2019年02月27日

猫がいればそれでいいんだ『猫とじいちゃん』

猫がいればそれでいいんだ『猫とじいちゃん』

 世の中には「猫に癒されたい」という人がいっぱいいるので、日本では猫を主役にした映画が結構あります。猫にはセラピスト効果があるだの、「アケメネス朝ペルシアのカンビュセス二世は神聖とされる猫をエジプト人の立てこもる城の中へ投げ込んで、神聖なる猫を傷つけられないと恐れおののいたエジプト人は城を捨て逃げ出した」だのなんだのと猫がいかに素晴らしいかというもっともらしいエピソードを語りだすが(その前に猫投げるなよ)、その実、猫で搾取しようとたくらんでる猫エクスプロイテーションではないのか?

 この『猫とじいちゃん』もそんなたぐいの猫エクスプロイテーションなんですが、そんじょそこらの猫エクスプロイテーションと一味違うのは猫写真の巨匠、岩合光昭の初監督作品という看板がついてるところ。
 僕も岩合光昭の猫番組はテレビとかで観たことある。まるで猫の目線になったような写真とか、ありとあらゆる角度から押し寄せる猫写真には大層興奮させてもらった。猫の方も演技をつけられたかのような動きをする。「猫に演技をつけたような映像が撮れるのなら、人間の演技もつけられるのではないか?」ということか?そんな無茶な…

 とはいえ無理なことは無理だと思ってるのか、制作側も無駄な演技指導の時間を避けるために、初めから演技がそれなりにできる人たちを配置してるのがなんとも。出演陣が立川志の輔、柴咲コウ、柄本佑、小林薫、銀粉蝶、田中裕子ときたもんだ。この人たちはともかく、若手の役者もいるけど、その子たちは難しそうな顔して会話してるだけ、いてもいなくても構わないような役なのが露骨です。

 老人ばかりが暮らす離れ小島に暮らす元教師の大吉(志の輔)は2年前に妻(田中裕子)に先立たれ、妻が可愛がっていた猫のタマとのんきな二人暮らしをしている。都会からやってきた美智子(柴咲コウ)が開いたおしゃれなカフェで仲のいい友人たちとおしゃべりする毎日だったが、ある日タマがいなくなってしまい…

 って、イッセー緒形が出ていた『先生と迷い猫』(2015)と似たような話だなあ…あれもイッセー緒形が元教師で、妻に先立たれて猫と暮らしてて、島が舞台なの。話も似てて、色々なことがあって疲れた人たちが猫によって癒されて、人と人との仲を紡いでいくんだけど、なにしろ猫は気まぐれなので人の思ってるようにはならなくて、、ただ寝転んでるだけだったり。だから猫はいいんだ、という人の気持ちはわからなくもない。

 役者たちはみんな複雑な演技を求められていないので、ただの役目としてそこにいるだけ。何か問題を抱えて田舎に逃げてきた柴咲コウは一体何があったのかまったくわからない。医者の柄本佑も「魚の目が怖い」とかおびえているのもなんでそうなのかわからない。

 まあ、人間のことなんてどうでもいいんですよね。猫がいればそれでいいんだから。




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Posted by 縛りやトーマス at 06:27│Comments(0)映画
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