葛原がK-55を盗み出す手引をした協力者、折口真奈美(堀内敬子)の弟で、真奈美は気弱な女を演じながら葛原に強力することで大金をせしめようと考えていた狡猾な女だった。真奈美はスキーの上手い栄治にK-55の回収を任せたのだ。

 この弟が怪しげな悪党として登場するんだけど、それがムロツヨシってねえ…他にちゃんとした役者いなかったの?こいつが一生懸命「怪しげな男」を演じてるんだけど、善良な振りをして近づくとか、こっそり阿部寛の後ろを付け回したとか、車の座席の後ろにいたとか、全部コメディで演出していてムロも「俺、お笑い分かってますから」風に演技するのも何もかも寒い!スキー場だから寒いってか!?ハッカーでテロリストの役がユースケ・サンタマリアだったりとか、どうして最近の日本映画って悪役のキャストがイマイチなんだろう?おかげでサスペンスフルな展開や物語がまったく生きてこない。後半のクライマックスに容器を奪ったムロと大島優子がスキー場を滑走しながらストックでチャンバラを演じたりする日本映画にしては迫力とスケールのあるアクションシーンがあってそこは結構手に汗握る。でもムロだしなあ。大島優子にあまり演技させないで「スノボ選手」っていう役割だけさせたのも上手くいっているのに、とにかくムロが残念
 そして全体をつつむコメディ風演出も意味不明。きちんとシリアスな物語にしておけばよかったのに。二転三転するストーリーはさすが東野圭吾と唸らせられるが、クライマックスから延々と続くどんでん返しの連続、そんなに何度も返さなくていいよ!『シベリア超特急』じゃないんだから…





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Posted by 縛りやトーマス at 14:37│Comments(0)トンデモ映画
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