2019年04月03日

前作制作者の意に沿わない続編。『けものフレンズ2』は『ブレアウィッチ2』だった!

前作制作者の意に沿わない続編。『けものフレンズ2』は『ブレアウィッチ2』だった!

 2019年冬アニメ最大の話題作として放送された『けものフレンズ2』は大ヒットした前作最大の立役者とされるたつき監督の降板騒動以降、いまだ制作委員会やKADOKAWAへの批判が続いている中での続編制作とあって制作決定の時点で批判が加速するのであった。
 しかし『2』のメインスタッフのうち、監督は『アイカツ!』シリーズを大成功に導いた木村隆一、シリーズ構成、脚本は『ゾンビランドサガ』に関わっていたますもとたくやだと発表されるとひょっとして期待できるかも…というムードが高まり、「まあまあ落ち着いて。作品を見るまでは批判はやめておこう」といった冷静な人たちが現れたのだが、一部の「絶対許さないマン」たちが奇声を上げる中、初回放送日を迎えた。

 前作からの登場人物であるサーバルに加えて、新フレンズのカラカルが登場し、前作主人公のかばんちゃんに代わる新しいヒトキャラ、キュルルが登場。彼女はかばんちゃん同様正体不明で記憶のないキャラクターであり、彼女が持つスケッチブックに書かれた「記録」を元にジャパリパークのどこかにあるキュルルの「おうち」を探す旅にサーバル・カラカルが同行するというストーリー。
 この部分は前作までのプロットを踏襲しており、特に問題もないが、微妙に感じるのがキュルルのスケッチブックと絵である。前作では動物が擬人化したフレンズとヒトの間には明確な文化、生態の違いがあり、前作ではヒトが「道具を使って何かをする」という行為がフレンズにとって理外であり、ジャパリパークの地図をホルダーから取ったりするだけでサーバルが不思議がるといった描写があった。かばんちゃんにはフレンズのような力や行動力がなく、それを「何もできない」とフレンズから残念ながられたりしていたが、力を補う器用さと知恵でフレンズたちの問題や騒動を解決していく(ヒトの知恵がなければフレンズの抱える問題は解決しない)、という展開があった。
 ところが『2』ではキュルルが「紙に絵を描く」というフレンズにとって理外である行為をサーバルたちが普通に受け入れており、それに対するフォローが劇中では示されない。キュルルがクレヨンで器用に絵を描いていくのを見ても、それを不思議がる様子すらない。ならばフレンズたちの知能や経験が前作よりもプラスされたという説明が必要なんだけど、『2』では一切そんな様子がない。

 ならば『2』とは前作とは世界観が共通されているだけのパラレルワールドなのかというと、前作にも登場した場所やフレンズが出てきたり、ある建物が水没していたりなど、前作からの時間の流れを感じさせている。「前作からの続き」であることが示されているのに、整合性が取れていない。
 しかも第6話では前作の主人公、かばんちゃんが再登場。サンドスターやセルリアンに関する研究をしているという設定で前作からの成長がうかがえる。サーバルに関するなんらかの記憶があるが、サーバルにはないといった前作からの視聴者がモヤモヤする展開があるのに、やはりこのことについて追及されることはなく、シリーズの中の1エピソードとして処理されるのであった。

 前作が受けた要素のひとつに「散りばめられた伏線が最後にすべて回収されていく」という展開の面白さがあったのですが、『2』では何も伏線が貼られず、謎だけを提示されてそれを疑問に思っても「まあいいや」と気にも留めず主人公たちは次に進んでいく。この伏線をどれだけ回収しなかったかについては最終回放送直後にTwitterに貼られ、放送後に更新されたある画像をご覧ください。

前作制作者の意に沿わない続編。『けものフレンズ2』は『ブレアウィッチ2』だった!


 およそこれだけの謎が提示されながらひとつも回収されずに放置されたのです…『2』は放送直後は様子見の視聴者から生暖かい視線で観られていたものの、回を経るごとにバッシングする意見が目に付くようになり、アンチと化した人々の執拗な口撃に木村隆一監督が反発、その意見に一貫性がないことからさらなる炎上を呼ぶという悪循環に陥りました。

『けものフレンズ2』関係者の言ってることはバラバラで情報共有されてない(けものフレンズちゃんねる記事まとめ)

https://togetter.com/li/1328517

 木村監督はよくこの内容で自信満々に語ったり、アンチを相手に煽るような意見を書き込んだものだな…と思う。いっそネット上ではだんまりを通して雑誌・メディア媒体でのみ前向きなコメントだけ出しておけばこんなに揉めなかったのでは?
 一部の「最終回ではある程度疑問が解消されるはず」といった期待を裏切るように最終回でも投げっぱなしのまま終わってしまい、4月2日のニコニコ動画最終回上映会ではアンケートで「良くなかった 95.3」というアンケート史上最低だった『遊戯王 ARC-V』の94.2を越える記録を叩き出すのであった。

 この大人気だった前作の続編として期待されながら続編はどうしようもなくダメになる、といった現象を僕は見たことがある。『ブレアウィッチ2』だ。99年に公開され、世界中に反響を巻き起こした『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の続編として公開されたが、前作の制作者であったエドゥアルド・サンチェスとダニエル・マイリックは関わっておらず、「意に沿わない続編だった」「続編の制作にはもう少し落ちついてからがいいと思ってたが、スタジオが「鉄は熱いうちに打て」とゴーサインを出したんだ」とコメントしており、前作と関係があるような、ないような…別物の作品になっており、評価はボロクソ、ラジー賞の「最低リメイク・続編映画」を受賞。あっという間にブレア・ウィッチ人気は終息、正当な続編が誕生するまで16年もかかることになるのだった。

『けものフレンズ2』はそういう意味で『ブレアウィッチ2』に似ている。前作のヒットをなかったことにするほどのダメな続編というと『グレムリン2』『ベスト・キッド2』『スピード2』『スターシップ・トゥルーパーズ2』とかあるけど、「前作の制作者に意に沿わない続編」な上に評価もボロクソ、というと『ブレアウィッチ2』しか思い浮かばない。

 前作をたつき監督は3年もかけてつくったので、たった2年で続編が作られるわけもなく、監督降板については様々な理由が語られるものの、降板の理由として強調されるのは短期間にシリーズを量産したいKADOKAWAが前作をつくったヤオヨロズでは量産ができないと判断されたのかも。でもそれなら単に『2』では別の会社でやりますといえばいいだけで、実際2期や続編で制作会社の変わるアニメなんて珍しくないしね。『みなみけ』とか『生徒会の一存』とか…
 なのに降板理由として「関係各所への情報共有や連絡がないままでの作品利用」というのが公式の見解として挙げられ、まるでたつき監督、ヤオヨロズ側に非があるような書き方されちゃったのは関係者同士で感情的なもつれがあったんじゃないのかな?大人の対応では済まないような。ヤマカンが「監督の域に達してない」と言われた『らき☆すた』降板騒動と同じで。


 本当に「もう少しどうにかならなかったのか?」と言いたくなるほど辛い出来だったが、そんなにボロクソいうほどの悪い出来というより「ありがちなダメ続編」ぐらいですけど。僕はまた一話から『2』を見直しているので、どうしようもなくダメなところについては後日改めて語る。






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この記事へのコメント
ジョーズ4 復讐篇もけもフレ2に似ていると思います
1のオールスターで主人公関係者が次々に死んでいくのと爆破落ちでジョーズシリーズを終わらせた迷作です
Posted by と at 2019年04月03日 12:11
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