2019年06月22日

面白いこと考えてないと死んじゃうの!『スノー・ロワイヤル』

面白いこと考えてないと死んじゃうの!『スノー・ロワイヤル』

 誠実な仕事ぶりから“模範市民賞”を受け取るほどの普通で生真面目な男が一人息子をギャングに殺されたことから復讐の鬼と化すバイオレンス映画。主演も子供や家族に危険が及んだ途端、殺人マシーンに変貌する『96時間』シリーズ、『誘拐の掟』『ラン・オールナイト』のリーアム・ニーソンというので、どんな殺伐とした血みどろの物語かと思ってたら・・・予想が外れた

 コロラド州ロッキー山脈のある雪に包まれた田舎町キーホー。その町の除雪作業員ネルズ・コックスマン(ニーソン)は生真面目な仕事ぶりから模範市民賞を受け取るほどの男だが、授賞式のあと、一人息子のカイル(マイケル・リチャードソン、ニーソンの実の息子)が死体で発見される。ドラッグのオーバードーズで亡くなったという死因に「息子は薬物なんかしない」とネルズは否定するが警察は「親は必ずそう言います」と冷たく突き放す。
 空港で働く息子の同僚だったダンテが地元を支配するギャングのコカインをくすねたことからカイルは巻き込まれて殺されたのだと判明。頭に血が上ったネルズはカイルを殺したギャングのスピード(マイケル・エクランド)の居場所を聞き出す。
 カイル殺しに関わったギャングのスピード、リンボー、サンタを次々血祭に挙げると、死体は川に流す。浮かんでこないよう金網で包んで。ネルズはこれらの知識をいつも読んでいる犯罪小説から学んだ。(そんなんで殺されちゃうギャングって・・・)
 手下が次々行方をくらまし、サンタのコカインも消えてしまう。ギャングのボス、バイキング(トム・ベイトマン)は怒り心頭。ただでさえ彼は一人息子が学校でいじめられていたり(ギャングの息子なのに)、その息子を巡って妻(ジュリア・ジョーンズ)と親権を争っていたりと問題が山積みなのに!
 バイキングはまさか模範市民賞の男が殺しているなんて思っていないので、元々キーホーのドラッグビジネスを手掛けていた先住民族の族長・ホワイトブル(トム・ジャクソン)の仕業と勘違い。彼の息子を報復のため殺害する。やられたらやりかえすとばかり先住民族らはギャングたちと血で血を洗う殺し合いを始める。その間誰もネルズにたどり着かない!なんだこのかみ合わない戦いは!?

 いくらスキー客以外の産業がない田舎町とはいえ、警察は何してるの?地元警察はスキー客が外で堂々と大麻吸っていても「口うるさく言うとスキー客が減って街はさびれちまう」と駐禁以外の取り締まりをしないほどやる気がない。しかし一番の若手女性警官キム巡査(エミー・ロッサム)はバイキングとホワイトブルの殺し合いの現場を見て

「事件が起きたわ!」

 とやたらとハイテンションに!盛り上がってる場合じゃないでしょ!

 かくして模範市民賞の男、ギャング、先住民、警察の四つどもえの“噛み合わない”戦いの幕が上がった!

 雪に閉ざされた町で起こる凄惨な殺し合いを描きながら、パンチの利いたブラックジョークがところどころで顔を出す。ノルウェー映画『ファイティング・ダディ 怒りの除雪車』というB級丸出しのタイトルのハリウッドリメイクであり、監督もハンス・ペテル・モランド自身によるセルフ・リメイク。劇中で人が死ぬ度に

スティーブ・ミリナー“スピード”
ジェイコブ・ラトマン“リンボー”
ジェフ・クリステンセン“サンタ”

 と十字架マークとともに死んだ人物の名前が記されて、まるで『仁義なき戦い』みたいだな。凄惨な殺しを描きながらコミカルさを忘れてない作風は『仁義なき戦い』のようで、お手本にしたであろうコーエン兄弟の『ファーゴ』にも似てるなあ。
 犯罪小説の知識だけでギャングを殺していく主人公や、元嫁に金玉潰されるボス、口先だけのチンピラ、(なぜか)ゲイカップルのギャングと出てくるキャラクターも強烈!普通に血みどろのバイオレンスでも成立する話なのに、ギャグまみれにしてしまったのは、寒い国ノルウェーの作品だからかな。カナダ出身のコメディ俳優、レスリー・ニールセンも

「カナダは寒すぎるから、面白いことでも考えてないとやってられないんだ」

 と言ってたし。この“噛み合わない”笑いもそんな中で生まれたのだろう。空を飛ぶために生まれてきた男のクライマックスに驚いてくれ!





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Posted by 縛りやトーマス at 17:34│Comments(0)映画
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