2020年06月23日

俺がドン・キホーテだ!『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』

俺がドン・キホーテだ!『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』


『未来世紀ブラジル』『12モンキーズ』の巨匠、テリー・ギリアムが30年以上もかけて遂に完成にこぎ着けた、文字通りの超大作。新世界国際劇場にて鑑賞。

 呪われた企画『ドン・キホーテを殺した男』にテリー・ギリアムが着手したのはまだ20世紀の頃。撮影は2000年に始まったが、キホーテ役のジャン・ロシュフォールが椎間板ヘルニアで出演を断念、ロケ二日後に天災でロケ地の風景が変わるなど・・・他にも色々あって書ききれないほどのトラブルが続出し制作不可能となり、メイキング用に撮影していた部分を使って『ロスト・イン・ラ・マンチャ』というドキュメントだけが公開された。完成しなかった映画のメイキングが公開されたのだ。

 その後30年以上に渡りギリアムはこの企画にとりつかれ、企画が立っては消え、また立ち上がる・・・その間ギリアムがこだわり続けた役者のひとりジョニー・デップは私生活の乱れからほぼ業界追放の憂き目に遭い、ジョン・ハートは撮影に入る前に癌と診断され、その後亡くなるといったあらゆる関係者を不幸のどん底に突き落とし、それでも諦めきれないギリアムの執念によってようやく2016年にアダム・ドライヴァー、ジョナサン・プライス、オルガ・キュリレンコといったキャスティングで撮影が開始され、2018年ついに完成。が、完成後も撮影地でのキリスト教修道院を破壊したと騒がれた件や、プロデューサーとの権利関係をめぐるトラブルなど話題には事欠かなかった。

 そういった過程を経て出来上がった物語は複雑怪奇なものだった。


 スペインでドン・キホーテを題材にしたCMを撮っているトビー(ドライヴァー)はスペイン人スタッフと折り合いが合わず(そもそもこの仕事に乗り気ではなかった)夕食会に誘われてもこの仕事は失敗だから辞めたいと漏らすも周囲に説得される。


 ギリアムの企画は当初17世紀を舞台にしていたはずなのに、現代劇になっているのもまず驚くが、ドン・キホーテをモチーフにした撮影が上手くいかなくて嫌になる、ってそれギリアムのことじゃねーか!30年の時間をかけてギリアムはついに企画自体を自分を題材にした映画にすることにしたのだった!


 その場でジプシーの男から『ドン・キホーテを殺した男』(この映画の原題、ギリアムが30年間追い続けていた企画のタイトル)のDVDを売りつけられる。それはトビーが学生時代に制作した自主映画で、彼は映画監督を志してこの世界に入ったものの、CM監督として雇われ仕事の日々であった。トビーは仕事上のボス(ステラン・スカルスガルド)の妻ジャッキー(キュリレンコ)に誘われるもボスが帰ってきたため部屋を飛び出す。

 10年前、スペインでトビーはドン・キホーテの映画を撮っていた。現地の村で役者を探し、金がないので素人を雇うことに。靴職人のハビエル(プライス)をドン・キホーテに。酒場の主人ラウルの娘アンジェリカ(ジョアナ・リベイロ)をヒロインのドゥルシネーア姫に。ロケをした村が近くだったことを思い出したトビーはCM撮影を放り出してしまう。
 10年ぶりにラウルの酒場にやってきたが、アンジェリカはスター女優になることを夢見てマドリードに行ってしまったという。CM撮影でキホーテ役だったハビエルは撮影のせいで自分を本物のドン・キホーテだと思うようになり狂人として小屋に放り込まれていた。おまけにトビーをキホーテの忠実な部下サンチョだと勘違いして「わしをここから出してくれ」と頼み込む。村人ともみ合いになり、火災騒ぎの中逃げ出したトビーだったがバイクのナンバーを控えられてしまい、警察に追われることになってしまう。だがその時愛馬ロシナンテに乗ったハビエルが現れドサクサ紛れの中トビーはハビエルと旅に出る。

 旅の途中で風車を観たハビエルは巨人が女性を襲おうとしていると勘違いし、風車に突撃し大けがを負う(まさにドン・キホーテ!)。女性の助けで近くの村に運び込まれるもこの村はイスラム過激派の隠れ家だった。警察が不法移民を取り締まるためにやってきてハビエルとトビーは逃亡するが、途中でアンジェリカに再会。
 ウォッカで財を成した富豪ミシュキンの愛人にされていたアンジェリカは「あんたの撮影のせいでスターになれると思ったけど、勘違いだったわ」とトビーをなじる。ボスはミシュキンをスポンサーにして映画を撮ろうとしていて、ミシュキンは狂人ハビエルを面白がってドン・キホーテの演劇を作ろうとする。その場にボスと妻のジャッキまで現れてもう何がなんだかわからない!

 火あぶりにされそうになるアンジェリカを本気で殺されると思ったトビーはお芝居なのだと気づかず命がけで助けに入るも、同じく勘違いしたハビエルもトビーを助けようとして、窓から墜落して死んでしまう!落ちたショックで目が覚めたハビエルはすべては夢で幻で、自分は平凡な靴職人なのだとわかっていた・・・とトビーに告げて絶命する。

 ハビエルの亡骸を故郷の村に届けるため旅をするトビーとアンジェリカ。その前に3人の巨人が現れる。ハビエルの亡骸を守ろうとして巨人に突撃するトビー。だがそれは3台の巨大な風車だった・・・


 ギリアムはずっと周囲に理解されない男が夢だ幻だと笑われながら、それが夢や幻ではないことを最後に証明する、という話を作り続けてきた人で、彼は30年間をかけた企画『ドン・キホーテを殺した男』をついに完成させた。しかも「俺がドン・キホーテだった!」と認める形で!

 ギリアムのドン・キホーテ同様、いつになったら終わるのかわからないエヴァンゲリヲンもこんな風に終わればいいんじゃない?最後にジャージ着た庵野監督が巨大化して巨人に突撃するけど、それは風車だったとか、最後にこれは全部作り物だ!ってバラシてチャンチャン、っていう・・・『ホーリー・マウンテン』か!!





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Posted by 縛りやトーマス at 02:21│Comments(0)映画
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