2017年10月06日

君たちはハンバーガーだ『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』



 マクドナルドの創業者(ファウンダー)、レイ・クロックの自伝『成功はゴミ箱の中に レイ・クロック自伝 世界一、億万長者を生んだ男―マクドナルド創業者』を元に作られた伝記映画。
「えっ、マクドナルドの創業者はマクドナルドなんじゃないの?」
 という疑問が出てきそうなタイトルで、マクドナルドを「作った」のはディック&マックのマクドナルド兄弟なのだが、なぜファウンダーがレイ・クロックになっているのかというのを知るためにこの映画を見てもらおう。

 1954年、まとめて5つ作れることが売りのミルクセーキマシンのセールスマンをしているレイ・クロック(マイケル・キートン)は自慢のミルクセーキマシンがまったく売れずに苦しんでいた。すでに50代になり、ビジネスマンとしては先が見えてしまっているレイ。俺は一生冴えないセールスマンで終わるのか?
 そんなレイの元にドライブインからマシンの大量注文が入る。何かの間違いだとそのドライブインに向かう。その店「マクドナルド」には大量の行列が出来、店が提供するハンバーガーを客が皆、笑顔でほおばっていた。マクドナルドに興味をもったレイは社長であるディック&マック(ニック・オファーマン、ジョン・キャロル・リンチ)の兄弟と出会い、スピーディーに、誰でも簡単につくれるので安価で提供できる画期的なハンバーガーつくりのシステムを聞き出し、これに商機を見出す。

 このマクドナルドのシステムがどれだけ画期的かというと…兄弟は最初はレストランを経営し、ステーキやサラダといったメニューを出していたが、客の多くはドリンクやハンバーガーしか注文したのでハンバーガーのみに特化することに。メニューを限定することで注文の手間を省く。そしてハンバーガーは簡単な包装で提供する。レストランのように食器を使わないので食器代もかからず汚れた皿を洗う手間もいらない。それどころか店舗内にテーブルを置かないので店が狭くてもいい。テーブルに座って食べ終わるまでの間、席が空くのを待たなくてもいい。外で立って食べられるから。
 マクドナルドのシステムではパティを焼く担当、バンズで挟む担当、紙で包む担当…と作業が細分化され、調理の技術を持たない人間でもハンバーガーをつくることができる。そして細分化された作業をする人間が効率よく設置されて「もっとも効率のよい動線」を店内に設定するシーンは圧倒されながらもおかしいので笑ってしまう。そこまでやるのか!この作業の簡略化によってどの店舗でもまったく同じものが提供されるという、ファーストフードチェーンのシステムはマクドナルドが開発したのだ。

 レイは兄弟にフランチャイズ化を持ち掛けるが、目の届くところで適切なサービスを提供したいという兄弟はレイの提案に乗り気ではないが、最終的には根気に負けて「何かをやるときには必ず兄弟の許可を取ること」を条件にフランチャイズ化を許可する。

 フランチャイズ化はたちまち成功し、アメリカ中にチェーン店が誕生するが、レイは借金に苦しむ。チェーン店舗が次々出来ているのになぜ儲からないのか?契約上、利益のほとんどを兄弟にもっていかれ、ミルクセーキをつくるためのアイスクリームを保存する冷蔵庫の電気代はかさみ続ける。地下室に保存庫を作ろうにも兄弟は「地下室なんかつくって底が抜けたらどうする。『マクドナルドの床が抜けた』なんて報道されたらイメージが悪くなる」と地下室を作らせない。粉状のミルクセーキを導入しようとしても「品質が落ちる」と相手にされない。ついに自宅までが銀行に担保として差し押さえられそうになる。どん詰まりの状態になったレイの前に財務コンサルタントのハリー・J・ソネンボーン(B・J・ノヴァク)が現れる。
「あんたのやり方はめちゃくちゃです。これじゃ儲かるわけがない」
 ハリーはレイに新店舗の土地を買い取って、フランチャイズ店のオーナーにレンタルしろという。これまでは土地代をレイがレンタルしていたので土地代だけで儲けは吹っ飛んでいた。そのためにマクドナルド不動産を始めたレイはその後もハリーの勧めに従って儲けを増やすために新会社を設立しまくり、粉状ミルクセーキも導入。兄弟との対立は深刻化し、レイはマクドナルドの「ファウンダー」として兄弟から権利を奪い取ろうとする。


 マクドナルドのやった簡略化、画一化はファミリーレストランやウォルマートといった巨大スーパーに受け継がれる。「どこにいっても同じものが買える」画一化の始まりだ。マクドナルドのやり方は世界中に広まっていき、巨大チェーン店があちこちの町に進出し、地元の小さな個人商店を焼き尽くし、焼け野原にチェーン店がさらに進出するという流れを生み出した。画一化とはマクドナルドであり、マクドナルドとはアメリカなのだ。

 とはいえ、それはアメリカだけではない。日本にもマクドナルドそのものはもちろん、マクドナルド的なものが導入されている。それはAKBだ。同じシステムの元同じようなサービス(ステージ)がどのグループでも提供され、みんな「支店だから」といってファンが足を運んでいる。
 『ファウンダー~』のラストではレイがマクドナルドを奪おうとした理由も「名前がよかった。『レイ・クロック ハンバーガー』なんて名前で売れると思うか?マクドナルドという響きが欲しかった」というのだ。AKBだってグループの名前が何より大事で、メンバーなんか誰でもいいのだ(いつも入れ替わってるし)。その証拠にメンバーが卒業してソロ活動しても全然売れないのだから。高橋みなみだろうが篠田麻里子だろうが板野友美だろうが「AKBの~」とつかないメンバーには何の価値もない。名前を奪われた兄弟の店があっという間につぶれたように。AKBのなんとかメンバーだといっている君たちはせいぜいハンバーガーなんだぞ。





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Posted by 縛りやトーマス at 19:30│Comments(0)映画AKB48食べ物
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