2019年05月02日

本当のヒーローって?『シャザム!』

本当のヒーローって?『シャザム!』

 アメコミのスーパーヒーローもの映画が増えすぎて、何が何だかわからなくなっている昨今、興味のない人にはどれも同じに見える、という状況。だがこれだけは断言できる。『シャザム!』は他のどのスーパーヒーローにも似てなくて、尚且つもっとも重要な作品である、と。


 14歳の少年、ビリー・バットソン(バットマンみたいな名前だな。ちなみにこの漫画はDCコミックスのヒーローだ)は幼いころに父、そして母とはぐれて以来、孤児になったがどの里親とも「本当の家族じゃない」となじめず、家 出を繰り返しては里親にさじを投げられ、たらい回しにされていた。グループホームを営むバスケス夫妻に引き取られてもビリーは夫妻、新たにできた5人の家族にも心を開かない。しかし足が不自由で、バットマンオタクのフレディが学校でいじめられているのを見て、彼を助ける。いじめっ子がフレディを「お前に母親はいない」となじったからだ。突如ビリーは岩でできた地下の宮殿に飛ばされる。そこで出会った魔術師シャザムによって「お前には正義の心がある」と認められたビリーにはシャザムの能力が継承される。

「我の名を唱えろ。『シャザム!』だ」
「シャザムって・・・だせぇ名前!」
「唱えろ!」

 ダサい名前を唱えたビリーは稲妻マークを胸に輝かせ、6人の神の力を持つヒーローに変身。どう見ても見た目は中年のオッサンである。ここに「見た目は大人、中身は子供!」の逆『名探偵コナン』なヒーローが誕生した。
 ビリーはスーパーヒーローになったものの、その力でロクなことをしない。指先から出る雷でスマホの充電をしたり、巨大なパワーを見せて大道芸のようなことをしたり、ユーチューバーになったり・・・なにしてんだ!なぜこんなことをしているのかというと、子供だから(笑)。じゃなくて対決する悪役がいないからね。そんなシャザムの前にもヴィランが現れる。ドクター・シヴァナ(『キングスマン』のマーリン役でおなじみ、マーク・ストロング)だ。彼はシャザムの力を軽く凌駕するパワーの持ち主で、ヒーローとしての使命に目覚めていないビリーでは歯が立たない。彼から逃げ回るビリー。しかし彼はシヴァナと対決する宿命を背負っている。
 シヴァナは子供の頃から強権的な父親と兄から見下されていた。それは大人になっても変わらない。会社の社長、重役として振る舞う彼らに比べてシヴァナはわけのわからない研究を続けている変人でしかない。ビリーより以前にシャザムの力を継承するはずだったが、七つの大罪に唆されたために力を身に着ける資格がないと見なされたからだ。シヴァナはビリーのダークサイドともいえる。本当の家族から愛を得られなかったシヴァナと、疑似家族だけど本当の家族にも劣らぬ愛を得られたビリーの対決となるのだ。

 この漫画を見て親のない子やグループホームで暮らす子供は勇気を与えられたことだろう。敵を倒すからヒーローではない。自分以外の誰かのために戦うからこそ、ヒーローなのだ。(筋肉も能力も、そのきっかけにすぎない)だからこそ、この映画の吹き替えをコネと身内受けのギャグだけで済ませている福田雄一が監修するっていうのは、『シャザム!』への冒涜としか思えないな!俺は!




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Posted by 縛りやトーマス at 03:51│Comments(0)映画
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