2019年11月17日

地獄だぞ!『地獄少女』

地獄だぞ!『地獄少女』

 強い恨みを持つ者が深夜0時ちょうどにアクセスすることで開かれるサイト「地獄通信」。アクセス可能になったサイトで恨みを晴らしたい者の名前を書き込むことで閻魔あい=地獄少女と接触でき、彼女から渡された藁人形の赤い紐を解くことで対象者を地獄に送る契約が成立する。しかし契約が成立した場合は依頼者もその命が尽きた時に地獄に送られることとなる・・・

 と「人を呪わば穴二つ」的な因果応報の物語であるアニメ『地獄少女』の実写映画化。アニメ版では閻魔あいの声を演じた能登麻美子の怖可愛い演技が高く評価されすぎたため、実写版の閻魔あい役は大丈夫?と不安の声が聞かれたが、実写映画版の閻魔あいを演じる玉城ティナもまた怖可愛い存在感を披露してくれたので大満足。


 白石晃士監督による(脚本も担当)実写版はアニメ版以上に人間の悪意をありのままに描いたものとなった。ごく普通の女子高生、市川美保(東宝映画売り出し中の若手スター、森七菜)は毎日をつまらなく過ごし、カリスマ的なビジュアル系ミュージシャンの魔鬼(藤田富)のライブだけが楽しみだった。あるライブ会場で痴漢行為に遭って声も出せずおびえていると、そばにいた見知らぬ女性客が男を引っ張り出して蹴り倒す!必要以上に!!
「お前みたいなやつが魔鬼を汚すんだ!」
 美保はその女性、南條遥(仁村紗和)と仲良くなる。二人がライブ後にカフェにいるとそこに魔鬼がやってきて、バックコーラスのオーディションに二人を誘う。「今度コーラスに参加してくれる地下アイドルの子のライブに来ないか?」魔鬼に誘われ、そのアイドル御厨早苗(大場美奈)のライブ会場にやってきた二人は目の前で早苗がストーカーに顔を切られる惨劇を見てしまう。
 早苗は「地獄通信」にアクセスし、閻魔あいから藁人形を渡されるが、「紐を解いたものもまた地獄に送られる」と告げられ、ストーカーを呪い殺す勇気が出せなかった。だがストーカーから謝罪の手紙が届き、そこには早苗を一生呪う言葉がつづられており、決心がついた早苗は藁人形の紐を解く。地獄少女によって「この怨み、地獄へ流します」となったが、地獄少女の言葉通り、早苗も地獄へ送られる。

 この流れは原作アニメどおりだが、白石監督はさらに観客に地獄を見せる。早苗は地獄送りになったことで行方不明になった(地獄送りにされると表向きは姿を消していなくなる。送られたことを知っているのは依頼者だけ)ストーカーの母親(なんと片岡礼子!)は早苗の元に謝罪にやってくるのだが、早苗はその母親の耳元で「地獄に送ってやった」とささやくのだ。
 その早苗もまた地獄送りで姿を消したことでストーカーの母親は真相に気づき、早苗の両親の前で刃物を渡して自分を殺せと迫るが、早苗の両親は「人を恨んでもいいことないですよ」とか薄っぺら~いヒューマニズムをひけらかしすのだった。すると母親は「早苗さんの方が正直でしたよ」と刃物で自分の首を突いて死ぬ!
 何してんの!!(本作で一番驚いた場面)地獄だぞ!!


 魔鬼のオーディションは遥だけが合格し、美保は彼女を応援するのだが、遥は以降人が変わったようになり、魔鬼の勧めで美保と縁を切る。魔鬼に違法薬物使用の疑いや、洗脳で人を操っていると聞かされた美保は遥を変えてしまった魔鬼を憎み、「地獄通信」にアクセスする。


 原作アニメ以上にえげつなく人の悪意を暴いたのもすさまじいが、白石監督はさらに「地獄通信」の謎を追うキャラクターとしてフリージャーナリストの工藤仁が登場!『コワすぎ!』の工藤じゃねえか!演じているのは浪岡一喜だが、あふれんばかりの工藤っぷりで(女のことばっかり考えてるところとか!情報提供の見返りに女子高生(また、名前が美保っていうのも・・・)に「やらせてくれないのかよ!」と毒づいたり・・・まさに工藤!)白石ファンをざわつかせる。

 アニメの実写化というと原作に気を遣い過ぎるか、ファンに媚びすぎて小さく収まったり単なるコピーになるところを、遠慮せずに拡大解釈、圧倒的なビジュアルの力で原作に負けない世界観を構築、さらに美保と遥の青春映画のように仕立て、自作キャラの出演など、白石ファンへのアピールもしっかり忘れない、なんともサービス精神満載な映画でした。この作品・・・地獄だぞ!




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Posted by 縛りやトーマス at 16:41│Comments(0)映画
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