2019年04月05日

日本語ミュージカル映画の可能性は、落下して消えた!『映画 少年たち』

日本語ミュージカル映画の可能性は、落下して消えた!『映画 少年たち』

 1969年に初演され、その後も改訂されながら上演され続けているジャニーズアイドルのミュージカル『少年たち』のミュージカル映画版。若手ジャニーズの登竜門的舞台だという。少年刑務所を舞台に少年同士のケンカ、そして友情の物語(その間に突然歌いだしたり、踊ったりするわけです)。ジャニーズで20前後の顔の綺麗な若者たちが不良の真似事をしているのを、僕は光GENJIの時代から見ているので違和感もない(嘘つけ)のだが、EXILE系のオラオラがまかり通っている現代、こんな不良で満足できるのでしょうか?

※後半ネタバレがありますので注意!

 とある少年刑務所ではジョー(SixTONES・ジェシー)がリーダー格の赤房と、コウタ(Snow Man・岩本照)がリーダー役の青房の少年たちがいつも争っており、黒房の少年たちは争いを静観していた。
 ある日、赤房に新入りのジュン(SixTONES・京本大我。京本政樹の息子)がやってくる。彼は誰にも心を開かず、部屋の隅で日記を綴っていた。新しく赴任してきた看守長の中林(関ジャニ∞・横山裕)は若い看守時代に刑務所の少年たちに襲撃され、足を折られたことがあり、その復讐を果たすかのように少年たちを暴力で支配しようとする。

「お前らはクズだ!動物だ!動物には躾けが必要だ!」

 と眠たそうな目で中林は理不尽なイビリをはじめる。ジュンは中林に目を付けられ、赤房のメンバーがいる前で日記を読み上げられる。ジュンを孤立させようとする中林は、赤房メンバーへの悪口をジュンがこっそり日記に綴っているかのようにねつ造する。おびえたジュンは「嘘だ。僕はそんなこと書いていない」と告げると、ジョーは「わかってる。お前のことを信じてる」というのだが、この間ジュンとジョーは仲良くなったり、信頼関係が出来上がってるような様子がないので、なんでジュンのことを素直に信じるのか、わけがわからない
 ジョーは在日米軍の兵隊だった父親を持つハーフだが、父は早くに死に、シングルマザーの母親(森口瑤子)は生活のために様々な男の家に入り浸る。そんな母親を嫌うジョーは面会でも母親を罵り、ついに面会にも来なくなると清々したと言わんばかりだ。
 青房のタスクは身重の妻・美咲(山下リオ)を塀の外に残している。演じているSnow Man・深沢辰哉は身重の妻がいるようにはどうしても見えないが…タスクは自分にとって最初の子供が生まれる時に愛する妻のそばで出産を勇気づけたいのだが、仮出所はまだ先だ。


 刑務所入りする少年たちは様々な理由で罪を犯して年少にいる。といってもせいぜい怒りに任せて誰かを殴った程度の罪ですが。ジュンは一緒に店をやろう、といっていた友人に開店資金をバイトの中から少しずつ手渡すが、悪い奴らに引っかかってしまった友人はそいつらに金を巻き上げられていた!「あいつ、ジュンはバカだからちょろまかすのは簡単だっていってたぜ」(意訳)と友人の悪口を言われたジュンは「あいつはそんなやつじゃない!」と激怒してチンピラ連中を全員叩きのめす(お前強いな!)。
 こんなヌルイ理由で年少入りした人間もいれば、カツアゲされていた相手をロープで括って原付で引きずり回したことが理由のやつもいる!少年たちの犯した罪の強弱が激しすぎるだろ…


 黒房の体が弱いケンタ(関西ジャニーズjr.・室龍太)は休むことを許されず、倒れてしまい医療少年院に放り込まれる。ジョーは面倒を見てくれている弁護士から母親が病気でもう長くないと知らされ、面会に来なくなったのはもう親として面倒を見ることができないから、ジョーを独り立ちさせるために距離を置いていたのだと気づく。
 激しさを増す中林らによる暴力支配に我慢の限界となった少年たち(とはいっても掃除のときに監視したり、横山裕が眠たそうな目で少年たちを睨んでるぐらい。これが「高圧的な態度による鬼看守の暴力的な支配」だというのか?)。
 親が亡くなる前に一度、会いたい…と今さら母親想いになるジョー、仮出所まで我慢できない!今すぐ身重の妻のところへ駆け付けたいと願うタスク!
 ジュンも友人が裏切ったというのは勘違いだったことを知り、直接会って謝りたいと考える。
 ここに敵対していた赤房と青房は結託し、脱走することに。ケンタの一件で看守への不信感を募らせた黒房も傍観者になるのを止めてこの計画に乗る。三房のメンバーは新月の夜(なぜこの夜なのか、特に理由は示されない)に脱走を計画する。赤房の情報屋(SixTONES・田中樹)が各所で同時に騒ぎを起こして看守らの警戒を分散させ、その隙にジョーとタスクだけでも脱走させようとする。
 よほど綿密な計画案があるのかなと思いきや、情報屋が最終的には「出たとこ勝負だ」と、場当たり的なことを言い出すあたり、痺れちゃう。君たちいい加減すぎ。

 そんな計画なので当然最後の最後で破綻するわけだが、ここでジュンが刑務所の屋根を上って看守の目を引き付ける。その間にジョー達を逃がそうという腹だが、足を滑らせたジュンはスローモーションで落下して死ぬ(!)。この内容なら最後にジュンが友人に会って気持ちを伝えなきゃ嘘でしょ!なんで死んでるの!?タスクは無事妻の元に駆け付けるんだけど、すでに子供は生まれていた!じゃあ脱走してきた意味ないだろ!ジョーが母親に会えたかどうかはわかりません!もう何がなんだか!

 眠たそうな目をした鬼看守の横山裕も最後には都合よく善人になって出所する少年にちょっといいこと言ったりして、キャラクターのブレ方が半端ないです。

 少年刑務所内でいがみ合ってた少年たちが友情で結ばれたり、鬼看守が善人になるのもいいですけど、なぜそうなったのか、の過程が実にいい加減。肝心のところをきちんと描いてくれないと…
 適当にケンカして、適当に仲良くなって、適当に踊ってハッピーエンド!日本版『ラ・ラ・ランド』を目指したそうですが…どこが『ラ・ラ・ランド』?いや、理想と現実の違い、ほろ苦さを描いた『ラ・ラ・ランド』っぽいと言えなくもないか!
 ミュージカルでは歌やダンスで大胆に省略して許されることも、映画ではそれなりに説明しないといけないからなあ。あまりにひどすぎて、却って笑いながら楽しむことはできたので、エンターテイメントとしては成立している。その辺はさすがエンターテイメントの雄、ジャニーズだと思う。




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Posted by 縛りやトーマス at 00:11│Comments(0)映画
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