2018年10月28日

全編PCの画面で展開する、追っかけが女優を救う…のか?『ブラック・ハッカー』

 全編PCの画面で制作された映画『サーチ』(2018)が話題になってますが、意外なアイデアのように見えて2015年には『アンフレンデッド』という全編Skypeの画面で構成されている映画があって先駆者というのは必ずいるものだなと(ちなみ両作品とも制作は同じティムール・ベクマンべトフ)。

 ところがさらに先駆者がいた!それが2014年のスペイン映画『ブラック・ハッカー』だ!監督は『シンクロナイズドモンスター』(2016)が話題になったナチョ・ビガロンド。主演はイライジャ・ウッド(ウッドは制作も兼任)。


 人気女優ジル・ゴダード(サーシャ・グレイ)のファンサイトを運営している追っかけ青年ニック(ウッド)はジルの新作映画『ダークスカイ 第3の波』の宣伝キャンペーンとして行われた「ジルと会食ができる豪華プレゼントが一名様に当たる!」企画に参加し、見事当選。期待に胸を膨らませてLAのホテルに泊まり、会食のはじまる夜までホテルの部屋で新作映画のキャンペーンをしているジルの動画配信を見ていたニックのPCに電話がかかってくる。電話の相手はコードと名乗り「会食は中止になった。ジルがわがままをいって中止にさせた」と告げる。そのころジルは記者会見でネットに流出した卑猥な動画について質問をされ、「映画会社が宣伝のために流した」と不満を言って会見場を飛び出していた。

 人気タレントと会食ができるキャンペーンに参加して騙されるって、ミスタードーナッツの高橋由美子手作りお弁当二名様プレゼントの当選者が女性だったあの一件を思い出して冷静ではいられません。

 コードはジルの携帯や会場、ホテルの監視カメラに不正アクセスをしてあやつることができ、ニックのPCでそれが見られるようにする。コードはジルが自身のエージェントとデキていると暴露すると、まさにジルはタクシーでエージェントの泊っているホテルに行くところであった。コードの指示でエージェントの部屋を自分の宿泊している部屋から盗撮させられる羽目になるニック。
 コードとの連絡が一旦切れたころ、ニックのPCには観たことのないアイコンが表示され、それをクリックするとゴーグルをつけた3人組が現れニックのことをネバダと呼ぶのだがニックには何のことかわからない。
 エージェントの部屋にやってきたジルは口論になって部屋を飛び出してしまう。エージェントは盗撮に気付きニックの部屋までやってくる。コードの指示でエージェントをスタンガンで気絶させるニックだが、エージェントを拘束しろという指示には「もういやだ」と拒否。しかしコードはスタンガンを使うニックの映像を警察に見せるといって脅し言うことを聞かせる。コードはニックを助けてやるといってオンラインにしたままのノートPCを持たせ、駐車場の車で脱出させる。
 コードはノートPCのウェブカメラでニック自身を写したままにするよう命じ、車に置かれたカメラ付き端末をダッシュボードに載せるようにいい、ある場所まで車を走らせる。ニックのPCにはコードがジルの自宅に潜入するライブ映像が配信され、いつでも危害を加えられると脅してくる。ジルの身を守るためニックはコードの言われるままにジルのPCにファイルを送信する。それはエージェントが拷問される映像だった。ニックはコードが連絡を絶った隙にアイコンをクリックしてゴーグル姿の3人組に連絡する。彼らはフランスにるハッカー(トリオップス)で彼らの世界では伝説のハッカー・ネバダを信奉していて、ニックをなぜかネバダと勘違いしている。ニックは彼らと連携を図ってジルを助け出し正体不明の男・コードを捕まえようとする。


『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズでは世界を破滅から救う主人公を演じて一躍有名になったイライジャ・ウッドだがそれ以外ではしょぼくれた少年や気持ち悪い変人の役が多く、『アイス・ストーム』(1997)では隣の家の少女(まだおっぱいを小さくしていない頃のクリスティーナ・リッチ!)とデキちゃって自分の弟と本当の穴兄弟になったりとか、『シン・シティ』(2005)では連続幼女殺人鬼だったり。『パラサイト』(1998)はいじめられっこだけど寄生生物に立ち向かうヒーローの役だったけど…

 本作でもごく平凡な(イライジャ・ウッドだからその説明で許されているのであって、世間一般的にはキモヲタといわれておしまい)女優のおっかけを演じるウッドの見た目は如何にも、なので彼がヒイヒイいいながら憧れの女優を救おうとする展開にはつい感情移入しちゃうな。オタクを演じられる役者ってすごいわあ。
 全編PCの画面で展開しながら、外に出て行ってカーチェイスやったりするアウトドアさがまた売りで部屋の中だけで進行しがちな映画のテーマを気持ちよく裏切ってくれてよいですね。終盤の展開もひねりを効かせていて途中でなんとなく読めるとはいえ、あっと驚くクライマックスにしているところは面白い。
 ただしホテルの監視カメラから他人のスマホのカメラまでコントロールするってできるの?と思うし。ハッキングすればなんでもできる!と思われがちなパソコンに対する知識が少なかった昔のSF映画モドキ風の話はちょっと無理があるのでは。
 しかしこれが後の『アンフレンデッド』や『サーチ』につながると思うとバカにはできない。挑戦的な実験作なんですよ。





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