2017年11月20日

岡部淳也監督の勇往邁進を見よ『ブレイブストーム』



『巨大ロボットをフルCGで描いた特撮ヒーロー作品』というとなじみのない観客には「ウルトラマンみたいなやつ?」とか「仮面ライダーみたいなの?」と言われがちだが、本作は円谷でも東映でもない、宣弘社によるテレビ番組『シルバー仮面』と『スーパーロボットレッドバロン』をひとつの作品にしてリブートされた映画だ。

 等身大ヒーロー(後に巨大化するが)のシルバー仮面と巨大ロボットのレッドバロンをどうひとつにするのか?しかもこの二つはストーリーの方向性も違っていてシルバー仮面は宇宙人の侵略を世間に告発するが信じてもらえない主人公たちの孤独な闘いで、レッドバロンは世界征服を企む悪の秘密結社に立ち向かう、シルバー仮面に比べればやや単純明快なヒーローものだ。

 『ブレイブストーム』はベースに『シルバー仮面』の物語を置いて『スーパーロボットレッドバロン』をこの物語に絡めていく。2050年、侵略者キルギス星人によって人類が数パーセントしか生き残っていない地球。春日兄弟(シルバー仮面の登場人物)は侵略が始まる以前にタイムスリップして滅亡を回避しようとする。しかしタイムスリップのためのマシンを操作するために長男の光一(春日光一、役と同じ芸名で本作よりデビュー)と長女のひとみ(壇蜜)は2050年の世界に残る。2015年に送り出された次男の光二(大東駿介)、次女・はるか(山本千尋)、三男・光三(タモト青嵐)は科学者・紅健一郎(吉沢悠)に接触し、キルギス星人の侵略に対抗できる巨大ロボットの製作を依頼。その3年後、賭けボクサーに興じる紅健(渡部秀)の前に現れたチグリス星人によって殺されそうになったところを春日兄弟に助けられる。彼らのアジトで3年間行方不明にされていた兄・健一郎と再会した健は3年後に始まるキルギス星人の地球侵略に対抗するため健一郎が開発したロボット、レッドバロンの搭乗者にされたことを告げられる。


 影を背負った春日兄弟のキャラクターはそのままにされながら、紅兄弟のキャラクターは飄々とした兄の健一郎とやさぐれた弟の健というのが現代的で、今の時代に見ても楽しめるミックス具合だ。レッドバロン、ブラックバロンのデザインは現代風の先鋭的で細身のデザインではなく重量感のあるスタイルでスローモーなモーションからヘヴィなパンチを打ち込む。着ぐるみのスタイルでは出しにくい「一撃の重み」を見せるために現代的なスピード感をあえて廃したわけだ。
 シルバースーツを着た大東駿介によるハイスピードバトルに撮影当時はほぼ無名だった山本千尋の太極拳じこみのアクションもあり、81分の上映時間内に「あれも、これも」と盛沢山!ラストにはあっと驚く続きが気になるネタもあって随分贅沢じゃあないですか!

 岡部淳也監督が自己資金調達の末に完成させた『ブレイブストーム』は一般商業作品に負けず劣らずの力作で巨大ロボット特撮モノのジャンルに文字通りの勇ましい嵐を巻き起こした。





同じカテゴリー(映画)の記事画像
勝手に好きになれよ『先生!、、、好きになってもいいですか?』
これぞプログラムピクチャー時代の進化系『GODZILLA 怪獣惑星』
映画をひとりで観るのがそんなに哀しいのか
童貞を死に追いやる女優
爆音マクロス
広瀬アリスの目力に注目『氷菓』
同じカテゴリー(映画)の記事
 勝手に好きになれよ『先生!、、、好きになってもいいですか?』 (2017-12-12 00:27)
 これぞプログラムピクチャー時代の進化系『GODZILLA 怪獣惑星』 (2017-12-09 02:31)
 映画をひとりで観るのがそんなに哀しいのか (2017-11-30 00:26)
 童貞を死に追いやる女優 (2017-11-28 19:38)
 爆音マクロス (2017-11-24 12:47)
 広瀬アリスの目力に注目『氷菓』 (2017-11-21 14:05)

Posted by 縛りやトーマス at 01:04│Comments(0)映画特撮・ヒーロー
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。