2018年02月19日

目指せ10億点『ゲーマーVSニブラー:最高得点を狙え』

 小学生の頃、近所のスーパーでやってたファミコンのゲーム大会に出たことがある。ゲームはナムコ(現バンナム)の『スカイキッド』。横スクロールのシューティングゲームで、レシプロ機を操作して宙返りで攻撃を避けることもできるゲームで爆弾で戦艦などを爆破、基地まで帰還するのが目的。アーケード版もあって何度か遊んだことがあったので他の参加者が失敗する中、僕は余裕で戦艦を破壊して決勝まで進んだが、明らかにやりこんでる高校生に優勝をさらわれてしまった。優勝賞品は当時発売されて半年ぐらいのディスクシステムだったので悔しくてしょうがなかった。準優勝の商品は『パックランド』のペンケース他ナムコグッズ。しばらくの間「スカイキッドで準優勝したやつ」ということで騒がれたことはいい思い出だ。ゲーム大会で勝つこと、というのは当時のガキの間でステータスだった。




 ネットフリックスで配信されているドキュメント映画『ゲーマーVSニブラー:最高得点を狙え』(原題『MAN VS SNAKE』)を観た。ゲーム大会で優勝した男のその後を追うドキュメントだ。
 『ニブラー』という蛇を操作して画面上のドットを食べつくすと次の面に進むゲームで、他のゲームと違ってなんと10億点まで表示できるところがポイント。100万点じゃない、10億点!
 アイオワの田舎町オタムアにあるゲームセンターでとある少年が『ニブラー』のハイスコアをたたき出しているのを見た16歳のティム・マクベイは「こんなの、僕だってできるさ」と挑戦、あっという間に前人未到の9億点をたたき出してもはや10億は目前。ゲームセンターの店長は「もう少しで記録達成だ!」と大喜びでテレビ局を呼び出し、10億点達成の瞬間は地元のテレビ局で放送。ティムの偉業は田舎町を駆け巡り、「ティム・マクベイの日」まで制定される騒ぎに。そのゲームセンターは後にゲームのハイスコアを管理・表彰するツイン・ギャラクシーだった。
 映画は40歳ですっかりデブになって地元の工場で退屈な作業の繰り返しに飽き飽きする元天才ゲーマーを映し出す。誇れるものは「かつてニブラーの世界チャンピオン」という過去だけ!PS4やXboxの時代に!

 しかもその世界チャンピオンという過去すら虚栄だったかもしれないのだ。なんと25年も経ってから、実はティムが記録達成した約一年後にその記録はあっさり塗り替えられていたことが判明する。イタリアのゲームキッズ、エンリコ・ザネッティが10億100万点のスコアを出していた!
 詳細が確認できないとツイン・ギャラクシーはエンリコのハイスコアを認めていないが、事実を知ったティムはニブラーの筐体を買って25年ぶりのハイスコア更新を目指す。さらにティムのライバルとしてドウェイン・リチャードという男が現れる。ドレッドヘアをなびかせながら自信満々に「俺がナンバーワンだ。ガタガタいうな!」という見るからに問題児な彼だが、張り合うライバルを見つけたティムはゲーム大会で激突する。そのためには特訓だとデブった肉体を絞り上げるべくBMXで街を走り回り、ロッキーのごとく階段(短いけど)を上り下り。BGMはもちろん『アイ・オブ・ザ・タイガー』(笑)

 単なるゲームのハイスコア争いというなかれ。『ニブラー』で10億点出そうと思ったら丸二日は連続プレイしないといけない。寝てる暇なんかない。トイレもメシもプレイ中にしないといけない。たっぷり自機を増やして時間切れでやられてる間にトイレとメシを済ませるのだ。あとはひたすら眠くなって集中力が切れてくる。腕も痛いし目も痛い。何時間やっても平気だった16歳の時とは違う。今はウォーターベッドで寝ないと体の疲れも取れない中年のオッサンなのだ。ついにティムはギブアップ。

 すでにゲームは卒業して、キックボクシングにハマっているというエンリコはシェイプアップされた肉体を誇らしげに見せる。40代にしてはイイ体してる。ハイスコアラーだった過去は「美しい思い出」になっている彼と比べるとティムの現在は失礼な言い方かもしれないが「落伍者」「負け犬」って感じ。ついに公式にティムを上回るスコアを出すプレイヤーが現れて文字通り二番手になってしまう。チャンピオンだった栄光の過去にすら縋れずに屈辱の二番手に甘んじるしかないのか?俺の人生どうしてこうなった?

「僕のニブラー魂に火が付いたよ」

 ライバルがいると燃える男ティムは再び立ち上がる。彼は世界チャンピオンの座を取り戻すことができるのか!?

 映画を見ていると昔のゲームのハイスコア争いは普通のスポーツよりもストイックだ。最近の格闘ゲームみたいに直接争うわけじゃない。ひたすら自分のスコアを高めていくだけで切れていく集中力を途切れさせないようにモンスターエナジーをがぶ飲みしてプレーヤーは画面を凝視する。ハイスコアは己との闘いなのだ。乗り越えるのは相手ではなく自分だ。

 16歳で記録を出した時のティムは「誰の挑戦でも受ける」「すぐに抜き返してやる」と言い放っていた。だが挑戦者に巡り合わないままの25年間、目的を見失ったティムは人生も完全にどん詰まり。しかし目的とライバルを見出した彼は青春を取り戻したように輝き始める。何度挫折しても立ち上がるのだ。勝つためじゃない、自分自身に挑むために。ほとんどロッキーのように。

 負けても恨み言を言わずに相手の記録は素直に褒めたたえるティムたちゲーマーのスポーツマンシップは他のどんなスポーツよりも清々しい。でも、テレビのニュース番組のキャスターからは「馬鹿な奴らの大会だろ?」って言われるんだけどね。ホントにマスコミの連中というのは…




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