2017年09月10日

埼玉県戸田市の再来『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』



 人気漫画の実写化というと絵がある分、「観客によるイマジネーション」の余地がほとんど存在せず、少しでも漫画の絵とズレてしまったら原作を侮辱しているといわんばかりの批判がされがち(特に日本では)。なので邦画で漫画の実写化を大衆に納得させようと思ったら漫画と何から何まで同じようにするしかない。福田雄一の『銀魂』のように…

 しかし、1987年から始まった連載が今も続いている『ジョジョの奇妙な冒険』の実写化の監督を務めた三池崇史はそんな原作至上主義者や読者の顔色を伺うようなことはしなかった。何しろ実写化の舞台となる杜王町をスペインのシッチェスでロケ。どうしたって日本には見えない街並みでどう見ても外国人のエキストラが歩き回っているのを日本のM県のS市と言い張ったのだから。かつて『漂流街』でネバダ州でロケしたのを埼玉県戸田市と言い張っていたけれど、それに匹敵する見事なまでにハッタリの利いた光景だ。

 さらに三池崇史監督は長大な原作第四部の前編を連続殺人鬼のアンジェロこと片桐安十郎(山田孝之)や不良少年の形兆(岡田将生)、億泰(新田真剣佑)の虹村兄弟といった自身が好んでいるタイプのキャラクターたちは外連味たっぷりに描く一方、さほど興味の沸かなかったであろう登場人物、広瀬康一役の神木隆之介(原作に似せる気すらない!)や山岸由花子役の小松菜奈らの雑な描写!
 それでありながら主人公仗助(山崎賢人)の父、良平(國村隼)の家族や町への思いや虹村兄弟の家族の絆といった原作のテーマである「人間賛歌」の部分は余すところなく描かれており、ジョジョ実写化におけるツボの部分は外していないではないか。

 ジョジョを映像化しようというのに売りのひとつであるスタンドバトルにまったく振り回されていないのも凄い。アニメではスタンドをはっきりと全身写して激しいアクションをさせていたが、実写化ではクレイジー・ダイヤモンドやザ・ハンドのような人型スタンドは登場人物の背後をチラリとかすめる程度に表現されたりして謎の存在が蠢いているという、アクションよりもホラーチックな描写を際立たせたのは三池監督自身がスタンドによるアクションよりもロマンホラー(原作初期のキャッチコピー)の部分に惹かれたからではないか。

 原作の人気や設定に振り回されず、監督独自の解釈と演出に根差しつつ成功させる…これは漫画実写化の新たな好例だ!




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Posted by 縛りやトーマス at 20:45│Comments(0)映画漫画
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