2017年07月07日

フリースタイルアイドル映画『リリカルスクールの未知との遭遇』



 アイドルヒップホップユニット、lyrical schoolが本人役で主演するハーセルフ映画。変に演技なんてさせようと思わずに本人役をやらせるという思い切りのいい設定。

 売れないアイドルグループを自虐的に演じるlyrical school。売れないというより、売れる感が一切しない。テレビ番組に出演してインタビューされてもまともに答えられない。
「新曲へのこだわりは?」と聞かれても「玉の輿に乗りたい!」「女優業にチャレンジしたい!」そういうこと聞いてんじゃねえから!ライブの場所、日程すらド忘れする彼女たち、マネージャー(バッファロー吾郎A)からは「0点だよ0点!」とドヤされ、「もっと売れ線のビジョンを持てよ!君らの意思なんかどーでもいいから!」と本人たちのやりたいことを無視して「売れ線のビジョン」を押し付けてくるマネージャーのやり方に文句はあるが、さりとて「自分たちのやりたいこと」が見いだせないlyrical school。そんな自分にイライラしてバイト先である「こだわりのレコード店」で大暴れ。すると店に置いてあるキモいぬいぐるみが喋りだした!
 ぬいぐるみは“スペース・バムバータ”と名乗り、乗ってきた宇宙船がエネルギー不足で不時着、レコード店の店長(スチャダラパー・ANI)に助けてもらって店でぬいぐるみのフリをしていたのだった。『マペット放送局』に出てくるようなパペットのバムバータ(声がマペット放送局のゴンゾ役、塩屋浩三)とlyrical schoolの絡みはSF映画と思わせない(そう、これはSF映画なのだった!)不思議な味わいがある。

 バムバータの宇宙船のエネルギーを回復させるには
「周波数45khz~136khz、音量150dbの音を一定時間BPM110で20.9℃の気温、75%の湿度の条件を揃える」
 必要があって…まあ、要するにパーティーやればいいんだよ!ということでバムバータによる地獄の特訓が開始。亜沙美ママのやってる飲み屋でママのおしゃべりを観察、窓拭き、床掃除、うどん粉踏みとヒップホップと何の関係があるんだよ!という特訓をやらされなんでこんなのやらなきゃいけないの?と辟易するリリスクメンバー、一人いい子ちゃんぶるayakaと他メンバーの間で口論が始まるがバムバータが「ラップでケンカしろ!」するとありえないほど饒舌なスキルを発揮するリリスクメンバー、そう、窓拭きも床掃除もうどん粉踏み、亜沙美ママのおしゃべり観察もすべてヒップホップの技術を磨くためだった!という『ベスト・キッド』ばりの展開に。ようやく自分たちのやりたい音楽を見つけたリリスクはマルイ屋上のパーティーを成功させるべく準備を始めるが、バムバータの力を狙う悪い宇宙人が現れバムバータとhimeをさらってしまう。

 未知との遭遇を描いたSF映画と師匠と弟子の熱い関係を描いたスポ根と未熟なアイドルの成長を描いた青春映画と様々な要素をmixさせた上で「アイドル映画は画面に写っているアイドルが可愛くなくてはならない」という鉄の掟もきちんと守られ、クライマックスのパーティーシーンのリリスクは最高に可愛くカッコよく映えている。これぞフリースタイルのアイドル映画だ。
 リリスクによって街の人々の気持ちがひとつになるという、『ロッキー』な展開もあって監督のデモ田中は日本のジョン・G・アヴィルドセンだ!





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