2017年04月26日

コレジャナイ『ゴースト・イン・ザ・シェル』



 ネットに脳から直接アクセスする「電脳化」そして「義体化」と呼ばれるサイボーグ技術の発達により高度な進化を遂げた近未来。人間と機械の境目が曖昧になった時代では「果たして自分は人間なのか?機械に『お前は人間だ』という夢を見させられているだけではないのか?」という問題が起こった。人は機械と区別するために自我や意識を指す「ゴースト」という概念を用いるようになった。
 士郎正宗の原作漫画を劇場用アニメにした『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』は日本での興行成績はイマイチだったが、アメリカのビルボード週間売り上げで一位を記録したことなどでカッコイイ日本のアニメ、「ジャパニメーション」という言葉が広く知られるきっかけにもなった。

 現実と夢の境目が曖昧になるテーマに取り憑かれている押井守はさすが原作のテーマを理解していたが、今回製作されたハリウッド実写版では押井守による劇場アニメ版の「人形使い」といったキャラクターやテーマは大衆には難しすぎると判断したのか、主人公の少佐(スカーレット・ヨハンソン)が所属する公安9課は単にサイバーテロ犯罪と戦う正義の部隊のような表現をされてしまっている(実際は表に出すことができない汚れ仕事を請け負う組織)。
 少佐は過去に事故にあって両親を亡くし、全身義体化することで生き延びたという設定にされ、原作や押井のアニメではその正体は定かではない(神山健治による連続アニメ版では過去が語られる)のだが、ハリウッド版では安っぽい正体や過去が設定され、興ざめ。
 『ブレードランナー』を背伸びさせたような未来都市のビジュアルはちっとも魅力的でなく、公安9課の課長・荒巻にキャスティングされたビートたけしは全員が英語を話している中、堂々と日本語を話す。スタッフは「電脳化の発達によって違う言語でも瞬時に脳内で変換される」といった苦しい言い訳をしている。『攻殻機動隊』の下敷きになった『ブレードランナー』では人種、言語の違う人間が混在しており、シティ・スピークといった独自の言語も登場していたことに比べても進化どころか退化してるじゃないか。
 ビートたけしは日本のマンガ、アニメ作品が実写化された際「実写版というのは必ず、コミックやアニメに負けてファンから『こうじゃない』と文句を言われるのが定説」として本作を「初めて成功した実写化」と胸を張るが、この『ゴースト・イン・ザ・シェル』が明らかに定説ですよ!いつものわけのわからない日本描写もあるしね。墓石にでっかく『命』って彫ってあるのを見た時は腰が砕けた。たけし怒れよ!「ファッキンジャップぐらいわかるよバカヤロー!」って引き金を引いいてほしかった。僕らが見たかった攻殻はコレジャナイ!




同じカテゴリー(映画)の記事画像
神社のバチが恐ろしい『巫女っちゃけん。』
目指せ10億点『ゲーマーVSニブラー:最高得点を狙え』
無国籍・無秩序な大阪ロケの珍アクション大作『マンハント』
イカレた7人がやってくる『セブン・サイコパス』
80年代がそのまま戻ってきた『星くず兄弟の新たな伝説』
HUGっとラセター
同じカテゴリー(映画)の記事
 神社のバチが恐ろしい『巫女っちゃけん。』 (2018-02-21 23:20)
 目指せ10億点『ゲーマーVSニブラー:最高得点を狙え』 (2018-02-19 03:49)
 無国籍・無秩序な大阪ロケの珍アクション大作『マンハント』 (2018-02-16 06:20)
 イカレた7人がやってくる『セブン・サイコパス』 (2018-02-10 05:39)
 80年代がそのまま戻ってきた『星くず兄弟の新たな伝説』 (2018-02-07 21:44)
 HUGっとラセター (2018-02-06 19:25)

Posted by 縛りやトーマス at 11:19│Comments(0)映画漫画
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。